2020/03/01 のログ
■ティアフェル > 「エズラさん……!」
優勢に見えたが、オーガが滅茶苦茶な動きを見せると、押されているように映って思わず悲鳴のように声を上げ。
術式を展開させようかと判断し始めたが、その前には。
振動を感じるかと思うほど重たい衝突音が低く鳴り渡る。
大樹が倒れたかと錯覚するような振動が空間を渡り。そして土煙が晴れた箇所から現れたオーガか、巨躯をずしん…!と成す術なく投げ出していて。
「ちょ…! 大丈夫?! どこが――ってか、全身打った?
サービスして全回復いっとくよー!」
部分的な負傷ではないようだ。ポーションを飲ませる手もあったが、先ほど一本いったところ。連続使用はあまりよくはない。
しゃらくさい、全回復だ、と刃の突き立ったオーガの下から這いずってきた彼に駆け寄り屈みこんで、スタッフを身体の中心辺りに翳し詠唱を始めた。
『一切の痛みを取り去り給え・余さず傷を塞ぎ給え・総てを癒す大いなる光・ヒール』
紡ぎ出した術式が淡い光となり全身を包み込み、柔らかな暖かさとともに癒していき全回復状態へと――
■エズラ > 「おお~……ふぅ~……――」
オーガの突進を敢えて真正面で――ただし、大樹に突っ込ませることで勢いを幾分か削ぎ――受け止め様、急所目がけて切っ先を突き立てるという諸刃の剣。
その企ては見事に功を奏したらしい――何よりも。
「ティアの回復を期待してなきゃ、危ないとこだった――」
呪文の効果が全身をめぐり、痛みが消え、力が戻ってくる感覚。
指先、腕、肩、銅に首――回復呪文の効果が完全に行き渡ったのを確認するように自身の身体の各部を動かし。
「ふ~っ……助かったぜ、やれやれだ――」
よっこいせ、とオーガの身体から愛剣を回収し、相手が纏っているぼろ布で鮮血を拭き取って――
■ティアフェル > 物凄いガチンコを見た。これがガチバトルってやつですよ――と感心したのは総てが終わってから。見てる時は気が気じゃなかった。もしも倒れようもんなら何も考えず走り寄って速攻ヒールしてたかも知れない。
狙ってもなかなか難しい場所だが鮮やかに真っ向から頸動脈を切り裂いた度胸と剣技に舌を巻いた。
「んー、それなら良かった。本来は前衛さんのサポートをする立場ですから。
役に立てたなら本望」
施術も問題なく効果を発揮して、受けた衝撃や打撃を癒してくれたようだ。安堵の表情を浮かべると剣を回収した彼に片手を挙げて、掌を打ち合わせてハイタッチしようと。
「おっつかれー! やったね! さー、アイテム回収しよー!
オーガの角、牙、骨、爪、髪……確か内臓もどれか薬の材料になったよね」
オーガ自身がドロップアイテムとなる。強力な魔物の部位はそこそこいい値が付くのでほくほくして。解体しよーぜと早速血なまぐさい。
■エズラ > タッチを交わし、剣を納める。
早速冒険者モードを発揮する姿にやれやれと肩をすくめ。
「……ま、確かに思わぬ獲物だぜこいつはよ……――」
はぐれオーガがこのあたりに出没することは珍しい――
彼女についてきな、と告げると、まだ強壮薬の効果が残っているうち、ズルズルとオーガの遺骸を引きずってテントのそばの解体場へ。
そこで手際よく回収できるだけの素材を剥ぎ取ることになった。
彼女の望み通り、魔法薬の材料になる器官なども慣れた様子で簡単な説明を加えつつ解体していくあたり、狩猟の知恵は確かなようであり――
「よし……こんだけやりゃ十分だろ――」
粗方の作業を終え、残った遺骸は山の獣が如何様にも処理してくれるだろう。
「ほら、構わねぇから全部持っていけ――」
アイテムとして使える箇所は、彼女に譲ることにする――
■ティアフェル > パン、と掌同士で小気味良い音を立てるとどこか晴れやかに笑って――そんなハレバレとした爽やかな笑みを浮かべながら――やることはTHE猟奇。
「本当に剣一本で倒しちゃうんだもん、大したもんだね。
すごい、つよい、えらい!
