2017/03/27 のログ
■シュカ > 「ひい、ふう、みい………ええと、ちょっと待って。こんなに出るって俺、聞いてませんけど?」
とりあえず3までは数えてみた。
だが、徐々に夜の帳が下りてきて、闇に包まれつつあるから、正確な数は数えられなかったし、数えたところで、現状、何かの足しになるとも思えなかった。
低く唸る獣たちは、体勢を低くし、目の前のご馳走に今にも飛び掛かりそうである。
と、次の瞬間、一匹の獣が唸り声をあげ、1メートル強はあるであろう巨体からは想像できないような軽々とした跳躍をし、その涎にまみれた牙を向かんと口を開き、襲い掛かってきた。
刹那、軽く腰を落とし、手にした得物の柄をぐっと握り、抜刀するや否や、空を切る僅かな音が耳に届くとほぼ同時に、煌めく刃は下段から上段へと袈裟切りに動き、柄を握る手に返る肉を断つ感触。
思いのほか、その感触は硬質であったが、牙が己の皮膚を裂くより早く、血潮を噴いてそれは肉塊と化し、鈍い音を立てて地に落ちた。
■シュカ > 一匹目の襲撃はきっかけに過ぎず、目の前のご馳走に、それこそ我先にと獣たちは牙を向いてくるから、最早猶予はなかった。
腕か脚か、その辺を一つ献上する気でもあれば別だが、とりあえずは食われてやる気は更々ないから、体得している剣術を頼りに、刀を振るうしかない。
獣臭と血の臭いが辺りを包む街道沿いに、無数の肉塊と血だまりとが残されていることに人々が気付くのは、辺りを包む夜闇が明けた、明朝のことであろう………。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からシュカさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にオブシディアンさんが現れました。
■オブシディアン > メグメール自然地帯からメグメール街道へ。
脆弱なヒトに身に貶められ力の大半を封じられた邪竜は歩き続ける。
目的地はニンゲンの住む村か街なのだが、名も無い遺跡に巣食う圧倒的な引きこもりには外の世界は広すぎて、背中に翼があれば飛べたのにそれも封じられていて、出来る手段は歩く事だけ……という事で嗅覚と勘だけを頼りに歩き続けていた。
それで無事目的地に到達できるほど世界は狭くない。
それでも何とか人により手が加えられた「街道」に入り込む事が出来た。
後は道なりに進めば道の終わりか途中にはニンゲンの済む集落がきっとあるだろう、と考え足取りは自然と軽くなっていた。
ニンゲン達が暮らす集落にたどり着いたら、まずは何を喰らおうか?其処に済むニンゲンかそれとも彼らの持つ道具か、手当たり次第喰らうも由、それとも力を見せ付けて己の領土にするのも良いだろう。――しかし、それには力が足りていない事には本人は気がついていない。
だから己が想像に頬を緩め、ニヤニヤと見た目相応のだらしない笑みなど浮かべ、夜風で乾く自分の唇をぺろっと舐めて舌なめずりをする。
「アア、楽しミだ。楽しみすギル……とても楽しみダ。」
言葉の端々に恍惚とした感情が混じり、薄気味悪い笑みへと表情を変えて、忌々しく己を照らす夜の月を見上げる。
夜の街道、其処を一人で歩く人影はあまりに妖しく、浮かべる表情ですら危うい、そんな人影に近づくものなどいるのだろうか?だが当人には気にもせず、人としての表情を浮かべるただただ歩き続ける……。
■オブシディアン > 夜風に混じるのは土の草の匂い、山野に住む竜で有れば春の香りとも言うべき香りもあるが遺跡の地下暮らしでは判る香りの範囲は狭くて、ただ感じるのはいい匂いだという単純な感覚。
肉食ではあるが、決して草や果実を食べない訳ではない、必要あれば食べるし、美味しかったら好んで食べるという単純な邪竜。
――余計な事を考えながら、楽しみを想像しながら、素足で獣道よりは格段に歩きやすい街道を歩く。
時間は忌々しい月の輝きが照らす夜更け、街道であっても人とすれ違う事はない。
旅人には幸運であるが、邪竜には大変退屈で不愉快で……。
「……つまらン……誰か通れば喰ってやるのニ。いや仲良……道案内をやらせてやってモイイナ!」
弱者に近づき、強者として力を振るうには身体が持たず、暴力の悦楽を楽しめない邪竜はアソビに餓えていた。
だから外の世界に期待したのだが、今のところ面白い事にであえていない……。
■オブシディアン > さて暫く歩いていれば人の気配も香りも感じようか、可也遠くではあるが微かにヒトの匂いがする。
つまりはコレよりはもう自然ばかりと戯れる必要がなくなるのだ。
――少年/邪竜は走り出す。
聞くものを恐怖に落す咆哮をあげ、喜びを歌うと闇夜に溶け込むようにしてヒトの生活の気配がするほうへと消えていくのだった。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からオブシディアンさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にノアさんが現れました。
■ノア > 本業の成功によって暫くはゆっくり出来るくらいの余裕ができ、 疲れを癒しにと温泉が売りの村へ気儘に一人旅..... とはいえ、 行き帰りはそんな観光客をターゲットにした馬車を利用し、 移動は全てお任せ。
たとえ一泊でも、 王都とは違う静けさや空気の中ゆっくりと疲れを癒し.. 帰りの馬車の中でもまた、 心地好く身を揺られながら眠っていたのだけれど ──
「 .....ん、 つい た.. 」
ふと目を覚ませば揺れも音も無い。王都に到着したのかと、 後部のカーテンを開けた。しかし、 其の目に飛び込んできたのは見慣れた王都の風景、 ではなく..
「 ............... ぇ ? 」
荷物が散乱した街道の景色。慌てて馬車から飛び降り辺りを見渡すと、 馬車と呼ぶには無くてはならない馬さえ繋がれて居ない。賊に襲われたか、 はたまた獣の仕業か.. 頭から爪先まですっぽりロープを掛けて眠っていた女だけが一人、 取り残されてしまった。