2022/05/03 のログ
ご案内:「ル・リエーの水遊場」にリシェさんが現れました。
■リシェ > お約束待ちです。
ご案内:「ル・リエーの水遊場」にアンネリーゼさんが現れました。
■アンネリーゼ > 晩春、或いは初夏とも言える頃合いは、青空から麗らかな日差しが降り注ぐ。
春と言うには暑く、夏と言うには涼しい。日向にいると少々汗ばむ、そんな陽気。
朝起きて爽やかな空を見ると、インドア派な少女でもお出かけしたくなるというもの。
思い立ったが吉日、折角ならばと愛しのあの子を呼び出して、遊びに出ようと思った次第――。
「という訳で、プール、貸し切っちゃったわよぅ!」
何が『という訳』かは不明だが、予てから見たかった水着姿を眺めるべく、水遊場の一画を貸し切った。
のっぴきならない状態で誘えば、控えめな彼女は絶対に水着に着替えてくれる。そんな企みあってのこと。
勿論、そんな事しなくても頼めば着替えてくれると信じているが、そこはそれ、照れとか色々あるのだ。
ともあれ、使用人を二人程侍らせて、黒の水着を纏った少女はちうちうとトロピカルドリンクを吸っていて。
「――さて、プールサイドで見たいからって、敢えて更衣室分けて来ちゃったけど、まだかしら」
そわそわ。普段ならば先ず見せない、外見相応に子供らしい仕草。それも、彼女だけの特別。
調教師や拷問吏という職業は、常に余裕を持って、泰然自若としていなければならない。
それが今は、お子様ランチを注文した後の子供みたいな、楽しみを隠せないといった具合で。
付添の使用人は、そんな主人を見て何を思うだろうか。顔に出さないのは、プロの証だ。
ちうちう。トロピカルドリンクだけが、手持ち無沙汰な今を慰めるべく爆速で減っていく。
■リシェ > (思えば、以前。もっと、外を知りたい、そんな話をした…気がする。
そんな中で、昨年、たった一度だけ。海…より遠い、外へ。この国の外へ。繋がる景色も、目にする事が出来た。
願わくば、もう一度、と。考えてみるのだが…一つ、思い知った事も、ある。
どうやら。海とは、泳ぐ事の出来る場所、らしく。そして。少女は、泳げないのである。
これまでの人生。殆ど、城内で過ごしてきて。水場らしい水場、といえば、温泉宿くらいしか。触れて来なかったから、仕方ない。)
「……練習。練習、するべき、なのでしょうか…」
(次第、肌に感じる気温が、増しつつある。頃合い。思案する少女に、お誘いがあり。この水遊場に、来る事になった。
その為に。ちゃんと、水着も、準備してある…少女の肌に近しい、白。所謂ビキニタイプで比較的、シンプルに。
ただ、ついでに。実際水に入る時には、邪魔になるのではないか。そんな、大判のパレオが、セットに。くるくると、巻き付けられているのは。
白すぎる肌に、夏日めいた陽光が、どれだけの影響を及ぼすかと。周囲が、気に掛けてくれたから…なのだろうか。
それとも。水着、という、普段と異なる装いを。見られる事、見せる事に。少女がどこか、そわそわ、落ち着かない事も。独りでは生きられない、籠の中の少女を、世話する者達が…ちゃんと、察したのか。
何故なら、本日。少女が、行動を共にするのは……)
「お…お待たせ、い…たしました、っ、アンネリーゼ様…っ?」
(決して、真夏、には及ばない筈なのに。ぽぅっと暑く感じてしまう。
プールサイドで待っているのは。どうやら、対極の色を選んだらしい、水着姿の…少女にとって。とてもとても、特別な人。
明るい陽の中で、その姿を見る、というのも。何やら…今までにない、特別感を、アップさせている気がする。
隣のデッキチェアへ、そそ、と。脚を揃え、横座りして………ほぅ。無自覚に、何やら、吐息が零れてしまった。
見た目少しだけ、年下にも見えてしまう彼女の。プールサイドに似合う、姿は。何と言うか…なんというか、そう、かわいらしい。)
■アンネリーゼ > プールサイドのチェアに腰掛け、足をぶらぶら。眺める先は脱衣所で、プールは一切見ていない。
人っ子一人いない貸し切り。海を、と言っていた彼女に合わせた砂浜プールに、さざなみが打ち寄せる。
ずずず。淑女たるものが立ててはいけない音も、この場に限っては何するものぞ。青い中身を飲みきって。
そうして少しばかり、一日どころか一分が千秋に感じる程に待ち侘びて、ようやっと。
「……おぅ」
やってきた彼女に語彙力が死ぬ。一瞬で全滅。虚偽の大本営発表も待ったなし。
簡素な白のビキニタイプは色白な彼女に統一感を与え、パレオは人魚の鰭のように優美。
目に入れても痛くない、とは正しくこの光景だと直感的に理解する。だだ甘である。
「ふふ、待ち侘びた分期待値高かったのに、一足飛びで超えてきたわぁ……!
御伽噺に出てくる人魚のお姫様が、物語から抜け出してきちゃったのかと思った」
実際、彼女は諸事情あれど姫という立場である。纏う気品はどうあれ誤魔化せまい。
それが良いのだと彼女を貪る輩も居る訳だが、そこは考えると妬けるので止めておく。
小さな足取りでやってきて、隣のチェアに腰掛ける様も愛らしい。心が潤う。
使用人に目配せして、自分が飲んでいたのと同じドリンクを用意させると、手づから彼女へ。
「はい、これ。運動の前は、適度な水分補給と柔軟体操が必須だからねぇ。
――ふふ、なんというか、こう、ね。好きな子と居る時間って思った以上に浮かれるものね。
今も少しばかり浮足立って、気分がふわふわしてる。こんなの、久方ぶりのことだわぁ」
最近は生活に潤いがなかったからねぇ、と述べる様は、どことなく萎れ気味。
とは言え、それも今日で素敵な色々をフルチャージして、全回復するつもり。
彼女が一杯飲み干すまでは、それなりに時間も掛かるだろうから。す、と目を細め。
「それにしても、久々になっちゃった訳だけど、元気にやってたのかしら?
