2017/08/25 のログ
■カタナ > 今宵も今宵とて退屈で味気ない護衛の仕事。それも終えれば補修を受け取り、後はまた戻るだけ。
「……なんじゃが、これはもう野宿かのぉ」
閉じた瞳で夜空を見上げれば、月明かりが小憎たらしい程にぼんやりと、だが輝きを発している。
そうして街道を独り、急ぐでもなくそれでいて遅くも無い。ついでに足音一つ立てず歩いていれば。
「……おや?」
閉じた瞳を薄っすらとだが開く。これはまた…何というか、王国近辺ではあまり感じぬ類の気配だ。
少なくとも、この飄々とした男にとってはそうだ。
だが、立ち止まる事も無く、そのまま流れる水の如し足を運び。やがてその街道沿いの岩の辺りへと差し掛かろうか。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にカタナさんが現れました。
■天姫 >
「来ぬ馬に想いを馳せてもしょうないな。
草原に照り映える月見酒と洒落こむか」
自問自笑
ちゃぷんっと音を立てて酒瓶を腰元へ戻す
──座り込んだ鬼子の姿はどこからどう見ても無防備で、
足を運ぶその気配にも気づいた様子なく月を眺めている
油断か慢心か、それとも豪胆か
■カタナ > 「………ふむ。」
薄っすらと開いていた瞳をまた閉じる。心眼…珍しい技能でもない。
ただ、目を閉じていても凡そは分かる。この気配、何ともまぁ…。
(…まさか、道すがら『鬼』と遭遇するとは思わなんだ…獣や野盗に慣れすぎてるからのぉ)
一見するとその鬼は無防備にも見える。実際、斬りかかろうと思えば既に間合いだ。
(…いかんなぁ、悪い癖じゃて。ともあれ)
その豪胆?さを見習うとしよう。スタスタと無造作にそのまま鬼の方へと歩いていき。
「――月見酒とは洒落ておるなぁ、鬼の御仁」
と、朗らかに笑って堂々と声を掛けてみようか。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にカタナさんが現れました。
■天姫 >
「──!」
ぴくん、反応する浅黒の鬼
声のかかったほうへと顔を向ければ月の朧げな光が照らす
「応、…人間か?
このような時間に暗闇の街道を歩くとは、鬼にも遭うというものぞ」
言葉を返し、からからと嘲笑う
「旅人か?馬は…もっとらんようじゃなぁ」
■カタナ > 「見てのとおり、ただの人間じゃよ。ちょっとだけ剣の腕に自信がある程度じゃな…ふむ」
飄々とした切り返し、件の鬼の娘との距離は5メートルを切っていた。一度ゆるりと歩みを止めて。
「…んや、儂は一介のつまらぬ用心棒じゃよ。しかし馬か…王国に向かう途上、かの?」
そう緩やかに尋ねながらフと月を見上げる。ああ、これを肴に酒は普通に美味いだろうな、と。
そうして閉じた瞳を鬼の娘へと戻す。目を閉じていても大まかにその姿は分かる。
「…まだ居るかは分からぬが、馬の心当たりなら無いでもないぞ?以前、この近辺の野盗を潰した時に連中が使っていた馬を放置したからのぉ。
逃げていなければまだ近辺にいるとは思うが」
カラカラと笑う。どのみち馬が近くにいるとは限らない希望的観測だが。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にカタナさんが現れました。
■天姫 >
「ほう、お主剣士か」
そう聞けばにやりと笑う
「如何にも。帝都の武人にはよう飽いたのでな。
王国には多くの手練がいるというはないか。
用心棒を名乗るお主も、その一人ではないのかの?ん?どうじゃ?」
もう一度酒瓶を口につけ、ふぅーっと息を吐く
そしてゆっくりと立ち上がる───立ち上がってみればその体躯はいっそうと小柄に見えるだろうか
「ふうむ、とすればこの辺りを散策してみるのも良いかもしれんの」
■カタナ > 「ああ、これくらいしか取り柄のない脆弱な人間じゃからなぁ。これで生き抜いてきた」
腰に下げた古びた刀をポン、と軽く叩いてみせながら朗らかに笑う。
彼女は矢張り王国に向かうようだ。帝都…成る程、と納得したように頷き。
「…そうさな。少なくとも雑魚ではないとは保証するでな。流石に鬼の御仁と遣り合った事は無いが…。」
と、立ち上がった鬼の娘…その小柄さに内心で思ったよりも小さいのだな、と呟く。
が、見た目で判断するのはそれこそ愚の骨頂である。
「ふむ、まぁ儂も王国に帰る途上じゃて。馬を探しがてらの散策なら付き合おうか。
何せ独りじゃつまらぬでなぁ」
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にカタナさんが現れました。
■天姫 >
「呵呵。
異なことを言う。脆弱な者は剣に縋ったとて生き抜けぬ。
むしろ剣から離れることで生き延びるものじゃろうに」
言いながら、側へ転がした刀と言うにも大きな牛切包丁のようなものを持ち上げる、が……
「…ふむ?付き合う?
