2020/03/20 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にリムリアさんが現れました。
■リムリア > 北風もようやく緩み始め、早春の温もりが感じられる草原地帯
そこに伸びた街道を行き交う人も、一時に比べれば徐々に増えてきている。
若草色のローブを身に纏った少女もまたそんな増えてきた中のひとりで。
小さな背嚢を背負った姿は、女性一人ということを差し引けば、よく見かける旅姿
違うところと言えば、その荷物の中身がほとんどが薬草の類というくらい。
王都から伸びる街道をやや早めの足取りで、東の方角へと向かっている。
行き先は、王都郊外の村
ギルドへの依頼で治癒師を派遣して欲しいというものだった。
詳しい状況は分からないけれど、魔物の襲撃とかではないようで。
急ぎであることと、危険は少ないだろうという判断で、パーティを組まずに単身で依頼を引き受けたのだった。
■リムリア > やがて先を急ぐ少女の姿は街道の向こうへと消えていき。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からリムリアさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にティアフェルさんが現れました。
■ティアフェル > 「あー……遅く、なったなぁ……」
月に叢雲のかかる薄暗い夜の街道。使いの依頼を受注して完遂して帰還する頃にはとっぷりと日が暮れてこんな時間になってしまった。
手にしたランタンで辺りを照らしながら小さく嘆息し、街へ戻る道を辿り。時折吹き抜ける冷たい夜風にぶるり、と身震い一つ。
そこは街道の中でも古道に類しており、利用する者も少ない方なのか雑草が侵食してきていて幾分か荒れ気味であった。足元に注意が必要だ――、そう思いながら十字路にふと差し掛かりかけたところで、ぴた、と歩を止め。
「あ……? 古道……十字路……月のない夜………」
今自分が置かれている状況を遅まきに察して。サ――と一気に蒼褪め。
「いや、いやいやいやいやいやっ。まさか……まさか、だからって。ねえ……そんな……」
こんな状況下で出くわす確率の上がる魔物がいる。その可能性に思い当っていきなり震えあがりながら、十字路の向こうに何かの影が黒く微かに背景から浮き上がっているのに気づくと、ギクリと肩を震わせ。
「や……やだ、やだやだ、まさか、そんな……嘘でしょ……っ?!」
■ティアフェル > 「ひ―――!」
十字路の中心に立つ、その影かぞろりと動く。深紅のぎらついた目がこちらに焦点を合わせた――瞬間、総毛立ち。
「ヘールーハーウーンドオォォォォォォォ!!!
ヘルハウンドヘルハウンドへるはへふあ!!!」
大絶叫の尾を引きながら、全力で地を蹴り一目散に駆け出した。
がしゃん!と手から落とされたランタンが道に叩きつけられて割れ砕け、燃えていた炎が消え周囲は闇に閉ざされたが。そんなこと微塵もお構いなく「大混乱・錯乱中」と顔にでっかでかとペイントして「怖い死ぬ怖い死ぬ怖い死ぬ」とそんなテロップを頭の上に炸裂させながら猛ダッシュ。
「イ゛ヤ゛ア゛ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛!!!゛」
なんならエクスクラメーションマークにまで濁点くっつけ、はやばやと双眸からぶわ、と滂沱しながら魔物から全身全霊の超絶逃亡。
■ティアフェル > ただでさえ犬嫌いなのに、地獄の番犬だなんて冗談じゃない。見ただけでショック死しそうな勢いだ。
多少の魔物ならばビビリもせずになんならカチ割ってやる!と特攻根性旺盛な凶暴ヒーラーだったが、ヘルハウンド・ケルベロスの二大魔犬だけは絶対に断固として無理。目が合っただけで凍り付いてしまわれる所存。
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいー!!!」
何も過失はないはずだが、とにかくぼろ泣きで自分でも何に対して謝ているのかは分かっていないが、とにかく見逃して欲しい一心で泣き叫び。まるで悲鳴に釣られたように後を追って来る真っ黒な魔犬から無我夢中で逃げて、逃げて、逃げて、逃げる。
しかし――、
「あっ…!」
こんだけ焦って怯えて舗装もガタガタな古道を走っていると、足もひっ絡まるってもので。碌に見ていなかった足元の小石に毛躓いて、どさっと派手に転倒した――。
「ひ…きゃあぁぁあぁぁぁぁぁぁぁああ!!!」
大きく地を蹴って跳躍した魔犬に一気に追いつかれて一段と大音量の悲鳴が、静かな黒々と深い宵を劈くように響き渡った。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にクレス・ローベルクさんが現れました。
■クレス・ローベルク > 一方その頃、男が一人彼女の進行方向とは逆方向から歩いてきていた。
時折、くしゅんとくしゃみをしているのは、まだ夜は肌寒いが故。
男がこの街道まで足を運んだのは、ヘルハウンドという魔獣を退治する為である。
「はぁ……早く終わらせたいな。
っていうか、一向に見当たらないんだけどまさか野犬をヘルハウンドと見間違えたなんて落ちじゃ……」
『ヘールーハーウーンドオォォォォォォォ!!!