リシェの立場や身分は知ってるから、ちょっぴり心配していたのだけれど……」
どうなのよぅ、と質問しつつ、世間話に勤しんでみる。話題次第では嫉妬するが、放っておいても無害だ。
■リシェ > (燦々と降り注ぐ、暑い陽の光は。それでも、実際は、壁や天井の硝子越し。
白い砂浜は、区切られたスペースであり。打ち寄せる波すら、再現されているのは、驚きだが。きっと、風の魔術とか。そういう代物、なのだろう。
あくまで、作り物。どれもこれも。だが、悪い気はしない。寧ろ、これだけ緻密に、再現を計れてしまうという、その技術には。感心すら、覚えそうだった。
…という、筈だったのに。どうやら、矢張り。本物、の方に。目移りしてしまう。
正真正銘、嘘偽る事なく、真性の美少女だ。それ以外、どう例えたら良いのか、まるで判らない。
それが、悪魔の囁きであるというのなら、誰も彼も喜んで、飛び付くのだろうし…実際少女は飛び付いたし、そして真実彼女は、悪魔である。
何やら、訳の分からなくなりそうな。ぐるぐると巡る思考が。たった一度、彼女の水着姿を目にした、それだけで。少女の脳を、目まぐるしく駆け巡る。
『ぁぁ』、『ぇぇ』、と。丁度、彼女の一声に、合わせたように。呂律の回らない声を、零しつつ、そそ、と腰を下ろした所で。
手ずから差し出して貰える、ドリンクを受け取って。これ幸いと、一口…また一口。ストローで吸い上げる。)
「ぁ…ありがとう、御座います。アンネリーゼ様も………ぅー…ん、うん、と……
申し訳、有りません。わたしではとても…とても。アンネリーゼ様の、かわいらし――こほん、美しさ、を。どう、例えれば良いのやら…」
(おっと。つい、本音が、出てしまった。勿論、可愛らしいだけでなく。美しい、というのも。真実ではあるけれど。
ちゅるる。少し強めに、ドリンクを吸い上げて。食道から、全身、水冷しようと試みて、しまう。
見た目について、褒めて貰える、という事だけでなく。こうやって、共に過ごす時間が、楽しいと。言って貰える事が…嬉しい。
そんな中。実に、世間話らしく。互いの近況が、話題に挙がったなら。)
「…お仕事、ご多忙…です、ものね。きっと。アンネリーゼ様の、お仕事……尽きる筈も、御座いません、し。
わたし、ですか?……ぇぇと、そう…ですね、一番大きな、変化としましては………その。
…勉強。教えて、いただける事に。なったのです。……わたし、何も。知りませんでしたので……」
(もじもじ。とっても恥ずかしい告白。そう言わんばかりに目を伏せ、指を絡めつつ。
肩すかしかもしれないが…とはいえ、これば。実の所、とても、大きな変化である。
無数の姫、令嬢、の存在する中。娼姫、と称される少女は、ほぼ城に囚われて。…外では生きられないよう、何一つ、教わってこなかった。
実際、とある友人と、温泉宿に赴く事が許された時、など。支払いの義務すら、知らなかったのである。
…それが、ちゃんと物事を、学び始めたというのだから。人から魔へ、変わり始めて…やっと。人扱い、され始めたのだろう。)
■アンネリーゼ > 陽光に照らされる彼女は、正しく深窓の令嬢という言葉が相応しい。
多少過保護に育てられ、楚々と風に揺れ、日溜まりに咲く白銀の花だ。
時折そよぐ風に、彼女の香りが乗せられてくる。心が穏やかに和むのが分かる。
眼の前の彼女は、なにやら困った様子で、もごもごと言葉を紡ごうとしている。
ふむ、と首を傾げていた所、吐露される本音には一瞬目を丸くして、次いで笑みが溢れた。
「ふ、ふふっ、それで一生懸命に考えてたの?もう、良い子ねぇ、リシェは。
気障ったらしい言葉を使わなくても、私の装いを好んでくれたならそれだけで嬉しいわ。
私に白は似合わないから、お揃いじゃなくて対にしてみたのだけれど、案外良いものでしょ?」
彼女と比べると、少女が内に秘めるのは奸佞邪智の類。動物に例えて言うなら蛇である。
故に、清らかで汚れがなく、何者にも染まりうる白色というのはどうにも収まりが悪いのだ
寧ろ、少女の本質は相手が何色であろうとも自分の色に染め上げてしまう黒色。上書きの色。
彼女なら似合うと言ってくれもするのだろうけれど、自分にしっくり来る方がなお良いという判断で。
「仕事が尽きないのは良いのだけれど、この国のお偉方はこういうのが好きすぎではなくて?
おや、お勉強。そうねぇ、知識は絶対に裏切らない財産だから、素敵なことだと思うわよぅ。
外を知りたいっていうリシェの夢が、目標が、少しずつ現実になっていくってことだもの」
これまで不要だからと与えられなかった知識を、知恵を、欲する様になった。
それは、最初に出会った頃の彼女と比べれば、非常に大きな一歩だと思える。
何もかもを持たず、悲嘆に暮れ、この世には何も希望などないと諦観していた様に見えた彼女が。
今はこうして、穏やかな日差しの元で照れた様に、もじもじと可愛らしく過ごしているのだから。
今の方が魅力的、ということは、彼女の立場――娼姫としての価値も上げているのだろうけれど。
そこを差し引いても、好きな子の笑顔は魅力的なのだ。心の奥に、ぐっと来るものなのである。
「……ん、これから沢山知っていけるわよ。常人より長生きなのだからねぇ。
それに、リシェみたいに表情がコロコロ変わる子は、色んな経験をした方が素敵に見えるし。
――まぁ、その分だけ独り占めできなくなるのは、こう、悔しくもあるのだけれど……」
だけど、やっぱりここは我慢よねぇ、と苦笑しつつ、己の独占欲の強さを知る。
だが、彼女を籠の鳥にするのは、先に軽蔑した貴族達と一緒の振る舞いだ。それは出来ない。
特別で居たい反面、束縛はしたくない。今の季節には相応しい青い悩み。甘やかな悩み。
「……むぅ、リシェ、だけども、やっぱり貴女を独占したいわ。どうしたら良いかしら。
リシェの特別、欲しいんだけど、私に下さる?どうも、我儘が抑えられないみたいなの」
こういう時は、やっぱり魔族らしくいこう。彼女が困るのはわかっているけど、それも一興だろうから。
もうあげたよと言われたら、もっと頂戴と言ってみよう。そう、少女は欲望に素直で、際限なく貪欲なのだ。
■リシェ > (二人の少女。そうとしか見えないし、実際の所、そういう側面も…過分に、存在すると思う。
例え半魔と真魔、本来ならばこうして、陽の照らす世界の存在、ではないのだとしても…それでも。夏日に浮かれ、波打ち際ではしゃぐ、そうした権利は。きっと有る、筈。
彼女と二人、今日を過ごす権利を、主張して。無事、水遊場へと、やってきた少女は。きっと、主張出来るのだろう。
籠の鳥は、けれど、れっきとした鳥でもあるのだ、と。
…もちろん、その為に、ちょっぴりばかり。彼女に貰った力を、悪用した…という可能性も。なきにしも非ずなので。
見た目、どれだけ、お嬢様お嬢様していようとも。外から見て、白く白く、それ以外を、識らない風に。見えたとしても。
必ずしも、それだけではないのだけど。)
「そ…ぅ、でしょうか。でしたら、は…い、はい…とても。…アンネリーゼ様…、とても、お可愛らしいと…思います。
ふふ、ふ。対になるように、だなんて。…わたしと、合わせる事。考慮して、いただけるだなんて。それも……嬉しく。えぇ、嬉しく思います。
何より――貴女様に、この色は。とてもお似合い…ですよ?」
(寧ろ彼女の黒に。望んで染まる事を、選び取ったのが、少女なのだから。それが、好ましく見えるのは。当然なのだろう。
上辺ではなく、内側から。少女は、彼女の黒へと、染められている。
…内側。肉体に対して、魂から、という意味ではあるものの。同時に、つい、想像してしまうのは…自分が、彼女に。肉の内側を、すっかり明け渡している、という事。
真っ昼間、らしからぬ想像に。ころころ、と笑うようにしつつも。少しだけ、頬に色を帯びた…かもしれずに。)
「そう…ですね、お互いに、そういった事は…尽きません。アンネリーゼ様も…わたし、も。
……今の処は、その、まだまだ…わたしの、不見識を。思い知らされる、ばかり、です。
ですが、い、今でしたら…そのっ。…わたし一人で、も。…例えば…貴女様の、お屋敷へ。お邪魔も、出来るのではと…」
(日々、変わり続けるのは。人間だけでなく、彼等が生き、彼等の作る国や、街、それ自体も。
だからだろうか、散策のあれこれすら、知らない少女は。容易に、城下で迷いそう…だが。
そうした時は、誰かに、道を尋ねれば良いのだとか。地図を見れば良いのだ、とか。知った事柄を、さも自慢気に、口にしてみせた。
…今現在、再評価されている、という。幼児のおつかいを、髣髴とさせるのは……気のせいだと思いたい。
何にせよ。些か、情けない可能性は、置いておいて。あの時、彼女の手を取った少女が、今も…緩やかながら、変わり続けているという事。
それだけは、大事な事だから、と。報告したかったのだろう。きっかけをくれた…彼女へと。)
「わたしが、そうやって。普通の人々よりも、ずっと…と。そうなった事。何れ、色々な方が、驚いて下さるの…でしょうね?
