2019/03/12 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にジードさんが現れました。
ジード > まれびとの道と呼ばれる街道に差し掛かって少しの場所。
如何にも怪しげな風体の旅人が大きなカバンを片手に街道を歩いていた。
時折カラン、と硬質な物が触れあうような音が手にしたカバンから誰もいない街道に響いていく。

「参った。思った以上に時間がかかる。
 いい素材は手に入ったけど俺の体力と足じゃ割に合わないかもな」

ゾスの村から山賊街道へ、山中へ分け入っての薬の材料探しの帰り道。
出たのはかなり早い時間で実際に探していた時間も大したものではない。
だが旅慣れてるとは言い難い身の上には思った以上にキツい行程だった。
音を響かせることを気にした様子もなくまだ見えぬ王都の方を見る

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にヴィオラさんが現れました。
ジード > 「馬や馬車でもあるなら違うか。いや、しかしそんな頻繁に使う訳でもないのにな」

買う財力がないわけではないがロクに走らせない馬を抱えるのも問題だ。
あまり走ることのない馬は病気になるなどという話も聞いたこともある。
元々薬のこと以外に頓着が薄い方なので面倒見切れる気もしない。
遠くに続く街道の先に目線をやって落胆したように肩を落とし、
近くの岩に休憩とばかりに腰掛けて体を伸ばし。

「はぁ。急ぐ旅でも無し、少し休んでいくか」

ヴィオラ > その背後、木陰の闇からぬるりと這い出す女の姿があった。
眠りを妨げる音の正体を確かめてやろうという心算で、陽の下に姿を晒す。

「旅人か」

独り言のつもりが思ったよりも声が大きくなっていた。
背に声を掛ける形になったが、構うまい。丁度旅人に用があったのだから。
とはいえ旅人然としていない己の姿は奇異に映るだろうな、と。

ジード > 「――お?」

そう、気配を感じるのは得意な方ではない。
だからだろうか現れた人影には声が聞こえるまで気づかなかった様子で、
少々間の抜けた声を上げながら視線を向けると見知らぬ女性が立っているのが見て取れる。
軽く手を上げて挨拶すれば軽い調子で声をかけ。

「ああ、こんにちは。ちょっと遠くまで言った帰りでね、
 旅ってほど大げさなものじゃないけど薬の仕入れをしてたんだ。
 そっちは、散歩っていうにはちと街から遠いけど」

邪魔をしたなら悪かったといい起きながらも興味を隠す様子もなく問い返し。

ヴィオラ > 「……そうか。まだ街は遠いか」

早速知りたいことの一つは知れた。
気だるく長い髪をかき上げながら道の先を一瞥し、また男に視線が戻る。
旅のことは旅人に聞くのが一番だろう、と。

「まあ、散歩のようなものではあるが――王都に用があってな。
 王都へ往くにはこの道で間違いはないか」

途中、誰かの西へという言葉を頼りに馬鹿正直に進み、海にぶち当たったことを思い出す。
旅の一つも満足に出来ない己の身の上のなんと不甲斐ないことか。
邪魔をしたなら、というくだりにはわずかに首を振って返した。

ジード > 「もうちょっと歩くね。一日歩くなんて距離じゃないが、この道を基本ずっと真っ直ぐだ。
 途中いくつか分かれ道はあるけどね」

道中にある村に通じる横道はそれなりにあるものの、
基本は王都に向かっている道だと説明しながらに王都の方向を指差し。

「旅は道連れって言うし、何だったら一緒に行くかい。案内くらいはできるよ。
 しかしその格好あんまり外で歩く格好に見えないけども一体どこから来たんだい?」

そのまま相手に視線を向け直して問いかけるのはやはりその風体に関与した問。
それこそ出くわしたのが酒場か何かなら速攻で口説きに言っている自覚があるからこその興味であった。

ヴィオラ > 「ほう」

思わず感心した吐息が漏れたのは、男の返答がこちらの意を細部まで汲んだものだったからだ。
どうやら己は当たりを引いたらしいとささやかな幸運に内心で笑みを浮かべる。

「うむ、特別に先導を許す。案内せよ。
 わらわは旅慣れておらんでな――旅に相応しい装いというものを知らぬ」

自然と声色が弾んでしまうのをどうして止められよう。
どうやら己は、この旅路にそれなりの不安を感じていたらしいと、今更になって気がついた。
そしてやはりこのドレスは目立つらしい。目の前の男は参考になるだろうかと、上から下まで眺めすかす。

ジード > 「そりゃまた、箱入りなことだね。
 意外とこうやって外出歩くのも楽しいもんじゃあるけど、
 とりあえず動きやすいズボンと肌の露出があまりない格好がいいんじゃないかい?
 そうやってヒラヒラ風になびくと歩きにくいって聞くしな。
 後、パンツルックの女性ってのは個人的に嫌いじゃない。脱がせるのも乙なもんだし」

