2020/02/05 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にリムリアさんが現れました。
■リムリア > 夜の闇に沈み込んだ街の方角から、小さな灯りがゆっくりと近づいてくる。
その数はふたつ。どうやら男の持つカンテラの灯りを目印に近づいてくるらしく。
ある程度まで近づいてきたところで、合図のように掲げられた明かりが大きく揺れる。
「お疲れ様です。交代の時間ですよ。
温かいスープとパンを差し入れに持ってきました。」
灯りの主は、冒険者ギルドからの交代要員だった。
その隣にはギルドの制服に身を包んだ少女の姿。
ぺこりと頭を下げた少女は、手にしていた包みを小さく掲げて見せる。
「朝まではまだまだ時間がありますし、風邪ひかないように気を付けてくださいね。」
座り込んでいた男に、まずは温まってください、と湯気の漂うスープを椀に注いで差し出し。
次いで具のたっぷりと挟まったサンドイッチを手渡して。
■クレス・ローベルク > 足音が聞こえ、男は座りながらも警戒を強め、剣を握った。
カンテラの灯りの数は二つ。足音の重さから、武装した男性一名と子供のものと類推する。
さて、敵か味方かと思っている間に、あちらから声をかけられた。
「ああ、そうか。もうそんな時間か。
えーと、君はギルド員の子かな。ありがとね」
と、先程まで警戒していた事など感じさせない声色で言うと、差し出されたスープを啜り、サンドイッチを食む。
この寒さに温かい物は、胃にも心にも沁みる。
美味しいなあと気の抜けた声で言うと、取り敢えず冒険者の方に「お疲れ様、頑張って」と声をかけると、
「んで、交代って事は何処かキャンプでも立ててるのかな。
えーと……」
と、そこでちらりと胸元を見る。
エロい意味ではない。単純に名札がないかどうか確認したのだ。
■リムリア > 夜通しの見張り。
しかもこんな寒い季節ともなれば、多少の割り増しがあったとて依頼の受け手はあまりいない。
その辺りを考慮しての夜食の配給だった。
そこに少女が駆り出されたのは、ひとえに冒険者のやる気を出させるためといったギルド側の思惑もあったりするのだけれど。
「喜んでもらえてよかったです。
えぇ、ギルドで受付をしているリムリアといいます。
キャンプというほどちゃんとしたものじゃないですけれど、拠点は作ってあります。
仮眠も一応はできるようになってますから……行かれますか?」
再び頭を下げる少女の胸元には、残念ながら名札はない。
もうひとつ付け加えるなら、その大きさもどちらかと言えば残念な枠に入るかもしれない。
一応、依頼内容には警備だけでなく調査も含まれているから、休憩場所でも火を焚くようなことはしていない。
不審な影というのが警戒して姿を見せなくなれば、それはそれで根本解決には至らない。
国絡みのそんな厄介な依頼だから、休憩所の方も目立たないように風除けをしただけの代物だった。
■クレス・ローベルク > こんな年頃の娘をわざわざ迎えに行かせる様な時点で、やっぱり手を挙げる冒険者は少ないのだなあというのは何となく解る。
そういう意味では、この依頼で一番苦労しているのは、この少女だろう。
まあ、それは彼女の仕事でもあるから、それに対して憐れむ様な事はしないが、
「仮眠は必要ないけど、流石に精神的にキツいし、ちょっと休みたいかな。
うん、案内してもらおうかな。リムリアちゃん」
その気になれば、一人で夜明けどころか明日の夜までフルパフォーマンス立っていられる程度の訓練は受けているが、できるからといってやりたい訳ではない。寧ろ、積極的に遠慮したいぐらいだ。
彼女の案内で、ひとまず休憩所までついていくことにしたのだった。
■リムリア > 「分かりました。
これだけ寒いと、ほんと温かいものが恋しくなりますよね。」
案内を求められると、頷きをひとつ。
こちらです、と手を向けてから、その方向へと歩き出すだろう。
互いが持つカンテラの灯り以外は、真っ暗闇の中。
足元に注意しないと、いくら整備された街道とは言え、簡単に躓いてしまいそうで。
「えーっと……ローベルクさんは、今夜だけでしたっけ?
