2016/11/16 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」に獣魔さんが現れました。
■獣魔 > 虫が鳴き、夜行性の動物達の息遣いが森に木霊する。
時間は既に多くの旅人達が行き来するような時間ではない、あまり日の目を見ることの無いモノ達が闊歩するような危険な時間である。
「……クルルルッ……クルッ!………。」
野犬や梟、もしかしたら魔物の鳴き声もあったかもしれないが、その中で一際目立つ何かの鳴き声が辺りに響く。
鈴を鳴らしたような声と言えば聞こえがいいが、どうみても何かが誰かと意思疎通を図ろうとしている鳴き声。
――場所はメグメール(喜びヶ原)と呼ばれる都市と都市を繋ぐ街道、その中でも丁度中間地点にある深く大きな森を突き抜くように作られた街道である。
馬車が通っても問題ないように舗装された道
一つ一つの距離はあるが点々と存在する光源
旅人の安全を祈り立てられた何か
それだけを見れば酷く安全な街道の一つと言えるだろう。
しかし、実態は違う、山賊や魔物達が旅人を狙い、夜の闇に潜んでいる事が有る。
今も1匹の魔獣のなりそこないが木々の裏側に隠れて、街道をこんな時間にも関わらず渡ろうとする愚か者を待ちわびている。
夜の闇に輝くのはエメラルドに似た緑色の透き通る爬虫類種の眼、口からは長く太い舌をチロチロと伸ばし、空気を舌で感じる事で周囲を警戒している。
そして特徴的なのは猫背であるために低く見える背丈、己の膝に届きそうなほどに長い両腕、長い指、それに握りこまれた獣魔の背丈ほどの長さの刃をもつ巨大で無骨な鉈に良く似た大剣。
人はその生物を魔物を獣魔と呼ぶ
魔物よりも知性は有り、ヒトと会話する個体すら存在する。
だがその性格は邪悪で彼ら自身の考えと理念で行動する為ヒトと交わり生活する者が少ないモノ達。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にリムルさんが現れました。
■リムル > (そして、その獣魔――が待ち受けるその街道をガタガタ、と荒っぽい音を鳴らしながら一台の馬車が砂煙を上げながら通り過ぎる。馬車は比較的小さめで――大きな商会の馬車、という訳ではなくまだあまり名前の知られていない小さな商会の馬車・・・という感じである。
その馬車の後部席には進行方向とは逆を見るようにしながら座る、一人のエルフの姿が見えるだろう。膝に一本の剣・・・刀を置いている所を見ると、この馬車・・・商会に雇われた傭兵・冒険者、というところか。)
・・・何も起こらなければ良いけれど。
(頬杖をつきながら、心に抱えた不安を夜の闇に吐露する。
――護衛の依頼を受けた当初は、反対したのだ。今から出発しては、夜になってしまう。だから、朝を待って移動した方が良い、と。しかし、どうしても今日中、遅くても明日の朝には街につきたい、と懇願され、金まで積まれてしまっては断るに断りきれなかった。幸い、ルートは比較的安全、とされているルートではあるのだが・・・心に巣食う不安は晴れない。晴れぬまま・・・夜の闇に紛れる獣達の前を馬車に揺られながら通り過ぎて・・・。)
■獣魔 > 「クルルルル……クアッ!クワッ!!」
数刻前に森に街道に響き渡った鳴き声とは高さもリズムも違う音色が唐突に響いたのは街道を走る一台の馬車に仲間の内の1匹が気が付き視認したからだ。
―獲物が来たぞ―
その声に街道を挟むようにして存在する森の木々の合間に様々な色の点が、獣魔達の瞳が輝き浮かび、その各々が手に持った己の獲物を確認し、誰ともなく舌なめずりをすると――それが合図となった。
丁度、巨大で無骨な鉈状の大剣を肩にかついだ1匹の獣魔が我先にと木々の合間より飛び出し、まずはその手にもった大剣の刃で馬車と馬を繋ぐベルトを御者の握り手綱を真っ二つに切り落とすと、馬が離れたか、確認するまでもなく、他の獣魔が飛び出し1匹が豪腕をもって馬車を掴み、慣性でも移動しないように引くと、他の獣魔は様々な武器の刃をもって馬車に御者に乗り込んでいる人間に突きつけのだった。
「……命ヲ置いテクカ、荷物ヲオイテケ……。」
獣魔が人の言葉を真似た耳障りな声で馬車に向けてお決まりの文句のセリフを吐き、武器の柄で石突で街道の路面を叩き打ち鳴らして威嚇を始める。
■リムル > (――ぎらり。 ぎら ぎらり。彼ら が合図の声を響かせ、鮮やかな瞳が光を携えれば、その音は、光はエルフの感覚にも引っかかる。その声が響いた瞬間、ぴくりと何かに気づいたように警戒心を張り巡らせ――無数の瞳が光を宿し始めた頃確信した――。本当に、何か起こった――!)