ヘルハウンドヘルハウンドへるはへふあ!!!』
なんか、絹を裂いたにしてはやけに緊張感に欠けた乙女の悲鳴が聞こえた気がする。
いや、悲鳴というか、芸人か何かの芸なのではとさえ思うが、しかし一応はこちらの獲物である。
「……まあ、もしマジだったらみっけもんだし」
古道をダッシュで走ってみると、そこには今正にご飯にありつこうとしているヘルハウンドと、そのご飯になりかけている少女の姿。
うわ、まじで居た、という心の声とは別に、男の身体は反射的に動いていた。
今から駆け寄っては、とても彼女が害されるには間に合わない、が
「っせえい!」
男が鞘から抜き放ち、そのまま投げ放った剣が真っ直ぐにヘルハウンドに飛んでいく。
狙いは正確。
剣は真っ直ぐに、彼女の胴体後部、つまり尻から突き刺さり、
「あっ」
今正に彼女を喰らわんとしていたヘルハウンドの、丁度口の中から剣先が飛び出る事になる。
ヘルハウンドの体内で勢いは減じているので突き刺さる事は無いだろうが、これはこれで少し恐ろしいと言うか、前衛芸術チックになってしまったかもしれない。
■ティアフェル > 超絶苦手な恐怖の対象に襲われては、さしもの特攻属性も抵抗できずに、大きな黒犬に引き倒されて、大きな口をがばりと目前で開けられ、
「ぎぃあぁぁぁぁぁぁぁぁあー!!」
盛大な悲鳴を上げて身体を竦ませているしかなかったのだが。まさに今、喉元に牙が迫った瞬間に。
どす!
身体の上に乗っかっている獣を通じて鈍い振動が奔り、そして、魔犬の身体を刺し貫いて飛び出てくる剣が、見開いた双眸すれすれのところに迫り――
「?!?!!!」
声もなく目を飛び出しそうな程に見開いて、
「あ。あ。ぁ――……」
一瞬気が遠くなり、目の前が真っ暗に。余りの事にショックが全身に叩きつけられたようで、そのまま剣が突き立った犬の亡骸に潰されながら――あっけなく失神した。
■クレス・ローベルク > 「あーあ、やっちゃった……」
尻から剣を引き抜いた男は、取り敢えず剣を引き抜く。
付着した血と体液その他諸々の汚れに、うえっと嫌な顔をするが、取り敢えず剣は遠くに放り出す。
そして、改めてヘルハウンドの死体をどかし、彼女の方を見る。
「うーん……まさか放っておくわけにもいかないよなあ」
此処に放置しておくと、これとは別の魔物に襲われる可能性も高い。
男ならばそれもいいかと思うが、しかし彼女は女で、しかも美人である。
男は最悪死んでもいいが、美人が死ぬのは忍びない。
「取り敢えず、目を覚ますまで待つか……えーと、毛布毛布」
彼女を道の脇に置くと、バックパックから毛布を取り出しかけておく。
後は、彼女が起きてから話をしよう、と。
■ティアフェル > ショックの連続で、普段は非常に太く逞しいど根性の持ち主ではあるのだが――こればっかりは耐え切れず、普通の女と大差ないへたれっぷりで失神してしまい。
深々と剣の貫通した重たい犬の骸に圧し掛かられている様は、まるでこれも遺体のようではあった。
「~~~………」
完全に逝ってしまわれた様子で、ぐったりと半死状態だったが、ご親切に毛布を掛けられて。待つことしばし。ヒュオ――と吹き抜けた冷たい夜風が頬を叩き、
「………んっ……」
やがて小さく呻いて、閉じていた瞼が震えた。ぴく、と小さく睫毛を揺らめかせながらぼんやり……とぼやけた視座。幾度か瞬いてから。毛布が掛けられていて暖かいが地面に接している背中が少々冷え、ふる、と身震いしながら意識を緩々と取り戻し。
「あ、れ……わたし……? ……? あなたは…?」
一体何があったんだっけ……とゆっくり起き上がろうとしながら頭を巡らせてみると、見知らぬ男性の姿が目に入り、パタパタ瞬きをしながら小首を傾げ。
■クレス・ローベルク > 「やあ、おはよう。っていっても、相変わらず朝ではなく真夜中だけども」
少女から少し離れた場所で、アルコールランプと三脚台で、小さなポットの湯を沸かしていた男。
彼女が起き上がると、お、と目を見開いてから、湯の中身を置いていた二つのカップに注ぎ、それらを持ってきて、
「俺の名前はクレス。クレス・ローベルク。ダイラスの剣闘士で、同時にこの辺りの魔物を退治しにきた冒険者でもある」
そう言って、カップを、溢れないように手渡す。
中には、湯気の立った紅茶が入っている。
男は、心配することはない、と言わんばかりに微笑みを見せつつ、
「取り敢えず、呑んでからで良いから答えてくれ。
君の名前と……それから、君は何者かも、できれば」
■ティアフェル > 「んー……おはようございまーす…? ありゃ……確かに真っ暗…えっとぉ…?」
気絶する前に一体全体何があったんだっけ? 今の現状はなんだ?
