2015/10/15 のログ
エルレストベーネ > ……おや

(声をかけられれば見知った気配、こんなところで出会うとは
この辺りの賊に賞金でもかかったか何か用でもあるのだろうか)

このようなところで出会うとはね
……先日は我が主上を嬲ってくれたそうで

(少々、怒り……の振りのジェスチャーを交えつつ先日の話を振っていけばだいたいのことはわかるだろう
感情が足りないため怒れるわけでもないのだが、そう言う素振りや意味は理解できる
わざとむくれた風を装い、馬から降りて会釈する)

こんなところで、なにか得物でも?
それとも仕事?

ソード > おっすおっす。
主上?……ああ、主人な。んー……とんと覚えがないんだが。

(相手も己を認識した様子。挙げて振っていた片腕を下ろして、ぺたんとその掌を地面につきながらこちらへとやって来る彼女へ会釈する。
そこで彼女が何やらむくれてでもいるような仕草を見せながら、放ってきた言葉。男は首を傾げて、そして何やら納得した様子でうなずた後、また首を傾げた。
彼女の主人なる人物に心当たりがないのである。あるいは、自分が最近「嬲った」相手を考えれば逆説的に思い当たるかも知れないが、そこまで考えてはいないようである。)

んー、まぁ仕事帰りかね。
何となく気が向いて、ふらっとその辺の村とか寄ってたら夜んなっちまったんでここで野宿予定だった、ってトコだなぁ。
おめぇさんは?

(どっこいせ、などと言いながら木の幹から背を離してその場に胡坐をかきつつ彼女に問いを返した。
近付いて見てもやはり男は剣を持っていないし、印象的な紅い外套も纏っていなかった。)

エルレストベーネ > ……主様が悔しがっていましたよ?
まあ、そこまで強い方だとはこの間は私も思っていませんでしたが

(悔しがる、というとつまり勝ち負けのような話だ
つまり、どうやら先日の吸血鬼との事を言っているようである
剣に関してまでの事情は知らないが)

此方は、まあこの辺の賊に用向きがありまして
決闘したのですが、約束を守っていただけなかったのでその分を取り立てようと

……約束といえば、貴方にもいろいろ教えてもらえるという話でしたが、そちらの方も気になりますね?

(怒っているわけではないのだが笑顔が怒っているように見えるかもしれないし、気が付かないかもしれない)

ソード > 悔しがって……?
んんんー……っと、ああ、そゆ事。なるほどなるほど。
何だ、エルの主人ってぇなぁあいつの事だったのか。
いやだっておめぇさん、本気出す前に自爆すんだもん。おめぇさんが本気じゃなけりゃ、俺だって本気なんか出せねぇよ。

(そこまで言われて、ようやく思い至ったらしい。ああ、ああ、などと漏らしながら、納得したように何度か首を縦に振って。どうも、考えが至ったのが気持ちよかったらしい。上機嫌に笑う。
それから彼女の方に向き直って、少し肩を竦めながら応じた。)

賊と約束?
ははは、そりゃあ守られない方が多いんじゃあねぇかな。向こうさんも、頑張っておめぇさんから逃亡中ってトコだと思うぜ。

って、ありゃ。そう言やぁそうだったな。……おめぇさんはあれな。よく出来てるっつーか、こうしてると普通に感情豊かに見えるからすげぇよな。

(賊との約束。言われれば、おかしそうに声を挙げて笑って。
しかし、続く己との約束の話になれば、ああ、とうなずいて。忘れていた、という様子ではないが、特別に意識してもいなかった、という風情。
彼女の笑顔を見ながらそんな言葉を返しつつ、はは、と少しだけ苦笑いを。
そのまま、「んじゃあまぁ」などと言って立ち上がって。)

感情だとか愛だとか、っつってたっけか確か。
ちょっと歩きながら喋ろうぜ。
何かここ最近で収穫はあったかい?

(ぐいっと一度ノビをしてから、相手の返事も聞かずに街の方へと歩き出しつつ言葉を向けた。
相変わらず、恐ろしく自分勝手な男である。)

エルレストベーネ > ……剣を受けたくなってしまったら仕方ないじゃないですか
だいぶ心地よかったんですよ、アレは
(くすくすと嬉しそうに語る、自爆、というよりむしろ、感じたくなってしまったんだから仕方ないという感じだ)

最近……ですか?