相手の言動を笑い飛ばして見せながらも、続いて衣装の話になれば軽い調子で応じるも、
サラリと自分の趣味を混ぜてのけたことを隠しもしない。完全にセクハラだ。
男の衣装は随分簡素なものではあるが、自身が言ったように露出が少なく出歩くのには比較的適した格好ではある。
立ち上がって大きく体を伸ばしてから、少しペースを落とし気味に歩き始め。

「そういえばまだ名乗ってなかったね、私はジード。薬屋を営んでるものだ、よろしくね」

ヴィオラ > 「フフ、箱入りか……言い得て妙というものだな。
 楽しめるかどうかはこれからの旅路で知れよう――ズボン?」

歩き出した男の背を尻目に、見下ろしたドレスの形を意のままに変えていく。
ぞわぞわと闇が蠢き、ドレスの裾は脚に纏わりついてタイトなズボンに。
そして新たに生み出した闇をローブカーディガンに変えて肩に羽織った。
これはこれで悪くないな、と一人ごちてようやく男の背を追う。

「わらわの名はヴィオラ。その厚意にはいずれ報いよう。
 ふむ、薬の仕入れをしてきたと言っておったな。
 どのような薬を扱っている?」

カツ、カツ、ハイヒールを踏み鳴らすあたりは、まだ旅慣れない。

ジード > 「何事も楽しめるに越したことはないから、いい出会いでもあることを祈ってるよ。
 ……うん?」

何やら足を止めてしている様子を見ていれば、衣装が変わったことに少し気の抜けた声が上がる。
とはいえ、そういう芸当が身近にある国で生きていただけにそれほど驚いた様子もなく肩を揺らし。

「それもなかなか似合ってると思うよ。
 取り扱ってる薬はなんでもござれさ、
 それこそ作れと言われれば一通り物は作れるけど――
 商ってる場所の関係上、媚薬やら避妊薬やらの性的な物が比較的多いかな。
 後は傷薬とかの需要が多い」

何でかといえば喧嘩のトラブルがやっぱり多いからである。
笑い飛ばしながら人差し指をピッと立てて見せ。

ヴィオラ > 「そうだな。今のところは悪くない出会いが続いている」

口の端を吊り上げて機嫌の良さを隠さず、気の抜けた声にその顔を向けた。
評されるにやぶさかではないぞ、といった風に。
そして男の一言でひとしきり満足し、彼が持つカバンに視線を落とす。

「なるほど音の正体はそれか。あまり重用したことはないが――
 眷属たちはよくそれらを使って、どこそこの雌とまぐわったとかを自慢げに話しておったな。
 フ、さもあらん、このような時勢に傷薬はよく売れるであろうよ」

戦乱の世を懐かしんで目を細めながら、人指し指を見てくつくつと喉で笑う。

ジード > 「それは重畳。ま、おおっぴらに自分の正体をあかさん限りはある程度はお目溢ししてもらえるしね」

王都でもと軽い調子で言いながらも、存外悪い気はしないと言った体の相手の様子にクックと喉を鳴らし。

「ヴィオラは何というか、割と可愛らしいというか態度に裏表がないから気楽でいいね。
 …んー?」

軽く笑った所で相手の言うことに一瞬考え込むも、すぐに声を上げて軽く笑い。

「ハッハッハ、いや、そんな大げさなことじゃない。
 痴情の縺れで男女が喧嘩して怪我するなんてのは、
 色街では日常茶飯事なのさ。勿論それ以外の怪我でもよく売れるけどね」

もっとどうしようもない、しかしだからこそ需要の絶えぬ内容である。
笑い飛ばしながら腰に軽く手を当てて言い放ち。

ヴィオラ > 「ああ、これほど人の世が生き易くなっているとは思わなんだ。
 おかげで僅かばかりの憂いが晴れたぞ。感謝しておこう」

知りたいこと以上のことが知れたなとますます満足の度合いを深める。
下賜すべき宝でもあればくれてやってもよかったが、身軽なこの身が口惜しかった。

「気楽な道中ゆえな。それより今わらわを可愛らしいと評したか?
 ……まあ、悪い気はせんが」

髪をかき上げながら何とも言えない表情を浮かべる。
かつては恐れられはすれど、娘のように評されることはほとんどなかった。
なぜかむず痒い。毒気のない男の物言いがことさらにそれを煽った。

「おぬしも他人事ではなかろう。
 そのような品を扱っているのだから、目をつけられることもあるのではないか?
 それとも痴情の縺れとやらに巻き込まれることがあるのか」

ジード > 「魔族の国の方とかは色々となあ。生活しやすいとは到底いい難いし」

あっちの方にも馴染みがあるだけに思い返して苦笑いが浮かぶ。
しかしながら相手の反応に不思議そうな表情を浮かべ。

「そうだな、何ていうか素直なもんだから偉そうだがあんまり悪い気はしない。
 所で、王都に付いたらどうするんだい?泊まる当てがないなら紹介くらいはできるよ。
 まあ、一晩お付き合いしてくれるとかっていうならそれはそれで」

