2017/11/09 のログ
ノウブル > ―――……そうなのか、そう言う仕事か…それとも鍛冶屋か。
…腕の良い鍛冶屋が常に居れば良いが、そうも行かないからな。
其れに、俺のは武芸と言う程、高尚な物じゃない。

(狩りの際、討伐の際、或いは旅の途中
付きっきりで居てくれる訳ではない鍛冶屋に、頼れない場所では
武器の手入れと修復は、自分で行う必要が在っただけだ。
無論、鍛冶の専門職に腕で適うとは思っていない
彼女の視線が此方へと向けられても、別段気にするでもなく。)

珍しいか? ……女で興味を持つのも珍しいがな。

(未だ、其の視線が向けられたままなら
そんな風に問いかけながら、ふ、と笑むだろう
未だ、街までは距離が在る。
一本道なら決して辿り着けない訳ではないが
――追い越して行ける筈の歩む速度を、女へと合わせながら)

ノーラ > 「私、街で家族ぐるみでお店をしてるんです。
鍛冶もしますし、裁縫も好きですし、錬金術も面白いですし、木工も時間を忘れてしまいますよね。
でも…大分使い込んでいらっしゃいますよね?」

武器のことは分かるけれど、戦闘技術のことはよくわからない。
だからただ、使い込まれた武器をみたら相当な腕なんだろうと漠然と思うしか出来なくて。

「こんな大振りな物はなかなか見ないですから…
手入れも大変じゃありませんか?」

これだけの物では、もし持ち込まれたら本職の自分でも少し時間を貰うだろう。
そう思いながら、変わらない速度でてくてくと歩を進めていく。

ノウブル > ……成る程、商人と言うよりは物作りの家系か。
そうだな…狩りを始めてから、ずっと変わらない。
壊れて、直して、壊れて、直して…そうやって、ずっと使っている。

(――良く冒険者たちが使う表現ならば、相棒、に値するだろう。
次は壊れぬ様に、何度も何度も修理と鍛ち直しを繰り返して
そして今の様な、普通とは掛け離れた形状に至る。
隣を歩む女へと、ふと、視線を向けたなら
其の背中に負われている鉱石の欠片をひとつ、叶うなら手に掴んで)

……良い石だ。
この辺りの採掘場所には疎くてな…最近自分で直すのも苦労する。
鍛冶屋をしてると言ったな? ……なら、これの手入れも頼めそうか?

(ひとつ、問うて見ようか。
幾ら鍛冶の技能が在るとしても、材料に事欠いては無理だ。
或いは、この獲物では受け付けられないかと、其の顔を見やって)。

ノーラ > 「はい。ずーっとそうらしいですよ。
大事にされてるんですね、その子達もきっと喜んでますよ」

同じ武器にも色んな顔がある。
そう思っていれば、武器を人間かのように言ってみせる。
籠へと手を伸ばされれば、特に何か反応するでもなく。

「そうでしょう?祖父は拘りが強いんですよ。
個人ででしたら、材料は買うほうが楽でしょうけど割高ですものね…。
かと言って、精錬も楽ではありませんし…。
こちらですか?少しお預かりすることになると思いますけど…それでも宜しければお受けしますよ」

余程の物でなければ、無理とは言わない。
断ってしまえば、その客は二度と来なくなってしまう。
そう教育されたこの女性が、依頼を断るわけがなかった。

ノウブル > ふ…散々壊しておいて、大事にされてると思うは怪しいがな。
今更手放す心算もない、大事な物に違いは無いな。

(――武器を、唯武器と考える事も在る。
だが、こうして穏やかな時間を過ごす時は、女の言う様に
長くを過ごしてきたこの獲物が、相棒であると思う事も在る。
小さく口元を緩めれば、修繕を引き受けるという女へと頷いて
――其れから、ふと、頬に当たる冷ややかな粒に、頭上を見上げた

ぽつり、ぽつりと、落ちて来る雨粒。
見れば先刻までの僅かな曇り空は、雨雲に近しい厚さとなっていた
程なくして雨も次第に強まる気配を見せ――故に、ふと辺りを見回しては
街道の近くに位置する無人の小屋を、指し示して見せ。)

街まで急ぐか? 無理をしないなら、雨宿りは出来そうだが。

(どうする、と、女へと問いかける。
背負っている荷物は鉱石だから、別段雨に濡れて困るという事は無いだろうし
急ぎの荷物であるなら、其れも致し方ないとは思うが
もし女が雨を嫌うなら、共に小屋まで早足で進もう)。

ノーラ > 「使われないで飾られているよりも、本望だと思うんです。
私達鍛冶師も、使っていただくために打っているんですから…」

勿論、ただ作って売るだけの鍛冶屋も居るだろう。
でもこの女性は、客のために仕事をする。
修理にしろ新調にしろ、命を預かるものを扱っていると思えばこそだろうか。

そんな話をしていれば、ぽつりと頬に当たる雨粒に空を見上げた。
ただでさえ暗い空は、雲に覆われて星どころか月すら見えない。

「うぅん……あまり遅くなると心配されてしまいそうですけど……
でも無理をして大雨になってしまったら大変ですね…」

少し考え込むと、家族を心配させたくはないが万が一これ以上ひどくなった時の事を考えた。
街についたら一仕事待っているのに、風邪でも引いたら大変だ。

ノウブル > 飾られる為に存在する武具も在るだろう、其れもひとつの役割だ。
使う為に作られた武具が、飾るだけになってしまうのは惜しいが、
其れでも、武器なんてものは、使われないに越した事はない。

……まぁ、鍛冶屋は其れだと困ってしまうだろうがな。

(武器が使われるという事は、血が流れるという事だ。
そうならなければ、きっと其れが一番良いのだと、己は思う
ただ、其れと女の言う言葉は又、少し意味合いは違うだろう
鍛冶屋にとって、最高の作品を飾るだけで眺めるのは確かに本望ではない筈だ
其れは其れで理解出来る、故に、女の言葉も否定はせず、頷いて見せ。)

道もまだ距離が在るからな、濡れたままでこの時期歩くのは辛いだろう。
……嗚呼、急いだほうが良いな、降るぞ。

(――急に、水の気配が強くなった。 雨粒の落ちる間隔が急に短くなり
合わせて、女へと急ぐように促すと同時、まるで通り雨めいて一気に、雨脚が強まるだろう
小屋は扉を開けば、恐らく旅人や行き交う人々の休憩所の様になって居るのだろう
駆け込む様にして中へと入り込めば、女を招いて中へと進ませ。

きっと、其の頃にはお互い、大分濡れてしまっていそうな)。

ノーラ > 「それはそうですけど…。
…確かに、それはそのとおりだと思います。」

武器など必要ないことが、本来なら一番いい。
だが人間が辿ってきた歴史を鑑みるに、それは難しいのだろう。

「はい…っ!」

急に強くなる雨に、慌てて小屋へと駆け込んで。
雨宿り以上のことは何一つ考えないまま、中へと入っていった。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からノーラさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からノウブルさんが去りました。