……独占。…独り占め…ですか。………それは、確かに、そうなのですが…」
(ああ、と。納得のような。もしくは、少女本来の性格らしい、諦観のような。嘆息が零れた。
お互いに。調教する側、される側、等のように。性の事柄からは、離れては、生きられず。そして性的なそれは…誰か、相手が居なければ、成立しない。
その上で…娼姫たる事が、当たり前として生きてきたのも、確かだから。抱かれる事を、悦んでしまうのは、事実だから。
少し考え込んでしまう…ものの。)
「寧ろ、わたしに、とっては。こういう時間こそ、滅多に御座いません。とても…とても特別です。
ですから…こうして、お誘い下さった、アンネリーゼ様と。過ごす、時間は…是非とも。独り占め、していただきたい、物です。
……いただけるのですから、与えたい。…アンネリーゼ様は。…わたしの、何を…お望みに、なりますか?」
(少なくとも。こうして、二人、出逢う時間は。是非とも、独占していて貰いたい。そう、考える事にした。
彼女によって、また別の、籠に囚われる、のではなくとも、寧ろその分。外の世界、外の空、其処で共に在るのは。彼女なのだ、と。
さて。それも踏まえて…だからこそ。いつぞやの、貴族達のような。誰かの邪魔など、存在しない…二人きりで、あるのなら。
彼女にとっての、特別でありたい、というのは。当たり前の事。…そんな彼女が、求めてくれる、特別とは、何だろう。
飲み終えたグラスを、彼女の従者へ手渡して。それを、従者が片付けに行く…居なくなる、タイミングで。
前に乗り出し、低い姿勢で。じ、と、彼女の眼差しを。下から、覗き込んでみせた。)
■アンネリーゼ > 傍から見れば、金と白銀、二人の少女が仲睦まじく会話を楽しむような光景。
しかしその実は、どちらもが時により人に仇をなす魔族であり、無垢でもない。
実際、少女は今日の為に日頃使う宛のない財力を叩きつけ、瞳術で人の心すら弄った。
今日一日だけと言わず、その気になった時はいつでも貸せと、そんな横柄な約束である。
無論、彼女と使う時くらいだろうから、そこまで迷惑をかける頻度ではないだろうけれど。
それとは別に、何となく彼女から感じる魔の気配も強くなったように感じる。
それは、彼女が己の誘いを受けた時に蒔いた種が、ようやく萌芽したのだろう。
少女的には喜ばしいことだ。彼女を立派な魔族にするのも、少女の目標なのだから。
「ふふ、リシェだって、私のことを思って選んでくれたんじゃないのかしら。
だとしたら、えぇ、相思相愛というやつだわ。だから、リシェも、とても似合ってる」
褒め言葉だけが、螺旋を描いてお互いの尾を食む一対の蛇の様に続く。
その流れで彼女そのものを味わいたい反面、穏やかな時を楽しみたい欲もある。
色事を生業にする少女とて、常に淫蕩で有り続けたいわけではないのだから。
彼女の笑顔に、むふーと少し満足げなのは、その表情を引き出したのは己という謎の自信があるから。
とは言え、育ての親という立場はなんとなく嫌だ。親じゃなく、もっと不健全な関係が欲しい。
「知らない、を知ることこそが学問の深奥だと聞いたことがあるわ。
何でも、知れば知るほど己の知らない領域が増えていくのだとか。
――あら、家に来てくれるの?それじゃ、今度お招きしなくてはね!」
少女の家――その実はアトリエだが――は、この世の何処にでもあり、何処にも存在していない。
少女があれと思った場所に入り口ができて、するりと迷い込めるのだ。なんとも狡い。
だが、もしも彼女が市井を経て訪れたいと言うならば、適当な空き家を買い取って目印にしても良い。
それなりに治安の良い富裕地区辺りに居を構えておいて、家の入口とアトリエを繋げれば完璧だ。
その後ろに存在する家の本体は存在意義を失うが、それも些事かと思考からは放り捨てて。
ひっそりと彼女の『はじめてのおつかい』計画を練り始める。また一つ、初めてを貰うのだ。
「勿論、近くで見ている私ですら、最初あった頃と比較したら驚いてしまうわよぅ。
だから、日頃の貴女を見ていない人からしたら、天と地ほどの差になるのではないかしら。
――ふふ、溜息は幸せが逃げる時に出るのよ。次したら、その口塞いじゃうからね、口で」
彼女の考えは、その来歴から予想がつく。だが、今それを考えてほしいわけではない。
今はそこから離れてほしいのだ。とは言え、安易に連想させる言葉を並べた己が迂闊だったのだろう。
ならばそれを上書きしてしまえ。己の信条の通りに、物理的に染め上げる術を宣いながら、彼女を見る。
己の我儘にも真摯に返してくれる彼女に、少しだけ悩んだ後、丁度メイド達が席を外した刹那に。
「リシェを疑ってるわけじゃないし、既に特別だって思ってくれてるのは解ってる。
だけど、それでももっと欲しがってしまうのが、私の本性であり本質でもあるの。
――だから、リシェ、よかったら、私のここを、貴女の想いで埋めてくれない?」
そっと、彼女に見せるのは己の左手薬指。今まで誰にも許したことのない場所。
本来であれば、婚姻の際に指輪を贈り合い、身につけるのが市井の習いであるのだとか。
であれば、と。物に残る証拠が欲しいだなんて、随分とまぁ自分らしくないとも思う。
だが、それでも欲しいと思えたのだ。ならば、自分の欲望を全てにおいて優先する。
触れ合える距離に、彼女が居る。無意識に視線を交わらせ、そっと顔を近づけて。
それこそが自然。そう言ってのけられる自負とともに、柔く唇を重ねようとする。
■リシェ > (見ただけでは、その本質が分からない。見た目に騙される。その方が、本当に怖い物…なのかもしれない。
現に、徒気ですらある、彼女は。力を、財を、各方面に行使出来るだけの物を、有している。それを、使う事を、躊躇わない。
少女も…多分、今回の場合。今まで散々、自分が、搾取される側だったのだから、と。相手に対して、悪気を抱く事もなく。お誘いへの約束を、無理矢理、成功させたのだろう。
それでも。そうした力が、振るわれる、大半が。二人の少女が、ささやかに、愉しむ事。その為だけに、終始しているのだから…今は。
魔族と呼ばれる者達が、互いに互いを、安全に維持し合っているかのような、状態と。言う事が。出来るのかもしれず。
…いずれにせよ。結果として、彼女からは、金銭が提供されて。少女からは、交換条件に、誰かの秘密が保持されて。丸っきり損をしただけの者は居ない…筈である。多分、きっと。)
「………其処は、えぇ。勿論です。…寧ろ他の方…に、お見せする事は、あまり。考えていない、と。言いますか。
そうでしょう?折角、二人きりの場所、用意して下さったのです。それが分かっているのですから―― …む。む、む…」
(繰り返しとなる褒め言葉が。そろそろ、認識に追い付いて、こそばゆくなってきたのだろうか。
そちらの方にも、恥ずかしさを覚え始めて来た…のかもしれない。また一口、また一口と、冷たい飲み物を口にし続けているせいで。
小食且つ、スローペースな少女らしからず、グラスの中身は瞬く間に、消費されてしまった。
結局。内側から、特に顔から火の出るような、熱さは。消しきる事が叶わずに。ほぅ、と零れる吐息にも、温度の上昇を感じさせつつ…
まだ、泳ぐどころか、準備体操も、しない内から。白いだけの肌は、ほんのりと、汗ばみだしていた。)
「…驚きました。無知は知であると、はい…教師を、買って出て下さった、方にも。お伺いしました…ので。
矢張り、物を知る方は…皆。道理や、真理に。造詣が深いのです…ね。きっと。
…はい。はい、もし宜しければ…是非。そうしてみたいのです、わたし。
だって…貴女様の家。貴女様の空間。それは…立派な、特別と。言えますでしょう?」
(彼女が、魔族としては育ての親になる、というのなら。彼女の生活空間というのは、謂わば実家、という事になるし…
そうでないなら。それ以上の関係なら。彼女の、パーソナルなスペースへと、入り込む事は。矢張り、特別と言える…筈だから。
とはいえ。実際に、その時が来たら。さぞ、驚く事だろう。
生活空間、その通り、正しく一種の空間その物。何処かしらの家屋が、入口にはなるのだとしても…その向こうに、まるで、異なる世界が。拡がっているのなら。
何はともあれ、彼女の方も、どうやら。乗り気であってくれるらしいなら。今は、少女の方も。愉しみだ、と頷いてみせる。
『○○様のお宅訪問』も、少女にとっては、希有なのだから。)
「…変わる所と、変わらない所が、在るのは。…種を問わず、誰しも、同じなのかと……その中で。
アンネリーゼ様には、わたしの、変わる所を。変わった所を、見ていただきたい。わたしは…そんな我儘を、常に、抱いておりますから。
ぇ…ぇ、それは。………わたしにとっては、…ご褒美、……です、よね?」
(最後の方は。少しだけ、少女なりに、冗談めかせたのかもしれない。
けれども、言いたかったのは、きっと。少女の方にも、我儘が存在する、という事であって。だから、彼女が、自分の我儘を、気に病む事はないのだと。
誰だって。人でも、魔でも、それ以外の何でも…其処については。同じだろうと思う。常日頃、あらゆる欲望を、目にしていればこそ。
そうやって、二人きりになってから。改めて。)
「お互い難儀です。それは…変わらない所の、側ですから。
…何年も経って、それでも、わたしが変わらなくて…ああ、お前は。本当の魔物なのか、本当に、恐ろしい存在なのか…と。
もしくは、わたしも…アンネリーゼ様。貴女様と、同じなのだと。大勢の方が、思って下さるようになったら、その時は…… いえ。
待って、居られません…ね。アンネリーゼ様…だけでなく。わたしも、きっと。」
(見上げる眼差しを。一度伏せると、どこかしみじみ。納得した…している…そんな声に出したなら。
与えられる口付けを、受け容れる。唇を重ねながら。伸ばした手は、彼女の、左手を。示された場所を、包み込んで。)
「…わたしは。アンネリーゼ様…もう、貴女様に。同じ場所を、捧げて、います。
わたしから、形として、差し上げられる物は…今は、持っておりませんが。
…許して、下さるのなら。……手に入れたいと、思います。そうしてみせます。わたしから、貴女様へ。捧げる事の出来る、相応しい物を。
ですから今は……」
(今日はこれで、許してくれますか?
