2021/04/06 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にネメシスさんが現れました。
■ネメシス > 月明かりが照らすまれびとの道を駆ける数頭の馬。
聖バルバロ騎士団の副団長であるネメシスとその供の一団であった。
各々が弓や槍で武装しており、目ぼしい獲物はいないかと視線を巡らす。
基本的には夜の街道と言う者は危険と言うこともあり出歩く者もいないのだが、
この国においてはそういった危険な場所でも敢えて出歩く剛の者や逆に出歩かざるを得ない者も居たりする。
そういった者達を相手に時には鎬を削って見せたり、時には餌食にするのがネメシスの楽しみの一つであった。
「どこかに面白い相手はいないかしらね。」
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にリコリスさんが現れました。
■リコリス > 彼女らが駆ける先の、道の脇。寂しく一本生えている木の根元に寄りかかり、目を瞑る女が一人。
リコリスは腕組みをし、すやすやと寝息を立てていた。
仕事を終え、自分の住む街へ帰る途中の野宿。
(……ん?)
彼女は目を開ける。騒々しい振動を感じたからだ。蹄が複数。
視線を向ければ、月明かりに照らされる鎧の集団。装備が整っているからどこかの騎士団だろうか?
(夜中なのに大変なことで…)
そう思いながらリコリスはまた瞳を閉じ、狸寝入りを決め込んだ。
別にこちらから声をかけて位置を知らせる必要もない。
まともな騎士なら小市民一人寝ていたって気にはしないだろう。
向こうから絡んできたら…その時はその時だ。
■ネメシス > 月明かりだけが頼りの暗い街道であってもネメシス達には問題なかった。
戦力に劣る部下たちが優位に立つには夜襲もこなす必要があり、その結果夜の暗闇に慣れてしまっているからだ。
「「副団長、面白いのが居ますぜ。」」
ネメシスの前を掛けていた一騎が樹の根元で寝息を立てている女性の姿に気づいた。
先頭を任されるだけあって人一倍夜目の効く団員なのだが、他の団員同様に思慮に欠ける所があり。
「「見ててくださいよ。
今日の成果として持ち帰りましょうぜ。」」
団員の男はネメシスにそう得意げに言ってみせると、舌なめずりをしては馬から飛び降りる。
当然、相手が狸寝入りであることには気づかず。
ましてや着ている装束が手練れの多い忍びの服であろうことさえ気づいていなかった。
団員達はネメシスと違い皮の鎧である。
警戒に動くには最高だが防御力にはいささか不安が残る。
ましてや相手が寝入っていると思い込んでいる状態なのだ。
腕に覚えがあればどうとでも対処することができるだろう。
そんな状況になっているとも露知らず、両手を広げては女性を掴まんと近づいていく。
ネメシスは馬の上からその様子を後ろから見やりながらも、部下の一人に小声である指示を出していた。
■リコリス > すやすやと眠るリコリスに、嫌らしい顔をしながら男が迫る。
馬達が止まり、その背から飛び降り着地する音がしても、彼女は意にも介さない。
一歩、二歩、バレバレなのに滑稽なぐらい慎重に、男が近寄る。
そして、手を伸ばせば届く距離に、男が一歩踏み込んだ時だった。
突然凄まじい叫び声を上げて男は飛び上がると、その場に倒れ込んだ。
男の足には、深々と突き刺さった金属の罠、いわゆるまきびし。
転げまわる男は再度悲鳴をあげる。別のまきびしに突き刺さったのだ。
激痛に悶え暴れる度に地面に仕掛けたまきびしに突き刺さる。男はどんどん血濡れになっていった。
「……はぁ、なんで近づくんだ」
リコリスは目を開けてため息をつく。そして、視線をネメシスのほうに向けた。
「言っておくが、用心のために仕掛けた罠にコイツが勝手にかかっただけだぞ?私は何もしてない」
■ネメシス > 男は目の前の女性の美しさと、自らが手柄をあげることに目が眩んでいた。
「「いでぇぇぇぇ!!!!」」
あまりの五月蠅さに樹上の鳥たちが驚き飛び出すほどの声をあげる。
突然足元で発生した痛みにのたうつと、更なる痛みが男を襲い。
深い傷こそなかろうが、この場に治癒役もいない状況では男の苦痛はいかほどであろうか。
溜息交じりに向けられた視線にネメシスは瞬きをする。
そして、次の瞬間口角を吊り上げていた。
「ええ。 それについては何も言わないわ。
でもこんな所をこんな時間に一人でいるなんて怪しいわね。
他国の工作員かも知れないし、取り調べをさせてもらうわよ。」
ネメシスが言葉を終えるやいなや、馬上の団員の一人が投げ縄をお見舞いする。
こうして"取り調べ"と言った尤もらしい理由で獲物を捕まえるのがネメシス達の常である。
但し、今日の相手はいつもの哀れな獲物とは一味も二味も違う。
ネメシスは団員が捕まえ損ねたことも想定し、残り2騎の団員達に左右へと展開するように指示を出す。
それぞれ槍を手に、忍びらしき女性との距離を測るように動き始める。
■リコリス > ネメシスの言葉に、リコリスはやれやれといった表情で肩をすくめた。
そして億劫な様子で立ち上がると、投げ縄を投げようとする一人に向けて軽く手を振る。
「まずはそっちから名乗ったらどうなんだ?」
次の瞬間、団員の持った投げ縄は根本から切断され、リコリスにかかることなくむなしく宙を舞って地面に落ちる。
リコリスは左右に展開した騎兵を見やる。その両手には手裏剣が4枚。先ほど投げ縄を切り飛ばしたのもそれであった。
「他国の工作員、か。私は確かにシェンヤン顔だし生まれも育ちもシェンヤンだが、
工作員にするならもっと普通のマグメール人に見える奴を使うんじゃないか?」
槍を向けられても、全く焦る様子もなくリコリスは言う。
「それとも何だ?取り調べはただの口実で女一人捕まえてお楽しみか?