――よいしょよいしょ……」
手放しで称えつつ、オーガの骸を引きずっていくのを一応足など持って引っ張りながら多少手伝う。……邪魔だったかも知れない。
「うっはー、上手。獣だけじゃなくて魔物の解体までお手の物なんだね。感心感心。
もうオーガがオーガの残骸に成り果てました」
見る見るうちに魔物の遺骸だろうが躊躇せず手際よく捌いていく様を、屈んで頬杖ついて「うわ、えぐ、うわ、うわ、やば……」と時々口許抑えつつも、案外平気で眺めて。
残った使い道のない肉は獣が食むか土に還るか。
「え? いいの? さすがに全取りは悪いな……。
じゃ、少ないけど手持ちでいくらか置いてくよ」
ひょこ、とアホ毛を揺らしつつ、牙や角などを纏めながら代案を。
■エズラ > 「今のオレには特に用のねぇ獲物だから別に気にしなくっていいんだがよ――ま、そこまで言うならいくらか手間賃としてもらっとくかな」
場所を先日彼女を招待したテントの前に移し。
通常この類の魔物討伐を成し遂げた際に提示されるギルドからの褒賞金の半分――より少し少なめに見積もった額を。
「――これで取引成立、ってことにしておこうぜ――もし安いって思うなら――ま、このオレ様の気前の良いとこに惚れてくれてもいいんだぜ」
くっくっ、と冗談半分でそう告げる。
今日はもう狩りに出ることもできそうにないし、罠の確認も一通り終えてしまっているが――ある意味、狩猟より余程身体の鈍りを解消できた。
■ティアフェル > 「そうは云ってもね……。ほぼほぼエズラさんの手柄だし?
うん、ちょっと全額は今手持ちがないけど、とりあえず半額ね。
残りは後日で」
前も来た野営地の前で軽く精算を済ませ。
かなりこっちに偏った分け前には申し訳なさが先に立ったが。
お金には困ってないのかと小首を傾げ。
「男前手当ね。りょーかい。
じゃ、そこには惚れとく。はい追加料金」
冗談には冗談で応じる、肩を揺らしながら肯いて、隣によると首を伸ばして軽くその頬に口づけしておこう。
そして、オーガの死骸から回収したアイテムをまとめた袋の口をしっかりと縛って。
「んー! 今日は思わぬ収穫だったー!」
すっきり爽快な表情で伸びをして、野良犬には半泣きで逃げ惑うがオーガの屠殺風景は余裕で見た上がっちり死骸からアイテム回収するヒーラーは今日は災い転じて吉な日になったと満足げ。
■エズラ > 頬に口付けを受け、うむうむ、と満足げに頷いて。
「それにしても、本当にオーガと一戦交えることになるとは思わなかったがよ――確かにたいした度胸だったぜ」
並の若い冒険者ならば、出くわしただけで足がすくんでもおかしくはない。
そうなれば一撃の下、屠られてしまう――
しかし彼女は冷静に状況を分析し、的確に前衛職をフォローし、素早い回復までやってのけた――
「ティアとなら、今後も良い仕事ができそうだ――ほら、これでも食うか?」
一仕事終えて小腹が減り――放ってよこすのは干し肉の欠片。
先日仕留めた獲物を薫製にしたものらしい――硬いが、仄かな燻煙の香りがあり、食欲は増進されるであろう――
■ティアフェル > 満足げに肯く様子に追加料金、こんなもんで良かったらしい、安く上がって良かったなあと暢気に安堵し。
「うん、やっぱ――
野 良 犬 よ り マ シ だ っ た !
