2017/03/23 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にネネさんが現れました。
ネネ > 月夜の明かりだけに周囲の景色が浮かび上がる。
王都に続く街道沿いにある、昔は人も多く住んでたであろう村の跡。
もう古くて崩れてる建物もの多く、廃墟と呼ばれるようなところに冷たい風が流れてきて、少し大きめな建物の階段のところで白い人影が流れこむ。

例えるなら幽霊にも間違われそうな風に姿を現した。
周囲に明かりもない場所だから、少し不気味にも映りそうな姿。
人のいなくなった、村のような小さい集落の中を何気なく歩いてる。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にノーガルトさんが現れました。
ノーガルト > (今朝がたに受けた、久しぶりの冒険業。
そこまで難しくもない、何の変哲もない護衛の依頼であった。
要人を護るわけでもない、本当にただのキャラバンを送り届けるだけの。

疲れた、と言えばそうだろう。
何しろ病み上がりだというのに、こんな遠くまで歩くことになったのだから。
だが、ノーガルトにしてみたらそれも一向にかまわない。
体力が戻っているとはいえ、やはり寝たきりの生活をしていたのだから、それなりに落ちてはいる。
それを元に戻すために、今はこうしてゆっくりと歩いてマグメールに戻っているところであった。)

「……やっぱり、動いているほうが気が晴れていいな。」
『それは僕に対する嫌味ですか、ノーガルトさん。』

(どこか、機械じみたハバキリの声が響く。
感情らしい感情をこめない声に、ノーガルトは軽く肩をすくめながら工程の返事を返す。
そんな他愛のない話をしながら、ふと風景を見れば…そこには。

なんの珍しいわけでもない、滅びた集落の痕。
野盗にでも襲われたのか、それともまたどこかの貴族の遊びか…。
どちらにせよ、そんな崩壊した集落の痕はさほど珍しいとは思わない。
だが、珍しいと思ったのは…そこにいる一人の少女。
幽霊か、それとも何か別のものか。)

ネネ > 人の気配、というか息遣いが空気に交じり感じた。
ふらりと足音もなく歩く姿に振り返ると、月明かりの中に自分よりも背が高い人影が見えた。
村の住人であるはずもなく、通りがかりの人らしきシルエットと少しの距離をあけ、視線を伸ばして見つめる。

背格好からして人間の姿で男性なことは、わかる。
このような場所に佇む男性をじっと黙って、ただ見つめてた。

ノーガルト > 「……ああ。よう…こんばんわ、か?」
『………。』

(とりあえず、挨拶だけ交わしてみよう。
こんなさびれた場所に、真っ白という表現がよく似合う少女が一人。
一定の距離を空けているのは、警戒されているのかそれとも。

ともかく、ダインの声を聴くまでもなくただの少女ではないことは、ノーガルトにもわかる。
こっちをじっと見つめてくるその瞳、どことなしか合わせにくい気もする。
軽く、後頭部を掻き苦笑しながら、一歩だけ少女に近寄った。)

「あー…その、なんだ。成仏しにくいというなら…話くらいは聞くぞ。呪いにかけるのだけは、ごめんだがな……?」

(第一印象、真っ白でこんな滅びた集落にいる少女。
幽霊と表現すると、かなり説得力があると自分でも思う。
だからこそ、こんな表現で場を濁しているわけだが…。)

ネネ > 声をかけてきたことに、意外と驚いたように一度だけ目を瞬かせた。

「…こんばんわ」

人を嫌いになったわけではないけど、人と言葉を交わし声が交わる懐かしさのようなものを感じる。ゆるやかな夜風が1歩近づく距離の間に流れ、薄い布を重ねてるワンピースの裾を揺らしてた。