熱については知りました
もっとも、喜びのうちではありますが

それでも理解できた、ということ自体は嬉しいです

だから……もっと知りたくて

(馬をつれ、歩きながらそう語る彼女は
見るからに本当に嬉しそうだ
相当に嬉しかったのだろう……感情を抑えきれないといった感じだ

なんといっても欲しかった答えの一つである
更に喜びしか持たない少女としては、感情を表現すると余計そうなるのだ

熱、と言われればこの間の乱れ具合も確かにそういうものだったかもしれないとも思えるかもしれない)

ソード > はぁん。
それで行くんなら、それこそおめぇさんの主との決着になった一発とかのがいいじゃねぇかと思う訳だが。

(ふーむ、などと唸りながら、顎に片手を当てつつ返した。
こうして、何かを考えながら喋っている様子自体がそれなりに物珍しい光景ではある。)

ほっほう。
なるほど。その辺はこう……自覚、ってトコなのかね。
おめぇさん剣を受けた時とか、ベッドの上とかではすっげぇ熱っぽかったし。

(そういう事でいいのな、などと零しながら、歩を進める。
立って歩き出せば、その後ろ腰に申し訳程度に鉄のダガーが差さっているのが見える。
随分と嬉しそうな様子の彼女に一瞥をやりながら、また、んー、と声を漏らした。)

あー、そうだそうだ。
おめぇさん前に、「負けると美術品としての価値が下がるから負けたくない」みたいな事言ってたけどよ。
んじゃあ、負けたらどんな気持ちになんだろね?

(ふと男は、思い出したように彼女に問いかけた。
今思いついた、というよりは、あらかじめ用意していた質問を思い出した、という風情。
どうやら、きちんと考える時間を持ってはいたらしい。
ともあれ、向けた質問は素朴なものだった。
喜びしか持たぬと言っていた人形が、忌避した事柄。
義務的な意味しか持たぬのかも知れないが、それでも忌避すべき事柄が実現された時、彼女は無感動でいるのだろうか、と。)

エルレストベーネ > ……そうなんですか?
自分ではあまりわからないのですが、ああなると、もっと感じたくなってしまって
そうなれば我慢、したくないじゃないですか

ああ、それと、恥じらいも知りました
これもその、嫌というわけではないのですが……

(熱っぽかった、と言われると少々、恥じらいのような様子を見せる
もっとも、恥じらいといえども、コレも喜びである
言うように、嫌というわけではない)

……負けたらですか
どうなるんですかね?

そもそも、負けてもいい相手には負けてもいいんです
ただ、実力が下の相手に負けることは、価値が下がります

だから、主上をあのような目に合わせるソードさんには別に構わないですけど、格下に劣るとなると、少々考えますね

(そもそも格下に負けることが理解できないのだ
相応に用意されたり絡めとられたりする分には仕方ないし、格上に敵わないことも想定通りである
だが、能力を発揮出来もしないまま負ける、などという状況が理解できない)

……ところで、なぜ丸腰に?

ソード > だってあれだろ?いい一撃が貰いたいんだろ?
だったらそりゃあ、本気の本気、極限の一発のがいい一撃に決まってる訳だし。
避けようと思えば避けられる。防ごうと思えば防げる。そんなもんは、結局おめぇさんにとっちゃあ厨房で作りかけのメニューを全部つまみ食いで食べちまうようなもんなんだと思うけどな。
まぁ、あくまでおめぇさんの話を聞いた印象だけどよ。
俺も我慢は好きじゃねぇが、我慢した方が後にいい思いできるってぇ事はけっこうあるもんだぜ。

恥じらい?
……思うにおめぇさんそれ、マゾいだけだよな。割と。

(何とも嬉しそうに恥じらった様子を見せる彼女。
それこそ印象でしかない言葉を、短絡に口にしながら笑って。)

あー?
あー……いやでも、実力が下の奴にゃあ負けねぇだろ。
負けたって事ぁ何であれ、そいつよりゃ弱かったって事だ。
運だろうが搦め手だろうがよ。

おめぇさんの言う「格下」ってのはどういうのを指すんだ?