覚醒直後で思い起こそうとしながら、少し離れた所で若干即席キャンプ状態の光景を見て目を瞬き。
「クレスさん…? へー。冒険者…わたしもなの、名前はティアフェル。冒険者で……――ごっほぅ!! 思い出したヘルハウンドオォォォォ!!! あれは?! あいつは?! どこ?! どこに…?!」
前半は差し出された紅茶をありがとーとほのぼの笑いながら両手で包み込むようにして受け取って、早速一口口をつけたところで、突如失神前の出来事を想起させ、紅茶を全力で噴き出しながら叫んだ。リアクションが突然過ぎて心臓に悪いようなビックリ箱のような迷惑な女である。
「いや、ヘルどうなったん?! ねえ!! いないの?! 大丈夫なの…?!
ッハ! もしやあれは――夢? 夢なの?! 夢だったの?! だったらいいなそうであって!!」
ヘルハウンドのことを思い出すなり喧しくなる女。質問に答える余裕なく矢継ぎ早に、目をくわ、と開きながら問いただしながら妄想も織り交ぜた。
■クレス・ローベルク > 男が紅茶を淹れたのは、単純に目覚めにいきなり見知らぬ男が近くにいるという恐怖を緩和するためである。
男の中では、それなりに紳士的な対応……であるからにして、まさか突如として、それが顔に吹き付けられるとは思っていなかった。
「いや、お、落ち着いて。気持ちはわかるけど、今一番怖いのは紅茶を吹き出しながら叫んでる君の方だから。ついでに言うと今襲われたのをソッコで夢扱いできる君の心臓も怖いけどさ!」
どうどうと手で制しながら、横たわっているヘルハウンドの方を指差す。
剣を既に抜いてあるから、見た目普通の死体に見えるが、実際は尻から差し込まれて口から剣を飛び出させた、世にも可哀想なヘルハウンドが成れの果てである。
「……まあ、アレだよ。夢ではないけど、現実に君を襲う事はもうないさ
ちなみに、そうしたのは俺だから、お礼を言うのが良いんじゃないかな?」
などと、恩着せがましく要求する男。
こっちはこっちで、それなりに良い心臓をしているのであった。
■ティアフェル > 瞬間的に蘇ってきた総毛立つような恐怖に錯乱して、彼のお見事な神対応に対して紅茶かけるっていうあり得ない粗相をしでかしつつ、表情は引き攣ってみるみる半泣きになって、相当恐ろしいものだったのだと顔を見て書いてある程度に分かりやすい。
「落ち着け?! 無理でしょ! そんなことできる訳ないでしょ! ヘルハウンドに襲われたのよ…?! 死ぬでしょ死んだでしょ! え?! わたし死んだのかな…?!」
彼からして見ればヘルハウンドより余程怖い存在らしいが、ほぼほぼその言葉は響いていない。何か明後日な妄想に陥って、死人がそんな元気な訳ねえだろと突っ込まれそうな程騒々しかった訳だが、遺体となって転がっているヘルハウンドを指差されて。
「ひっ…?!」
一瞬、大きく震えあがって目を見開きそちらを見て後ずさり・紅茶を一層零し。
「し、死んで……るの…? 本当に……?
あ、あなたが……やったの……?」
それから、ぴくりとも動かずさらにその黒い身体の下に赤黒い血だまりができているのに気づけば恐る恐る見つめて、ヘルハウンド屠殺の自供を聞けば。目を瞬き、ゆっくりとそれが事実だと認識し終われば――、
「偉い! 天才! 神!
