2020/06/08 のログ
■エレイ > やがて日が傾き空が赤く染まる頃、馬に鼻先で突かれ起こされた男は、眠た目を擦りながら
馬に乗って王都へとのんびり帰っていったとか……。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からエレイさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」に芒槌さんが現れました。
■芒槌 > 街道沿いにある狭い小屋の1つ。
元は巡回警備の中継地なのか、それとも補給地だったのか。
それとも山賊、盗賊の類が利用していたのかも判らない。ただ言えるのは、その小屋の中には最近まで粉末形態の食料が残されていた。
埃の層が積もらず、床の板の上には白い粉。毒物とかではなく、単純に小麦粉があったから。
食料品を貯蔵していたなら、雨漏りの心配も無いだろう。
そして、食料を持ち出した後ならば次の補給が入るまでは誰も――自分の様な根無し草以外は使わないだろう。
だからこの小屋を今宵の宿に決めた。
この夜間に於いて、そして。天を仰げば半月よりも幾分と円形に近く。
黄金に輝く月が自分の内部の魔力を高め、精神をも昂らせていた。
街中に繰り出せば無用のトラブルを招き、昂らせた精神は容易く娼婦やそういった店に自分の足を運ばせる。
「金、無ェんだヨ。」
この間の喧嘩は楽しかったが、結果的にクライアントからは不評だった。
理由は単純に、負けただけではなく彼女と言う監視の目を1つ、その場所から遠ざけてしまった事があるだろう。
実力ある監視の目を遠ざけた事も合わせて、正当な解雇理由となって自分に突き付けられていたのがほんの2日前位。
■芒槌 > そんなわけで王都から、今はとある小さな街に移動している最中。
床に僅かに残されていた小麦粉も、舐めればちょっとした栄養にはなる。
なるが、人としての誇りを投げ出すにはまだ早い。
早朝に仕掛けておいた川の罠に、数匹の川魚が掛かっていた。
更に食べられる野草、果実。自然の恵みと言う物については造詣と知識が多少はある。
判断の使い物ではなく、確実に食べられる物だけを選び取り、残りは手を出さなかった。
獣の類も捕まえられる小型の其れが居ればよかったが、そんなに都合よくはいかない。
小屋の窓を閉めて明りが漏れない様にした後、炉に火を入れて小さな焚火を起こす。
毒の無い木の枝に魚を3匹刺し、火に炙り乍ら薬草でくるんだ果実も焚火の中に放り込む。
大体の毒はこれで何とかなる食べ方なのと、傷んでいてもまぁ死なないだろう。
天井の梁に自分のロープを引っ掛け、残りの川魚を開いて焚火の煙でスモークさせるのも忘れなかった。
こうしておけば明日くらいまでは持つ。まだ旅の途中なのだから。保存食はあって困らない。
夕食が出来るまでの時間、懐に入れてある小さな酒瓶を手にして喉を潤していた。
■芒槌 > 「雨風凌げルってだけで助かル。」
誰に言うでもない。床板に直接座り込むが、床板が冷えている季節でもない。
焚火の煙で幾分かは煙たいが。……幾分?いな。
「げほっげほっ!閉め切ってたら、そりゃ、こうなル。」
盛大に咽たのは、焚火を始めて数分してから。
閉め切っていた室内に満ちた煙に負けて噎せ返り、やむなく窓を小さく開く。
明りも漏れるだろうが、煙には勝てない。煙と空気の逃げ道を作りながら、夕食が出来るまでの間。再び焚火の前で座る。
時折木の枝の向きを変えて焼け目を調整。炉の灰に何度か差し替えた後、程よく焼き上がった頃合いを見て夕食が始まる。
「熱ィ。」
木の枝は生木を使った分、焦げても燃えない。熱を吸い込んだ枝が川魚を内部からも熱して、十分以上に火が通っている。
頭から齧りつき、少しだけ泥臭い川魚の味と苦みを愉しむ夕食の時間。
腸は中々いい味をしているし、身は締まって食べ応えは十分。
骨だけを残す様にして、1匹、2匹と食事を続けている。調味料は無いので、少しだけ酒を垂らして一味付ける。
臭みが誤魔化されるが、酒の香りで川魚の風味が吹き飛んでしまったのでこれは失敗だった。