2019/07/15 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にシスター・マルレーンさんが現れました。
シスター・マルレーン > 「はっはっは」

はっはっは。 シスターは笑う。
遠い目をして。
この世の悲しみを全て背負った目をして笑う。

「はっはっは」

大きく笑う。
笑いながらゆっくりと王都に向かって歩を進める。
ゆっくり、ゆっくり、一歩一歩。

あ、別に壊れてるわけではありませんよ。

シスター・マルレーン > 遡ること数時間前。

彼女は困っている商人を見事に救ったのだ。
荷馬車の車輪が地面にできた穴にはまって動けなくなったところを狼に狙われ。
このままでは、というところに華麗に参上。

ばったばったととびかかる狼をなぎ倒し。
更にその後に馬車を押して車輪を穴から救出。
壊れていたそこの修理まで手伝って。

まさに「なんでもやってきた」彼女だからできる様々なスキルの集大成。
数え切れない感謝の言葉を受け、さっそうと背中を向けて。

その穴に足取られて転んで足くじいた。

シスター・マルレーン > 「いだい……」

痛い。
商人の手前、何事も無いような顔で起き上がって。
ころころと可愛らしく笑って歩き出したのだけれど。 本当は超痛い。
ああもう、これが街道でよかった。 遺跡だったら死んでるぞ私。

「もー。なんで私は一瞬で治すとかできないのかしら。」

彼女の力は、ゆったりとした回復強化。
一晩休めば、とか、そういうたぐいのもの。
今そこでくじいた足が治るわけでもないのだ。

ずり、ずりと片足を引きずりながら、棍を杖替わりに王都を目指す。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にノウンさんが現れました。
シスター・マルレーン > ここで狼が来ても……。まあ、歩かなくても戦えるから何とかなる。
一番困るのはこの状況で誰かが遠くから攻撃してくること。
まあ、そんなことは無いでしょうけど。

「………後はあれですね、教会関係者に見られるのは避けたいところですけど。」

戦いの結果の名誉の負傷ってことにしとけば大丈夫でしょうか。
名誉とはいったい。


「……休憩、休憩……」

街道傍の木に、まるでよろめくように転がって座り込んで。
青い顔で、ぁー………とうめく。

とりあえず修道服捲りあげて、足首を出してさすっておこう。

ノウン > 隣待ちから出稼ぎに出て数時間。
商売は何事もなく順調に進んだようで中身のやや軽くなった麻袋と重たくなった財布を身に着けてゆく道のり。
急ぐ理由もないのでゆっくりと進む足は王都へと。
と言っても向かう理由は薬を売る為ではなく研究に使う道具や薬品を仕入れる為であるが。

「…?」

顔を覆う幕を揺らしながら歩いていると木陰に誰かが座り込んでいるのを見かけて。
街へと向かう道中に見える人影としたら商人か何かだろうか。
そう思って気に留めずにいようかと思っていたが、見えてきたのはどうやら修道女のようで。
僅かながらの興味本位から一歩一歩修道女らしき彼女へと歩んでみる。

「もし、そこのシスター。何かお困りでしょうか?」
まだ彼女の事情までは知らなかったが、ちょっぴり商売の匂いを感じたのは少しガメつくなった証拠だろうか

シスター・マルレーン > 「………あら。」

がさり、とやってくる相手を一目見て。
その上でもう一度眺めて、微笑む。

「休憩中の礼拝堂にようこそ。
 何か相談や懺悔があれば聞きますよ。なーんて。」

冷や汗をかきながらも、それでも微笑みながら会話をさらりと返して。
起き上がろうとはしないまま、足首をさする手を止める。

冒険者稼業が長い彼女は、とっても……。 そう、とっても警戒心が強いのだ。
とはいえ、相手に敵意が無いと分かれば、少しだけ苦笑をして。

「……いやー、ドジを踏んじゃって、足首を捻ってしまったんですよね。
 まあ、休み休み王都に戻ろうかな、といったところです。」

あっはっは、と明るく笑いながら、小さく吐息。
顔色はあまりよろしくは無い。

ノウン > 「有難い申し出ですが、只今は懺悔する内容はないもので…。」

初対面の、それも見慣れぬ恰好をした者に話しかけられて警戒しない者などいないだろうとは思っていたが、どうやら敵意がないことは伝わったみたいで。
一歩歩み寄って接触を試みようとするが、彼女なりの冗談も人付き合いに疎い黒衣の少女はどうやら真に受けてしまったようで。
淡々とした調子でどこかズレた返事を返すとさする足元の理由に嗚呼、と納得したような声を出してみて。