(相手から返って来た答えには、また首を傾げながら問うた。
男は己の言葉通り、結局のところ敗北するのは劣っているからだ、という風に理解している故に、そもそも彼女の言う「格下に劣る」という言葉が言葉として破綻しているようにしか受け取れず。
とは言え、言葉に込める意味は人それぞれである。故の問いかけであった。)

ん?ああ、剣はおめさんの主に消し飛ばされた。
ちょうどいいのがまだ調達できてねぇだけだよ。

(あんのはこんだけだな、と。
街道沿いの村で購入したダガーを軽く叩いて見せつつ答えた。)

エルレストベーネ > ……嬉しいことは好むでしょう?
ただ、極限過ぎると本当に壊れてしまう可能性もありますからね
それは感じてみたくもあり、残念でもありますね

(そう言う割に嬉しそうでもある
マゾい、というか、おそらくは快楽や喜びにつながることに区別がないのだ)

まあ、格下、というかひとことで言うと普通の人間に、ですね
そもそも私は主人の露払いを任されるようなための人形ですから
その役にも立たない、となれば、道具として、どうです?

(嫌、というか、そうであるはずもない、と思っているのだが
唯一、彼女に許せないことがあるとしたらたしかにそこだろう
相性の上、嫌われて放置されるのも捨てられるのも、道具であれば仕方ない
だが、切れないナイフであればそれはどんなに高価であっても役に立たない
それは、人形として納得ができない)

そういえば、もう少しいい武器を揃えたほうがいいんじゃないですか?
何か理由でも?

(この間もそうだったが基本的にこの男はあまり武器を選ばない
効果もそうだが、あまり気持ちよくないのではないかと思うのだが
それとも、どれでも変わらないほどどうでもいいものなのだろうか)

ソード > 壊れたくはねぇんだな。

(男はさらりとそんな言葉を口にした。
ある意味当たり前すぎる事ではあるが、彼女の身の上や感情の在り方を聞いて単純に考えれば、必ずしも当たり前の事ではないように思えたからだ。
故に口をついた、素朴な感想であった。)

普通の人間、ね。
けど何となくだけど、おめぇさんを負かす何かを持ってる時点で、そりゃあもう「普通」じゃねぇ、とおめぇさんは判断するんじゃねぇのか?
知略であれ、武技であれ、魔導であれ。
いや、道具としてどうです、と言われてもそんなん知らん。おめぇさんが誰かに負けようが何しようが、別嬪で頑丈な女である事にゃかわりねぇ。だから俺にとっちゃ、エルの価値は何も変わらん。

おめぇさんの、道具だとか美術品だとかって在り方に拘って、そこにこそ存在意義を見出してるのは、結局おめぇさん自身だろ?
そういう自分の中にこそあって、自分の中でこそ完結するもの。他者に発露させて、求めるもの。そういうのを、感情って言うんじゃねぇのか?

(特別深く考えている様子はなく。珍しく頭を使っている様子ではあるにはあるが、それでもそれは常の男らしい言葉でもあった。
切れないナイフは、確かに切断用品としては価値はない。しかし、そこに美術的価値を見出す者もいる。魔除けとする者もいる。奉納用の祭具となる場合もあろう。
しかしナイフは何も感じない。ナイフと呼ばれようとも、美術品と呼ばれようとも、神器と呼ばれようとも、たとえどう扱われようとも何も感じたりしないだろう。
しかしナイフが自らナイフでありたいと、その在り方を、価値の方向性を望むというのなら、それが感情以外の何であるというのか。)

んー……鈍らでも斬れるからなー。
あと、いい武器なんてのが要求される相手なら、どっちにしろダメにされる可能性も高いし。
ぶっちゃけ、おめぇさんの主サマの魔法喰らって無事な装備品そろえるアテもねーし。

(拘りがない、というのも本当であるし、拘れるレベルのものがそもそも手に入らない、というのもあるようで。
男は包み隠さず正直に答えた。
以前、剣なんだから当てりゃ斬れる、などと言っていたのは本心でもあるのだが。)

エルレストベーネ > ……道具ですから、壊れたら用を為さないでしょう?
もう一度感じることが出来ない、というのももったいないように思います
それに、役に立たない道具であれば、価値が落ちるというものではないのですか?

