2018/12/23 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」に幻鏡の迷宮さんが現れました。
幻鏡の迷宮 > ――メグメール(喜びヶ原)街道

王都と都市を村々を毛細血管の如く伸びて結んで繋ぐ街道であり、数多の冒険者や商人、旅人が行き来する大事な道である。

その中で王都より伸びてゾス村の付近を通る道の一つが今宵非日常に喰らいつかれ、その日常が歪んでいく事となる。

王都より離れ、森と森の狭間を通る区間。

獲物を求める梟の鳴き声や寒さに嘆く虫の声が木霊し、冷たく凛と張り詰めた夜の空気に少なからず彩を添えている。

時折吹く夜風は木々の葉を揺らしざわめきに変え、狼達は喪の悲しげに遠吠えをくり返し、彩りのみではなく夜の闇の恐怖を滲ませる。

良くも悪くも「音」が絶えず街道に響き渡る……が、異変は月がほんの僅かな間だけうす曇に隠れた刹那に始まる。

最初は「音」
あれだけ様々な「音」が踊る夜の街道が指を弾くそのほんの僅かな一瞬の間に音は何かに飲み込まれたように一瞬で静寂に塗り代わり

次は「空気」
ひんやりと、それでも夜を楽しむだけの何かがあった空気が、戦場に迷宮に死地に負けずとも劣らぬ張り詰めたそれへと歪み変化して、街道を街道であって街道ではない何かへと狂わせ

最後には「街道」だった短い距離の区間が「迷宮」と生まれ変わる。

それも性質の悪い迷宮、複雑な通路が入り組んだそれよりも尚も最悪な直線だけで形成された迷宮。

街道の道の端々は不思議な力により覆われ、街道を挟むように存在している森は薄い霧が広がり、街道より外れれば何処に迷い込むか判らぬ事が誰の目にも明らかであろう。

其処に今宵の街道に足を踏み入れてしまった者、今宵の迷宮に挑戦させられる誰かはその迷宮が歓迎の意と称して放つ「怖気」に腰が抜けるやも知れない、が是はある種チャンスでもある……無論この迷宮が何か知っているか、と言う条件が有る。

知らねば恐怖は共にある。
進まねば迷宮のあちらこちらより魔の手が伸びるだろう。

戻ろうとすれば其処にはポッカリと脱落者を飲み込む暗い闇だけがあって……。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にユエルさんが現れました。
ユエル > (ちょっとうっかり夢中になってしまって遅くなってしまった。 籠一杯の薬草や木の根、茸・・・などといった少女が学ぶ錬金術において素材になるものを抱えて、満月の下、森の中を急ぎ足で駆ける。
満月が照らす夜ともなれば、肉食獣が活性化する時間。戦いは苦手であるから、彼らに追われることとなれば苦戦は必至。ならば、見つかる前に森を抜け、近くの村に避難しよう・・・そう考えて急ぎ足で森を抜け、街道を駆けていたのだけれど・・・不幸にも少女は獣より厄介なモノに取り込まれることとなった。

森の中にしんしんと木霊していた虫の鳴き声、狼達の高く響く遠吠え、夜風が揺らす木の葉の音。その音全てが唐突に――消失した。

フェードアウトするように徐々に、ではなくまるで切り取られたかのように唐突に全ての音が消えた。風の音も、生き物の鳴き声も。あらゆる全ての音が。

そして、その非日常に恐れをなしたのか、それともまた別の要因か。肌を撫でるのはひどく冷たい空気。ぞわり、と鳥肌が立つほどに冷たいそれはまるで心臓を掴まれたような、死神がにじり寄ってきているようなそんな錯覚すら感じられた。

静かであったその道は消えた。代わりに現れたのはまるで死を運んできているような恐怖と、あきらかな異質を伝える なにか 気がつけば辺りは霧に囲まれて元来臆病な少女はその顔にはっきりと恐怖を浮かべながら不安そうにきょろきょろと辺りを見渡して)

な・・・なに、これ・・・?なにが、来ている、んです・・・?