ありがとございますありがとうございますありがとうございますー!!!」
紅茶のカップを置いて、即座に彼の前にひれ伏した。拝み倒さんばかりの勢いで怒涛の如くお礼を連発し。
■クレス・ローベルク > 無理もないとは思うが、しかし此処まで大々的に騒いでおいて、今更自分を死んだかもしれないと思うとは、余程の錯乱具合である。
とはいえ、それもヘルハウンドの死体を確認すれば、流石に青ざめ、ショックで冷静さを……取り戻していなかった。逆ベクトルに全力で錯乱していた。
「う、うん。そこまでひたむきにお礼を言われるとは思っていなかったな。
一端落ち着こう、っていうか立ち上がろう。女の子を跪かせてお礼言わせてるって、マジの神様っぽくなっちゃってるから」
取り敢えず立ち上がってもらって、それから話をする事にする。
良い子なんだろうし、見ていて楽しいけど、振り回されるなあと思いつつ、自分の分の紅茶を一啜りし、
「取り敢えず、冒険者……なんだっけ。
ってことは、一応自衛能力はあると思うけど……ぶっちゃけ、一人で帰れそう?」
話の流れからすると唐突なようではあるが、しかし一応聞いておかねばならない事ではあった。
もし此処で帰れそうにないと返答が来た場合、護衛なりなんなりの要が生まれてくる。
……まあ、能力的にはともかく、精神的には全く問題なく家路につけそうではあるのだが。何かこの娘、しぶとそう。
■ティアフェル > ヘルハウンド死んでる…! ヘルハウンド殺されてる…! この人ヘルハウンド殺したー!とそこまで理解したら、もう即座に信仰対象に株を爆上げである。
「いやもう、神に等しいですからぁー! わたしの乏しい語彙であなた様を充分に称えられないのが口惜しいぐらいですからぁー! とにかくヘルハウンド殺したとか、グッジョブ過ぎですからぁー!」
進んで平伏してもう、崇め奉る勢いで大仰に称えまくっていたが、神から立ち上がるように云われたので取り敢えず、直立しました。
「ハイッ。取り敢えず冒険者です。クレス様に比べればもうそれはしがないですが!
っぅ……ヘルハウンド、もう出ないなら……」
さらっと様付け。あれっきりで遭遇終了ならば、他のモンスターであればボコってやるなり逃げてやるなりなんとでも対処できる。ヘルの恐怖が再来してきていくらか震えあがり。
「ちなみに、ヘルハウンド討伐の依頼できた、とかなの…?」
それならば、ヘルハウンドに対する情報をいくらか持っているはずである。あまりにいいタイミングで助けにきてくれたもので、もしや、と伺い。
■クレス・ローベルク > 取り敢えず、素直に立ち上がってくれてほっとする。
女を犯しても罪悪感が湧いたりはしないのだが、此処まで思い切り傅かれてしまったら恐怖を感じる。
「いや、そこまで謙らなくていいから……あー、まあ心配はないと思うけど……」
夜の十字路、月のない夜。
街道の様な人気のある場所にやってくるのは、こういう特定条件が満ちた時であり、そうでないならそうそう出ないはずである。
とはいえ、習性として出てこないと言うだけで、偶然で出てくる可能性までは否定できないが故に言葉尻はどうしても濁るが。
「うん、まあそんなとこ。
目撃証言があったから、一応様子見を兼ねて討伐をね」
そういうの得意なんだ、と付け加えつつ、しかし何故そんな事を聞くのか、と心のなかで首をかしげる。
会話の枕として、という訳でもなさそうだが、さりとて先程襲われた魔物の話など、わざわざ持ち出すだろうか。
……まあ、さっきのあの過剰反応からして、実はヘルハウンドと因縁があってもおかしくない。むしろ、無かった方があの反応は怖いぐらいだが。
■ティアフェル > 崇める行為がまさか恐怖心すら与えてしまっていることなどさっぱり気づかずに、拗れた感謝の意を表明していたが。
「いや、ついノリで……。
と、思う? 思う…? 思うじゃ怖い! 泣きそうになる!」
断定はできないのはそれは当然のことなのだろうが、犬関係に関しては完全にビビリでヘタレで迷惑な女は、駄々を捏ねるように云い出した。万が一でたら死ぬ!と力強く。
「ほうほう、ギルドで討伐に派遣要請された、とそういう。
で…?! その目撃証言とやらはどんなの? ぜひそこのところく・わ・し・く!
複数いたとか!? そういう!」
まだいたら、また遭遇したら一人でお家に帰れない! そうなったら絶対に一緒に帰ってもらう。正式に依頼としてお金を払ってでも絶対断固そうしてもらうのだ!とずずい、とそちらに穏やかならぬ形相で迫りながら問い詰めた。犬恐怖症女。