2020/03/21 のログ
クレス・ローベルク > 「な、泣くって。死ぬって。いや、泣かれても困るんだけど……」

男の最低限の職業倫理として、断定できないものを断定する訳にもいかない。
いっそ突き放す事が出来れば良いのだが、何かこのムスメを突き放すとそれはそれで面倒な事になりそうでもあり。
取り敢えず、ヘルハウンドの目撃情報については、答える事ができそうなので、まずはそっちについて答える事にした。

「えーと、と言っても、街道を走る馬車から、炎を口に溜めてる犬を見たって感じかな。まあ、何せ走ってる馬車で、しかも遠目だったって事で複数人派遣するには弱いから俺一人なんだけど……

そういえば証言では具体的な数は言ってなかったから……」

自分でも言ってる間に気付いた。
そういえば、"一体"とは一言も言ってない。
証言者に直接聞けば良いのだろうが、何せ錯乱していたようで、詳しい話は聞けてなかったとも聞く。
つまり、

「……つまり、下手をすると複数体居るね、いやー、うっかりしてた。ごめんね?」

本来なら、複数体居ても全く問題ない故、そこまで気にしていなかったが。
この少女にとっては不意打ち且つ致命傷。
しかしまあ、気にしていなかったのは仕方ないので、取り敢えず爽やかな笑顔で彼女に残酷な事実を宣告するのだった。

ティアフェル > 「泣く上に死ぬんだよ? どうだ、面倒くさかろう」

 何故か威張り気味にのたまった。面倒くさいが放っておけばどうってことはない。
 面倒くさい女はとにかく、ヘルハウンド情報に真剣に耳を傾けて、何故か、くわ、と刮目すらして、怖い顔して聞いた。

「馬車から……口から火を吐く犬を見た……なんて恐ろしい。めちゃめちゃ怖いじゃないよー!」

 ヒィィ、と話を聞くだけで震えあがって、そんな情報を入れていなかった自分を呪った。最新情報なのか見落としたのかは分からないが、以降はきっちり確認しようと決心。
 で。結論。まだいるかも説。ヘルハウンドまだいるかも知れません説…!
 頭を抱えて悲鳴を上げ。

「イイィヤァァァァ!! 怖いよぉぉぉぉ!!!
 お願い! お願いですから、一緒にお家帰ってェェェェ! 一人で帰れないよォォォ! 
 絶対無理ー! 何なら依頼しますんでお願いします!どうかー!」

 怖すぎる、またヘルハウンドに出くわすなんて考えただけで息止まりそうだ。
 土下座せんばかりの勢いで両手を合わせて恥も外聞も魔犬の前ではなにも存在しないようで、必死でお願いした。もうすでに涙が滲んで、断られたら号泣案件だ。

クレス・ローベルク > 「さては君謙ってはいるけど、遠慮するつもりは一切ないね?」

これは確かに面倒くさいぞと男は引き気味の笑顔で応える。
とはいえ、流石に頭を抱えて悲鳴まで上げられれば、男も見捨てる訳にもいかない。
というか、この子の悲鳴でヘルハウンドが寄ってくる可能性も十分あり、その場合どうこうできるのはつまり自分だ。
仕事を十全にしようと思えば、寧ろ寄ってきた所を倒すべきなのだろうが、

「解った解った。あのヘルハウンドを楽に倒せたのは君のお陰だし。どっちにしろ一端街に戻るつもりだったから、付き合うよ」

だから頼むからまた跪いてくれるなよと釘を刺す。
何か、厄介な娘が道連れに増えたなあと思う。
物事のいい面だけ見れば、美人の、それもいざというときは怪我をケアしてくれる癒し手を同行させられるという好条件なのだが……

「……全く割に合わないと思うのはどうしてだろね、一体……」

と、がっくりと肩を落としつつ、アルコールランプや貸していた毛布を回収する。
そういう事であれば、一刻も早く此処を去ったほうが良かろうと。

ティアフェル > 「時にはわたくしも慎みますわよ!? でもね、今はその時ではない。生きるか死ぬかで遠慮など意味を持たない!」

 堂々たる態度で宣言した。面倒と云うか、シンプルにうざい娘と関わってしまったものである。
 ヘルハウンド見ただけで断末魔のような悲鳴を上げるのだから、いっそヘルハウンド以外のものも寄ってきそうだ。モンスターホイホイのような悲鳴だ。
 
「いいの?! 本当に!? 何ていい人なんでしょう…! クレス・ローベルクってあのエロ闘士じゃんとか、一瞬思い当ってごめんなさいね?! あなたいい人だよ…!」

 実は一瞬思い当っていた。闘技場で女性と対すると完全にやっちゃう感じのひとだっていう噂位は聞き及んでいて、「なにそれエロじゃん」と女友達と「近寄るとやばいそうだよねー」なんて噂していたのだったが。実物そんなやばくもなかった。ああ良かった。この噂話には乗らないようにしようと決めた。

「――えーと、今ならオプションとして、ポーションつけます。
 見捨てないでね。おいて行かないでね。絶対やめてね。最後まで責任を持とうね。大人として」

 かなり余計なことをほざきながら割に合わないと感じている彼の撤収作業を手伝う。紅茶は呑み終えてごちそう様でした、とカップを返して毛布をたたんで。
 行きますか、と出発準備が整えば、彼を盾にして進みます。

クレス・ローベルク > 「あ、うん。そうだね。俺も命がヤバいときはプライドとかポイするからね。流石に君ほどとは思いたくないけど」

何かこの娘、面白おかしい。
この場合の面白おかしいは、面白いが、おかしいの略である。

「……いやまあ、真実だし、良い人ではないけどね?
もうちょっとこう、根本的に男に対する警戒心とか……いや、うん。
何だ、俺、君のことが好きになってきたよ」

性的な意味では全くないけど。寧ろ何というか、話し相手というか、バカ話相手としてだけど。
寧ろ、この娘は闘技場で相手したくない。
何というか、レイプしようとしたら、色んな意味でやるせなくなりそうである。
とはいえ、だからこそ道連れとしては賑やかだろう。

「あー、うん。大丈夫。一度言った以上は最後まで送り届けるさ。それじゃ、」

出発、と。
二人は街まで旅を続けるのだった。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からクレス・ローベルクさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からティアフェルさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にアルマさんが現れました。