「…どれ、少し見せて頂けますか?」

一方的にではあるが彼女に了承を取ってみると痛みの患部を改めて見つめる。

「ふむ…。見た様子、骨には異常はなさそうですが、少々腫れが響いているようですね。暫く安静にしていれば大事にはならないとお思いになりますが…痛みに耐えきれないとあれば良い物が御座います。」

薬売りである少女にとって多少の傷や病には心得があるようで。
とは言った物の医者ではないので治療には向かないがと前置きした上で一つの小瓶を取り出すとこれよがしに見せつける。
勿体ぶった言い方と見せ方から商売する気である…。

シスター・マルレーン > 「それは良いことです。
 ただいま当修道院は少しばかり緊急事態でして。」

あっはっは、とそれでも笑い飛ばして、笑顔を向ける。
冗談が通じない? でも自分がその分笑顔になってしまえばそれでいい。
自分で口にして、自分で笑って。そういう空気を作ることには長けた女だ。

「……あ、いえ、大丈夫大丈夫。
 このくらい気合でなんとか…………。」

ぐ、っと力を込めてこぶしを握り、大丈夫です、と笑顔で語る。
語りながらも汗がたらりと落ちる辺り、大丈夫ではないのだろうが。
相手が薬売りだと悟れば、ふむ? と眉を上げて。

相手の顔に関しては、最初にじっと二度見した時に理解したのか、拒絶感やらはあまりない。
まあ、教会でいろんな人相手にしてれば、ええ。

「………それは?」

尋ねる。まあ、間違いないのだろうけれど。
つい先日毒を飲まされた身からすれば、ちょっと体を強張らせて警戒してしまうのも無理はなく。
姿を見せた時よりも僅かに緊張したことが、空気から感じられるかもしれない。

ノウン > 彼女の朗らかな笑みにはて、と少々小首をかしげる。
何か変な事を言ったのだろうか、と最後まで自らの勘違いには気づけていなかった様子。
尤も、そんな事すらも吹き飛ばす彼女の気の良い笑い声に些細なことか、といつから気にならなくなったようで。

「これは説明が遅れました。此方は痛みを一時的に抑える、所謂麻酔の一種に御座います。この付近ですと、王都が一番近いかと思われますのでそちらのお医者様に見せるまでの間効くかとお思いになります。」

手のひらに収まるサイズの小さな瓶。
ゆらゆらと揺れる、やや粘り気の見える黄色い液体は光を反射してキラキラと妖しく光る。

「…正し、」

彼女の警戒心を感じ取ってか薬品の効果を説明すると一息置いてこう語りかけた。

「此方の商品は少々効き目が濃い物でして、使用するとなれば私が直接患部に触れる事となりますが…如何致しますか?」

警戒している相手に対してわざわざ商品と言うからには対価を寄越せと、その上でその傷に触れさせろと言って見せた。
薬に関しての説明に嘘はついてはいないが、果たしてそれを信じれるだろうか。

シスター・マルレーン > 「………なるほど。
 ですが、心配して頂かなくても問題はありません。

 というよりお支払いできる対価が無いんですよね!」

カッ、と目を見開いてめちゃくちゃぽんこつな理由を決め顔で言っておく。
仕事は人一倍こなすも、二重搾取の憂き目を見ているからか、いつも金欠シスターである。
まあ、食うに困るほどではないが。


「………私はシスター・マルレーン。
 王都でシスターをしつつ、冒険者として過ごしています。

 その。

 ………心配して焦って来ていただいたのだと思うのですが。
 やっぱりこう、どこの誰か分からないままというわけにも。

 金額もわかりませんしね!」

やっぱり、クワ、と目を見開いてお金が無いことは強調する。
流石に、どこの誰とも名乗らないまま、いきなり触ろうとするのは警戒を強くするのも止む無しであろう。

金額もわからないし!!(くわっ)

ノウン > 「…申し遅れました、私は普段はしがない薬売りをしているノウンと申します。
毒茸というお店から作った薬を街々に売りに出ているのですが、何分近日は見知った者に薬をお渡しするしかなかった故に、挨拶の遅れた非礼をお許し下さい。」

この時になってようやく自己紹介もしていなかった事に気づいた彼女は嗚呼、と一人納得したように声を出す。
ペコリと小さく頭を下げ、挨拶し直すと共に自らの身分を掲示する。
改めて彼女の方へと視線を移すと、ふむと今度は困ったように思案してみせ。

