2019/01/10 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にモカさんが現れました。
モカ > 久しぶりに人里へ降り、冒険を求める精霊達を宿した剣を市場の片隅で売りさばいた帰り。
とっぷりと日の落ちた街道を一人歩き、月の頭が見えかける山脈の方へと向かっていた。

「……」

時折足を止めては、遠くを見るようにぼんやりとした眼差しが辺りを見渡す。
誰かの尾行を恐れるのは、剣を売った日ではいつもの事。
特殊な力が宿った武具はそう出回らない。
それを女が売っていたとなれば、出処をはかせるなり、在庫を奪おうと良からぬ人間が追ってくる。
馬車にも乗らないのは、そのままアジトへご招待された日には、目も当てられない訳で。
尾行が見当たらないと分かれば、改めて前へと向き直ってあるき続ける。
周到な偽装能力や術を使われたなら、見破りようもないが、そこまで気にしていられない。
王都を出て数時間、小さい割に一度も休む事なく今に至る。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にギュンター・ホーレルヴァッハさんが現れました。
ギュンター・ホーレルヴァッハ > 王都で懇意の商人達との会食した際、気になる噂を耳にした。
曰く、時折市場に現れては良質な魔剣を売り捌いている少女がいるというもの。半ばやっかみに近い噂話ではあったが、武具を売る者として大いに興味をそそられた。

今日も王都に現れていたという少女を探して街に出てみれば、既に市場からは立ち去ったとの話。ならば追い掛けるまで、と己の魔術で召喚したグリフォン擬きに騎乗し、少女が去ったという街道を天空から見下ろしつつ空を駆けていた。

やがて、その視線が夜道を歩く少女の姿を捉えれば一気に急降下。
けたたましい羽音と、風を切る降下音が少女の耳にも届くだろうか。

モカ > 一瞬だけ嫌な感じを覚えて足を止めると、直ぐ様振り返る。
けれど、そこにあるのは寝静まった草原の静寂だけで、自分を狙うものなど姿形もない。
少しの間を置いて、気疲れのため息が小さくこぼれ、紫の瞳を伏せる。
歩き続け、少し疲れたのだろうかと思いながら額に掌を重ねた瞬間、思い違いが現実となっていく。

「……っ!?」

獣の羽音、それは森の中で聞くものよりも大きく、歪に聞こえる。
真上から迫っていると気づけば、月夜に映るグリフォンが瞳に飛び込む。
魔法生物の類は森の中では見ることもなく、紫玉をまんまるにして驚き……ハッとして走り出す。
こんな夜更けに自分に会いに来るなど、最悪の事態しか無いはずと。
とはいえ、それほど足は早いわけでもないので、そちらを振り切れるかは甚だ疑わしいが。

ギュンター・ホーレルヴァッハ > 「…此方に気付いたか。まあ、特段忍び寄っている訳でもないしな」

駆けだした少女を見下ろしながら愉快そうに笑う。
此方に気付いたのも早く、直ぐに駆け出した状況判断能力も良い。しかし、此方は天駆ける獣。その翼をはためかせれば、少女の直上を強風と共に追い抜き、少し離れた場所に着地するだろう。

そして、グリフォン擬きの背から軽い足取りで飛び降りれば、薄い笑みを浮かべたまま、少女に声をかける。

「…王都にて、魔剣を販売していた女に相違ないな?別に危害を加えるつもりは無いが、少しばかり話を聞かせて欲しいものだな」

月明かりに生える長い銀髪が特徴的な少女に、高慢と傲慢が入り混じった少年の声が投げかけられるだろう。

モカ > 「は……っ、は……っ…!」

前につんのめりながらも走り続けるが、やはり相手のほうが早い。
巻き上げるような突風と共に追い抜けば、その風に転げそうになり、たたらを踏むようにして耐えていく。
前方の少し離れた草地、そこに降り立ったのは自分よりも少しだけ背の高い少年らしき姿。
様子を見やっていると、掛けられたのはやはり、最悪の問いで。

「……特に話すこともない、けど」

ならず者というよりは貴族か王族の息子と見える彼が問いかければ、笑みとは対象的にむっとした様子で感情の薄い表情で答えた。
その少しばかりが、少しではない筈と、道端の野良猫の様に警戒し切っている。

