2017/01/29 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にエルフリーデさんが現れました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にアランさんが現れました。
■エルフリーデ > 「無茶苦茶な…っ」
更に炎の勢いが増し、氷が勢い良く解けていく。
溶けた氷を蹴り飛ばし、砕かれた礫が彼の方へと迫れば、彼が剣を振るう。
振るうなら、切っ先はこちらから逸れ、炎の勢いがほんの一瞬途切れるはずと、そのタイミングに彼へ突撃を掛けた。
魔法銃に使う魔力を全身に回し、魔力の膜を作ることで、肌を焼かれないようにしているが、魔力と体力の消費が激しく、火傷しないだけで消耗しているのと同意だろう。
(「これでしくじりましたら、わたくしの方が後がありませんわ…っ」)
外せば、先程までのような多彩な魔法での速攻は仕掛けられず、力は激減してしまう。
炎を突っ切りながら距離を詰めると、彼の左手側から回し蹴りを放ち、鞭のように撓る足は彼の首元を狙っていた。
庇う動作がしづらいだろう方から攻めることで、彼の余力を削ぎに掛かる。
仮に庇ったとしても、大怪我をした左手に強烈な衝撃をもたらし、そこから走る痛みを強めるはず。
全力で振り抜く足は、大きな風切り音を響かせ、綺麗に当たれば脳震盪を引き起こさせる衝撃力はある。
炎の突破と全力の蹴りへ意識を傾けていたのもあり、剣が放たれれば、胴体や手足を貫くだろう。
■アラン > 「――――――っ!!」
業火を放つ剣で彼女の放つ氷の礫を溶かしていけば、彼女がこちらに近づいてくるのを視認する。
僅かに見える魔力の膜で火傷を防いでいるのを視認すれば、直接燃やしてやろうと剣を向けようとする。
しかし、相手の炎の突破と蹴りのスピードの方が速く、左側から相手の脚が迫って来ると―――
「がっ!ってぇぇええ!!」
鞭のように撓る回し蹴りを応急処置した左腕で受け止める。
彼女の全力の一撃。それを受け止めるには上腕より下が無くなった腕じゃ不十分で物凄い衝撃で地面に倒れる。
それと同時に剣から放たれる炎は停止し、左腕の出血は増す。
傷を覆っている布は真っ赤に染まったが…
彼は彼女の意図していたように気絶はしなかった。
「……っ…『取った』」
背後の魔法陣から放たれた剣が彼女の手足や肩、腹部などを貫く。
文字通り、矢の如く放たれたそれらは彼女を串刺しにする。
しかし、不思議なことに頭や心臓などの重要な器官を避けるように刺さったのだ。
■エルフリーデ > 振り抜かれた足が確かな手応えとともに、相手を地面へ倒れさせていく。
振り抜いた勢いで一回転しつつも、これでも意識を失っていないと見えれば、更に足を振り上げる。
「これで――」
踵落としを叩き込み、意識を奪う。
そのつもりで居たところに、彼の背後から生まれた魔法陣より飛来する刀剣。
四肢と肩、腹部を貫かれれば、剣の衝撃力で身体が後ろへとよろけて仰向けに倒れていく。
「っ…は……」
痛みが重なり合い、意識を白く焼いていく。
意識を手放したくなるほどの痛みと、溢れる血が地面に吸い込まれて嫌な温もりとなる。
内蔵を破壊されていなかったのは幸いで、断裂した筋が多い中でも、僅かに指先は動く。
(『これで、もしものことがあっても大丈夫だから』)
情けを掛けられた時の言葉が脳裏をよぎる。
地面に倒れたまま、首から上を油切れの機械のようなぎこちなさで起こしつつ、彼の方を見やった。
ここでの敗北は侮辱の幕開けにすぎない、そんな辱めをそう簡単に受け入れることは出来ない。
赤く染まった腕が拳銃を、地面から僅かに上へ持ち上げていき、カタカタと震えれば狙いがブレる。
「……っ」
引き金を引く度に、魔力弾が放たれ、彼の周囲へと飛んでいく。
目前の地面や、後ろにそびえているだろう氷柱、明後日の方向にばかり飛んでいき、彼に当たる様子はない。
■アラン > 彼女の全身に剣が刺さる光景を見れば、小さく「よし」と呟く。
踵落としを食らいそうになった時は流石に焦りはしたものの、攻撃を受ける前に相手を倒した。
あの攻撃を受けたら本当にどうしようもなかったと冷や汗を今更掻く。
「あぁ…クソッ…」
杖のように剣を地面に突き刺し、それを支えに立ち上がる。
左手からの出血はまだ止まっていないようで更にきつく止血をする。
応急処置程度ではあるものの、しないよりはマシと割り切り、倒れている彼女を見据える。
チラッと後ろに目をやり、背後の魔法陣を消し去り、彼女へと近づこうとした矢先、銃声が鳴り響く。
