2019/01/11 のログ
モカ > 自分よりも柔らかな手の感触も、普段なら綺麗な手だとまじましと確かめたくなるところだが、そんな余裕もなく。
人の私利私欲を満たすために剣を作る事は避けねばならないという教えがある故に、自らを殺す覚悟の脆さに震えていた。

「それは……貴方が、そうしてるから。勝手な言い分……」

肩に掛かっていた鞄が落とされると、ガラスの擦れ合う音や、重たい金属の重なる音色やらが重なり合い、その重たさを物語る。
唯一の護身道具を離されると、ハッとした様子で彼を見やると、笑みに浮かぶのは男が見せる身勝手な欲の熱。
密着すれば、膨らみの小さな乳房が布地越しに淡く拉げ、華奢な体つきを彼の身体へ伝えていく。

「……っ!? 嘘つき、話で終わってない……っ」

身体を這う掌の感触に、ぞぞっと悪寒を覚えると、いやいやと頭を振りながら、胸板に寄せた両手が身体を押しのけようとする。
恥丘にぶつかる雄の怒張の感触も、望まぬ交わりとなれば恐ろしく首筋に走る寒さが鳥肌を浮かばせて表情を引き攣らす。

ギュンター・ホーレルヴァッハ > 「ふむ。確かに、勝手な言い分には違いあるまい。だが、その勝手な言い分を押し通されるのは、貴様の責任であろう?私は構わぬよ。貴様が、死を覚悟して私に抵抗しようというのを止めはせぬ」

背後に控えたグリフォンと、己の魔術。少女に明かしてこそいないものの王族としての地位が、絶対的な自信と傲慢さを伴った言葉として少女に投げかけられる。
その間にも、抱き寄せた少女の身体の柔らかさと、胸元に感じる乳房の感触が、沸々と己の欲望を少しずつ昂らせていく。

「そうだな。嘘は良くない。では明言しておこう。気が変わった故、今から戯れに貴様を弄ぶ。これで良かろう?」

それは、詭弁にすらなっていない物言いだった。
だが、健気に此方を押し返そうとする少女の抵抗も、これから起こる事に引き攣らせている表情も、己の愉悦と欲望を高めるものでしかない。

そして、服の上から少女の身体を弄りつつ、二つの魔術を発動させる。
一つは、肉体強化の魔術。少女の抵抗を力づくで抑え込む為のもの。そしてもう一つは、少女の精神に介入する渇望の魔術。
唯只管に肉欲への渇望を高める魔術を発動するが、少女に強い抵抗の意思があれば容易にレジスト出来るもの。

成功してもしなくても構わない、と言わんばかりに、下衣越しに怒張した肉棒を、少女の身体を使って擦り上げ、押し付け、少女の秘部にも強く小刻みに押し当てる事で快楽の刺激を与えようとするが――

モカ > 「……っ」

これだから人の世は嫌だと、心の中で呟きつつもわずかに奥歯を噛みしめる。
挙げ句、先程までの言葉をひっくり返す物言いに憤りがふつふつと溜まっていく。
嫌だと幾ら押し返そうとしても、まるで効果もない様子。
魔力の動きに気付くと、警戒しようとも意味がないといえる。
こちらの精神に干渉しようとすると、術的に侵入を阻むように彼の精神操作を弾いてしまう。
精霊や霊魂と意志を疎通する度に、そうした術に弱くなる危険から身を護る為のものだが、逆にそれがなくなれば自分のことすら自分で自由にできなくなる。
それ故か、干渉しようとする彼に一層恐れを覚えれば、入れてやると言わんばかりな肉棒の動きにも、今だけは耐えられた。

「離し……てっ!」

頭を後ろにそらし、すこしだけ互いの距離を開くと、そのまま頭を彼の方へと振り下ろす。
技も力もなにもない、下手くそな悪足掻きの頭突きを彼の顔に見舞おうとする。
この人に捕まるのは危な過ぎると、鼓動は追いかけられる兎の様に早くなり、息も小刻みに粗い。