敵襲・・・っ!
(用心棒は何もエルフだけではない。流石に冒険者といえど、こんなか細い少女一人だけに任せる程この馬車の主も金がない訳ではない。馬車の中にはまだ2,3人程屈強な傭兵が詰めており、少女の声に連動し、彼らも馬車から飛び出し、敵に対応すべく、馬車から飛び出すも――1呼吸、遅かった。傭兵達が飛び出したその瞬間に、手綱は切られ馬はそのまま走り去り、そのまま彼らの鮮やかな手並みによって一瞬で王手をかけられた。
傭兵の中には、遅い来る彼らにすぐさま対応し、獣魔と剣を交わした者もいるだろうが、他の獣魔に阻まれて主に剣を突きつけている個体までたどり着けずにいるだろう。たどり着けぬ間に・・・主には剣を突きつけられ、一瞬にてチェックメイトを打たれてしまったようだ。
剣をつきつけられた御者と傭兵たちの雇い主は ひっ・・・! と両手をあげ、すっかり怯えた様子である。無理もない。彼らはただの戦う術を持たない一般人であり、指示は出せても戦の渦中に放り込まれて落ち着いていられる程肝も座っている訳ではない。 獣魔が路面を打ち鳴らし、威嚇を始めれば主はすっかり戦う意思を失い 「に、荷物なら渡す!渡すから・・・命、だけはっ・・・!」 と、命乞いを始めるだろう。剣を突きつけられたまま、傭兵たちに交戦を命じられる程、この商会の主には度胸はなく・・・あっけなく、彼らの威に屈するだろう。 ――隙を見て、刀を抜き彼らと一戦交えるつもりであったエルフもあっけなく告げられた降伏宣言に、澄ました顔ながら悔しそうに目を伏せて)
■獣魔 > 獣魔達は山賊紛いの所業に手馴れているのか、一番弱そうで、一番後ろに居て、一番鈍そうな男が紹介の主で中心角であると人目で見抜くと、その商会の主の言葉に様々な武器の切っ先を傭兵にエルフに突きつけたまま、お互いが視線を交わしあい、何度か頷くと同時に小さく喉を鳴らして、獣魔達にしか理解出来ない言葉を交し合う。
「ワカッタ、オマエ達は運がイイ、荷物オイテ、消エロ、オマエ達イラナイ」
傭兵達にも劣らぬ戦闘技術と生まれながらの強靭な肉体を持ち主達は、今度は大きな声で誰が聞いても判るほどに機嫌の良い声で鳴くと、再び視線を街道沿いの森へと向けて「クワックワッ!!」と合図を送る。
――伏兵。
もし一度目の襲撃で馬車を逃した場合に備えて、数匹の仲間を配備していたらしく、鳴き声に合わせて鳴き声を返し呼応すると、木々の合間から姿を見せて、馬車へと群がり、各々が好き放題に荷物を漁りながら、次々と荷物を森の木々の奥へと闇の中へと引きずりこんでいく。
最後には散り一つ残さぬくらいに見事に馬車の荷を持ち去ると、傭兵やエルフに武器の切っ先を突きつけていた獣魔も一人ずつ背中を見せないようにして、森の木々の奥へと消えていく……。
残ったのは最初に襲撃の切欠を作った巨大な鉈のような大剣を持った1匹のみ。
その1匹はエルフにエメラルド色の眼を向け、視線で足元から顔の辺りまでを幾度も往復させ、値踏みの視線を向けたが、他の仲間の鳴き声に促され大きく舌打ちをして、他の獣魔と同じように背を向けぬようにして森の奥へと消えていくのだった……。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」から獣魔さんが去りました。
■リムル > (そして、獣魔に キエロ、と宣言されれば少女達の雇い主は ひぃっ! と、一目散に、何も顧みずただひたすらに夜道を走るだろう。護衛達が追いつくのなんて待っていられない、こんなところにいられない・・・とばかりに。 そして、傭兵たちと言えば流石に剣を突きつけられている以上主を追う訳にもいかず・・・わざわざ後を追う程殊勝な者がいたかは分からないが・・・そして、獣魔達が荷物を漁っている姿をつまらなさそうな瞳で彼らは眺め・・・解放されれば各々が好き勝手な方向に歩き、自然と解散するだろう。 そして、その場に最後まで残ったのはエルフである。こちらを無遠慮に眺める獣魔の視線を受け)
・・・なに?
