2017/03/28 のログ
■ノア > 一人残されてしまったとはいえ、 街道は街道。道は繋がっている筈。しかし、 村の灯りも、 王都の灯りも、 人の気配も無く.. 見えるのは街道を挟む広大な自然と星空、 聞こえるのは夜風に揺れる草木の音と ── カサカサ、 何かしらの足音。
( これ、 って..... )
一瞬脳裏に "遭難" などという言葉が浮かんでしまうのを慌てて払拭し、 まずは馬車の荷台を漁り始めた。金貨や貴重品が入っていた革製のポーチは、 無い。自分への土産に購入した特産品の香は..
「 あった♡ 」
こんな状況でも喜びの声が漏れてしまうくらいには、 まだ精神的にも追い詰められていない女。呑気に甘い香りのする小包みを持って、 今度は馬車の外へ。
「 何があったの..... てゆーか、 我ながらよくもまぁここまで気付かず爆睡とか.. 」
地面に散らかった荷物を調べるも、 殆どが既に荒らされた後。中に使えそうな物は無かった。さて.. 歩いて王都を目指すべきか、 荷台の中で誰かが通り掛かるのを待つべきか ──
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にノアさんが現れました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にジアさんが現れました。
■ジア > 配達を終えて、殆どスカスカの袋を背負いながら街道を歩く少年は、もちろん馬車や馬などに乗れるほどの余裕があるはずもなかった。郊外に住む貴族への配達だから給金こそいいが、それはこういった街道を歩く危険も含めてのこと。
「……あれ?あの馬車…というか、馬いないしなんであんなところに」
小さなランタンの中で不思議な燃えかたをする灯火が足元だけを照らしながら歩いていると、不意に道の向こうに何か大きな影が見える。目を凝らして近づいてみると、それはどうやら馬車…の残骸と形容するべき何かが道に横たわっているようだった。少年の脳裏に、野盗に襲われたのではないかという考えが浮かび、少しだけ緊張したように息を飲んだ。
「で、でも、まだそうと決まったわけじゃないし…何か手がかりが残ってるかも」
そうイヤな予感で腰が引けかける自分に鞭打ち、おっかなびっくり進んでいく少年には、その横たわる馬車の荷台の向こうにいる人影まで見通すことができなかった。念のため腰の剣を鞘から抜いていき、息を止めそうなぐらいに緊張した面持ちで馬車の傍まで近づけば、その周囲を回るように足音を忍ばせて進んでいこうとした。その気配は、荷台の向こう側にいる誰かにも伝わるかもしれない。
■ノア > 「 やっぱ、 自力は無理かな.. 」
寒そう、 遠そう、 疲れそう。ここは大人しく、 荷台の中で誰かが通り掛かるのを待とうと選択。荷台に戻ろうと身体を反転させた、 その時だった..
「 .....っ、 」
荷台を挟んだ向こう側から、 ぼんやりと近付く灯りに気付く。すぐ声を掛け助けを求めようとするも.. 相手は、 どんな人物だろうか と。開きかけた唇引き結び、 小さく喉を鳴らした。途端に不安と恐怖で脚はすくみ、 登場するタイミングを逃したまま.. 荷台の影でただ、 身体を強張らせて
■ジア > そこまで場慣れしていない少年には、荷台の向こう側にいる人の気配に気づくこともできず、ただ漠然とした不安と緊張で固唾を飲みながら馬車の周りを進んでいく。見たところ、血痕といった目立った形跡もないが、少なくともただこの場に打ち捨てられた様子もなく、少年の緊張も晴れない。
「……?」
そんな時、ふと鼻をくすぐる甘い匂いに、少年はきょとんとした表情になった。その匂いに興味が沸いて、足元の草木を踏みしめる音を立てながらさらに進んでいくと、人影が光に照らされる。そして当然、手に持った剣の白刃が反射する光もまた、相手に見えたことだろう。
「…えっ、あれ、ノアお姉ちゃん?」
しかし光を当てた側の少年からすれば、見えるのは見知った相手の顔で、緊張が抜けたこともあって素っ頓狂な声を上げ、目の前の相手に声をかけていく。
■ノア > 他に誰も居ない、 武器もない。たとえ武器が手元にあったとしても.. そもそも賊を追い払えるような腕もない。近付く相手が善人でなかった場合、 かなり絶望的な状況。灯りに照らされ光る、 二又になった曲刀の先が見えた.. その瞬間、
「 .........っ、 嫌...
お願 い..... 殺さないでっ.. ! 」
── 素早い動体視力で、 未だ姿も見えない相手に命乞い。しかし、 次いで琥珀色の瞳が捉えたのは..
