2018/04/03 のログ
■シスター・マルレーン > 「刃物の痕、ではないようですし。牙の痕も動物の毛も無いみたいですし。」
その場にしゃがみこんで、ふーむ、と現場を検証するシスター。
こう見えても冒険者としてはそこそこ長い。真面目に視線を送って状況を把握し、仮説を組み立てようとして。
………
「とりあえず先に直してから考えますか。」
どっこいしょ、と立ち上がって持ってきた木の板をあてがい始める。
悩むより動く。せくせくとお日様の下、金槌を振り下ろすシスター。
■シスター・マルレーン > ………つらい。
「思ったより、これ、キツいですね。」
半ばほど終わったところで、ふぃぃ、とため息をつきながら近くの岩に腰を下ろして、ふー、と掌でぱたぱたと仰ぐ。
本当なら胸元から服の中にまで風を送りたいところであるが、流石にはしたない。
胸の周りすごい蒸れるんですよ、と以前口にしかけたが、男性信者の目の色が何か変わった気がするので、口にするのをやめた経緯もある。
まあ、大勢の前に立って話す仕事もある以上、そういう目で見られるのも、……ええ、うん、慣れました。多分。きっと。そうだといいな。
だからまあ、外でそういうはしたないことはしない。
「………腰を早く治さないといけないし、お休みするべきなんでしょうかね。」
強かに打ち付けた腰を曲げながらの作業は、ずきずきとダメージが蓄積されていく気がする。
いやまあ、それでもやります、やりますよ。ええ、きっと主は見ていてくれていますし。
心の中で半ば自棄になりつつ、んー、っと背伸びをして身体を伸ばす。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にエレイさんが現れました。
■エレイ > 「───……あっれー?」
ふいに、場にそんな声が響く。
声の聞こえた方向に振り向けば、シスターの座る岩から少し離れた場所に、
木の板を担いだ金髪の男がぽかんとした表情で突っ立っているのが見えるだろう。
その表情が、程なく少し眉を下げた笑みに変わる。何処か、バツの悪そうな。
「あー……そこのシスターちゃん、でエエのかな? ひょっとしてそこの柵の修理とかしてくれちゃってるんですかねぇ……?」
すたすたと近くまで歩み寄りながら、少し遠慮がちな問いかけを投げかけた。
■シスター・マルレーン > ふぇー? と、少し気だるげに声の聞こえる方に顔を向ければ、木の板を抱えた男性が一人。こちらに歩いてくる姿が見える。
彼女は別に頭が悪いわけでもない。むしろ、その場での瞬発的な思考力は早い方だ。
だからこそ、「その状況」が何を意味しているのか、割と早い段階で当たりをつけた。
「ええ、……街の教会のお手伝いと、冒険者をさせて頂いております、シスター・マルレーンと申します。
……マリー、とお呼び頂ければ。
ついぞこの間、信者の方から頼まれまして。
……もし、正式に依頼が他から出ていたのであれば……
被ってしまいましたね?」
なんて、説明をしながらぺろりと舌を出す。
ええ、何かもしかしたらこっちが横取り的な以下略であったとしたら、愛嬌で誤魔化す。
それしかない。
■エレイ > 「ほうマリーちゃんであるか。俺は謙虚な旅人で冒険者のエレイというのだが呼ぶ時は気軽にさん付けで良い」
彼女の自己紹介を受け、何故かドヤ顔でこちらも奇妙な名乗りで応じる。
続く言葉には、またへにゃりと眉下げた笑みに戻り……彼女の言葉を否定するように、首を横に緩く振る。
「──いや俺様は別に依頼を受けたわけではなく個人的にそこの柵の修理をしようとして来たんだが……
何しろ間接的にとは言えそこの柵をブッ壊したのは俺様だからな。
いやはや、こっそり直しておこうと思っていたのだが時既に修理依頼が来ていたとは迂闊だった感」
そして、頬をポリポリと掻きながら自分が犯人であると名乗り出るのだった。
■シスター・マルレーン > ふんふん、と相手の声を聴いていれば、首を少し傾げて。
「…エレイさん…………改め、犯人さんですか?」
相手の言葉を頷きながら聞いてからの、衝撃的な告白。
思わず二回、三回とまばたきをしてから、問い返す。名前が犯人に変わった。
「何があったんです?