「……?私、呪いなんかできないよ?なんにもできない」

その場から逃げることも近づくこともない、同じ場所に立ったままで言葉を聞いてると、なんだかおかしいことを言う人だと小首をかしげながら長い銀髪が揺れる。

ノーガルト > 『ノル……この女は幽霊ではない。おそらく精霊の類だ。』
「……精霊?」

(魔力を見極め、その種族を探ることのできる、ノーガルトにしか声を届けない魔剣。
その言葉を聞き、この少女が幽霊ではないと聞けば少しだけ安心した。
一歩近づくだけで、その場に風のカーテンでも敷かれているのか風が舞い、外套を揺らす。

呪いをかけることができないならば、安心してもいいか。
呪いにかけられ、命が危うくなるともなったらまた説教を食らってしまう。
もうあの説教を食らうのも御免被りたいところなので、一安心といったところだ。)

「いや…なに。お前が幽霊だと思ったんでな。こんな滅びた村で、真っ白な女の子となると…な?」

(真っ先に思い浮かぶのは幽霊、という単語。
死後、未練を残しその場にとどまってしまう残留思念。
それと予測したのだが、どうやら勘違いだったようなので…。)

ネネ > 「…うん、幽霊じゃない」

無表情のまま佇んでいたけど、久しく聞こえる人の声にわずかに頬が緩み口元が笑みの形をつくり返事を返す。
流れる風は拒むものでなく、ただ流れて布を揺らすくらいの穏やかさ。

「ここは、人がいた場所だから」

建物だけが残る場所、人の形だけが残る自分に重ねて、手を伸ばしたのは苔のついた建物の外壁。
人の年月で例えるなら、随分古い昔に人が消えた場所。

「おにぃさんは、幽霊みえるの?」

自分が勘違いされてたのなら、目の前の大きな男性は、人の魂が視える人なんだろうかと聞いてみる。

ノーガルト > 「………まあ、確かにな。」

(人のいた場所、その表現は決して間違ってはいない。
それに、この場所はよく見ると人がいなくなって相当年月が経っているようだ。
マグメールの家屋で使われている壁とは少し違うし、なによりも苔が生えるほどの年月が経っている。
つい最近崩壊させられたのか、と思ったがどうやらそうではなさそうだ。)

「ん?……いや、残念だが生まれてこの方、幽霊にあったことはない。」

(それに、もし見えるとしても、何をしてやれるわけでもないだろう。
精々、穏やかに話を聞いてやれるくらいしかノーガルトにはすることはできない。
勘違いしたのは、この場所にあまりにも不釣り合いな少女の色のせい、だろう。

どこまでも真っ白な少女の色。
よくよく見ないと透けてしまいそうな気もするほどだ。)

ネネ > 「同じ、わたしも幽霊みたことない、間違われることはよくあるけど」

苔を指先が撫でて下ろし、男性に視線を向ける。

「おにぃさんの初めて見えた幽霊が私だったら、よかったのにね」

しばらく人と言葉を交わすことはなかったこと、懐かしく微笑みでもと思うけど、どう笑ってたのかわからないように表情をほころばせるだけ。
声は少し小さく相手に届くのは、風が流れ空気が伝えてくれてるから、耳元で聞こえるだろう。

「私もういくね…」

1歩踏み出した足元から、ワンピースの布を揺らし風に溶けるように姿を消していく。
音もなく気配も完全にその場から消え、相手の髪をわずかに揺らしてた風も姿が消えると共に無風になっていた。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からネネさんが去りました。
ノーガルト > (別に、幽霊を見たいと思っているわけじゃない。
ただ、もしいるならばただ静かに見守っているだけにしてほしい。
そんな風に思っているだけの事であった。

初めて見えた幽霊だったら…。
もしそうなら、家族に何かいい話でも持って行けただろうにと思うと少し残念に思う。)

「え、ちょ……っ」

(耳元で何か、誰かがささやいた。
しかしその声が少女のものである、というのはすぐに理解できる。
一瞬吹き荒んだ風に目を閉じると、その姿は消えてなくなっている…。
あの、カーテンのような風すらも…掻き消えていた。)

「……幽霊にあったことはないが……。」

(風の精霊にあったのも初めてだ。
そんな呟きを一つ残し、男はしばらくその場で笑みを浮かべていた。)

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からノーガルトさんが去りました。