そこのお嬢様は美人なんだから普通に誘ってくれたほうが嬉しいんだがな。他はお断りだが」
ネメシスに挑発的な視線を向け、にやりと笑った。
■ネメシス > 「「副団長、こいつやばいですぜ。」」
容易く投げ縄が両断され、団員の一人が甲高い声をあげる。
相手の呼びかけは耳に届くも、団員達は反応する余裕すらない。
皆、顔に汗が浮かんでいる。
そして、誰しもが手の中の道具に気付いていなかった。
「「うるせえ、大人しくしろ!」」
左右を取り囲んだ団員達はこの時点で漸く相手の手で鈍く輝く存在に気づき、声が僅かに震えていた。
ただ一人、ネメシスだけはその様子をじっと眺め。
おまけに相手の視線に笑みで応えた。
「じゃ、私から名乗ってあげる。
私はネメシス。この辺りを仕切っている聖バルバロ騎士団の副団長よ。
普通に誘ったら大人しくついてくるのならこの辺で切り上げてもいいわ。
私も貴女の強さはよく分かったし、これ以上被害を出すのもね。
どう? 後ろに乗る気ある?
ちゃんと屋根のある場所で楽しめるわよ。」
■リコリス > 「はぁ、意気地の無い連中だ。お前たちに乗られてる馬が可哀想だ。
三騎もいるくせに女一人に怖気づくなんて、歴史に残る臆病者だな」
男達の醜態を見て、リコリスは笑いながら煽る。
この手の粗暴な男が彼女は大嫌いなのだ。
「大人しくしてくださいだろう?人にモノを頼む態度かそれが」
心底楽しそうに、リコリスはその瞳をネメシスにも向ける。
「バルバロ騎士団ねぇ、名前は聞いたことあるな。評判も。
私はリコリス、ただの小市民だ。よろしくネメシス」
挨拶を返しながら、リコリスはネメシスのほうに一歩踏み出す。
「ところでお誘いはありがたいが…ぐっすり眠っていたところを起こされたせいで寝不足でね。
なんでまぁ、私を誘うならもっとやる気の出るような誘い方をしてもらいたいんだが。
……具体的にはだ、誠意を見せてもらいたいね。私にいくら払う?」
■ネメシス > 「「お前こそ、妙な武器使いやがって。」」
縄を切られた団員が悔しさに顔を歪めながら声を震わせる。
実際、団員達は相当弱く性根も臆病であった。
それらをカバーする為の包囲戦術が通じない以上、彼らに出来ることはそうない。
そして、団員の一人は相手の言葉に小さく舌打ちをしつつ未だ転がったままの血まみれの団員を担がんと
下馬する。
どの団員も戦闘が収まりそうな空気になってきたことに安堵しているのが顔に出ていた。
「リコリスって言うのね。
凄い腕をしてるわね、驚いたわ。」
リコリスが近づくに合わせ、馬を屈ませるネメシス。
思わぬところで出会った強者にこちらも上機嫌だ。
「そうねえ…。 迷惑料も加味して2万ゴルド支払えば満足してもらえる?