そんな、囁きと共に。彼女の手を、持ち上げて……ちゅ、ぅ。吸い付いた。
左手、薬指、その外側へ。彼女の白い肌に。誰かが、其処へと口付けた証、誰かの物と訴える証、を。)
■アンネリーゼ > 二人共、実は案外あくどい事をしているのなら、ここに咲くのは毒花が二輪。
傍からの見た目は美しく、しかしその実近寄って来れば仄暗い奈落に引きずり込む魔性。
それは、真剣に熟慮して使えば国を傾けることすら出来うるだろう劇薬だ。
例えば彼女は、王侯貴族の気まぐれな寵愛を受ける折がある。
その際に、権力者の心の中を弄ってしまえればどうだろう。それは、洗脳に等しい。
一人一人では細やかな洗脳でも、それが数人、数十人と増えていったとしたら。
無論、数多の幸運に微笑まれた先の結果だろうが、彼女が君臨する未来もあるのかもしれない。
だが、実際は秘密の逢瀬を取り付けるため、などという小さな過ちのために力を行使している。
少女からすれば、それこそが世を上手く渡る為の術。恨みを買わずに立ち回り、面倒を避けるのだ。
或いは彼女も、大それた考えは抱いていない様に思える。その方が、心配が少ないから好都合だ。
敵を作らず、己と彼女が平穏であればそれで良い。小さく満ち足りるのが、少女の望みになりつつある。
「二人だけの秘密ってやつね。実際には、もう少しだけ広く知れ渡りそうだけど。
リシェが心を許した相手になら話しても良いって、そう言う約束だものねぇ。
お代わりは……後にしましょ。リシェの甘い匂いが濃くなってきたみたいだし」
すん、と小さく鼻を鳴らせば、彼女の芳香が鼻腔をくすぐる。濃い甘やかな匂い。
それが実際の匂いなのか、彼女を好むが故の錯覚なのかはわからないし、どちらでも良い。
仄かな汗ばみ。それすら嗅ぎ取りながら、折角のプールなのに泳ぐ気が揺らぎ始めて。
「ふふ、それじゃ、私も先生に立候補できたりするかもしれないわねぇ。
アンネリーゼ先生は不健全で甘ったるい授業しかしないかもしれないけれども。
……可愛いこと言ってくれるじゃないのよぅ。もう、泳ぎの練習する筈だったのに」
じわじわと傾いていく天秤は、春の陽気の下では不健全な方へとひた進む。
使用人達は気を利かせたのだろう。戻ってくる気配がない。それはそれで良し。
広いプールサイド、模造の砂浜に二人きり。まずは啄むように、唇を重ねて。
「ん、ふぁ――甘くて美味しいわぁ。ジュースよりも、リシェの味のほうが濃い。
ふふ、恐れられるなら一緒に恐れられちゃいましょう。そう言うのも楽しいし。
リシェの未来がどう転んでも、必ず隣りに居るから、育つことを楽しんで、ね」
彼女の繊手が、己の手を包む。容易く壊れてしまいそうな程に繊細な手指が触れる。
するりと、一瞬絡むように遊びながら、しかし彼女に任せれば導かれる先は彼女の口元。
薬指の根本、指輪を冠するその場所に触れる唇。その熱が、湿り気が、快い。
「――えぇ、覚えてるわよ。唯一捧げた婚約指輪だもの。
勿論、今じゃなくても良いわ。いつか、ここにリシェの印が欲しいの。
名実ともに、夫婦として、ね。女同士だけど、そう言う関係になりたいなって」
だから、と彼女に身を寄せて、そぅっとその身を抱きしめて。
彼女に触れる己の肌も、期待と熱で仄かに汗ばみ、湿り気を帯びていることだろう。
すべすべ、というよりもしっとり、と言った具合で肌を合わせて、心音をも重ねて。
泳ぐのは後で良いか。そんな考えすら湧いてきたから、我慢はできそうにないと結論付けて。
「……泳ぎに行くのと、エッチなことするの、どっちが良いかしら。
私は意地悪だから、リシェのお願いを聞くふりして、決めさせちゃうんだけど」
どっちにしたら良いかしら、そう問いながら、右手をゆるりと彼女の下腹部へ。
子宮の直上――かつて力を分け与える際に紋様を刻んだ辺りを優しく撫でながら、笑む。
■リシェ > (その気になれば出来る。今なら、少女一人でも…人間の心を。掻き毟り、波立て、壊してしまえる。
けれど、それをする事は、ないだろう。あくまでも、少女は自分が、生きてきたのではなく。生かされてきたと、理解している。
数多の悪意と、欲望に、漬け込まれつつも。それ以外の手で、生かされてきた、という事も。
だから、今はまだ。行き過ぎた悪意に、悪意を以て、お返しをする程度。ついでに、ちょっぴり、我儘を通す、くらい。
そして。彼女の方も、正真正銘の魔族、ではあるものの。人の世界を、踏み均して、支配する…などという事はなく。
あくまでも、人の世の内側で、自分らしい過ごし方。その位を、通しているのだろう。今の処。
両者の生き方が、そうやって、噛み合うのなら。今の処は、充分なのではないだろうか。と。)
「…この先。本物の海にも…アンネリーゼ様と、ご一緒する時が、来ましたら。そうなりそう…ですね?
もう少し、大勢の方に。お互いの格好、見せてしまうのですから……少し。…嫉妬する…かも、しれません。わたし。
て、そ…う、ですか?…顔にというか、それ以外…でしょうか……出て、しまいます、ね…」
(多少は、自制しているつもりなのに、と。頬の片方を、掌で抑えて。其処の熱さを、自覚してしまい。
きょどきょどと、目線を、左右に揺らしてしまった。夜にならない、その内から。淑女らしくは、いられない、らしい。
同じように、彼女の側も。当初の目的が、揺らいでいるのだ…と。知ったのなら、ますます。少女の理性は、大きく揺らがされてしまう、筈で。)
「勿論、アンネリーゼ様、でしたら…きっと。わたしの、存じない様々な…事柄を。御存知、なのでしょうし…宜しければ。ご教授、いただきたいものですが。
…えぇ。良からぬ事、においても。…貴女様に、教わるべき、事柄は。たくさん…存在するのかと?
……ん、ん……んう。…はっ……そう、です。良い事も、良からぬ事も、悪い事も……」
(果たして。白昼の逢瀬から、このまま、爛れた行為へ、雪崩れ込もうという意思も。良からぬ事に、含まれるのだろうか。
だとすれば、寧ろそれは、少女自身も。望んでしまう事柄なのだと、暗に告げつつ。
それ以上の、悪い事、と言えるのも…例えば。性的な意味でなければ、魔族としての、更なる事柄であるのだろうし。
勿論、性的な方も、大歓迎だから。以前のように、人目憚る行為でも。彼女が望めば、喜んで、という所。
二つ。三つ。唇を啄み合い。そして。)
「は…ぁ……ぁふ、ぁ、ぁ…ん。
………それでも、受け容れて、下さるような方。わたしに、想像出来るのは…一握りしか、居られなくて。
けれど、それはきっと。永くは、続きません。皆が…人間で、わたしは、そうではない、となってしまえば。
……アンネリーゼ様。…わたしと、共に在って、下さいませ。…その時も、ずっと。」
(口にした、数十年、というのは。たった三文字で収まる程、軽い物ではない。
ふと、少女が思い至った通り。その頃には、今、身近に存在する人々が…どれだけ。残ってくれているだろう。
だから。変わらず、在り続けてくれる、その約束が。…ただただ、嬉しい。
三度目、その先。口付けが次第に、深い物へと、変わり始めた頃に。一度間を置き、指の背中に、口付けて。)
「……とても。わたしには、とても、大切な物です……この、指輪は。
ですから、わたしも。相応の物が、捧げたい、訳で…そう、それです。婚約指輪…わたし、の!