ギュンター・ホーレルヴァッハ > 此方の魔術を弾いた少女に、興味と愉悦を持った瞳を向ける。
レジストされた、というよりも術式そのものを拒んだ様な感覚は、十二分に此方の知的好奇心を刺激した。
そしてそれ故に、少女を肉欲を発散させる道具に使うのは些か勿体ないか、と思考を走らせる。

「……っ、と。危ないな。だが、良い。多少は抵抗してくれた方が興が乗る。しかし……」

頭を大きく傾け、すんでのところで彼女の頭突きを交わす。その勢いで彼女の銀髪が顔を撫でれば、幾分くすぐったさそうに身を捩るだろう。

「……気が変わった。お前を、此処で戯れに犯すのは勿体無い。名も聞いていなかったな。自分を犯そうとした男に名乗るのはさぞ嫌かも知れんが、貴様の名、聞いてやろう」

未だ少女を抱き締めたままではいるが、弄る腕と押し付けられる肉棒の動きは止まっている。
息を荒げる少女に先程までより幾分穏やかな口調で問いかけながら、僅かに首を傾げるだろう。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からモカさんが去りました。
ギュンター・ホーレルヴァッハ > ――継続予定――
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からギュンター・ホーレルヴァッハさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にモカさんが現れました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にギュンター・ホーレルヴァッハさんが現れました。
モカ > 護身に施していた術が、更に相手の気を誘っているとは知る由もなく。
身勝手な彼に少しでも足掻こうと放った、不格好な頭突きはすんなりと避けられてしまう。
山籠もりの生活の割に、その銀糸はサラリと彼の頬を撫でていき、椿の香りが仄かに届くだろう。

「っ……! 自分勝手……名乗ってどうなるの」

気が変わったと呟く彼に、恐怖と不安の色は残るものの、憤りの熱は残り続ける。
むくれるような不機嫌顔で、ふぃっと背いたまま呟くも、無理矢理にでも離れようとはしなかった。
性的な責め苦がなくなった分、乱暴はされないかもしれないと、淡い期待が何処かにあるのだろう。
ただ、落ち着きなく、時折身体がもぞもぞと居場所を求めるように動いてしまうが。

ギュンター・ホーレルヴァッハ > 頬を撫でる少女の銀髪から漂う、椿の香り。
都市部や王城では嗅ぎ慣れぬその香りに、少女の生活環境を何となく察する。欲望の汚泥と腐敗が輝く都市では無く、欲求の熱とは縁遠い場所に住んでいるのだろうという予想。
だからこんなに男慣れしていないのだろうか、と僅かに苦笑いを浮かべる。

「どうなる、と言われるとそうだな。王族の言葉に応えぬ平民がどうなるか考えてみた方が早いのではないか?」

そっぽを向く様に顔を背けた少女を、改めて野良猫の様だなと感じながら言葉を告げる。暗に自らが王族であることをに追わせつつも、離れようとしない少女の身体を緩く抱き締めたまま
可笑しそうに笑う。

尤も、腕の中で動く少女の身体によって、単純な性的欲求が昂っているのは否めない。
少女が身動ぎすれば、互いに意識せずとも時折隆起した肉棒が少女に触れて跳ね上がるだろう。

モカ > 「……知らない。王族の人なんて、あったこと無いから」

彼の考えを肯定するような答えを紡ぎつつ、眉間にわずかにシワを寄せた思案顔を見せる。
強がりや知らぬ素振りというよりは、どうなるかの想像がつかないが故の反応だった。
山林の中で生きてきて、会うとすれば貴族ぐらいだが、それも極稀の事。
何が起きるかなど、考えもつかずにぼそりと呟いた。

「……乱暴しないなら答える、あと……離して? 落ち着かない、逃げれないのは分かってる筈」

男性にこうも抱きしめられ続ける事はなく、身の置き場に困って捩ると、今度は落ち着いてきた雄の熱が再び下腹部にぶつかる。
一応の乱暴がなくなったところで少し気が緩んだのか、今更にわずかに頬を赤らめると、相変わらず視線は重ねずにお強請りを紡いだ。
鞄も落とされてるし、そちらには幾らでも追いつける足がある。
王族が何かを知らぬが故に、物怖じせぬ交換を紡ぐ。