それ以上となるともう少しおまけしてもらえるのなら考えるわ。」
■リコリス > 「お前のは武器でもないただの縄だろう。敵に向ける武器か?それが。
そっちの奴は敵の前で下馬か。殺してくださいって言ってるようなものだな。
惰弱、惰弱、惰弱。何が騎士だか」
散々に馬鹿にする。容赦もない。
そう言うリコリスは、いまだに己の手裏剣を手放していない。
不意打ちしてくることがあれば、一瞬で投げられるだろう。
「そりゃどうも。誰か殺したい人間がいれば相談に乗らないこともないぞ。
しかしまぁ、お嬢さんはそんなに可愛らしいのに何でこんなクズどもなんか率いてるんだか」
屈んだ馬を、遠慮なく撫でながらリコリスは言う。
近づいて改めて見れば、こんな野盗まがいな連中のリーダーには似つかわしくない若さとかわいさだ。
不思議に思って、リコリスはそんなことを口にしていた。
「2万ねぇ…お前が私に付ける値段はそんなものか。
……ま、いいか」
リコリスは頷いた。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からネメシスさんが去りました。
■リコリス > 【継続します】
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からリコリスさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にネメシスさんが現れました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にリコリスさんが現れました。
■ネメシス > 夜道を歩く数騎。
トップであるネメシスは後ろにリコリスと名乗る忍びを後ろに乗せると
彼女からの問いに一つ一つ答えながら最寄りの拠点へと向かっていた。
「今の所、依頼してまで殺したい相手は特に居ないわね。
そもそも私にはっきりと挑んでくる相手なんてあまり居ないし。」
リコリスは馬の扱いに慣れているのか、撫でられた馬は嬉しそうに声を挙げて喜んでいた。
初対面とは思えない懐き具合にネメシスはまたもや興味を抱いてしまう。
「私が彼らを率いているのは元々そうする為に産み出されたからよ。
行く行くは彼らだけじゃなくてこのマグメール中を支配しちゃうつもりだけど。」
リコリスの問いに答えている間に拠点へとたどり着く。
ここは街道沿いに設けられた複数ある根倉のひとつ。
丸太で築かれた広大な砦であり、門をくぐる前からクズどもと評された団員達が忙しくしていた。
「「一人負傷したらしい、荷駄の用意を急げ。」」
「「ネメシス様が戻られたぞ、部屋の用意を急げ。」」
慌ただしく動き回っている団員達の前でネメシスは馬を止め、後を任せた上で下馬する。
「さ、こっちよ。」
その場で馬を座らせると、リコリスの手を取り砦の中へとエスコートしようとするネメシス。
彼女を砦の中でも一番大きな建物へと案内する。
建物内は3つの部屋で区切られていた。
主であるネメシスが使うための部屋と、彼女の僕たちが食事の準備などをする為の部屋ともう一つ。
ネメシスが部屋に入ると、従者であろう数名の女性がネメシスの鎧を脱がしていく。
皆整った顔立ちながら、所作から武人のはしくれであることを伺わせる。
そして、中には僅かに腹が膨らんだ者も。
「ちょっと着替えているから、先にくつろいでて。」
従者の一人がリコリスにソファで寛ぐように促す。
ソファの前には大きなテーブルが設けられており、すぐに冷酒や軽く摘まめる食事が用意される。
■リコリス > 「支配、支配ね。そりゃいいや、敵もいっぱい出来そうじゃないか。
ちなみに私は国の支配者をブッ殺すために生まれたんだ。その時はよろしくな?」
馬の背に揺られながら、リコリスはからからと笑う。
生まれた時から決まりきった道を行くよう育てられている点では似ているのかもしれない。
最も、リコリスの道は当の昔に途切れてしまったわけだが。
そうこうしているうちにバルバロ騎士団の拠点とやらに。
いやはや、意外に立派だ。
手を引かれ、城の中へ。通された部屋には、数人の侍女。
(ふーん…こっちのほうが本命かね)
どうにも、外の団員より強そうな感じがする。
こちらが子飼いの部下なのだろう。
座れと言われて素直にソファに沈み込み、遠慮なく食事を頂く。
「愛人も兼任ですか、まぁ絆も強そうで…」
膨らんだ腹の侍女を見て、小さくこぼす。
■ネメシス > 「敵はいっぱいいるでしょうけど、表だっての敵はあまり居ないわ。
それにこの国ってはっきりした支配者って今は居ないのよ。
だから私みたいなのが付け入る隙があったわけだけど。」
騎士団のことを多少なりとも知っている者なら、彼らが所謂成り上がりであることも知っているだろう。
だからネメシスも含めまともに礼儀作法を知っている者は皆無である。
衝立の向こうから布が擦れる音が聞こえるだろうか。
程なくしてディアンドルに似た形状の服に着替えたネメシスがリコリスの隣へと腰かける。
「そ、皆私のお気に入り。
気に入った子は片っ端から孕ませちゃってるの。」
隣からじっと顔を覗き込むネメシスは得意げであった。
声のトーンからはしゃいでいるのが直ぐに分かるほどで。
「そうそう、先に約束していた2万ゴルド支払っておきましょうか?
それとも、後でいい?
決まった拠点があるのならそっちに持って行かせてもいいわよ。」
ネメシスが口を動かしている横で従者たちが甲斐甲斐しく世話をする。
グラスに注いだアップルジュースを一人がネメシスの口元に運んで飲ませ、
飲み終えると布で口元を拭う有様である。
■リコリス > 「孕ます…ふーん……」
リコリスの視線はネメシスの下半身のほうに向く。
そういう身体らしい。この国じゃ珍しくもないが。
「子供なんか作れば作るほどめんどくさいだけだろうによくやるもんだ。
私には理解できないね」
女性相手専門の彼女には、子供の有難みなんてさっぱりわからない。
それとも、支配者になるような人間は繁殖欲求も旺盛なのだろうか?
「あぁ、先払いがいい。ここに持ってきてくれ」
酒を一杯呷りながら、リコリスは言う。