2019/02/09 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」に幻鏡の迷宮さんが現れました。
幻鏡の迷宮 > 王都へ至る為に蜘蛛の巣の如く各地へと張り伸ばされたメグメール街道、今宵もまた王都へ戻る為に通らなければならない区画、たった数十メートルの直線の道が軋み歪んで迷宮と化していた。

不運にも幻鏡の迷宮が触手を伸ばした区画に入り込んだ哀れな犠牲者か勇猛果敢なる挑戦者が居るのだろう、外から見れば其処は普段と変わらぬ日常なのに、踏み込んでしまった者にはその者と幻鏡の迷宮が放つ魔物だけが存在する空間へと隔絶されてしまったのだ。

今宵の迷宮は酷くシンプル。
人間の膝位の高さまで満ちた薄い紫色の霧に包まれた街道の道をただ只管に進み、その先に闇に浮かんで生える淡く蒼く輝く巨大な宝箱に辿り着けば良い、と言うものだ。

勿論、真っ直ぐ進んでられない、空を飛んで霧から抜けて、と考える者が居るだろう、だが迷宮はそれを許さない。

街道を挟むように聳え立つ木々は複雑に絡み合い茨を生やして壁となり、星ひとつない筈なのに不思議と明るい不思議な夜空には夜空に溶け込むような色合いで小さな何かが蠢いている。

茨を断ち進むか、何か浮遊するのも構わず空を飛ぶか、若しかしたら、其処に進む事で迷宮が慈悲を与えるかもしれない、若しかしたらそれこそが望みかもしれない、ただただそれは罠かもしれない。

夜空が不思議と明るいように、何かに照らされているかの如く、ゴールである宝箱までの道も矢張り明るく……まるで街道を舞台か花道の様に闇に浮き上がらせているだろう。

踏み込むか、空へと逃げるか、後ろを振り向くか。

後ろを振り向くのが一番ろくでもない結末が待ち受けているだろう、其処には空よりも何もよりも暗い闇がまっている、其処より無数に蠢く亡者の如き闇色の腕は……迷宮の犠牲者達の腕、かもしれない。