物騒ですよね、王都のすぐ傍で不審な影とか。
……何事もなければいいんですけど。」
カンテラの灯りを心持ち下に翳して、慎重に歩く。
そうしながらも、一応、時折周囲に目を向けるのは、身の安全ということもあるけれど、依頼のことが頭にあるからだろう。
魔物や野犬の類でも困ったものだけれど、野盗だったりすると質が悪い。
王都に住んでいる身としては、早く解決して欲しいのが切実なところでもあり。
しばらく歩けば、木々の根元にタープを張っただけの、本当に簡易な寝床が闇の中に見えてくる。
■クレス・ローベルク > リムリアの斜め後ろを歩く男。
こちらは基本的に周囲に目を向けては居ない――代わりに、聴覚を研ぎ澄ましている。
夜闇の中は、目よりも耳が意味を持つ世界だ。
だが、彼女がそうやって回りを見てくれるのは有り難くもある。
小さいが、仲間が居るという事は、精神的に男を癒やしてくれる。
「……と」
そこで、声をかけられて、集中力を一部会話に回すことにする。
にこり、と笑みを作り、出来るだけ穏やかな声を心がけ、
「うん。契約ではそうだね。
まあ、何か事件性のある証拠が見つかったら、追加依頼を請けるかもしれないけど……」
と、そこで男は彼女が不安げにしているのが解った。
男としては、『まず何事も無いだろう』と考えているが、彼女は自衛の手段もなく、しかも生活圏内のことなのだ。
万一の確率を考えたくもなるだろう。
「……まあ、そこまで心配しなくても大丈夫だと思うよ。
仮に魔物、盗賊、どっちの場合でも、俺一人を襲わない時点で縄張りは遠いか、或いはそんなに強くないかのどっちかだ」
かなり雑な推測ではあるが、それでも7割程度の信頼度はある推測だ。
彼女を安心させる為の説得だと考えれば、誠実な方だろう。
ともあれ、タープを見つけると、「ああ、動物に荒らされてないで良かった」と安堵し、取り敢えず毛布にくるまる事にした。
「俺は暫く、此処に居るけど、良ければお話につきあってくれないかな?ほら、暗いの怖いし」
と、ちょっとイタズラっぽい笑みで誘ってみる。
せっかくの美少女との会話だし、もう少し楽しんでもバチは当たらないだろう、と。
■リムリア > 冒険者としても、ギルド職員としても、まだまだ駆け出しの少女
ようやく採取系の目利きはできるようになってきたとはいえ、荒事の方は経験不足
だからというわけではないけれど、男の説明に感心したように声を上げ。
「そういうものなんですね……、だったら良かったです。
国から依頼が掛かっちゃったから、大事なのかなって思っちゃいました。」
大丈夫だろうという男の推測と、その根拠に安堵したように表情を綻ばせる。
だからと言って、夜道の、しかも街の外だから周辺への注意を怠るようなことはないのだけれど。
とはいえ、足取りが幾分軽くなったのも事実で。
「火が焚けると良いんですけど……
はい、構いませんよ。というか、ひとりで出歩くなんて出来ませんから、元々そのつもりです。
なので、こちらからお願いします。」
相手の笑みに合わせて、仮眠されちゃうと心細いんですよねー、とこちらも笑って見せる。
仮眠中の見張りも仕事のうちだったりするから、職務に真面目なギルド職員としては、上司に聞かせられない台詞だったりするのだけれど。
■クレス・ローベルク > 「それは良かった。えーと、後二時間ぐらいか。それまでゆっくり話そう」
そう言うと、取り敢えず手で適当に座る場所を示す。
まあ、当然椅子なんて気の利いたものはないので、敷物の上で座ってるだけだが。
それでも、土の上よりは居心地は良い。
「えーと、そうだな。多分もう聞いてるだろうけど、一応自己紹介。
剣闘士兼冒険者のクレス・ローベルクだ。よろしく」
と言って、手を差し出す。
一見綺麗な手ではあるが、握ってみると皮膚が固いのが解るだろうか。
「今回は、随分と君の方にお世話になってる。
でも、君体力とか大丈夫かい?俺はまあ、そういう訓練を受けてるけど」
と、少し気遣ってみる。
実際、彼女はよくやっていると思うが、何分今回は長丁場の仕事だ。
見た目からだとそこまで鍛えているようにも見えなかったのもあり、少し気をかけたほうが良いのだろうかと。
■リムリア > 寝床用にと張られたタープは、それでも夜露を凌ぐ役割は果たせるだろう。
その下に敷かれた厚めの布地の上に座り込む。
さほど広くはないから、男と隣り合わせになる形で。
「剣闘士…?
はい、改めまして。ギルド職員のリムリア・シュリュッセルです。
よろしくお願いしますね。」
差し出された手を取ると、軽く握り返し。
それはやっぱり男性のそれで。大きな手は力強く感じられ。
「私も一応、冒険者なんですよ。
まだ駆け出しなんですけど。なので一晩くらいなら、どうにか。
ちなみに明日はお休みなので、お心配なく!」
お気遣いありがとうございます、と。
やや大げさなくらいに元気よく返事する。
それでも、それなりに疲れも溜まっているようで、解すように足を延ばしており。
「剣闘士さんってことは、闘技場とかに出たりされるんですか?」
キンと冷え込む寒い季節。
虫の声も聞こえない中で、内容だけはほのぼのとした会話が深夜まで続けられ――
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からリムリアさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からクレス・ローベルクさんが去りました。