人間は人間であることに価値は感じると思うんですがどうなんでしょう?

(どうも、そのへんは理屈で判断しているようで、答え、というより、自身で感情的に思っていることではないらしい
故にそう問いをかけられると、むしろ理由がわからずに少々困惑しているようだ

要は、自身が道具なので道具としてそういうものだ、と思っているだけらしかった
ただ、壊れたくはない、というのはまだ先があるのかもしれないが)

……まあ、美術も魔除けも祭祀も、元の良さあってのことですからね
ただ、そう言っていただけるのは嬉しいです

(価値は何も変わらない、と言われることは素直に嬉しそうだ
そのへんは少々、普通の生物と違う感覚はあるのかもしれない)

ソード > ん?あー……んー……。

(一連の彼女の答えを聞くと、少し男は変な顔をして首を傾げた。
それから、ああ、と何やら納得したような顔をしてうなずいて。)

壊れたら用を為さない、とか、勿体ない、とかよ。
おめぇさんはロジカルに考えた結論として言ってるんだろうし、実際そうなんだろうが……。そういうのをよ、「価値観」ってぇだろ?
そういう人それぞれの価値観ってぇのが感情を産み出す元になってんじゃねぇのかね。
役に立たない道具は価値が落ちるかも知れんが、使い手がどう役立てようとするかによって価値は変わる。
ものの価値にも人の価値にも、絶対なんてもんはねぇし、結局そりゃ相対的なもんだ。

人間が人間である事に価値を感じるのは、感情だろ。
それがなければ、価値は感じない。ただそうであるというだけだし、拘る理由はねぇよ。

(男は、迷うことなく答える。
語彙の問題やら何やらで、少し黙ったり詰まったりする事はないでもないが、それでも基本的にその声と言葉には自信が満ちている。
それはまるで、検証に検証を重ねた論文でも発表する学者のようでもあり、長い年輪をその身に刻んだ長老のようでもある。
無論、男の言葉が真理である根拠も確証もない。男自身、そんなものは持っていない。
それでも男の声には自信が満ちている。この男は、そういう男だった。
そうだ、と言い切ってしまう。)

おめぇさんがどういう意図で生み出されたのか、と、俺がおめぇさんにどういう価値を求めるのかは別問題だからなぁ。
元の良さ、ってのに拘ってるのは、やっぱおめぇさん自身なわけで。

(顎に片手を当てながらそんな言葉を返す。
存外早い二人の歩調。
喋りながらでも、少し遠くに街の灯が見えてきた。)

エルレストベーネ > わたしはそう……感じて、いるんでしょうか?
よく、わかりません

私にわかるのは……嬉しいかどうか、くらいなので
たぶん、道具として、そういうことが嬉しいんだと思います、きっと

(少女は基本的に価値観や基本行動方針をデザインされている
故に、だいたいのことは嬉しいし、あとは理論で行動している
ただ、少女はどうしても「理解」しようとしてしまう
感じることを説明する方法があるのではないかと考えてしまうのだ

だから、感情だろ、と言われても、それはそのままでは理解できない
きっとそうなのではないか、という仮定を繰り返すばかりなのだ
感じることが出来ない以上、想像で補うしかない人形にはそれがわからない

もっとも、この態度からして道具としてそういうことが嬉しい、というのはおそらく持っているようにも思えるかもしれない)

……ああ、そういえば
この間の血は、美味しかったです
また、味わいたいものですね?