理由によっては、逮捕ですよ、逮捕。」
もー、と少しだけ不満げに唇を尖らせながら、ほれここに座りなさい、と座っていた岩場の隣をぺちぺちと叩く。
■エレイ > 「とりあえず釈明はさせてくだせぇ」
犯人呼ばわりにワハハハ……と困ったように笑いながらそう言って、担いでいた板を地面に置くと
岩の上、彼女の隣にドカッと腰を下ろし。
「でまあ最初から説明するとだな……俺は2、3日前この近くを通りがかり手なんだがそこにたまたま商人の馬車を襲撃するナメた賊がいたんだがああヒーローは常に偶然近くを通り掛かるものだと────」
以後、奇妙に長い上に聞き取りづらい男独特の話し方で詳細を語ることになるので省略するが、要点は以下の通りである。
・2、3日前の夜に数人の賊による商人の馬車の襲撃事件が勃発。
・近くを通りかかった男がそれを撃退。
・その際、殴り飛ばした賊の一人が柵に直撃。柵を破壊してしまう。
・男としては気になっていたのだが、時間がすぐに取れずようやく今日、修理に赴いた。
「────というわけなのだが納得して貰えましたかねぇ?
なので、後の修理は俺に任せてマリーちゃんは全力で休んでくれていいぞ。
一応依頼を受け手ってことだから、修理が終わるまで見届けて貰う必要はあるが……
ってゆーか、なんで冒険者とは言えシスターちゃんがこんな依頼受けてるのかが
俺様的には疑問なんだが?」
今度は男が訝しげな視線を彼女に向けて、そんな問いかけを。
■シスター・マルレーン > 「よろしい、聞きましょう。」
裁判官にでもなったかのように、うむ、と鷹揚に頷く。
あえてオーバーリアクションをする辺り、どうやら堅物ではないようだ。
相手の話を聞いて、聞いて。
元より話を聞く仕事が本業である。何人ほどの? とか 武器は持っていたので? とか。
ちょこちょこ尋ねながら話を引き出す。
その上で、深く吐息をつきながら頷いて。
「………わかります。
暴れると、いろいろ壊れたりしますよね。ええ、良く分かります。
人を救うためであるならば、致し方ない被害というものは………あります。
ああ、私がこんなことを言ったらダメなんですけれど、まあ少しくらいは見逃してもらえるでしょう。」
胸の前できゅ、っと手を組んで、本当の本当に仕方ない時だけです、ええ。と自分で独り言をつぶやくように言い訳を重ねて。
「……いいえ、私が最後までやっておきますよ。
私は少なくとも対価を頂いているわけですし。……あー、まあ、もっともな疑問だと思います。
教会はたくさんの人を抱えております。
それこそ、人々の善意だけでは賄いきれないほどに。
であれば、冒険者として人々を救い、信仰だけではなくお互いに助け合う関係を作っていこう、というのが、私の所属している教会の考え方。
その際に「正しく人助けの依頼であれば、選り好みせずに手を差し伸べること」という方針がありまして。
どんな小さな物事。向き不向き。それらを考えることなく仕事をしているのです。
……建前では。」
胸の前で手を組んで、祈る仕草をしながら流れる水のように話をして、ぺろりと舌を出す。
■エレイ > 連々と話す中でも、男は彼女の疑問には律儀に答えていた。
賊の人数は6、7人ほど。
全員武器を所持していたが、丸腰の男に傷一つ与えられず這々の体で逃げ出した、らしい。
少々荒唐無稽というか、盛っていると思われても仕方がないかも知れない。
「……。ひょっとしてマリーちゃんもそういう経験ある系の話が?」
どことなく、ではあるが。
自分と共通するものを感じたのか、首を傾げて問うた。
「────……。なるほどなという顔になる。建前でも律儀にこなす辺りマリーちゃんは真面目サンですなぁ。
それともなんか他に個人的な目的でもあるのかな?」
彼女の口から流れるテンプレ文章を頬杖突いて聞き流した後、舌を出した表情を見て
小さく笑いを漏らし。
それから、問いかけつつ少し上肢を傾け、彼女の背後の辺りを覗き込むようにして。
「……まあ普通なら人のやることにどうこう言うつもりはないが……今キミ、腰かどっか痛めてんじゃねーのかね?
若くても無理は禁物よ?」
さらりと、彼女の抱える不具合を言い当てた。
■シスター・マルレーン > 「いやー、ついつい荒事になると力が入ることってありますよね?