「此方の商品ですが、本来なら20ゴルド程頂戴したく思いますが…。
これも何かのご縁、シスターのお役に立てるのであれば10ゴルド程でその痛みを和らげたいと思っております。
もしお手元に対価がないのでしたら後日教会に改めてご請求と言ったことも可能ですが…」

彼女の思案することを理解すれば成程と納得いった様子で。
口では彼女を思っているかのように言うものの、こちらも商売とばかりに只で人助けする気はないようで。
淡々と話を進めている最中で少女の腹部から『ぐぅぅぅぅ』と大きな音がしたのはその時であった。

「・・・・・・・・・・・・・・・。」

そういえば昼食を取り損ねていた事を今になって思い出すとピタリと口を閉じてしまう。
情けなくも顔を赤らめた少女はこの時ばかりは顔を覆う幕があってよかったと心から思った。

シスター・マルレーン > 「……なるほど。
 分かりました。そういうことであれば今お支払いをしましょう。」

ええ、本当。
教会に言うのだけはやめてほしい本当やめてください。後で何を言われるかわかったものじゃない。
首をぶるぶる、っと横に震わせれば、すぐに支払うことを決めて。
ええいままよ、マトモな薬であればそれもよし、マトモでなくても自分ならなんとかなるでししょう。
毒耐性のある自分を信じて、人を信じることにする。
人を信じられなくて何がシスターですか、と、不安がる自分を鼓舞して。

「………終わったら、王都で食事でもご一緒しましょうか。
 まあ、私が歩けるようになれば、という話ですけれど。」

微笑みかけながら、ウィンクを一つ。 ぱちん、っと相手に返して。
どうぞ、と足を差し出すことにする。

ノウン > 「…ん、商談…成立、ですね…。」

赤らめた顔で気まずそうにするも、コホンと軽くせきこんで見せると視線を足先へと向ける。
彼女から了承を得れば代金を受け取るよりも先に足先へと目を向け、小瓶から一滴程垂らすと今度は麻袋からペン程の大きさの棒を取り出す。
直接触れない為か、棒で患部へと暫く塗り広げて。

「さて…これで如何でしょうか?」

患部周囲に薬品を広げると、ふっと軽く息を吹きかけてからそっと指で押して見せ。
恐らくはこれで痛みはおろか、触れる感覚すら薄れているはずだがまだ聞いていなければもう少し塗ってみようかとの問であった。

「う…、情けない所をお見せして…。
ですが、是非ともご同伴預かりたいのですが、まずはお医者様に掛かってからです。」

屈託ないウィンクを受ければ思い出したかのようにこっそり赤面して。
照れ隠しのように治療を優先させようとするも、満更ではなかったようで彼女の誘いを有難く思うだろう。

シスター・マルレーン > 「………っと、………」

 なるほど、これは確かに。
 足首を中心にふわふわとした感覚が走って、地面を足でけっている感覚が、非常に"遠い"。

「……知識で知ってはいましたが、不思議な薬効ですね。
 まるで、自分の身体が自分のものでは無いかのよう。

 一時、痛みを誰かに預けてしまったかのような、不思議な感覚ですね。」

ゆったりと声を漏らして感覚を伝えれば、穏やかに微笑み。

「では、お店で代金はお渡ししましょう。
 こちらですよ。」

なんて、笑顔で先導するだろう。
いやー、コケたところから見られなくて良かった、なんて、本当に胸を撫でおろしつつ。

ノウン > 「痛みを預ける…確かに、言いえて妙ですね。
しっかり意思していないと足元が崩れてしまうのでお気をつけて下さい。」

たった一滴で感覚が失う程の薬なのだから、それが非常に効果の強いものであることが伝わっただろうか。
自らが処方したのもあって、慣れぬ感覚を持ったであろう彼女が身を崩したりしないだろうかと心配そうに見守る。
しかしながら悩みの種であった痛みが引いたことを確認すると、とりあえずは安心したみたいで。

「畏まりました。それでは食事の後に頂戴致します。
改めまして私は薬屋「毒茸」、今後ともご贔屓に宜しくお願い致します。」

人見知りであったが、彼女の笑みの前ではそんなことも吹き飛ばす力があったようだ。
やはりこれも何かの縁か、と思う少女は目の前の修道女とはいい関係を結べるだろうとの感触があった。
ところでほっと胸を撫でおろす彼女の安堵とは別に、先導していく姿に「こけたりしないだろうか」とわずかに不安を抱えている少女だった。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からシスター・マルレーンさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からノウンさんが去りました。