2022/11/27 のログ
エレイ > その後も何事もなく、交代の時間まで男はバイトを勤め上げ──
ご案内:「ル・リエーの水遊場」からエレイさんが去りました。
ご案内:「ル・リエーの水遊場」にドラゴン・ジーンさんが現れました。
ドラゴン・ジーン > 昼間の水遊場。但し大人数利用の場ではなく。完全に別室として隔絶された個人利用の小さな遊泳場となる。高い天窓から採光される昼間の日照が純白基調の内装を照らし出しているが、周囲四方の石壁には窓一つも無い。無論出入口となる扉はあるけれども。
此処はまた汲み上げられている水に全く手を加えられていないという訳ではなく、温泉とまでは行かず肌寒さは在るが、冷水とまでは言えない温水だ。
秋入りからもう冬になるというのに、それでも盛況の気配を外部から感じるのは公の場でも同じような水加工がしてあるからかも知れない。

普段ならば少々金を弾まないと客としては入れない…清掃人などの従業員としてならば別だが。そんな個室でも、スライムのような不定形ならば悠々と侵入が出来てしまう。

ドラゴン・ジーン > 静かな部屋の中央に当たる場所には、十分に泳ぎ回る事の出来る水槽が湛えられていた。現在においては誰も泳ぐ姿は見受けられない。水道から今も水が供給されているのか、風も通らない場所だというのに水面は完全なる凪ではなく、ほんの少しばかり波打っているようにも窺えた。
そのプールのサイド側に這い蹲るようにして、石炭色の怪物が陣取っている。

「………」

水面の水鏡に映り込んでいる自分の顔を繁々と覗き込む。その頭部の右半分には、拵えたばかりの三本の角。何度も角度を変えて確認するかのように。
あたかも化粧台前の御婦人のような様相だ。

ドラゴン・ジーン > 「………」

怪物の思考回路に遊ぶ、という選択肢は余り存在しない。此処に来たのには無論のこと目的と理由がある。ちゃぷ、と、そのまま無造作にその角ごと竜顎をプールの水中にへと突っ込んだ。
水遊場にごびごび潤沢な水を牛飲する嚥下音が響き渡る。そしてその水分量に比例し、見る間においてプール際に佇む体がぶくぶくに膨れ上がり始めた。侵入時においては1m程度であった体積は直ぐに3m近くにまで肥大化。

粘り付くゼリーの形状自体は自由自在だ、内部から手を加える少し透き通った石炭色にはぼこぼこと気泡が忙しなく泡立ちだし、見えざる手で捏ねられているかの如くに外部表皮が凸凹と蠢き出す。

ドラゴン・ジーン > 間も無くしてそこに完成するのは、長身の人間の女の姿。但し大雑把な模倣に過ぎず、肉体のラインを形成したという程度に過ぎない。
雄の角張った骨格とは異なりまろやかな流線曲線を意識し柔らかみを重んじた肉体構造。大分盛り上げた胸部にだっぽりと砲身のように飛び出す長乳のボリュウムは頭の大きさすらも遥かに超えていたが、前回の様にそのアンバランスな錘に引っ張られて体勢を崩すような無様も無い。形作った角はそのままだ。

「…………」

今回は腰回りの肉付き周囲もゼリーで盛ってむっちりと円く仕上げた。成人男性の腕程はあろうかという程の太ももからすらりと伸びる左右の脚線を軽く試すように組み合わせる。身丈自体も前述通り相当高く、3mの体長をフルに身長とそこに備わる体格に費やした御蔭で、座位や立位も可能にした。

ドラゴン・ジーン > 「………」

両手を床面につく。ゆっくりと餅のような柔軟な弾力で拉げていた尻を持ち上げるかのように腰を浮かせる。大根みたいに太く作って安定感が抜群の筈の両脚がぶるぶると震える。四足に余りにも馴染み過ぎて立ち上がるまでには若干の苦労。
長く伸ばした頭髪、を、疑似的に作った粘液がはらりと括れた腰の背中にへと重力に引っ張られて垂れ流れた。

ドラゴン・ジーン > 「………」

立てた。ぐらぐら揺れる体幹の不安定さに芯を認めるまでに数秒。
そして直立不動の体勢から、ゆっくりと、右から確かめるようにして足を前にへと踏み出し始める。
まるで立ち上がる事を憶えたばかりの幼児のような所作。隠れた水遊場の個室内で黙々と練習する人体での歩行。

ドラゴン・ジーン > ぐしゃ、べしゃ、と何度も繰り返された転倒とそれに伴う水気の多い果実が粉砕されるような音響。
後でもしも、この個室に清掃人が足を運んで来たならば、恐らくは驚く事になるだろう。
プールサイドに撒き散らされるようにして広がった汚泥のような黒い水溜まりに。

ご案内:「ル・リエーの水遊場」からドラゴン・ジーンさんが去りました。