………ふーーむ…?」
ひたひたとカタナの近くへと歩み寄ってくる鬼
互いの姿がはっきり見える位置まで歩み寄り、見上げる
「お主、畏れぬのか?小兵とはいえどう見ても本物の鬼ぞ、妾」
■カタナ > 「――無理じゃな。”コレ”が儂の命、魂…その全てよ。自ら手放すなど自殺でしかないさね」
刀を腰から外し、彼女へと緩く掲げてみせながら…穏やかな表情で、しかしそう言い切る。
己を捨てて、平穏に生きるなど…ただの屍だ。それは御免被りたいというもの。
(…しかし、あの獲物…まともに受けたらそれこそ刀ごと真っ二つじゃなぁ)
鬼の娘が持ち上げたのは、どう見ても刀…いや、そもそも巨大な包丁の類にしか見えぬ。
と、彼女が近づいてくれば、恐れるでも警戒するでもなく自然体で佇んでおり。
「いいや、畏れ?むしろその逆じゃな。本物の鬼ならば光栄じゃ。
…矢張り畏れた方がいいのか?」
瞳を開いて、ジッと見上げてくる鬼の娘の瞳と視線を合わせる。
裏表なんぞ無きに等しい不器用者。言葉に嘘偽りという賢しい真似は無く。
■天姫 >
「ふーむ、剣に命を賭す者の名、聞いておきたいものじゃ。
しかも妾を畏れるどころかあえて光栄であると?」
不思議そうに首をかしげる様子はどこか幼げでもあり
「天鐘争城雨月之刀鬼。
八卦の山ではそう呼ばれた。他の鬼どもは天姫などと呼んだが。
……王都のほうでは鬼は畏れぬものなのかの」
文化の違いというやつだろうか、と
地面にどかっと突き刺した得物にもたれるようにして左手を顎に当て考える
■カタナ > 「ああ、鬼と剣を交え、酒を酌み交わす。そういう経験が無いものでなぁ。
畏れ、どころかむしろそんな欲や好奇心というものしか沸かぬでな。
…ああ、カタナという。これそのものじゃな。一応、『群雲大蛇』という古い名前もあるが…カタナの方が良い」
本来の名前よりも、今のただ一振りの刃の如き名前の方が己らしいと笑って。
「……多種多様な種族がひしめく王国では恐れる者は少ないかもしれんのぉ。
少なくとも――天姫殿の思っているよりかは恐れを知らぬ者が多いと見るが」
トン、とこちらも鞘に収めたままの刀を地面に杖の如く立てて笑う。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にカタナさんが現れました。
■天姫 >
「カタナ?くふ、カタナとはまた。
剣に魂を賭ける者には相応しき名よな。では憶えておこう、カタナよ」
どこか嬉しげに眼を細め、牙を剥いて笑う
「呵呵…こちらから言い出そうかと思っておったが、
そちらもそういった心づもりが多少なりあるのならば遠慮はいらぬなあ?
終わりを迎えた後に酒が飲めるかどうかは、知らんがっ!!
笑みは獰猛なものへと代わり、寄りかかっていた得物の柄を掴むや否や、その場で旋風が如く振り回す
「成程、鬼の恐ろしきを知らぬ国ならば知らしめてやるもまた面白かろう!」
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にカタナさんが現れました。
■カタナ > 「それは光栄じゃな――ならば、儂も天姫殿…鬼の凄みをしかと覚えておこう」
それは、つまり――。杖の如く立てていた刀を左手一本で持ちながら緩く腰を落とし、構える。
彼女ほどではないにせよ、その笑みは似たような――闘争を愉しむ者の笑み。
「遠慮などいらぬよ。これも何かの縁…ならばこの一戦に心血注ぐのみ。
――フッ、そこは気張るとしよう。鬼と酒を酌み交わす欲も捨ててはおらぬでな!」
旋風の如く荒れる大包丁。閉じていた瞳を見開いてハッキリ彼女の姿を見た。
「――群雲大蛇、否――カタナ。一手お相手願おう!!」
――そして、一足で間合いを詰める。次の瞬間右手が閃き、鬼の体…頑強であろうがかまわぬ、と。
真正面からその首を横一文字に切り飛ばさんとする!!