震えた腕で拳銃を握りしめて此方に銃口を向けている彼女を視認すれば、自分に向けて撃ったことを悟る。
「……えーっと…」
見たところ、先ほどのように反射を狙ったわけでもトラップを張ったわけでもない。
彼女の攻撃に少しは驚いたものの、歩み寄る足は止めず、近くまで接近する。
そして、彼女と視線の高さを合わせるようにしゃがみ込み、口を開く。
「お嬢ちゃん、歳いくつ?」
■エルフリーデ > 相手が立ち上がるのが見えれば、痛みと失血でままならない照準を必死に合わせていく。
このまま嬲り殺されるならまだいい…けれど、怪我されるのだけは。
死と同じぐらいに怖く感じるも、それは死よりも長く心を苦しめる酸のような毒。
体中を貫かれたまま、地面に血を広げつつも、彼を焦点のボヤケた青い瞳が見据える。
魔法銃からパシュンッと魔法弾が放たれるたび、その小さな反動ですら、手首がグラグラと揺れていく。
「……悪党に、答える義務は…ありませんわ」
年齢を問われれば、答えたくないと返す。
こちらと視線を合わせようとしたところで、首の力が限界を迎えてぽすっと地面に沈んでいく。
「勝者の余裕とでも…いいたいのかしら。情けをかけたわたくしのように…足元を掬われないとでも…お思いですの?」
理由の分からない問いかけを掛けた彼に、そんな挑発じみた言葉をかければ、痛みに耐えながらの歪んだ笑みが浮かぶ。
その合間にも、こっそりと片足の踵を地面に押し付けた。
靴底に仕込まれた刃がつま先の方へと飛び出し、小さなナイフ状の両刃が姿を現す。
うまく動けばこれを叩き込んで相打ちには持ち込めるはず…そんな無理をすれば体中がズタズタになるのも承知のことだった。
■アラン > 「悪党っ…いや、まぁ、お前の視点から見りゃそうかもしれないけど…」
自分の問いに対しての彼女の返答を聞けば、驚いた様にそう告げる。
眉間に人差し指を当てて、苦い顔をした後に彼女の状態を確認する。
体中を貫く剣に彼女のものと思われる大量の血。
魔法銃の反動にすら耐えられなくなったグラグラの手、ボヤけた青い瞳。
まだ若年と思われる彼女がするような格好とは思えなかった。
「うーん……まだ続けるのは構わんが、死ぬぞ?」
そう言いながら、彼女の考えを看破したかのように彼女の脚を右手で抑える。
それなりに鍛えた身体だからか、片腕だけでも屈強な力は有しており、彼女の脚を止めるには十分であった。
仰向けに倒れる彼女の顔を覗き込みながら、そう告げる。
その顔は先ほどの者よりずっと真剣で、何か力が籠っていた。
■エルフリーデ > 「視点も何も…悪党は悪党ですわ」
馬車を襲い、荷や乗り合わせた女子供を金に変える悪党。
それ以外の何もでもないと、迷いなく答えて見上げる。
肩や二の腕、太腿や脛といったところに剣は突き刺さり、腹部もあと少しずれていれば内蔵を傷付けていただろう箇所に突き刺さっていた。
呼吸の度に刃との隙間から鮮血が溢れ、痛みは最早感じられないほど膨れきっていく。
「敗北は…わたくし一人の命ではありませんわ」
足を押さえ込む力は思いの外強く、既に力を削ぎ落とされてしまった身体では、彼の手を振り払えるほどの脚力が湧き出ない。
朦朧とし、彼の真剣な眼差しに気づけず…気付いても、恐らく同じことを言うのだろう。
銃を握った手が震えながら、銃口を彼に向けようとする。
「わたくしが倒れれば……そこの弱き人々は…助かりませんわ。 わたくし一人…おめおめと生き延びれるほど…恥知らずでは、ありませんの…」
気高くあれ、力を得てもそれに呑まれることなかれ。
家訓と両親に聞かされ続けた信念に従えば、ここで降伏を選ぶなんてことはない。
ちらりと見やった先には、馬車を襲われ、怯え竦み、縮こまった乗客たちの姿。
命あるうちは、動けるうちは限界まで藻掻こうとし、同時にもがくほどに赤色が白い肌を撫で回す。
■アラン > 「…まぁ、そうか」
悪党は悪党と迷いない言葉を聞けば、少しショックを受ける。
否定する言葉が出てこず、彼女の辛辣な言葉を受け止めつつ彼女を眺める。
(不味いな…このままじゃ…)
刺さった剣と流れる鮮血。呼吸の度に広がる血だまりに少し焦り始める。
彼女から信頼を獲得するのは困難の判断すれば、足から手を離し、刺さってる剣の一つに手を添える。
銃口を向けられている事など気にせず、刺さっている剣を思いっきり引き抜く。
「わかったわかった。痛いけど我慢しろ、気絶するなよ!」
剣を引き抜けば、咄嗟にその傷口に手を宛がう。
掌をそこへ当てれば、緑の光が発生し彼女の傷を癒し始める。
傷を完全に癒せば、次の剣に手を掛け、引き抜いて治療を繰り返す。
出来るだけ彼女の痛みが少なく、気絶しないように素早く、丁寧にこなしていく。