ギュンター・ホーレルヴァッハ > あからさまに警戒した様子の少女の姿に浮かべる笑みは苦笑いのソレへと変わる。
まあ、警戒されても致し方無いかと、緩く首を振ると少女へ向かってゆっくりと歩みを進める。

「何も取って食おう等という訳ではない。ただ、魔剣の販売というモノは過分にデリケートなものだ。入手経路や販売目的について、話を聞かせてもらうくらいは構わぬだろう?」

ゆっくりと、無警戒な様子で少女に歩み寄りながら首を傾げる。その背後では、少女を見据える様にグリフォン擬きが呻り声を上げているだろう。
さながら、逃げる事は許さない、と言わんばかりに。

モカ > 「……そういって、乱暴されそうになるのが、多くても?」

取って食うどころか、骨までしゃぶられそうな心地だった。
警戒したままの此方とは裏腹に、緩やかに近づいてくると、思わず一歩下がる。

「デリケート…? 目的をいうのはいいけど……経路はいえない」

ふるふると頭を振ると、銀糸が夜風に踊る。
鞄に添えられていた掌がゆっくりと動いて、金属の留め金を音なく外そうと指先だけが動く。
獣に睨まれ、彼の歩みを止めることも出来ず、距離を詰めるのもたやすい事。
その顔には嫌だと言いたげな淡い恐怖を浮かべつつ、紫色の視線は落ち着きなく散らされた。

ギュンター・ホーレルヴァッハ > 「乱暴されたくないのなら、護衛をつけるなり何なりすることだ。女の一人歩きが危険な事くらいは、承知しているだろうに。……まあ確かに、男受けの良い顔立ちであるとは思うがね」

一歩引きさがる少女に含み笑いを零しながら、揶揄う様な口調で言葉を投げかける。
だからといって、近付く歩みを止める訳では無いのだが。

「商売敵が多い、という訳だ。出来の悪い剣を売っている様な連中には、貴様の様な存在は厄介だということだよ。
ほう?ならば先ず、目的から聞いてやろう。……尤も、妙な真似をすれば、穏やかに話を聞くだけでは終わらぬかも知れぬが」

少女の眼前で立ち止まると、留め具を外そうとする指先の動きに視線を向ける。
それを見ながら敢えて、わざとらしい程の緩慢な動きで少女に腕を伸ばし、その動きを留めようとするだろう。
彼方此方を彷徨う少女の紫色の瞳を逃がさないとばかりに、じっとその瞳を見つめながら。

モカ > 「……そんなお金ない」

遺跡や洞窟、魔族の国から流れ込む様な一級品の魔剣を売り払っているわけでもないのと、必要以上のお金を欲しもしない。
護衛を雇えるほどの金など持ち合わせておらず、むすっとしたままそっぽを向こうとする。
けれど、続く褒め言葉にビクッと小さく身体を跳ね上がらせると、困惑したように彼を見つめながら落ち着きなく視線がさまよう。

「……武器屋の人の、商売があがったりになるほど、売ってない。……少しのお金と、魔剣がそれを望んだから、売ってるだけ。剣も、誰でもいいわけじゃないから」

剣に宿った精霊達も、一緒に冒険したい相手を選ぶ。
だからか、望んだ相手と自分以外では鞘から刀身を引き抜くことも叶わなければ、鞘を壊しても力は発揮されない。
けれど、一度抜かれれば、駆け出しの冒険者を勇猛な剣士に変えるほどの力を発揮する。
そんな剣を50ゴルドで売る時もあれば、数百万ゴルドを積まれても売らないこともある。
そんな妙な話も、彼が何処まで知っているか知らないが。
その断片をボソボソと呟くも、視線が指の動きを咎めてくる。
妙な真似をすればと言われれば、伸ばされる手に簡単に捕まってしまう。
カタカタと小さく震える手、不安と恐怖を押し込めても隠しきれない部分はそこに現れる。
視線を彷徨わせる中、彼の視線が見つめてくれば、身を縮こませる様にして顔を隠そうとしてしまう。
うつむいた顔、黒髪に隠れた瞳は不安で落ち着きをなくす。