(そんな声をかけるが、チッ という舌打ちをされるのみで何も起こらず・・・エルフは彼らの姿がなくなったのを確認すれば、最早馬車ではなく、ただの残骸になったその元・馬車の元に座り込み・・・)
・・・守れ、なかった。
(自分の力不足を痛感し、刀を抱きしめながらその場にぽたり、と涙を零した。)
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にフォークさんが現れました。
■フォーク > 温泉は実に楽しかった。
しばらく温泉地で休暇をとっていた男。愛馬で街道を駆けていたが、ただならぬ気配を感じて馬首を返した。
男の鼻が蠢いた。獣臭だ、と男は思った。
「うん、復帰戦には丁度いいな」
巨大なハンマーを振り回しながら、臭いが強くなる方へと向かってみれば……。
朽ちた馬車の前に泣き崩れるエルフの少女の姿があった。
「……ちょいと遅かったか」
全てが終わったことに、男は馬から降りる。
そして少女に呼びかけよう。
「おい、大丈夫かよ?」
大丈夫なわけないのはわかっている。それでも一言くらい慰めておこうと思って。
■リムル > 私、も帰ら、なきゃ・・・。
(いつまでもこんなところで泣きはらしてもいられない。刀を杖代わりとして、その場に立ち上がり・・・ごめんなさい、と主をなくした 馬車だったもの に謝罪の言葉を述べる。その言葉に応えるものも、聞くものも最早存在しないけれど・・・。)
・・・。
(声がした。そちらの方にゆっくりと視線を向ければ、彼の目に映るのは頬を僅かに涙で濡らしつつも、澄ました顔をした少女だろう。涙の痕さえなければ 泣いていたのだ、と分からない程に。声も、多少の震えはあるかもしれないが、澄んだ声をしていることだろう。)
・・・私は、なんともない。
(事実、エルフはほとんど怪我らしいものはない。交戦する前に降伏宣言をされ、荷物を奪われてしまったのだ。大丈夫も何も、怪我さえほとんどない。心には、後悔の念が刻まれてしまったけれど・・・。)
■フォーク > 「あれ?」
男は驚いた。
少女の顔には見覚えがある。
男が闘技場でザ・バーバリアンと名乗っていた時のことだ。少女が挑戦者として現れた。
なんとか勝つことはできたものの、一歩間違えればこちらが倒れていたはずだ。
「しょ~がねぇなあ~」
ボリボリと頭を掻く男。
少女がなぜ落ち込んでいるかは大方の想像はつく。己の無力が堪えているのだ。
傷の一つや二つ付けられていたらまだしも無傷ということは『敵』とすら思われていなかったのかもしれない。
戦いを生業とする者にとってこれほどの屈辱もないだろう。
「なあ、ちょっとここで待っていてくれよ」
それだけ言うと、男はすぐ側の茂みへと入っていく。
たしかザ・バーバリアンのマスクは背負い袋に入っていたはずだからだ。