やはりセクハラじみた発言を混ぜずにいられないのか、
冗談めかして問いかけながらに続いた言葉に肩を竦め。

「そこはそれ、身軽な方なんで面倒事に巻き込まれそうになったら逃げるに限る。
 貧民地区の方はその辺りいろいろと融通がきくから適当に生きててもなんとかなるさ」

身を隠すにはちょうどいいと喉を鳴らして言い返し。

「ま、薬買ってる最中に痴話喧嘩初められるくらいはあるけどそれはそれ。
 面白い見世物が始まったくらいに構えたほうが楽ができるよ」

他人の喧嘩ほどわかり易い見世物もないと人の悪いことを言い放って笑い飛ばし。

ヴィオラ > 「でなければ王国を攻めようなどとは思うまい。様々な目論見はあれどな。
 隣の屋敷で飼われている家畜は丸々と太って見えるものだ」

男につられて苦笑を浮かべながら微かな相槌を打つ。
誰が聞いているかも知れない道中なので口にはしないが、やはり、この男も。

「それがおぬしの厚意に対する礼になるのであれば、付き合ってやってもよい。
 わらわを寝所に誘うとは見かけによらず豪胆な奴だ」

軽く笑って、続いた言葉にも感心したように頷く。

「そうか。身を隠すならばそこがよいのだな。覚えておこう。
 ……おぬしは荒事に向いているようにも見えんしな」

さもありなんと、ゆるりと頭を振る。

ジード > 「面倒事が多いのはどこでも一緒だけどね。
 こっちのほうがなれたら自分は生活しやすかったね」

楽でいいよとは言い返しながら声を上げて笑い飛ばし。

「おや。そりゃまた意外な答だけど、いいなら勿論付き合ってもらおうかね。
 こうやって話して口説きたいと思ったんだからしょうがないだろ?」

楽しげな様子を隠しもせずに歩幅を少し落として歩調を合わせれば、
そのまま肩を軽く抱き寄せて顔を覗き込もうとしてみせる手の速さ。

「生憎とね、魔法の類が使えないわけじゃないがあんまりやりたいとも思わないし。
 それに殺し合いなんかやるよりも、他のこと見物してたほうが俺は楽しい」

ヴィオラ > 「なればよい。いずれ王都に居を構えようと思っている。
 その時には助言を請うてもよいな?」

尋ねているのではなく、あくまでも確認である。
自分に逆らう者がいるとはついぞ考えたことがなかったゆえ。

「フフ、意外か。おぬしはそれだけのことをしているのだ。ジードよ。
 口説かれてやってもよいと思えるくらいにはな、な」

歩調が合えば、肩を抱かれるまま蠱惑的な瞳でもって見つめ返す。
まるで小動物でも愛でるかのように、男の顎の下を指でくすぐりながら。

「愛い奴よ。気も合うではないか。わらわも殺し合いは好かん。
 かといって見物が楽しいと思えたこともないのだがな」

ジード > 「その時はぜひご贔屓に、ってね。
 仕事の最中は待ってもらうかもしれんけどね」

流石に薬を作ってる最中という訳にはいかない。
肩を竦めて冗談めかしながらに、指の這う感覚にくすぐったげに身じろぎする。
そのまま、顔が自然近づく格好になればその鼻先に口づけを落としてのけようとし。

「人間の社会で行きてると色々あるからなあ。
 そのうち変わるかもしれんよ?…ん、そろそろ見えてきたか。
 少しペースあげたほうがいいかもな」

そう戯れる間にも視線を道の先に向ければ見える王都の影に肩を揺らし。

ヴィオラ > 「それくらいならば待つ内には入らん。
 おぬしこそ、気が逸って手元が狂わんように気をつけるのだぞ。
 扱っている物が物だ。まあ、慣れておるのだろうが」

頭から被ったまま寝所にやってこられたら如何しよう。
そんな想像をして愉快げに喉を鳴らし、気付けば鼻先に口づけを落とされていた。
目を細めながらわずかに体重を預け。

「フフ、その色々とやらが見物だな。
 ……そうか、あれが王都」

ようやく見えてきた王都の影を見つめ、女は一瞬だけ遠い目をして。
言われるままその歩みを早めた。わずかに躍るような、そんな歩みで。

ジード > 「もし日単位で待たせるようなら、埋め合わせくらいはするよ。
 それですねられても困るけど」

冗談めかして言い返してのけながらに、
重みを軽く押し返すようにして体を離す。
相手の反応を見て軽く笑いながら、連れ立って王都へと歩いていくのだった。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からジードさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からヴィオラさんが去りました。