とは云え、エズラさんがいたからだったけどさ」
野良犬に吠えられて半泣きだったがオーガには涙ひとつ零さなかった。
しかし、一人ではこうはいかなかっただろう。
戦いぶりを見るのは初めてだったが本能的に――『この人ヤれる。オーガより強い!』と感じたからだった。
前衛が堅ければ後衛は落ち着いていられる。
「っふふ。だね。エズラさんだったらやりやすいわ。――ありがと。いただくー」
投げ渡された干し肉をキャッチして、もしゃっと歯で噛み締めると香ばしい燻製の香りをまとった肉の旨味が広がって目を細め。
「いやー。うん。でも、戦いぶりもカッコよかったし気前はいいし、イイ男だよねえ」
おいしい干し肉でお腹も朽ちると機嫌も良くなって心のままの高評価を口にした。
イケてた。とパチパチ拍手も加え。
■エズラ > 「気付いてくれて嬉しいぜ、このオレの百戦錬磨なとこによ――」
話を続けながら男はテントのそばに吊ってあった獣の腿肉を一房手に取って、ナイフで少しずつ削り取っていく。
そしてふと、前日の会話を思い出し――
「ティア、そこの野草を適当に切っといてくれよ――あとそこの――」
調理を始めるらしい――その際、彼女にも手伝ってもらおうと。
自分はと言えば、火をおこし、鍋を用意し――どうやら簡単な汁物を作ろうというつもりである。
■ティアフェル > 「ええ、ええ、しかと認識いたしましたことよ。
確かに鬼強い」
彼の発言はいくらか軽くも響いたが、まったくもって異論はない。うむうむ首肯して。
そして徐に調理を開始する彼から声を掛けられて、
「あ、はぁい。
ん、とこれとこれかな。スープにするの? じゃ、隠し味にこれも……」
食べられる野草を見分けながら短剣を取り出して採取して。これっくらいかなーと考えながら鍋へと運び。
「水とか汲み置きある? 軽く洗う。
――もうちょい強火かなー?」
熾された火に風を送ったりしながらお手伝い。
こんなところでも連携をキメれば早めに調理は済むだろう。
■エズラ > 肉の下処理を終える頃には、火の具合も含め、適切な準備がなされていた。
どうやらかなり得意分野であるらしい――
「よしよし、そんじゃあとは――」
くみ置きの水と野草類、肉などを放り込み、程なくして簡単な肉入りスープが完成する。
味付けは最小限だが、彼女の追加した野草のおかげで良い塩梅に臭みも抜け、あっさりとしながらも素材の味が染みた、なかなかのできばえとなった――
「どら……うむぉ、こりゃいい――」
少しの味見の後、器に具材とスープを盛りつけ、彼女へ。
同じように自分の方もにわか仕立てスープを味わうことに――
■ティアフェル > 戦闘後に料理でもアシストしますヒーラー。
二人で動くと、二倍速く仕上がったようで。
こなれた様子で料理する様子に、ちゃんと作ってるんだなあ、と普段からやってる感が垣間見えて改めて感心。
野草はしっかり灰汁を取って肉と煮込むと少し野性味はあるが食べやすくいい出汁になって、煮えてくると食欲をそそるいい香りが立ち込め。
くぅぅー。
やっぱりお腹が鳴ってしまった。
「わあ、おいしそう。
ありがとう、いただきまーす」
上機嫌でスープの注がれた器を両手で包むようにして受け取り、今日は自分が丸太に座ることにして、程よい味付けのされた手軽だが旨味の深いスープに目を細め。
「っはぁー、おいし。生き返るー。
働いた後のごはんはやっぱり格別だね」
幸せそうに啜って。早々一杯飲み干してしまうと、お代わりよろし?と聞きつつもう自分でよそう態。
■エズラ > 「んむ……こりゃ本当にイケるな、どの野草を使った?」
スープを味わい、ほろほろとした肉を食みながら真剣なまなざしで先ほど彼女が収穫していたあたりを見る。
おかわりを欲する相手には、好きなだけ食え、と合図して。
「料理は得意みてぇだな――さっき貰った強壮薬、アレも良い出来だったぜ――」
純粋な戦闘特化型の効能だったと素直に賞賛。
今も後遺症や副作用のようなものはない――素人が、或いは悪意ある者が調合すれば、服用した者を操ることだってできてしまうのが魔法薬である。
「昔の仲間にも調合の上手い奴がいたがよ、ティアはその若さにしちゃ良い腕だ――」
薬屋の方が儲かるかも知れないぜ、と。
■ティアフェル > 「えっとね、この茎が四角い奴とそこの摘むと根が黄色い奴と――後、この小さくて丸い葉の奴を少ーし。ねえねえ、これって何の肉?」