きっと、準備してみせます、ので……!」
(きっぱり、言葉にされた。その指輪の、意味合いを。
ひゃぁ、と。思わず、声を上げてしまったのは。…きっと、仕方がないだろう。気を効かせ、従者達が、戻って来ずに居てくれたのが。有難い。
こくこくと、頷きを繰り返し、それから大きく頷いて。決意を、新たにしてみせた…頃には。
脈を取るように、彼女の手から、伝わってくる心音を。少女の鼓動は、見る間に追い越し、早まっていく。
その状態で…繋いでいるのと、反対の手が伸びてきて。彼女から与えられた、もう一つの、余人には不可視の証。紋様へと、触れられたものだから。
びくん。目に見える程確かに、少女は、肩を跳ねさすようにして。
…右手。左手。彼女の両手それぞれの間を、少女の視線が、行き来する。
考え込む、ように見える時間は。正直な所、極々短い物にしか、ならなかったから。実際の所、答えは、聞かれるまでも無かったのだろう。
とん。左手の甲へ、額を預けて。自分の左手を、彼女の右手へ。上から重ね、しっかりと。下腹の紋へ、押し付けさせるようにして…)
「……アンネリーゼ様が、意地悪なのは…存じて、おります。…其処も含めて。わたしは、貴女様に……、色んな風に、して、いただきたい。
…このまま。明るい所で、いけない事…して、しまいましょう……ね?」
■アンネリーゼ > 持てる力を存分に使うのをノブレス・オブリージュと言うのであれば、二人共それに叛く行いだ。
力を持ちながらも敢えて使わない。それを是とする。それが二人の在り方。描きたい未来。
よもや、世のいざこざも魔族と人族の争いも、何もかもがお互いの幸せに比べれば些事なのだ。
ただ、愛し愛されたい。それ以上は望むつもりもない。それだけあれば、十二分なのだから。
「本物の海に行く時は、泊まりでいけるようにしておかないとね。美味しいものもご馳走したいし。
ん、それなら、本物の海も貸し切っちゃう?島を一つ、買ってしまえば思いのまま過ごせるわよぅ。
それこそ、水着すら着ていない、生まれたままの姿で砂浜を駆け回ったり、海で泳いだり出来るわ」
その方がいいならそうしてしまうよ、と言える程度には財貨も余りに余っている。
そもそも、必要なものを生み出せる奇特な錬金術の使い手だ。日々の暮らしは困らない。
魔力の消費は大きいが、貴金属を生み出して売りさばけば、仕事をせずともどうにでもなる。
つまりは世俗の柵など、少女には一切関係がないということ。駆け落ちには最適な能力持ちだ。
とは言え、彼女の立場を不用意に悪くするのは、少女も望んでいない。だからやらないだけのこと。
「そう言う事なら、いつでもなんでも教えてあげる。指輪に念じれば、私に届くから。
こっそりいっぱいお話して、少しずつ積み上げて、こっそり出し抜いちゃう感じで。
――ん、それじゃ、沢山悪いこと教えちゃうわねぇ。リシェがとろとろに蕩けちゃうまで」
自慢気に微笑むと、啄むキスに同じく軽い接吻を合わせて、少しずつ雰囲気づくりから。
何度か繰り返すと、徐々に興奮で息苦しさが芽生えて、自然と呼吸が荒く、早くなって。
とろりと彼女を見下ろす視線は、既にどことなく劣情の火を灯し、妖しく揺らめかせていて。
「ふふ、私が魔族側の理解者であるように、人間側の理解者だってその内現れるわ。
半分ずつってことは、どちらに対しても縁を結べるっていう可能性だって存在するんだから。
それに、リシェの力が強くなれば、気に入った子を魔に堕とす事も可能かもしれないわけで。
やるやらないはともかく、望まれたら出来るようになっておくのも、悪くないかもしれないわぁ。
それはそれとして、私はもちろん共にあるから、ずっと、ずっと、一緒よ。絶対にね」
少女からすれば数十年すらほんの一時ではあるが、それは代わり映えのない日々だから。
彼女のこれまでのように、屈辱と退廃に塗れていれば長く感じただろうことは想像に容易い。
であれば、対局に位置する幸福と歓喜に満ちた生活ならば、それこそ一瞬に思えるかもしれない。
どちらに転ぶかは分からないが、折角ならば二人の間に幸せが育めれば良い、と思う。
口吻を受けた薬指は、仄かに熱っぽい気すらする。きっと忘れない素敵な接吻。
「……あれは婚約だけど、次は婚姻指輪が良いわぁ。約束じゃなくて、してしまった後のもの。
次会う時は、ドレスを用意して勝手に式を上げてしまおうかしら。ゴリ押しってやつだわ!」
などとにこやかに告げながら、しかしその頬は緩みに緩んで満面の笑顔。
彼女ももしかしたら初めて見るかもしれない、そんなレベルのデレデレ顔である。
そして、彼女の体がゆるりと己の方へ。右手が彼女の下腹部に押し当てられる。
柔く揉めば、それだけでも蕩けてくれるのだろう。そんな極上で熱々の肢体に触れながら。
「……それじゃ、今日はもう一つだけ、リシェに決めてもらおうかしら。
前使ったのと同じ、体の一部を男の子にする薬が残ってるの。もしよければどうかしら。
私が飲むなら、そのままリシェをたっぷりこってり犯して、思うままに注ぎ込もうかなって。
逆に、リシェが飲むなら、私がリシェを搾り取るか、或いは、リシェになら、犯されてもいいかなって」
どっちが良い?と問いかけながら、己の髪を操って、彼女の背中へと伸ばしながら敷いていく。
繭をイメージした、少女の髪を用いた簡単な寝床。その上に彼女を横たえると、覆いかぶさり、囁いて。
その間も、右手は緩やかに彼女の下腹部を捏ねて、左手は彼女の手指と絡めあわせて。
恋人結びでそれとなくお互いの関係を示しながら、彼女の太腿に己の股座を押し当て、誘う。
侍従の二人は、さり気なく休憩を念話で示した。呼ぶまで来ることはない。名実ともに二人きりだ。
■リシェ > (かといって、持てる力を存分に。思い切り全力で行使し続けたら。多分、それはそれで、大問題になる。
少女の、目覚め始めた力、だけですら、人々の記憶や知覚、そういった物が、しっちゃかめっちゃかに改変されて。マトモに過ごせなくなる。
だが、その場合…無力な半魔、憎むべき魔族でありながら、容易に犯して愉しめる牝、といった。少女への認識が、変わってしまう。
もし、そうなってしまえば。恐れられるよりも先に、憎まれるか、危ぶまれるか…そして。命を、狙われるのだろう。
本来。人と魔は、受け容れざるべき、敵同士で。少女のような、無害なものも。彼女のように、人に紛れるものも。多くはない、筈だから。
使えるからといって…むやみに使わない、というのも。生きていくなら。平穏無事に、幸せに、過ごしたいのなら。立派な、選択肢の筈。)
「本物、の…浜辺、でしょうか……ぇ、ぇっ、島?島…ですか……は、ぁ……ぁぁぁ………
出来るのでしょうか……いえ。アンネリーゼ様には、出来てしまう…のでしょうね。わたしには、想像出来ません、が…」
(驚いた、というか。呆気に取られたというか。何とも、間の抜けた声を、出してしまった。
買ったり貸したり。金銭感覚という物に、つい先だってまで、縁の無かった少女にすら。大きな金額が、動くのだと。容易に知れる。
なかなか、考えられない事、ではあるが。あまりにもあっさり、彼女が、言い切ってみせる物だから。出来るのだろうなぁ…と、感心しきり。
序でに。非現実的、とすら思える其処よりも。美味しい物を、食べるだとか…一糸纏わず、二人きりで、だとか。
そういう、現実的に、出来得る事は。速やかに、想像してしまえた。
おまけに、寧ろ、お互い食べたり、食べられたり、なのでは?だとか。海で砂浜で、裸のまま、自然と…だとか。
まるで、性に目覚めたばかりの、子供めいて。つい、連想してしまう。身が、勝手に熱くなる。姫にして娼婦であるとは、なんだったのか。そう言わんばかり。)
「…もしかすれば。…それだけで、こっそり…城から、貴女様の元に。飛べる、のかも…しれませんね?