■天姫 >
「呵呵ッ、疾いな!!」
紅の瞳が更けた夜に爛と輝く
一文字に放たれた一線はまるで木の葉払いのように振るわれた大包丁に弾かれ火花を散らす
隻腕、その大得物を短刀が如く振り扱う様は文字通り鬼神が如く
「くふふ、此方も───参るぞ、参るぞ、参るぞっ!!」
昂ぶりを抑える気もなく、剣筋など単純この上ない、ただただ重く鋭い一撃を縦横無尽に放ち、カタナへ向けて進撃をはじめる
切っ先が岩を裂こうが地を砕こうが一切気にすることなく
風を唸らせ乱雑に、斬撃を身にまといその身を踊らせ突撃する──
■カタナ > 「…嗚呼、そうだ…これだ。こうでなくてはなっ!!」
これが鬼か…これが鬼か!!爛々と、鬼と呼応するように月明かり、緋色の瞳が生き生きとした光を映す。
火花散る一閃、防ぐは大包丁。隻腕隻眼、それがどうしたと言わんばかりの。
「……ああ、受けて立つしかあるまいよっ!!」
昂ぶりは隠し切れない。抑えようとしても笑みが零れ落ちてしまう。
…防御は無駄だ。ならば回避…それだけでは足りない。
剣筋が単調であるのが幸いか、それを見切り鋭く重い暴風の太刀筋を紙一重でいなしていく。
時に、しゃがみ、時に跳躍し、時に体を傾け。あろう事かこの人間(ばか)は――
「…真っ向勝負、命がけ。それもまた良し!!」
唸る暴嵐に木の葉の如く、頼りなき人間が立ち向かう。
その斬撃は鬼と比べれば軽く、だが…速い。相手が10ならばこちらは20の斬撃。
かろうじて、いやただの馬鹿であろうが…その突撃をいなしながら、だが”逃げない”。
■天姫 >
「逃げずに舞い来るか──其の意気や好し、じゃな!!」
まるで勝手の違う互いの得物
それらが縦横無尽に走り抜け、時折火花を散らす
鬼の反射神経は増えた剣閃を捉え、打ち払う
──が、当然埒が開かぬを善しとする性格であるわけもなく
「はははッ。
月夜に鉄火、闇夜に銀閃!映えも映える!のう!!」
その身を踊らせ、一瞬の溜めを作り出す
そこから繰り出す一撃は……振り下ろす、ただ其れだけ
しかし放たれた其れは人知の外に在り
着弾した位置が大きく"爆ぜる"鬼力の為せる馬鹿げた一閃───!
■カタナ > 「鬼と戦える機会など、そう何度もあるものでも無いのでな!!
ならば、真っ向から打ち合うも一興であろうよ!!」
無論、膂力も打たれ強さもあちらが上ならば不利はこちらか。
勝るとすれば速度、そして技量のみ。それでも、時々火花を闇夜に散らしながら打ち合う。
真っ向から受ければ圧し折れる故に、受け止めた瞬間に刃を捻り威力を逸らす。
一歩間違えれば刀ごと圧し潰される。そんな綱渡りを先ほどから何度も続けている。
が、流石に本物の鬼。その反射神経は伊達ではない。速度と手数では埒が――
「……来るか、鬼の一撃が!!」
喜悦の声を漏らしながらも、その緋色の瞳は逸らさず鬼を見据える。
――呼吸を整え、全身の血流を促進し、筋力を瞬間的に引き上げる。
だが、これではまだ足りない。ならばどうするか…。ギリギリまで引き付ける!!
「――ぬっ…ああああああ!!!」
僅かに身を捻り直撃を回避、だが着弾した一撃が爆ぜて地面を砕き飛沫を撒き散らす。
――それを利用し、全身ズタズタに石の飛沫に刻まれながら背後へと回り込み。
「―――参る。」
声は静かに、だがその熱は隠さずに。瞬間、強化された筋力と反射神経。
鬼の背後から無数の斬閃を飛ばす――斬る、切る、伐る…切り刻む!!