(微笑、つまりはまた抱かれたい、ということなのかもしれない
単にまた味わいたいというだけなのかもしれない

だが、人形は単に、何かを感じさせて欲しいだけだったのかもしれなかった
その何かが何なのか、それは人形にはわからない
わからないものを言い切るように話し続けるから欲しくなってしまう

……街が、近づいてきていた)

ソード > うん。
―――おめぇさんが思ったより人間らしいって事が何となく分かったよ。

(もともとそんな風には思っていたが。この場合の人間とは、種族を指しての事ではなく。
彼女の一連の答えを聞いて、男は笑いながらそんな言葉を返した。
最初から違和感はあったのだ。
たとえ思考を、与えられたとて、道具が悩んだりしているというのが、もはや男にとっては違和感でしかなかったのだから。
まぁそれも、あの一戦の後にベッドの上で彼女の身の上を聞いた時から、ではあるが。)

奇遇だな。俺もおめぇさんの体がまた味わいたいもんだと思ってたんだわ。
―――ああけど、おめぇさんの主は俺の血はお嫌いみたいだぜ?

(彼女の言葉に呼応するように、男は笑いながらそう答えた。
付け加える言葉は、少しからかうような声音を含んだもので。)

まぁあれだ。
やっぱ俺には、うまい事話をしておめぇさんに言葉で何かを伝えてやるようなのは無理臭ぇわ。
だからまぁ、俺のやり方で教える事にするよ。

(近づいてくる街の灯を見つめながら、男は告げた。表情は笑みだ。
出会った夜にも言った事だ。
行動で伝えるしか能がないのだ、と。
そして、彼女に一瞥をやる。珍しく、何かを考えているような様子で。
そして小さく「まぁそれは今度にすっか」と嘯いてから、)

とりあえず、宿でも行くか。

(彼女の腰に手を回そうとしながら、やはり上機嫌に告げたのだった。)

エルレストベーネ > 人間らしい、ですか?
そういうものを模しているとは思いますが、そう言う意味ではないのでしょう?

(よくわからない
とりあえず、道具としてよくありたい、というのはある
そもそも、はじめから生まれた自分のままでいたくない、というものはいるのだろうか?
そのままで問題がないのであれば、おそらくいないと考える
もしあるとするなら探究心からだろうしそれはもっと深みを知るためであり相反さないだろう)

……そうですね
「熱」をもう一度味わいたいのもある、と思います
浮かされたままでなく、自覚した状態で教わりたいです
ふふ……なら尚更、あの時にこの身で剣を折っておけばよかったですかね?

(少なくとも、抱かれた時もそうだが、刃を受けたくなった時からそういう熱はあると今ならわかる
そして、こういうところに主との対戦に対しての一言を混ぜてくる辺りが彼女らしいとも言えるし
人間らしいとも言える

そもそも、主君の話が出たからといってわざわざそんなことを話題に混ぜてくる必要など無いのだから

そして腰に手を回されれば嬉しそうに寄り添うだろう
この表情は、よそ行きではない、素の表情……つまり信頼を寄せている時の顔だ
つまり甘えているのである)

ソード > ああ、随分と。
たぶん、違うんじゃあねぇかなー。

(彼女の問いかけには、頷きと否定を返した。
ただ、それ以上それについて言葉を重ねる事もせず。前言の通り、やはり己には向かぬと判断したのだろう。
己の在り方、生み出された存在意義。少なくともそれらは男にとってはどうでもいいものだった。ヒトでいたいと思った事も、ヒトでいたくないと思った事もない。己の在り方について、「望みがない」のだ。ある意味ではそれは、目前の彼女よりも無感情であるとも言えるのかも知れない。
そんな事をちらと考えるも、すぐにどうでもよくなって、続く話題に意識を移す。)

そこだけ切り取ると、おめさんってすげぇ吸血種族っぽいよな。
んじゃあまぁ、たっぷり味わってもらうとするかねぇ。
こないだよりも、今夜は激しくいくぜー?

はは、さすがにあの鉄剣はあの一戦で廃品になってっから、あんま関係なかったんだな、これが。

(いやぁ忠臣だねぇ、などと楽しそうに付け加えながら、彼女に言葉を返す。
彼女がどういうつもりであるのだとしても、やはり男にとっては彼女はとても人間らしい存在だった。
細い腰に腕を回し、彼女が己に寄り添って来れば気分は良い。
とても良い。

街はもう目と鼻の先。
男はそのまま絶世の美女を片腕に抱きながら、男共の羨望の視線をかき分けて宿へと向かったのだった。)

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からエルレストベーネさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からソードさんが去りました。