遠慮なくお代わりをしながら採取した場所に自生していた野草を指差して答え。ついでに具の肉を噛み締めながら尋ね。
やっぱ料理上手だねー。と程よい煮込み加減に味付けに舌つづみを打ちながら。
「うん。小さい頃からやってたからね。
あ、そう? 良かった。稀に合わない人もいるからちょっと心配だったけど大丈夫だったみたいね」
どうしても個人差が出てしまうこともある。誉められて嬉しそうに破顔してそれから服用後も問題なさそうな彼に様子を観察してひとつ肯き。
「ふふ。それは嬉しいな。頑張って勉強してるからね。
じゃ、冒険者として引退を考える頃になったら薬屋でも開こうかな。
誉めてもらって嬉しいから、回復ポーションひとつあげるよ。今日は分け前を沢山いただいたことだしね」
と、スープを飲み終わると、バッグから青い液体の入った小瓶を取り出して渡そう。
そして、かなり暮れてしまった周囲を見回して立ち上がった。
「――さて、とごちそう様。じゃあわたし、そろそろ戻るね。
今日はありがとうー」
■エズラ > 肉はシカのものだと説きつつ、彼女の指す野草を目で追い、記憶する。
いくつかは煎じ薬に使うものと理解していたものもあり、野外料理に利する効果があるとは、男も知らぬことであった。
「ははぁ、なるほどな――こりゃ使えるぜ。お、そいつはありがたい――」
手渡されたポーションの澄んだブルーを少し眺めて、礼を。
そろそろ発つという相手を見送ろうと立ち上がり、街の方向は分かるよな――と以前と同様の方を指し。
「じゃあ、気を付けてな――おっと、別れの挨拶を頼むぜ?」
ムフフ、と笑みを浮かべ、図々しくも相手の方へ頬を差し出すように身をかがめ――
■ティアフェル > 鹿肉と聞いて、処理が上手なのか余り臭くなかった、と感心し。
おいしいスープでお腹一杯になって適度に披露していて……このままじゃ寝てしまう。
その前に立ち上がろう。
「できれば、それを使う必要ないくらい怪我はしないように祈ってるよ。
……と云っても職業柄難しいと思うけど。
うん、ありがと。お世話様――はいはい、ここでいーのね」
街の方向を示されて肯き、別れ際手を振ったところで、頬を差し出されて微苦笑気味に了承して頬に唇をそっと触れさせて。
「じゃあ、エズラさん。またねー」
笑顔で手を振ると今度は野犬追っかけ回されないように重々注意しながら反れていた街道へ戻り、街へと帰って行った。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からティアフェルさんが去りました。
■エズラ > 「うむ、そんじゃな――」
今日は、彼女の意外な一面を目の当たりにすることもでき、また適度に生死の境もさまよい、なんとも波乱に富んだ一日だった――そんなことを反芻しながら。
去りゆく元気印の娘を見送って、再び食事に戻ることにする――
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からエズラさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にエレイさんが現れました。
■エレイ > 「Zzzz……」
まだ日の高い時間帯。
街道脇の草原で、草に埋もれるようにして仰向けに寝そべっている金髪の男が一人。
両手を組んで枕にしながら、晴天の空の下でマヌケな寝顔を晒して絶賛爆睡中だった。
時々吹き抜けてさわさわと草を揺らす風に擽られたように、ムニャムニャと寝言めいた
声を漏らしたりしつつ。
なお男の寝るその近くでは、男が連れたものらしき、馬具を装備した平均的な印象の鹿毛の馬が一匹佇んでいる。
時折草を食んだり、ゆったりと歩いたりするものの男から大きく離れることなく一定の距離を保ち続けていて。
のんきに眠る男と合わせて、ごくごく平和な光景を形成していた。
とはいえ、男の姿が草に埋もれていることから、遠目から見れば馬が何故か単独で佇んでいるようにしか見えないかもしれないが。
■エレイ > そうして眠りこけていた男は、空が赤くなり始めた頃に目を覚まし。
馬に促され、大あくびしながら鞍にまたがると、悠然と王都への帰途について──
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からエレイさんが去りました。