ギュンター・ホーレルヴァッハ > 「…何となく予想はしていたが、流石に世情に疎いのではないか?だから、王都の商人共にやっかみを受けるのだと思うが」

幾分呆れた様な口調で少女を見下ろしながら小さな溜息を一つ。
自分も未だ子供と呼んで差し支えない年齢ではあるが、何だか子供の相手をしている様な気分になってきた。だからこそ、下卑た男に少女が狙われる事もあるのだろうが。

「乱暴、の定義にもよるが、暴力は振るわぬよ。……ん?そうだな…別に離してやっても構わぬが、人に頼み事をする時は、相手の目を見ろと教わらなかったか?その様な態度では、離してやる訳にはいかんな」

僅かに頬を染める少女を愉快そうに眺めながら、その耳元に唇を近付けて低く囁く。
揶揄う様な口調のソレは、少女の態度や仕草を面白がっている様な素振りであるだろう。

モカ > 「別に……人里にはあまり降りないし、住んでるわけでもないから」

だから、知る必要もないと言いたげに不服な声を上げ、視線は反らしたまま。
口数の少なさと極端な取捨選択の結果故に、幼く見えるのかもしれないが、なんとなく小馬鹿にされている心地は覚えているらしい。
小さくため息を付いた彼に、相変わらず視線は一切重ねようとしなかった。

「……強姦も同じ。っ……」

乱暴はしないとすんなり告げるも、警戒心がすんなりとすべて解けるには難しいのか、半目閉ざしたジト目が一瞥する。
釘指すように呟くものの、続く言葉に息をつまらせて小さく身体を跳ね上がらせた。
此方が何に恥じらっているか、分かってるくせにと思いながらも、暴力されるのと恥では後者のがまだマシ。
緩慢な動きで彼を見上げれば、耐えるように彼を見上げつつ頬の赤みを深めては、ゆっくりと唇が開かれる。

「……離して、ください」

その一言の後、耐えきれぬといわんばかりにそっぽを向いてしまう。
緊張していた時と同じぐらいの早鐘が彼の胸板をたたき、感情のブレは全く隠せなかった。

ギュンター・ホーレルヴァッハ > 「まあ、都市部に住まう事が正しいという訳でも無いが。さりとて、人里に降りなければならないというなら、世情や市井の事を知る事も良い事だと思うがね」

何だか説教じみた言葉になってしまった己自身に対して、慣れぬ事をしたと言わんばかりのしかめっ面を浮かべる。
皮肉にも、この瞬間だけは少女と己が浮かべる表情は似通っているのかも知れない。

「同じかどうかは、私が決める事だ。しかし……」

腕の中で跳ね上がる少女の身体。初心なものだ、と眺めていたが、その様は掻き消えた筈の嗜虐心をゆっくりと再燃させる。
それでも、少女の意に応えて身体を離そうと思って居たのだが――

「…く、クク。健気なものだ。良く出来たと褒めてやっても良い。だが、そうだな。その様は、大いにそそる」

少女の鼓動が、己の胸を叩く。せわしなく刻まれる少女の鼓動と、そっぽを向いた少女の態度は、此方の情欲を煽るに十分だった。
短く告げた言葉と共に、緩く抱き締めていた腕に力が籠り、再び少女の身体を己の腕で弄び始める。
少女の身体に再度押し付けられる肉棒は、先程までの戯れでは無く、本格的に快楽を得る為の動きへと変わっているだろう。

モカ > 「……考えておく」

急に物を説き始めた彼の様子に、徐々に視線を重ねていき、何度か瞳を瞬かせていく。
乱暴しようとしたと思えば、気遣ったような言葉出たりと……自身のことを棚に上げながら、変わった人だと思っていた。