ギュンター・ホーレルヴァッハ > 少女の答えに少し考える様な素振りを見せる。
此方に噂を告げた商人によると、大分安い価格で市場に流し、商人達の魔剣の価値を下げているとのことだった。
それ故に、新興のギルドか魔族の類かと思っていたのだが――

「…成程。魔剣が望んだから、ということは武器に宿る何某かの声が聞こえるという事か。或いは、そもそもその魔剣そのものを貴様が作っているか。まあ、何方でも良いが」

厳密には、少女が魔剣を制作出来るのならば若干話は違ってくる。しかし、少なくとも少女が魔剣を手に入れる術を持っているという事実は動かない。
興味本位で追い掛けた噂話で面白いモノを捕まえたものだと思いながら、掴んだ少女の手が震えている事に気付けば、己の紅い瞳は僅かな嗜虐の炎に昏く光る。

「…そこまで怯える事もなかろう。寧ろ、過度に怯えを見せる事は男の欲望を安易に燃え上がらせるものでしかない。……それとも、そうと分かっていて、そうしているのか?」

俯き、顔を隠そうとする少女の腕を引き、己の方へ引き寄せようとする。
もしそれが叶えば、引き寄せた少女の身体を抱き寄せて、その耳元で愉快そうに、揶揄う様に低く囁くだろう。

モカ > 「……」

魔剣を作っていると言われた時に、わずかに瞳孔が開かれていき、ふいっと視線を逸らす。
無言のまま手を掴まれていけば、山籠りしているのもあってか、手の平側の皮膚は少しだけ硬い。
それこそ、農家か村の娘の様な苦労を知っている手の具合。
赤い瞳が覗き込もうとすると、嫌だという態度は相変わらずで、うつむいたまま合わせようとせず、小さく震えるばかり。

「……違う。私は……そういうつもりじゃ……」

好きで怖がっているわけではなく、自分以外に頼れるものを持たぬ身だから恐れる。
けれど、秘密にしなければならないことは多く背負ったまま。
自ら使命に死ぬ事を選べるほど年老いておらず、まだ遠くに見える刃でも怖いものは怖い。
抱き寄せられれば、ひゃっ!? と小さな悲鳴を零しながら、その身体に寄りかかっていく。
彼の胸板に両手を寄せて身体を支え、間近に迫る顔に、緊張した紫色がとうとう重なっていく。
同時に、肩に提げていた鞄が大きく前後にスイングして暴れていった。
見た目とそぐわぬ重たさがあり、肩に掛かる革のベルトが低い軋みを響かす。
抱き寄せられたまま、彼がどうしたいのか分からぬ混乱の胸中で硬直していく。
時折小さく震える振動も、寒さに溢れる吐息の白さも、薄っすらと濡れる怯えた紫もすぐ間近に。

ギュンター・ホーレルヴァッハ > 視線を逸らす少女の瞳に、彼女が製作者である事を察する。
魔剣の製作者ともなれば、少女そのものの価値が飛躍的に上昇する。その整った顔立ちも相まって、少女を欲する王都の商人や貴族は幾らでもいるだろう。尤も、引き渡してやるつもりは更々無いのだが。
平民、というよりも村娘の様な感触の少女の手を握るのは、苦労も荒事も知らぬ己の柔らかい掌。もう少し鍛えるべきかな、と内心自嘲する。

「貴様がそういうつもりで無くとも、こうして男に抱き寄せられ、身動き取れぬ状況である事にかわりあるまい?なれば、男を誘っているのと大差はあるまいよ」

少女の肩で軋む鞄に視線を向けると、野暮な物をと言わんばかりの視線と共にそのベルトを少女の肩から外して鞄を地面へ堕とそうと。
そして、怯えた様に濡れる少女の瞳を眺めれば、クツリと僅かに笑みを浮かべてその柔らかな身体を更に抱き寄せて――

「野外、というのは少々気に喰わぬが…まあ良い。暫しの戯れも、偶には良かろう」

灯った嗜虐心を、名も知らぬ眼前の少女で発散させようと、その手は無遠慮に少女の身体を這いまわる。
また、抱き寄せた少女の身体に、昂った己のモノをぐり、と強く押し付けるだろう。