(周囲にはっきりと感じられる なにか の気配。けれど、それが何であるのか、どこにいるのか。それは感じ取ることが出来ず、ただ周りに恐るべきなにかがいるような・・・そんな気配のみを感じ取り、少女は不安そうに辺りを見渡しつつ、恐怖に怯える身体を抱くようにしながら、おそるおそるといった様子で足を前に出そうとしていくだろう。)

幻鏡の迷宮 > ――静寂

何もかもを飲みこんだ迷宮は己が奏でる音以外の一切の音の存在を許さない、それは犠牲者が生まれた今も同じ、許されるのはその哀れな犠牲者の「声」と足音、そして吐く息、それ以外に許されているのは犠牲者を肉体的にも精神的にも蝕み喰らおうとする迷宮が生み出したる異形が奏でる音だけ。

寒くも無い、ましてや数秒前で吹いていた夜風すら無く、迷宮と化したメグメール(喜びヶ原)街道の一区間はそれこそまるでバケモノの体内に取り込まれた様にその風すら沈黙し、じくり、じくりと汗ばむほどの生ぬるさが生まれて広がっていくだろう。

恐怖が浮かぶ瞳に映るだろう光景はただ真っ直ぐに止むに向かって伸びる街道の地面とその左右を挟む何時も以上に深く歪められた森の木々、その木々を薄らと隠す薄い霧があっても尚街道だけは切りに包まれる事なく、不思議と晴れているちぐはぐが光景、空も同様、月は無く、星々はあるが進めどその位置は変わらないだろう、何にせよ異様な光景を目の当たりにする事になる。

そうしている内に恐怖の香りにつられてか迷宮が解き放つ犠牲者が対応する事が最低限可能であるだけの恐怖と茨、木々の隙間から霧の中より、俗に言う蛇に似た鮮やかな緑色の皮膚をした触手が文字通り蛇の如く身体を左右にくねらせ、街道の地面に紋様を描きながら、その犠牲者の周囲を徐々に囲っていく、走れば逃げれるゆるりとした速度、だが時間をかければそれを少女の足元を周囲を囲み、容易くその逃げ場を奪うだろう。

一つ目の緑色の触手の群れ
どれもが微細な鱗を艶やかな滑りに輝かせ、金色の単眼も同様にギラギラ輝かせ、どれもがじぃっと犠牲者の方を食いいる様に見つめていた。

ユエル > (まるでこの空間を丸ごとぱっくりと大きな何かが丸呑みにしてしまったかのように空気は一変した。
生き物の声も、肌をさす冷たい夜風も、何もかもが消失した。代わりに与えられたのは身も竦む程の恐怖と、生温い空気。不快感すら覚えるそれは、少女の身に迫る危機を更に一層強く感じさせるだろう。

とにかく、この不快感と恐怖から逃げるべく、油断すれば足を竦ませてその場に座り込んでしまいそうな程の恐怖を強引に身体を動かしてその場から離れようとするだろう。この場に座り込んでしまえば楽になれるかもしれない。けれど、その際にこの身に襲いかかるのはきっと、想像を絶する恐怖であることだろう。それが直感として少女には想像できた。だから、例え身体が言うことをなかなか聞いてくれなくても無理にでも足を動かす。その身に迫る恐怖から逃げるために。

辺りに広がる濃霧の中、まるでスポットライトで照らされているかのように街道だけはくっきりと道が見える。それに対して違和感を覚えることは平時であれば出来たのだろう。けれど、極限状態に陥りつつある今ではそれに疑問を持つことは出来ず、ただ誘われるままにその道を歩いていくのだろう。)

――ひっ・・・!

(そして、木々の隙間から蛇のようななにかが群れをなして現れれば少女は身をすくませて、その顔にありありと恐怖の色を宿して、引きつった声を漏らすだろう。その場に縫い留められたかのように足を釘付けにすれば、蛇は獲物を囲い込むように少女の周囲を囲んでいって)

嫌・・・嫌・・・!いやぁぁぁぁぁ!!?

(その絶叫を持って半狂乱状態に近い精神状態で少女は駆け出すだろう。 心臓を鷲掴みにされたかのような恐怖と、あきらかに異質な周囲の状況。そして、見たこともない謎の蛇のようななにか。少女の処理能力を容易くそれは超えていき、悲鳴をあげながらその場から逃げ出すように走っていくだろう。
けれど、半狂乱状態。すなわち、あまり理性というものが働いていないような状態で走り出した結果であるから、ペース配分というものはまるで考えておらず、その場から離れることだけを目的とした疾走。それでいて、この少女は運動能力や体力というものに乏しい性質であるから、蛇を飛び越えてある程度は離れることが出来ただろうけれど、瞬く間に息切れをして、速度を落としてしまうだろう。 蛇が少女の絶叫を聞いて、ひるんでくれればもしかしたら逃げることも可能かもしれないけれど、諦めずに追ってくるならば、あっという間に再び囲まれてしまうだろう。)