2017/05/14 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にカタナさんが現れました。
■カタナ > ――フと、意識が目覚めた。虚ろからゆっくりと現実へと浮上する意識の中、今己は何処にいるのかを茫洋とした頭で考える。
「……はて?儂は何故こんな所で寝ておったのか…。」
薄ぼんやりと両の眼を開ければ、既に夜の帳が落ちて久しい何処かの…そう、街道。
――嗚呼、思い出した。行商人の用心棒を引き受けた、その帰りだったのだ。
…つい、途中、寝心地の良さそうな一角に目が留まってしまい、こうして昼寝と洒落込んだつもりが…。
「…ふぁ…見事に真夜中じゃなぁ…ちと寝すぎたか?」
右手が無意識に己の傍らを探り、やがて古びた一振りの異国の剣…刀を手繰り寄せる。
目覚めたばかり故か、まだ意識が何処か朦朧として夢見心地に近い。
(…今から戻るのも面倒臭いのぉ…)
刀を肩に預けるように立て掛けながら、盛大に欠伸を一つ噛み殺す。
街道とはいえ、盗賊や魔物も皆無ではないのだ…この小柄な少年…いや、青年は聊か無防備にも思える。
■カタナ > 「……茶が飲みたいのぉ…」
見た目は20かそこら…だと、いうのにその雰囲気や口調は何処か年寄り臭い。
何気ない仕草も、どうにも若者らしいとは言えず…薄ぼんやりと開いていた瞳はいつの間にか閉じられて。
それでも、意識は一応あるようだ――若干、舟を漕ぐかのように体がゆらゆら揺れてはいるが。
仮にも、用心棒を一応の生業とする者が、仕事も終えたとはいえ気を抜きすぎ所ではないだろう。
…もっとも、仮に今、魔物や盗賊に襲われたとて全てを一瞬で斬り捨ててしまうだろう。
それが、例え半分夢の中のような曖昧とした意識であろうとも…だ。男には意識の有る無しは関係ない。
「……おぉ?」
ゴツン、と背後にあった木の幹に頭をぶつける。…そう、意識の有る無しは関係ない…筈だ。
■カタナ > 「…うぬぅ、どうにも眠気が取れん……やっぱり年かのぉ」
小さくボヤきながら、そのまま木の幹に背中を預ける。刀は相変わらず片腕で抱くようにして肩に立て掛けたまま。
――不意に、青年の左側の茂みがガサガサと音を立てる。…刹那、何時の間に抜かれたのか目を閉じたまま青年がそちらへと刀を振るい――否、ギリギリで止めていた。
「……ふむ、野兎か……安心せい、無駄な殺生はせん」
腹が減っている訳でもなし。野兎の首元スレスレで刃を止めながら、そう言って朗らかに笑みを浮かべ。
恐怖か何かで硬直している野兎の首元から刀を引いて鞘へと納める。
「……ほれ、さっさと行かんか小兎。儂は兎も角、他の者に狩られても知らんぞ?」
その声が合図となったのか、クルンと反転して茂みの中に飛び込んで逃げていく気配を閉じた瞳で見送り。
■カタナ > 「……ふぁ…ん~朝までもう一眠り、と行きたい所じゃが…」
何か中途半端に目が冴えてきてしまったようだ。仕方なく「よっこらせ」と爺臭い掛け声と共に立ち上がる。
軽く、凝り固まった首や肩を回してから刀を携えて一息。
「…さて、では帰るとするかのぉ」
瞳は閉じたままだが、普段から意識的にそうしているので苦にもならない。
そのまま、わき道から街道へと戻れば一人、爺臭い青年はゆっくりと歩き出すだろう。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からカタナさんが去りました。