2020/12/27 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にフォティアさんが現れました。
フォティア > 小さく、ごとごとと低く揺れる音を響かせながら、夜の街道を馬車が往く。
大きな馬車ではないのだが、その低い軋みは重量のある荷物を運んでいるのだと、見るものが見れば知れるだろう。
幌のかかった荷台は木の枠でしっかりと囲われて、中を伺うことはできないが子供の好きそうな装飾と色彩に彩られている。
王都から離れた村々の人々にも手が届くようにと、ささやかに厳選した絵本や物語を運ぶ『移動貸本屋』である。
ランタンで灯した御者台には黒いワンピースの娘が一人。深緑のショールにくるまり、自ら手綱を操ってできるだけ平坦な道を選んでいる様子。

「──………護衛を雇うべきだった、かも。 それとも、村で一泊させてもらうべきだった…? 」

呟きとともに、ふわ、と白い呼吸が大気に溶ける。
昼のうちに王都を出たのだから、夜になる前に帰れるかと思ったのだが──本を選ぶ子供たちが夢中になっていたのだから、それを中断させるのは野暮だ。。
昼間のうちには感じなかった心細さを抱きつつ、遠く獣の遠吠えや、緑を騒がせる風の音に僅かに神経をぴりつかせる。
巡回の警護隊の袖の下に入れる小銭にも心もとなく、出来ればトラブルは避けたいところだ。

ランタンの頼りない光を供に、緩やかにうねる街道を栗毛の馬の首を時折軽く叩いて宥め乍ら、帰途を急いだ。

フォティア > そのまま、馬車は夜の街道を伝い王都へと、往く──
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からフォティアさんが去りました。