2019/09/27 のログ
リリアン > 「は、…はい、よろしく、お願いいたします」

慌てて頭を下げれば、ぴょこん、と猫耳も揺れる。
相手がすんなり納得してくれたので、逆にほんの少し不安は残るけれど、
たぶん、きっと、大丈夫だろうと思う。
冒険者ってきっと、悪い人では無い筈だ、という、謎の信頼をもって。

「え、……あ、ヴァイスさま、は、……帰り道、お分かりになるん、ですか?」

移動、と聞けば、あからさまに表情が明るくなる。
得体の知れない場所から出られる、慣れ親しんだ場所に帰れる、と思えば、
相手を見上げる眼差しはきらきらと、期待に満ちて輝く。
抱き締められれば遠慮がちにだが、そっと相手の背に腕を回して縋りついた。
もう震えてはいない、代わりに、撫でられるとぴるぴると猫耳を揺らして。

「ヴァイスさま、くすぐったい、って、申しあげてます、のに、
 ……みみ、触っちゃダメです……っ」

もぞもぞと、堪え切れずに身じろいでしまう。
耳、は、やっぱり弱点なので。

ヴァイス > 「リリアンがあまりにかわいくて、あと、耳が気持ちよすぎてな」

もぞもぞとし始めるリリアンを抱き気たまま、頭を撫でてその感覚を楽しむ。

「帰り道ね、まあちょっと任せなさい。」

あまり方法はないが、抱え上げたままずんずんと進む。景色が変わり、空気が変わり、すべてが変わったを感じる。
出られる自信も根拠もないが、リリアンの顔を曇らせたくなく、少し強がりを言って先に進んでいく。ひとまずまっすぐ進めばどこにつくだろうと考えている。

そうしてたどり着いた場所は……? 出口か、それとも休憩所か、それとも何があるのだろうか。

リリアン > 可愛い、と面と向かって言われるのは恥ずかしい。
けれど同時に、悪い気がしないのも事実である。
だから少しぐらいは我慢しようかと思って―――――思って、

結果として、抱え上げられて運ばれる己の身体は、
我慢しすぎてくったりと脱力気味になってしまうが。
帰りたい、という己の気持ちが影響したのか、
其れとも、己の王子様たらんとしてくれた、相手の意気が誰かの悪意に勝ったのか。
暫くの後、二人が辿り着くのは、きっと、相手の記憶にある場所。
玄関の程近く、此処からならば直ぐに出られる筈の場所。

そうして外へ無事出られたならば、己はひそひそと囁き声で、
王城の、いちばん人目に付き難い門の所在を伝えるだろう。
何しろこんな有り様だ、人目にはなるべくつかずに帰りたいのだ。
勿論、無事に帰りつけるかどうかは、運次第、相手次第でもあるけれど―――――
此処はひとつ、王子様、を、信じてみたいところである。

ご案内:「夢幻窟」からリリアンさんが去りました。
ご案内:「夢幻窟」からヴァイスさんが去りました。