「 ─── ?! ジ..... ジア.. ! 」
まさか今此処で逢えるとは思ってもみなかった、 見知った顔。再会に感動、 というよりは.. 急激に緊張が解れた事で、 じわっ と視界が滲ませて
「 ジアぁ.. っ、 」
ふらりと貴方に歩み寄り、 曲刀も 火の灯るランタンもお構い無しに抱き着こうと。
■ジア > 「へ?あ、いやこれは用心に持ってるだけだよ」
少年には思ってもみない言葉に、慌てて少年は相手の誤解を解こうとしながら、未だ構えたままだった武器を鞘に納めていく。
「う、うん、ノアお姉ちゃんなんでこんなとこに…って、わぁ!?」
相手の事情を聴こうと思ったところで、不意に歩み寄る相手が抱きついて来ようとすると、慌てて取り落としたランタンが地面にぶつかって金属音を立て転がっていく。油もこぼれたが、不思議と炎は燃え広がらずにその場で小さな灯火のまま風に揺らめいていた。
「え、ええっと、もしかしてや、野犬とかに狙われてたの?」
相手に抱きつかれて柔らかな肢体の感触と甘い香りに少しどきどきとしながら、やや聞きにくそうに問いかける。無事なのは嬉しいが果たして何があったのかと。一応、オブラートに包んで考えているのは野生動物ということにして。
■ノア > 慌てて鞘に収めてくれた事も、 ランタンが落ちてしまった事も、 そして.. 不自然な灯火にも今は気付く余裕はない。むぎゅぅ、 と無遠慮に抱き着いたまま
「 あたしもよくわかんないんだけど..... とにかく、 起きたらこーなってたのっ.. ! こんな所で知り合いに逢えるなんて思ってなかったから.. も、 超嬉しぃ... 」
銀髪に うりうりと頬擦りしながら返事をするけれど、 貴方にとってはちんぷんかんぷん.. 全く説明になっていないことだろう。とにかく一気に緊張から解放され、 目を細めたまま暫しそのままで ── やがて、 だいぶ落ち着きを取り戻してから顔を離し
「 .........ジアは、 どっかの帰り ? 王都まで、 歩いて帰るの.. ? 」
"連れてってオーラ" 全開、 ゆるりと首を傾げて見せつつ訊ねた。
■ジア > 「うぅぅ、ボクもびっくりしたよ…。落ち着いた?もしかしたらまだ何かいるかもって思って護身用のつもりだったんだよ、驚かしてごめん」
体格で負ける少年は枝毛の多い銀髪に頬ずりされると、少し臭いが気になってそれとなく押し返そうとするが、不安そうだった相手を見ていた手前本気で拒絶することもできず。要領を得ない内容に相手の混乱が収まるまで、人肌よりも少し温かい身体に抱きつく相手のしたいがままにしていた。そして相手が落ち着けば、先ほどの剣について釈明していく。
「うん、親方に頼まれて配達。そんなに遠いわけじゃないし、歩きだよ……えっと、よかったら送ろっか?」
ひっついていた顔が離れ、首を傾げながら問いかけてくる相手に少年はそう答えながら、少年は足元に落ちたランタンを拾い上げた。垂れていく油を遡るように炎が伸びて、何事もなかったかのようにランタンの中で火が灯っていく。そして、言外に隠してもいない圧にしばし口ごもった後に、自分からそう問いかけざるを得なくなってしまって。少なくとも、相手をこの場に置き去りにしていくような考えは少年には浮かばなかった。
■ノア > 落ち着きを取り戻した事で漸く、 落ちたランタンに気付く。夜の街道を歩いて帰るには必要不可欠なランタンが使い物にならなくては一大事だと、 焦りの声を上げるも.. 其の小さな炎は溢れた油に燃え広がるどころか、 独立して意思を持っているように.. 不思議な揺らめきを魅せていた。
「 ── っ、 ランタン... !
