2020/04/03 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にマーラ・パーピーヤスさんが現れました。
■マーラ・パーピーヤス > 王都から港湾都市へと続く街道。
何台もの馬車が駆け抜ける、そんな街道を徒歩で向かう人影があった。
それは一人の少女。
肩で切り揃えられた琥珀色の髪を微風に靡かせ、琥珀色の瞳は不安げに常に周囲に向けられている。
馬車で向かう人達が多い中、なぜ少女は徒歩で向かうのか?
単にあんまりお金を使いたくないとか、馬車の中のような狭い空間で何人もの人達と居るのが苦手なだけであった。
要するに貧乏性で人見知り、とはいっても、これでも魔族の国では一応名の知れた魔王の一人なのだ。
そうなると、なぜそんな魔王がこんな場所に居るのか、となるだろう。
それには説明し切れない深い深い理由があるのだが、今は伏せておこう。
少なくとも、故意に人間の国に害を与えに来ている訳ではないのだけは確か。
とりあえず、港湾都市に来た理由はただの観光である。
もっとも、それを説明して信用されるかは別だが。
「ふぅ…もう少し歩いたら、今日はお休みしましょうです」
まだ目に見えぬ、街道の先にある港湾都市へと目を向けながら、そんな呟きを零し。
歩き続ける少女であった。
■マーラ・パーピーヤス > そんな少女ではあるも、歩みは順調ともいえなかった。
馬車が遠目に見えれば、コソコソと街道の端に逃げ隠れ。
少し強い風が吹いて街道脇の草木が揺れれば、やっぱり怖がって逃げ隠れ。
少し離れた場所に四足歩行の中型以上の動物が居ても…
そんな調子であるのだから、なかなか目的地に着かないのも仕方無いだろう。
とはいえども、歩みで確実に目的地には近付いている。
いずれは着くのであろうが、それが一体いつになる事やら。
一人の静かな空間に小さな音が鳴る。
それは少女のお腹から聞こえるもので。
それが何を意味するのかは、誰でも分かるものだろうか。
「はうぅ…お腹、空いたのですぅ…」
両手でお腹を抑えるようにして、ポツリと呟きをまた零す。
空腹で力が出ないとか、何か不具合がある訳でもない。
それでも、そうした事を求める事も満たす事も少女の生きていく上で必要とすべきものの一つなのだ。
少女は『欲望』の魔王なのだから。
■マーラ・パーピーヤス > 一旦足を止め、グッと背伸びをして先を見る。
もちろん、そんな事をして先にある港湾都市が見える訳もないが。
「ごはん…ごはん、後どれくらいなのですか…?
ダイラスは、まだまだ見えないのですぅ」
予定では今日くらいには到着するはずだった。
しかし、さっきのような理由で予定はずれにずれ、明日か明後日かとなっている。
すでに保存食は尽き、空腹を満たす手段はなし。
小さく肩を落としながら、トボトボとまた歩き出す。
少女が力を使えば、やろうと思えばいくらでも手段はある。
なのにやらないのは、ひとえに少女の性格的な問題にあるのだった。
とりあえず、そろそろ歩くのも疲れてきたのだろう。
ハァ、と溜息を吐けば、歩みは続けながらも休めそうな場所も探すように周りを見渡してゆくのだ。
■マーラ・パーピーヤス > しばらく進めば、街道を少し外れた先にちょうど良さそうな場所。
それを見付けた少女は、その場所へと向けて歩む先を変えた。
テントとかの大掛かりな道具は無いが、毛布とかシート程度の最低限雨風を避けたり暖を取れる物は持ってきてある。
人目もそう向けられそうも無い小さな空間。
そこに小さく丸まり今日の夜を過ごすのだ。
目的地まで後少し、明日になったらまた頑張ろうと考えながら。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からマーラ・パーピーヤスさんが去りました。