こう、怪我させずに投降させるために、あえて壁を壊したりとか、そういう……」
経験が、なんて聞かれてしまえば、あははははー、と笑って返す。
だって説法だけではどうにもなんないんですもん。
「私は言われた通りにがんばるだけですよ。
例え根っこに他人の権力欲が流れていようと、目の前の人を助けるということに関しては嘘偽りのない事実ですしね。」
肩を軽く竦めて笑う。
権力闘争のコマであることは薄々分かっているが、それを嘆いても仕方ない。
本音をさほど隠し切らずに、自由に笑うシスターは、確かに冒険者の自由さを感じさせるもの。
「……う、鋭いですね。
昨日は慣れない屋根の修理をしまして。 こう、梯子がみしっと………。
いや腐っていたんですよ? 重いとかではなく。」
目を僅かに見開いて驚きつつも、自分の失言を必死にフォローする。
ええそりゃあフォローしますとも。
■エレイ > 「やはり物理タイプだった。壁までブッ壊せるとはちょっと想像を超えていたが……」
返答にくっくと可笑しそうに笑って、おおこわいこわい、と対して恐くもなさそうな顔でワザとらしく恐がってみせ。
「なるほど限られたルールの中で勝利条件を満たしてゆく感じか。
マリーちゃんは実に気持ちのいい性格してますなあ」
ワハハ、と軽く笑いながら、気安く肩をポンポンと叩く。
シスターとしてはらしくないのかもしれないが、人間としては非常に好感が持てる。
男はそう思った。
「俺ぐらいの実力者にもなるとちょっとした挙動を観察するだけですぐにばれる。
ふーん……まああどのぐらいの高さから落ちたかは知らんが、そこまで深刻なものではないようだったな。
……だがそれも安静にしていればの話という意見。無理して腰に慢性的な不具合抱えたら、
キミの言う人助けもままならんぞ?」
肩に手を置いたまま、少し真面目な表情で彼女の身体を眺める。
それから不満げな視線を向けてそう告げて。
「ちなみに……シスターちゃんなんだったら、治癒系の術とかは覚えているのかな?」
■シスター・マルレーン > 「素手ではないです。やめてくださいねそういう風評被害。
こう、怪我する人が出ないようにって考えた苦肉の策なんですから。」
肩をぽんぽんと叩かれながら、苦笑を浮かべて。
孤児院の子供達に七十回くらい破壊神と呼ばれた記憶が蘇る。
シスターが神様とはこれ如何に。
「褒められました。……褒めてるんですよね?
……街の教会の方は、私よりももっともっと気持ちのいい方ばかりですよ。
本音と建て前を使い分けませんし。」
なんて、ぺろ、と舌を出していたずらっぽく笑う。
「ま、そういうのは多分大丈夫、だとは思うんです。
治癒の術はあるんですけれど、こう、………私、どうにも地味で。
怪我を一発ですぱーん、と治すものは苦手なんですよね。
こう………じりじり治っていって、いつの間にか完全回復? それが、普通に治すよりもよっぽど早く来るイメージです。」
腰を自分でとんとんと叩いて、んー、っと伸びをして。
「まあ、痛むは痛みますけど、癖になるほどではない、かな……?」
首を傾げながら、心配されていることは分かるので、大丈夫じゃないかなー、なんて軽く返す。
■エレイ > 「いや素手でなくても充分だと思うんじゃが……」
素手ではないということは、近くに見えるあの木の棍棒だろうか。
うん、それでも壁を叩き壊せるなら常人視点からなら充分ヤバい。
「見事な褒め言葉だと感心するがどこもおかしくはないな。
ほう、つまり破戒僧の集団と……」
彼女の悪戯っぽい台詞を、あんまりにも穿ち過ぎな解釈をして一人ウンウンとうなずいた。
「──ほう、治癒すると言うよりは治癒速度を高める感じか。まあそれでも充分。
実は俺は人の生命力を高める超パワーを持つ特殊な波動を使い手なんだが
それを流し込んだ状態で治癒系の術を使えば効果が跳ね上がる系の話があるのだよ。
なのでちょっと試しにやってみたまえ。
そのかわり……そのカッコだと、ちょっと余計に暑く感じるかも知れにいがそこは勘弁」
なんて大雑把な説明をして、肩に置いた手にぐ、と力を込める。
そこからぶわ、と彼女の身体の内側に、太陽の暖かさとともに不思議なエネルギーが流れ込む感覚が伝わるだろう。
そして……今は晴天な上、彼女の服装は通気性のよろしくない修道服。服の内側の蒸れっぷりも、些か加速してしまうかもしれない。
しかし、男の言うとおりに治癒の術を使えば、その効果は普段の数倍になるはずで。
■シスター・マルレーン > 「ホントやめてくださいね。そういうの五月蠅い方も山ほどいるんですから……。」
あ、これは怒られるやつだ、と瞳から光が消える。
なんやかんや、お手伝いはしていてもよそ者である。そういう苦労は尽きぬもの。
「波動ですかー? いやまあ、そう仰るなら受けてみますけれど。」
訝し気な表情を見せるも、はいはい、と素直に受ける。肩に置いた手に力が入っても、特に気にせず……。
「…………なるほど?」
理解をする。理解はするが。
「………これ、私の能力との相性はあんまりよろしくないですよね。
治るまでずーっとこうしてたら、夜になっちゃいますよ。」
身体がぽかぽかと暖かくなるのは良く分かる。
痛みも治まってきたような気がする。頬に朱が刺し、汗がたらりと流れ落ち。
……一人蒸し風呂という稀有な状態の中、ちょっと、と手を抑えて。
「……先に直しましょう?