「っ……くしゃみ、するよ…多分」

少しだけ、相手のことが分かってきたような気がすると、ぼそっとつぶやいたのは妙な一言。
多分としかいえないが、殺したり、ズタボロにして転がすようなタイプではないと思えたのは、先程の妙な気遣いからだった。
但し、凄く自分勝手で、無理矢理にでも我を通す子供みたいな人でもあると。
警戒の色が薄れる中、身体を這う掌に、ぴくんとわずかに身体が跳ねていき、擽ったそうに震える吐息が溢れ……それと共に吐き出された一言でもあった。

「……寒いし、何回もすると思うし……震えて鼻水も出ると思うけど……ここでする、の?」

今はまだ服の上で、彼の膨れた肉棒が無理矢理割れ目をなぞるなら、体は快楽よりはこそばゆさに跳ねていく。
恐怖や憤りのフィルターが解けている分、そのまま抱くなら体は反応していくはず。
だが、同時に浮かぶのは交わる意欲を削ぐような酷い想像であり、それを紡ぐと刺激に上気した頬を覗かせながら彼の目を一瞥しては反らしていった。

「……寒くない場所、王様なら……それぐらい簡単でしょ?」

それが条件と銀糸のヴェールの下に顔を隠して紡ぐ。

ギュンター・ホーレルヴァッハ > 「考えるのは良い事だ。常に思考し、常に悩み、常に学べ。そうすれば、私の様な不埒な輩に捕まる事もあるまいて」

説教と忠告が入り混じった様な言葉。そんな言葉を口にしてしまったのは、幼く見える少女に対して日頃埃を被っている庇護欲でも出たのだろうか。
圧倒的に優位な立場に立っている筈の己が何故そんな慣れぬ事をしているのかと、寧ろ少女から視線を逸らし始めたのは此方の方。

「……それは、何というか。確かに、野外というのは趣が無い」

少女の言う通り、街道で事に至るのは確かに宜しく無い。
腕に収める少女の体温で暖を取っている様なものだし、此方も行為に及ぶ際に服を脱げばそれ相応に凍えるだろう。

どうするか、と思案しかけた思考を戻したのは、少女から投げかけられた言葉。
寒くない場所、と告げた少女に向けるのは、少し驚いた様な表情。ぱちくりと瞳を瞬かせて、若干逸らしていた紅瞳を少女に向けて――

「…他愛の無い事だ。常夏の様に暖かな部屋を、貴様の両手両足の指の数だけ揃えてやるとも」

厳密には別に"王様"では無いのだが、少女の可愛らしい過ちを今更咎める事も無い。
少女の言葉に頷き、もし同意が得られるのなら些か暇そうに突っ立っていたグリフォンの背中へと少女を乗せ、共に夜空を駆けていく事になるのだろう。

モカ > 「……それ、私が考えなしみたいに聞こえる」

考えていないのではなくて、知らないだけだと少々不服そうに呟く。
とはいえ、最後の不埒な輩に捕まることがなくなるのは、頷かざるを得ず。
眉を寄せて考え込むような顔をしているも、振り切れぬもどかしさに、ぐぬぬと表情を歪めていった。

「……風邪引いたらうつす、それに……死んだら目覚めが悪い、よね?」

彼にどれだけあるかわからない良心をこれでもかと掘り起こそうと、瞳を伏せながら死を匂わせる。
少なからず移された風邪が治るまでは女の死を引きずることになるわけで、相当目覚めも悪いだろうと。
寒風に小さく身震いし、吐き出す息も白い中で交わるのは、そっぽを向いた彼にとっても、不都合が多かろうと妥協点が浮かんでいく。

「……風邪も死ぬのも嫌だから、仕方なく…だから。ぇ、あの……そんなにいらない、から」

チラチラと驚きの顔を確かめていくと、しどろもどろになりながら呟きつつ、彼の方へと向き直る。
彼の提案には頷くが、後半の冗談を真面目に受け止める辺りは、世間なれしていないのだろう。
真顔で少しばかりオロオロと掌を彷徨わせたが、彼に引かれるがまま、はじめてのグリフォンの背に好奇心旺盛にも身体をペシペシと掌で確かめていた。