.....ん、 何これ魔法具 ? 良かったぁ.. 」
貴方が炎を操る魔神だなんて露知らず、 勝手に魔法具の類いなのかと納得。"送ろうか ?" と期待通りの言葉が聞ければ、 とても嬉しそうに笑みを深め
「 いいのっ ? ありがとジア♡ 」
圧を与えておいて白々しい礼を告げつつ、 唯一の所持品である小包みを持って貴方の隣に並ぶ。道中何が潜んでいるかもわからないからという警戒は勿論、 其の体温でちゃっかり肌寒さをしのぐ為 ぴたりと身を寄せた。
■ジア > 「ううん?適当な板金の余りで自作したヤツだよ……あ。
ホラ、前に薪に火をつけるの得意って言わなかったっけ?炎限定で簡単な魔法使えるんだ」
落ちたランタンは自分にとっても夜道を照らす大事な道具のため、殆ど無意識に炎を操っていたが相手が見ていることを今更気づいた少年。しかし殊更慌てることなく、嘘ではない答えを口にしていく。
「いいよ、だけど道案内と護衛でお礼はちゃーんともらうからね。ボクを湯たんぽ代わりにしてるのはオマケしてあげる……なんかそれ、いい匂いするよね」
体格で勝る相手にピッタリとくっつかれながらでは歩きづらいが、何より子ども扱いなことに少し少年はむくれながらちゃっかりと二つ分の仕事をカウントする。そして、背負い袋を片方に寄せてくっつきやすいようにしながら歩いて行こうとすると、相手の手に持つ小包から香ってくる匂いに、少し興味深げに少年は相手を見上げた。
■ノア > 「 薪に火着けるのが得意、 って.. あれただのコツ的な話じゃなかったの ? 魔法使えるなんて聞いてない ! 」
突然の雨に降られた日、 貴方が暖炉に火を着けてくれたのを思い出す。点火する瞬間はちゃんと見ていなかったから、 技能として手慣れているものだとばかり思っていた けれど.. 技能ではなく魔法と聞けば、 きらりと憧れの眼差しを向けた。残念ながら.. 少しばかり、 上から見下ろす眼差し。
「 随分ちゃっかりしてるのねっ.. 困ってる "か弱い女" を助けるのは、 善良な市民として当然の事だと思うけど ? ま.. 今放置されちゃ困るし、 温かくてきもちぃし..♡ 」
どうやら、 湯タンポ代わりにしているのはバレていた模様。それでも離れる事なく、 ぴたりと密着したまま歩き出した。貴方が小包みに興味を示せば.. 一泊した村の特産品だという事や、 其処から馬車に乗り王都へ帰る筈だった事、 荷台で眠っている間に馬車があの有り様になっていた事など.. 先程はパニックで上手く説明出来なかったあれこれを、 改めて話した。
「 ── って感じで、 一人取り残されちゃったって訳。自分でも引くくらい爆睡してたみたい.. はは 」
■ジア > 「そうだっけ?べ、別に才能が必要だった割に大したことはできないよ?」
そう少年はすっとぼけた口ぶりで返したが、羨望の眼差しには少しうわずり気味の声で謙遜するも口元がひくひくとニヤけてしまっていた。
「ふふっ、そういう細々した約束事を大事にしないと商売はできないもんねっ。
……呑気だなぁ、なんていうか不思議な話だね。でも、ノアお姉ちゃんがそのよくわかんないのに持っていかれなくてよかったっ」
相手に湯たんぽ代わりにされていると、その柔らかな肢体を押し付けられていることになっているので、その扱いはトントンの差し引きゼロとして少年は扱っていて。ひっつく相手と並んで歩いている間に、あの馬車を見つけるに至るまでの話を聞いていた少年は、その内容に少し呆れ顔になってから少し考え込むが、結局答えが見つからなそうで思考を打ち切った。そしてその不可思議な出来事の渦中にいた相手に何事もなかったことにはホッとした心地なのを正直に口にして自分から身を寄せる。
「あ、王都が見えてきたよ。じゃ、早速仕事した分、ノアお姉ちゃんの家に泊めてもらおっかな?」
街道を進む間、二人は目立った危険に遭遇することはなく、目的の王都まで辿り着くことができた。門まで行けば、この時刻の徒歩の子どもと女性の取り合わせを門番に怪訝そうに思われるだろうが入ることは難しくないだろう。少年はランタンの光に照らされる意味ありげな笑みを浮かべながら、引っ付いている相手の腰をぎゅっと一度抱き寄せるようにしてから、再び相手とくっつきながら門まで向かっていこうとした。
■ノア > 「 .....っ、 まぁ ね.. 取り残されたけど無傷だし、 こうしてジアに逢えたし。」
ちゃっかり対価を求める貴方に、 じとりと目を細めるも.. 次いで聞こえた やけに可愛いげのある言葉には、 なんだか恥ずかしくなって思わず視線を逸らした。
他愛ない会話や戯れをしながら、 道中は思ったよりもあっという間で。やがて ──
「 ん、 見えた..... 帰って きた.. 」
前方に王都が見えると、 安堵と達成感に ふにゃりと情けない声を漏らした。あと一息、 貴方と共に歩き続け。
「 もぅ.. また散らかしたら掃除、 手伝って貰うからねっ。」
提案された対価に つんと唇尖らせつつ、 腰に回された手に引き寄せられたまま 無事王都へ帰還。道案内と護衛を引き受けてくれた貴方に礼をするべく、 共に自宅へ帰って行った ──
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からノアさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からジアさんが去りました。