気がついたら、わたしが、居なくなっていて。…驚く、人々の中に。しれっと、戻っているというのも……ふふ、っ。
…今日の所は、大丈夫ですが。…そんな、いたずら。考えて…しまいました。」
(頑張って、悪い子になろうとしている。鬱屈を、外にも出そうとしている、発散しようともしている、今の少女である。
今回も、ささやかだが。指輪を通じて、示し合わせて、転移する…ふと。そんな悪戯を。思い付いた、様子で。つい、笑ってみせた。
勿論、そうやって、行方をくらます、間は。彼女の下で、彼女とたっぷり…今これから、しようとしているのと。同じような行為に、耽る筈。
先の事を、考えてか。そうせずとも、今これからの事だけで、充分にか…笑う吐息も、触れられた肌も、ますます。熱くなっていく。)
「………だと。そうだと、思います。わたし…も、受け容れて、いただきたい。そう、思いますから。
けれど…必ずしも、それが。うまく行く程、優しくないと。それも…充分に。
もし。………もし。わたしが、受け容れて、いただきたい方々に。そうして、いただけない時は………
ぃ、ぇ。それは。今、考える事では……在りません。今は…アンネリーゼ様と。それだけ、考えて、おこうかと…」
(親しいと、言える、少数の人々を…魔に、堕とす事は。人間で、居られなく、してしまう事は。果たして正解なのだろうか?
…あまりにも、難しい問題で。考えただけで、気が滅入りそうで。だから、今日の所は。それ以上は、やめておこうと。
折角だから。どうなろうとも、確実に、共に在ってくれるひと。その事だけ、考えておく事にして。
指輪の代わり。そう呼ぶには、頼りない、口付けの痕。だからこそ…強く、しっかりと。数日は消えないくらい、吸い付いてみせ。)
「既成事実……い、え、出来れば…それは。…二人きりで、秘密で、が良いのですが………ぁ。ぁぁ、アンネリーゼ様。
…そんな、表情。………あまり、見せていただきたく……ありません。……秘密、です。」
(手の甲への、口付け…とは、また別。二人だけの、意味を持った、口付けを終えて。顔を上げてみると。
…物凄く、珍しい、表情が。目の前に在った。見た目相応どころか、蕩けて落ちそうな、そんな顔。
思わず。少しだけ、ぷくと頬を膨らませてしまった、少女にも…どうやら。独占欲という物が。僅かばかり、存在しているらしい。
右手が、彼女の左手に対し。握り方を変える。口付けを終えた後は、しっかり、指に指を、絡め合うようにして。
そのまま…砂の上へと、拡がった、彼女の髪。きめ細やかな、天鵞絨めいた柔らかさの、上へ。横たえられて、いきながら。)
「もちろん…アンネリーゼ様が、そうして…下さるの、でしたら。わたしは…おなかいっぱい。たくさん、たくさん、欲しいのですが……ぅえ、ぅぇ゛、ぇ゛、っ!?」
(彼女が、デレデレの顔を、見せたのと。同じくらい。少女の、驚きに驚いた、半ば絶叫めいた、その声も…物珍しい、彼女が始初めて、聴くだろう物。
あたふたと視線が揺れて。驚きのあまり、打ち上げられた魚の如くに、ぱくぱくと唇を動かして…
実際、彼女含め。同性、或いは両性、といった相手に。女体に生じた、男性器に。幾度も、身を委ねて、来ているものの。
逆の、立場というのは。体験した事も…想像した事すらも、ない。あくまで、少女は――誰かに、抱かれるか、犯されるか。そういう存在だったのだから。)
「…そ、そそそっ、それ…は。……考えた事…など………驚かさないで、下さいませ、わたしは…そんな、事。とてもとても、した事なんて………
……ぁ、そう…ある訳、ないんです――ない、ですから…―― ……もしかすると。 …これも、 とくべつ、 ですか…?」
(混乱しつつ、動揺しつつ…けれど、気付いてしまった。
先には、排泄からの肛虐といった、それも在る意味、初めてする事を。彼女へと、委ねたのだけど。
されるのではなく、する。存在しない器官を宿して、彼女に搾られる。それは間違いなく…初めて、だと。
どんどん、先細りし、小さくなっていく声と共に。…きゅ。絡め合う、指先が。頼りなさげに、握り返して、みせた。)
■アンネリーゼ > 彼女に与えた力は、その気になれば今の待遇をひっくり返せる程の劇薬。
それを平然と与えたのも、彼女の有り様に興味を持ったから。それが今では恋心に変化して。
今では彼女の隣で一緒に長らく過ごしたいと思うまでになっている。それこそ彼女の魅力だ。
それを他のものは知らないから、もったいないと周りを憐れみ、にんまり笑みを浮かべていられる。
今この瞬間で満足しきっているのだ。だから、これ以上の幸せは望めど、無用な軋轢は望まない。
隠れるわけでも潜むわけでもなく、ただ共に在る。そのために、彼女との交わりを更に進める。
「本物よぅ。リシェと遊ぶためなら、その程度の出費は屁でもないわ!
と言うか、別荘建てて駆け落ち用の避難所として整えておこうかしら……。
リシェがお友達と使うなら、レンタルだってしちゃう感じで、ふふり」
いっそ別荘ごとプレゼントでもいいのよねぇ、とは金銭感覚の壊れた者の物言い。
実際、島を一つ買い取ると言ってもそこが未開の島であれば、それ程かかったりはしない。
何せ、手付かずなのだ。開拓するのに金がかかるなら、その存在価値は二束三文になる。
寧ろ、自分好みにカスタマイズするならば、未開の島を勝手に占領するのも在りかもしれない。
ともあれ、それは先の話。今は今、初夏の日差しにじりと焼かれる彼女を抱くことに集中だ。
「飛んできてくれて良いのよぅ。そしたらいつでも甘やかしてあげちゃうから。
まぁ、大騒ぎになって、リシェの自由が失われるって言うなら駄目だけども」
ごまかす術も教えたほうが良いかしら、などと彼女をジィと見る。
この健気で愛らしいたった一人の想い人になら、己の持つ技術の秘奥すら教えても良い。
いっそ後でも継いでもらうか――拷問吏や調教師ではなく、錬金術師としてではあるけれど。
何れにせよ、それすら彼女が選び取る様々な未来の一つ。全ては彼女の思う通りに。
「ん、良いわよ。未来がどうあろうと、私だけは必ず。そう出来るから、誓うわ。
そこだけは誰にも譲らない。リシェと私の、特別な約束。これまでも、これからもね」
薬指に幾重も刻まれる接吻。それは、微かに鬱血の赤色を残し、数日は消えぬ跡に。
消したくないけど代謝を止めると指が駄目になるのよねぇ、と内心でひっそり悩みつつ。
とは言え将来的にちゃんとしたものをくれるというのだから、名残惜しいが気にはするまい。
「――ふふ、リシェも、私を独り占めしてくれるのね。良いわよ、勿論、二人きりで。
こっそりと海辺を臨む崖の上のチャペルで、なんて素敵だと思うのだけどうかしら?
……リシェ以外には見せないわよぅ。そもそも、リシェにしかしないこと、沢山あるし」
損得を考えずに側にいることも、彼女の全てを受け入れて心から楽しむことも。
打算も陰謀もなく、ただ純粋に、そこに居る。それが出来るのは彼女の隣だけだ。
だから、許してと囁きながら、金の繭の中、彼女の首筋へ、胸元へと口付けを落とす。
敢えて水着は脱がさず、布地のない所だけを、跡が刻まれない程度の強さで。
「ん、それじゃ、リシェはこれまでも、生やされての行為はしたことがないのね?