これ、私ぶっ倒れます、多分。」
傷の痛みは消えたが、暑さで体力は削れてしまった。ぜーぜー。
■エレイ > 「別にンなこと誰にも言いふらさないから安心すろ」
光を失った眼差しを見れば、苦笑しながら肩をすくめてみせ。
「──ふーむ……これでも時間がかかってしまうか。じゃあ……こうして……」
どうも波動の力をもってしても治癒速度の劇的な向上には繋がらないらしい。
仕方がないので、波動で彼女の気の流れに干渉し、痛む部位の乱れた流れを整えてやる。
これで、だいぶマシになったはずである。
「……うむ。とりあえずはこんなモンかな、すまにいな。
俺的には、マリーちゃんのちょっと色っぽい姿が見られて役得ではあるがな。
なのでジュースを奢ってやろう」
すっと肩から手を離し、少し火照った様子の彼女の顔を眺めながら楽しげにそんな事をのたまう。
そして、バッグからオレンジ色の液体の入ったビンを取り出し、彼女に差し出す。
手に取ればそれは良く冷えていて、飲んで見れば中身は柑橘系の果汁だとわかるだろう。
■シスター・マルレーン > 「こう、元が地味なので、二倍にしてもゆっくりなんですよ。
んん………。 ………すみません、ありがとうございます。
お礼に、壊れた理由はイノシシがぶつかったことにしときますよ。」
なんて、片目を閉じてウィンクしながら、人差し指を自分の唇に当てておく。
内緒内緒。黙ってれば分からないものである。
神様は見えているでしょうけれど、理由も理由だし、見逃してくれるでしょう。
実際に痛みは消えたので、よし、とばかりに立ち上がる。
……というか、暑いから動かないといられない。
「いーんですよ、自分のミスですし、こういうのを抱えながらいろいろこなすのは慣れてますから。
………って、やめてくださいよ。 暑くなっただけなんですから、そんなの訓練場に行けばたくさんいるじゃないですか。」
身体が暑い頬の赤さとは違う赤さも混じって、ちょっとやめてくださいよ! と目を回す。
湯だった頭で恥ずかしいことを言われれば、もー! と言いながらそのジュースを受け取って口をつけて。
爽やかな香りが心地よい。
■エレイ > 「いや、別に真実を言ってくれても何も問題はないのだが……まああせっかくの厚意なので謙虚な俺は受け取っておくだろうな」
お礼に、と言われて少し目を丸めるも、ふ、と肩の力を抜くように笑うと
彼女の厚意に甘んじることにしておいた。
「訓練場で汗かくコも確かに悪くないのだが、マリーちゃん中々スタイル良さそうだし
想像が捗ると言うか……胸元とかは特に蒸れているのではないのかね?」
ニンマリとスケベそうな笑みを浮かべてそんな事を抜かしながらジュースに口をつける彼女の
胸元を覗き込んでみたりして。
「──さて、じゃあカカッと片付けましょう。一人では手間が掛かるが二人ならすぐ終わるはず。こう見えて俺は木工スキルもかなりたかい」
そして、ジュースを飲み終える頃合いを見計らって、男も立ち上がり手伝いを申し出る。
ドヤ顔で自分のスキルも自慢したりしつつ、彼女がそれを受け入れれば一緒に修理作業に取り掛かってゆくだろう。
そうして男手の加わった作業は、おそらく夕方までには終わったと思われる────。
■シスター・マルレーン > 「………それ以上言うと、やっぱ逮捕しますよ。」
腕で胸を隠して顔を真っ赤にしながら、ジト目で睨む。
胸元を覗き込まれれば隠すも、腕で豊かな胸は潰れるのが見えるかもしれない。
「そうですね、それではさくっと終らせるとしましょう。
でも次言ったらここに打ち付けて帰りますからね。」
全くもう、と不満そうにしながらも、お仕事は一生懸命。
きっちり直せば、ゆるりと街へと帰り道。
……日が変わるまでに帰れたのだから、今日は良いことありました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からエレイさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からシスター・マルレーンさんが去りました。