全身から薄っすら血飛沫を舞わせながら、しかし人間(ばか)は止まらない――!
■天姫 >
「───!」
地が爆ぜる直前
傷つきながら逃げた───否
「…小癪!」
地に刳り込んだ刃、その柄を手放し背後を振り返る
剣を手放さねば間に合わない
瞬時のその判断は正しく、鬼の反射神経は即座に追撃を放つ
無数の剣閃が瞬時に鋼鉄化された腕によって弾かれ、爪撃が放たれる
金属が打ち合うような激しい音と火花による閃光を無数に放つ中
「くぁ──ッ?!」
一閃がその肩口を切り裂き、爪撃が止まる
■カタナ > 「……っ!!」
即座に大包丁を手放した相手に、瞬間的判断力も優れているのだと再確認。
だが、こちらも止まる訳にはいかない。筋力と反射神経の強化は時間制限がある。長くは持たない…!
「…ぐ…っ!?」
無数の剣閃と鋼鉄の黒爪の応酬。ぶつかりあい、弾かれ、火花を散らし。
交わしきれずに顔面を斜めに爪で裂かれ、視界が片方血で染まり見えなくなる。
(まだ、だ――!!)
こちらの一閃も彼女を捉え、その爪撃が止まる。だが、こちらの強化も限界だ。
全身から急激に力が抜け始め、右手の刀を取りこぼし…
「…んぐっ!!」
咄嗟に刀の柄を口で強引に咥え…狙いも何もなく鬼の娘へと一閃。これが当たれど外れれど…
その後は男は一時的な強化が解除されて地面に倒れこむだろう。
■天姫 >
「がッ──」
一瞬月が雲へと隠れ、街道が闇に沈む
その刹那に聞こえたのは鬼の悲鳴
再び月の光が街道を照らした時には
「……二つ負うとは、久々じゃな」
左肩から胸元にかけて二筋の切傷
血が薄白の装いを赤く染めてゆく
「見事。この傷の主の名、悠久忘れることはない、ぞ」
偉そうに雄弁する鬼も、言い終わるとその場へと崩折れた
「王都にはお主のような剛の者が大勢おるのか…?
益々愉しみになってきたのう……」
■カタナ > 「……流石に…人の身で鬼と打ち合うにはちと無理があったかのぉ」
倒れ伏しながら呟く。本来、カタナは技量と速度で戦うタイプ。
鬼とほぼ真っ向から斬り合うスタイルではないので当然肉体への負担も大きい。
更に、呼吸法で高めた筋力や反射神経も、長時間駆使した反動で今はご覧の通り。
全身あちこちを石礫でズタズタにし、顔面を爪で裂かれて流血しながら。
だが意識はしっかりとある。無様にここで己の意識を手放すものか、と。
「……それは…光栄じゃなぁ。天姫殿に…鬼に認められるというのは、剣に生きる者として誉れじゃて」
倒れながらも楽しげに笑う。呼吸が苦しくて少し咽ながら。
と、何かが倒れる音が…どうやら、彼女も倒れこんだらしい。
「…いやいや、儂より強い者は沢山おるじゃろうなぁ。剣だけは誰にも負けるつもりは無いが」
そこだけは言い切る。異能も魔術も特別な武具も無く…しかしそこだけは譲らぬと。それがカタナという男の矜持。『剣鬼』の誇りだ。
■天姫 >
「人と正面から打ち合って倒れるとは妾もまだまだじゃ。
しかしまだまだということはまだ強うなれるということでもあるな、うむ」
どこか満足げな声を仰向けに月へと向けて
「善き哉善き哉。
それでこそ迷いに迷って八卦の山を降りた甲斐もあろうというもの。
───さて」
もぞり、と上体を起こす
「約束があったのう。
酒を飲む元気はあるか?ん?」
此方も大概な怪我ではあるものの、やはり根底の体力の差か
その声にはまだまだ余裕を感じさせて
■カタナ > 「…うむ、儂もまだまだ強くなれると確信した。矢張り強者(つわもの)との戦いは得るものが多い」
そして純粋に楽しい。また彼女とは命懸けの闘争をしたいものだと笑って。
「……応、何とか。これでも多少は回復には自負があってのぉ…痛つつ…」
全身ズタズタな傷は、まぁ大した事ではない。擦過傷とか細かい傷と流血だけ。
顔面の爪痕の如き斜めの傷は流石にアレだが…布でも巻いて止血すればいいか、と。
懐を漁る…しかし止血できる布が無い。仕方なく、和装の羽織を一部千切って顔に斜めに巻く。
片目が塞がってしまうが致し方ない。そこで一息ついて、改めて天姫を見る。
「…さて、では改めて月見酒と行こうかのぉ。あと、天姫殿が王国に着くまでは儂も同道するぞ」
と、結構ボロボロだが楽しげに『剣鬼』は笑って。馬探しと道案内。人と鬼の道中も一興だろう、と。
■天姫 >
此方はと言えば流石の鬼の命力か
肩口から走った傷は既に皮膜張りかけ、血も乾きはじめている
「ほう、案内してくれると?