なら、リシェの初めてを頂くわ。大丈夫、男の子も凄く気持ちいいものだから」
早速、と言わんばかりに口内に薬を呼び出すと、再び彼女の口元へキスを一つ。
今度は、先までの啄むものではなく、舌を弄り絡め合うもの。同時に薬を流し込んで。
彼女が飲み込んでくれるなら、下腹部から陰核の先に熱が灯り、やがて男性器を形成する。
とは言え、大きさやら長さやらは彼女の体質等に左右される訳だが、どのようなものになるか。
仮に長大なものでも受け入れることは出来るし、可愛らしいものならばたっぷり責め立ててしまおう。
その様な企みを胸に秘めつつ、握られた手を緩く握り直し、彼女に応じて。
「どんなリシェでも、変わらずに愛するわ。だから、将来の予行演習だとでも思って。
二人で何処かに逃げたら、そこで二人の子供を作らないといけないのだから、その練習。
将来的に、私はリシェを孕ませるつもり満々だけど、逆も素敵だと思わないかしら?
そのくらい特別だし、愛してるの。――ふふ、思いを伝える言葉が足りなすぎるわ」
彼女の上に体を乗せて、軽く体重をかける程度に留めつつ、全身を密着させる。
お互いの鼓動を、呼吸を、全てを混ぜ合わせて一つになるイメージで、繭を満たして。
同時に、少しばかり我慢できない右手は彼女の水着の中へ。尻肉を撫で、割れ目を伝い、その奥を目指して。
今回は愛撫がメインだから、と奥にあるだろう窄まりを指先で探り当てると、表面を擽るように撫で回す。
欲しいなら自分から口を開けてご覧なさい。そう囁く様な手技とともに、水着を汚さず、彼女を傷つけぬことだけ注意して。
■リシェ > (何せ。人間とは…それどころか、知的生物の多くが、知覚という、情報に頼って、生きている。
少女に与えられた力は、その知覚を、左右する事が、出来るのだから。力の使い方を、学ぶ程、少女は…より大きく。人々を、影響し得る。
とはいうものの。少女自身に、あまり大それた野望、というのは。存在しない。黒い欲望のような物も…その、殆どは。いわば、過去に対する、復讐のような物で。
それ以上の、より広範囲への、野心など。持ち得ていないのだろう。…まだ。少女の世界は、狭い籠が、殆どだから。
そして。もっと広い世界を、教えてくれるのは。彼女のような人達だから…其処に。負の感情を、向ける要因など、存在しない。
……もしかすれば、今の少女は。周囲が思っているよりも、ずっと。恵まれているのかもしれない。
少なくとも、憎むだけ、恨みだけ、の生き方は。せずに済んでいるのだから。)
「…想像…が、つきません。島というのも…それは、それで。立派な、広さなの…でしょうし……
別荘?もし、そうなりましたら。アンネリーゼ様の…もう一つの、お住まいという事にも、なるのですよね?
先程申しましたように。それでしたら、お邪魔したいものですが……友人も。……ふむ…そうですね、いつかは…」
友人。そう呼べる程に、仲の良い人物。極々僅かだが、少女にも、存在する。
…偶然だが、それは。お互い、同性としての、想い人を持ち。それについてを、相談し合う仲…であったりもする。
そんな相手でも、島一つ、手に入れるという、彼女に関しては。一体、どれだけ、驚いてくれるやら。
もしかすると、それは。自慢したい、とでも言うような。これまた、少女にとっては、珍しい感情なのかもしれない…が。
それについてを、きちんと、自覚しきるには到らず。今は…彼女との、情事に。溺れていく。
と、いうよりは。)
「まぁその。わたしが…そうした、悪戯をする、というのも。あまり無いと、思いますので……一度くらい。試して、みたいかと。
けれど…はい。其処まで考えて…おりませんでした。矢張り…人目を忍んで。ばれないように、参りましょう。
世の中、そういった逢瀬の方が……多いと、聞いておりますし?」
(見られて、ぅ、と。少し呻いた。痛い指摘。確かに、驚かせるのは良いが。その後を、考えていなかった。
城に出入りする、王侯貴族御用達の、調教師…としてではなく。人でなきモノとしての、彼女の存在に、足が着く可能性も。鳴き西も非ず、なのだろうし。
ならば矢張り、と浮かんだ意見は。学んだ知識の一つ、なのかもしれないが。何処ぞ、恋愛文学でも読んだのやら、些か偏った物。
どういう形の、物であれ。少女が、例えば、彼女の下で…新たな生き方を、学ぶとしても。
この分だと、まだまだ、先は長そうである。)
「特別な、約束……有難う、御座います、アンネリーゼ様……それを、きちんと。形に、したい。そう思います…私も。
その時は……ぁぁ、と、そうですね…?アンネリーゼ様と、二人…きりで。是非とも、そうしたい…私は。
何と、言うのでしょう。…自慢したい、と言いますか。わたしは幸せですと…言いたい、知って貰いたい、とも。思うのですが。
それはそれとして…貴女様との、時間、は。…誰にも、邪魔されたくないの……です、私も、きっと。」
(小さな独占欲。今まで通りの、誰彼に使われるばかり、搾取されるばかりの、生き方ならば。決して、育つ事の無かった、少女の欲望。
悩み考える、ような素振りでは、あるものの。内に芽生えたそれを、きちんと、口にする。
それを踏まえて、考えたなら。例え、位置としては、指なのだとしても。彼女の肌に、口付けの痕を残す…というのは。
約束の証、という綺麗な物…だけでは。決して、そうではないのかもしれない。
情事の方に、戻すと。逆に、痕としては残らない、淡い口付けが、彼女から。
施される少女にとっては…それだけでも。充分に、気持ち良さへの予兆を、擽られてしまう。
ゆっくり…ゆっくりと。繰り返す呼吸の熱さが、増していくにつれて。とくん、とくん。まるで、其処にも、鼓動が宿っているかのように。
彼女の掌を、受け止めている、下腹の紋様にも…熱が集い。魔の力が、脈打っていく。)
「あり……ません、さすがに。…普通の、女性の…お相手、というのも。御座いませんでしたし……
は……っ、は…ぃ。…貴女様を…アンネリーゼ様…を……っ、そ、その、っ…おかす…などというのは。…出来ると、思えません…ので……」
(情事に溺れる、というより。今日は、翻弄されてしまうらしい。初めて…と考えたなら。当たり前、だとしても。
数え切れない程、されてきた事、だから。頭の中で、光景として、思い浮かべる事くらいは。出来るだろう。
見目麗しい、少女としての、彼女を組み敷いて。上から性器を突き込む、そんな情景を。
けれども、イメージしてしまえば、しまう程。出来る筈などない、とも思えてしまう。思えてしまう、その癖…深まる口付けと共に、薬が、流し込まれてしまえば。
たちまち、陰核を大きく、急激に膨張させるようにして。見る間に、生じていく性器は…最初から。イメージのせいで、痛い程、張り詰めていた。
ぴくぴくと反り返り、脈打つ、それは。…普通の人間で考えたなら。彼女の、幼気な体格には、少々きついかもしれない。そういったサイズ。
これも…普段の。少女の体験が。多くの場合、獰猛な性器をばかり、咥え込まされてきた、経験が。形作って、しまうのだろう。
うぅ。小さく呻く。履いたままの、水着を、押し退け。飛び出してしまう、その屹立具合が。
どれだけ…これから、行う事に対して。少女自身が、妄想して、しまっているかを。まざまざと、形にしているようだったから。)
「はら、っ…!?わ、たしが、貴女様を……っぁ、ぁっ、申し訳…あ、りません、そんな…事、言われた…らぁっ…
どんなわたしでも…と、仰って頂けて…いなければ。……なんて、恥ずか…し…ひぁ、っ、ぅん!?」
(飛び出してきた性器に、仰天してしまい。想像も出来ないのだが…外だけでなく、身体の中でも。変化は起きているのだろうか?