「……凄い」

そうして連れてこられたのは、街道沿いの宿屋だった。
とはいえ、安宿のはずなのに、今までに見たことがない広さの部屋を一望しながらポカンとしてしまう。
そのままパタパタと部屋の中へと歩んでいけば、物珍しげにあたりを見渡し、行ったり来たりを繰り返し……ゼンマイが途切れていくように勢いを失う。
最後には、恥ずかしさが舞い戻って頬に再点火した熱に耐えきれず、鞄を置きながらちょこんとベッドの片隅に腰を下ろして俯くのだった。

ギュンター・ホーレルヴァッハ > 「考えなしとは言わん。だが、知識に対する欲求をより持つべきではあるだろうな。例えば、人里に余り降りてこないから興味が無い、というのは、既に思考が停止している事と同義だろう」

尊大とは少し違う、教師の様な態度で少し偉そうに言葉を返す。最早、己がこの少女の世話を僅かではあるが焼いてしまっている事は認めざるを得ない。
そんな慈善の心を持っていたことに、自分が一番驚いているのだが。

「…別に風邪で死にはせぬよ。だが、そうだな。貴様が体調を崩すのは本意ではない」

元々は、魔剣の製作者としての少女に価値を見出して追い掛けてきたのだ。少女に体調を崩されてしまうのは、此方も出来れば避けたい事柄ではある。

身震いする少女の頭を無意識にぽんぽんと撫でた後、此方の冗談を真面目に捉える初心な少女に微かに笑みを零しつつ、グリフォンの背に乗って夜空を駆けた先は――


「もう少し広い部屋を取れれば良か……いや、まあ、良いか」

取り合えず寒さを凌げる場所として、一番近くにあった宿屋に部屋を取る。金貨の山を放り投げて一番広い部屋を取ったは良いものの、己からすれば物置小屋にも劣る狭さと貧相な部屋。
だが、部屋を珍しそうに歩き回る少女の姿に流石に言葉を飲み込んだ。

「……さて、折角部屋まで取って他者の目が無い場所へと来たのだ。名前くらいは告げても罰は当たらぬと思うがね」

小動物の様にベッドに腰かける少女の横に静かに腰掛けると、ゆっくりと少女の頬に手を伸ばしながら首を傾げる。
紅く染まった頬は林檎の様だな、等と呑気な思考を走らせながら――

モカ > 「……理屈は通るけど、道理を捻じ伏せられた後だと頷きづらい」

先程から犯そうと手を伸ばしてくる彼が、真っ当なことを紡ぐのがどうにもすんなり飲み込めず。
子供っぽい言い訳を呟きながらも、裏を返せば否定が出来ないのと同じこと。
思いの外説教臭い事を宣う彼が、何故自分を手篭めにしようとしているのかが、余計にわからなくなっているわけでもあるが。

そうして風邪を危惧して訪れたのは、彼が大枚をポンと放って開かれた、宿一番の高値の部屋だった。
彼にとっては狭苦しい場所でも、時折宿に泊まる程度の自分からすれば、贅沢の極みとでも言う室内で、ちゃんと動作するランプに動いたと感動しながら明滅を繰り返したりと、表情は薄いにしろはしゃいでいた。

「……モカ、名字はない。貴方の名前は……?」

ひとしきりはしゃいで冷静さを取り戻すと、しおらしく腰を据えていった。
頬に重なる手に、先程までとは違い自ら擦り付いて従順を示したのは、こちらも彼に興味を示したからで。
冷気に翳されたとは思えぬほど、頬は恥じらいに熱を帯びていき、ほぅっと溶けていくような緩い吐息とともに、じっと紫色が彼を見つめていく。

「……私、娼婦さんみたいに…身体付きよくないけど、何で したいの? それに、我儘で勝手だけど、本当にヤダって言ったら聞いてくれるし」

王族たる彼が一夜の戯れに抱くには、戯れが過ぎる様な相手だと己を思えば、ここまでして求める彼の心中がわからない。
乱暴しない?と問いかけた時も、無視して犯せたはずなのにと、今にして思う不思議を改めて問いかければ、自然と彼が思い抱いた子供っぽい視線が興味いっぱいに見つめる。