くふふ、それは重畳。街道に添って適当に歩いておっただけ故な」
それも移動は夜間のみ
昼間に鬼が堂々歩くなど趣も何もない
…馬に遭遇しないのも当たり前と言える
「小洒落た猪口なぞないぞ、ほれ、飲るがよい」
言うが早いか古びた酒瓶をぽぉんと放る
あれだけの剣戟の嵐の中で割れもせず…守っていたのかもしれないが
中身の酒はシェンヤンの酒なのだろうか、強い香りと度数がありそうな辛口の一品である
■カタナ > 「……流石は鬼じゃなぁ。傷が塞がりかけておる」
その生命力、回復力は素直に羨ましい。だがカタナはあくまで人間だ。それは無理な話で。
「…うむ、それでは相当の日数が掛かる上に間違った方角にいつの間にか進んでそうじゃのぉ」
僅かに乾いた笑いを浮かべながら、おそらく馬探しはこちらががんばる事になりそうだ、と。
「…おっと。これは…む、この香りと強い酒気…シェンヤンの一品か」
放られた酒瓶をしっかり受け取れば、その中身をまずは確認。
辛い物は苦手な男だが酒は別だ。早速、恐る恐る…ではなく豪快に一口。
「……っ~~…おぉぉぉ…これは…中々…!」
度数が高いのが嫌でも分かる。だが味はむしろ好ましい。
もう一口煽ってから、天姫へと酒瓶を軽く投げ返す。
■天姫 >
「じゃが傷は残る。
この腕も元には戻らぬし眼も戻っては来ぬ。
しかし妾に傷を齎した者の名は全てを憶えておるぞ」
どこか得意げに語る鬼
カタナの飲みっぷりを見ればぱしぱしと膝を叩いて嬉しそうな様子を見せる
「うむ、古酒じゃが鼻に抜ける良いモノじゃろう?」
投げ返された酒瓶を受け取ってこちらも呷る
「血が止まったら月夜の酔いどれ散歩と行こうではないかの。
夜明けまでに王都につけるかのう、無理か。くふはは」
豪胆なれど少女のような可愛らしい笑い声をあげる
その後カタナと共に馬を見つけ王都へと辿り着いたのか、
見つからずにぶらぶらと共に街道を歩んだのか───
鬼が王都に出没しはじめるのはそう遠くないお話
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」から天姫さんが去りました。
■カタナ > 「…ふむ、天姫殿の腕と目を奪った強者…気になるのぉ」
自分も、そのくらいの強さを持たなければ、と少し戦闘狂思考気味だ。
まだ闘争の熱が冷め切っていないのを自覚して苦笑を零してしまうか。
とはいえ、彼女に二つ瑕を付けられただけ僥倖と言うべきなのか。
「そうじゃな、少しピリッと来るがこれは慣れると病み付きにになりそうな味じゃて」
気に入ったのかウム、と頷く。ボロボロの羽織りは一度脱いで外套のように羽織りつつ。
「応さ、人と鬼との月夜の珍道中と相成ろうがそれも一興であるなぁ。
ククッ、流石にそれは無理じゃろうなぁ。馬が見つかれば別じゃろうが」
ふむ、豪胆と豪傑。されど少女の如き可愛さを持つ。これはこれで魅力的だと思う。
…さて、その後の顛末は二人のみぞ知る所で。剛毅な鬼と剣鬼の酒宴は今しばらく続く。
――それから、遠くない内に隻眼隻腕の鬼の娘が王国に姿を現す、のかもしれない。
きっと、それまでは傍らに昼行灯な剣鬼も同道していたかもしれず。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からカタナさんが去りました。