少なくとも。水着の中へと、差し入れられてきた手が、窄まりへと触れたなら。ぞくぞくぅっ…!と。普段とは、違う感覚が。走り抜けた。
密着していく、身体と身体。その合間で、存在を主張する性器が。堪らず、強く悶えてしまう。
未知の快感を、早速、与えられているかのようで…戸惑いに震える瞼が、うっすらと、潤みだすまま。彼女の顔を、見上げてみせる。
どうすれば良いのか、分からずに。ただ、しっかり。握り締めた方の手が、力を強めてしまう中…
身体だけは、早々に、理解してしまうらしく。擦り付けられる、指先に対し、窄まりの入口が。柔らかく、吸い付き、求めてしまう。)
■アンネリーゼ > なにやら難しいことを考えていそうな彼女。その頬に頬を合わせてすりすりとマーキング。
彼女は過去の精算さえ出来れば、後はきっと何でも描けるだろう真っ白いキャンバスなのだろう。
だからこそ、そこに己の手で文様を描き、彼女を自分の成果としてそばに置きたくなったのだ。
今ではもうそれだけを理由に側にいるわけではないが、きっかけはそうだったと言うだけの話。
今はもう、好きが溢れて止まらないという、とにかく残念になったデレ甘魔族がここに居るのみで。
「ん、ただ海水浴するだけではなくて、近くで採れた物を焼いて食べたりも出来る感じの方向性ね。
つまりは複合的なリゾートってやつ。夜は星を眺めたりも出来るわよぅ!いい感じでしょう?
――そうねぇ、リシェの友達ともいつかお会いしてみたいものね。リシェ論を語り合う仲間ですもの」
きっとズブズブと夜通し語り合って、彼女の恥ずかしい話とかも暴露してしまう気がする。
勿論、どうしても秘密な部分は黙っているし、或いは彼女の気を引きたくて意地悪するかもしれないが。
島の購入計画は、密かに生まれてむくむく育ち、現実味を帯びてきた。早めに手配するとしよう。
「ふふ、それにしても、悪戯してみようなんて考えられるようになったのね。
大分逞しくなってきたじゃない。その調子で、負けない子になっていきなさいな。
我が家は指輪がないと入れないから、追ってきたやつは何処かに飛んでいっちゃうし」
実際、本当にどこに飛ぶか分からないのが難点。海の底、山の頂、この世界ではない場所かもしれない。
だから彼女を追ってきた所で、アトリエまで辿り着く術はない。それだけは、確実だ。
ともあれ、今は雛鳥から少しずつ育ちつつ在る彼女を見守り、楽しむ手番。スキップはするまい。
「ん、それなら、魔法の撮影機で映像を録画しておいて、見せつけちゃうのもありねぇ。
これなら二人の時間は邪魔されないし、幸せだぞって喧伝も出来ちゃうわ。秘密ではなくなるけど。
――でも、リシェの笑顔を不必要に拡散したくないのよねぇ。絶対惚れる子が出るでしょう」
寄ってくる虫は払うのよ、とやる気なへっぽこ錬金術師がここに一名。
何れにせよ好いてくれるならば嬉しい限り。このまま溺愛まで進んでと切に願うばかりだ。
彼女の体をなぞり、啄む。仄かに感じる塩味は、彼女の汗によるものだろう。
甘塩っぱい。このままいくらでも舐めていられるが、それで時間を費やすのももったいない。
ジクジクとした熱が彼女の中に灯るのを感じながら、下腹部にも頬を寄せて、臍にキスを。
そのまま、舌を穿るように差し込んで、にゅろにゅろと中を舐めほぐし、薬が効くまでの暇潰し。
「ん、お腹の奥、赤ちゃんの袋がじっくり蕩かされてるのが分かるわぁ。
――ふぅん、それじゃ、私が逆レイプってやつをしてしまえば良いのね?」
薬効が出始めるなら、にんまりと笑みを浮かべながら、彼女の変化を眺める形で堪能する。
そうして灯った熱が変生し、出来上がったのは彼女には似合わない程の猛る剛直そのもので。
彼女より小さい自分の体で鑑みると、中々エグいサイズの筈なのだが、少女はうっとりと見つめながら。
「イメージを具現化したとは言え、結構えげつないもの生やしちゃったわねぇ、リシェ。
私の中、全部満たして奥の奥まで犯してしまいたかったの?だとしたら、最高に嬉しいのだけど。
――ふふ、男の人はこの状態で焦らされると凄く辛いらしいわぁ。それじゃ、いただきまぁす」
びくびくと水着を押し退けて屹立する肉槍。その切っ先にちゅ、と口吻を。
それから、先をはむと咥え込むと、喉の奥までを利用して、じゅぶじゅぶと口淫へ移行。
奥から湧き出してくる苦塩っぱい先走りを舐めながら、裏筋を舌でなぞり、竿を片手で扱いて。
もう片方、右手は変わらず彼女の尻穴を擽ると、解れた刹那に中指と人差し指を差し込んで。
そのまま中をくにゅくにゅとかき回しつつ、彼女の感じる様子を上目遣いで鑑賞しよう。
「んむ、ちゅ――ぷふぁ……そう言えば、お腹は綺麗にしてきたのかしら。
私はリシェのなら気にしないけど、リシェ自身が気になるなら、後で綺麗にしないとかなって。
まぁ、その前に射精の気持ちよさを味わってもらう訳だけど……ふふ、咥え切れないのは久々ねぇ」
先を舐めしゃぶる奉仕から、竿を咥えて側面を吸う、舐めるのも全体的に。根本まで舌でなぞり、甘噛みもして。
それから再び先端まで舌を伝わせると、もう一度先っぽを咥え込む前に、にぃっと笑いながら。
「そうそう、これからまた咥えるけど、物足りなかったら、腰を突き上げてくれてもいいわよ。
人に調教する前に、一通り自分でも経験するのが流儀だから、大丈夫。それじゃ、楽しんでね?」
再び先っぽを咥えると、唾液を溜めた頬袋で先を擦りつつ、ゆっくりと喉奥へ導いて。
同時に軽く吸う形で快楽を与えながら、中程までを目一杯に咥えて、じゅぶじゅぶとしゃぶる。
その間も、尻穴を撹拌する手指は緩やかに、彼女を果てる一歩手前まで導いて、そこで寸止め。
犯すなんて出来ない、という彼女への調教。自分から腰を動かさなければ、出せない状況を生み出す。
意地悪してるのだから、罪悪感など感じなくていいのよ。そんな言外の意味を含みつつ、二度、三度、虐めてみる。
■リシェ > (今の今まで、散々、汚されてきた筈の、キャンパスに。それでも尚、描く事の出来る、白い場所が。存在するのなら。それは、間違いなく、一旦拭われた…という事。
今の少女が。知識を欲したり、外に出たり、新しい色合いを。望んでいる。色を加える余剰を、自覚しているのは。そうやって、一度綺麗にされた部分が、存在するという事で。
だとすれば、それを行った人物の中。一番大きいのは、間違いなく…彼女その人。
その彼女によって、新たに、描いて貰えるなら。色を、足して貰えるなら。それはもう、喜んで、受け容れる事だろう…彼女によって、加えられるのならば。それはきっと、美しい彩だから。)
「…水平線に、初日の出…という物、等も。見る事が…出来ますでしょうか。私、生まれてから一度だけ。そういう光景、見た事が…
そう、そう…ですね?機会が在れば、紹介させて…いただきたい。それは、考えて…おります。ずっと。」
(大切な友。大切な想い人。どちらも、仲良くしてくれる、だなんて。想像するだけで…幸せで、頭がおかしくなりそうだ。
そうやって二人、もしくは三人、誰にも邪魔されず、過ごす時間…どれだけ。素敵な物に。なるだろう。
…なお、その際。自分以外の二人が、結託してしまう可能性。二人に色々、暴かれてしまう、危険性に。
気付く事の、出来ない辺りは…まだまだ。少女が、甘いのだろう。)
「其処は、まぁ。…しかし……そうですね。悪戯に、留めておくべきだと…自省、致します。
わたしが、勝手に居なくなる、などしたら…考えてみましたら。お世話して下さる方等…にも。ご迷惑を、お掛けして、しまいますから。
………何時ぞの、殿方のような…でしたら。それは、構わないのですけれど。」
(少しだけ。頬を膨らませて。どうせ、迷惑を掛けるなら…と。半分辺りまで、口にしたものの。
この雰囲気に、相応しくないからと。途中で止めてしまい、そこまでで、話題を止めてしまった。
いつぞやの、というのは。矢張り、彼女との遭遇時の事、だろう。
そういう相手になら、迷惑掛けても良いかな、などと。思える辺りは、確かに。逞しくなったのかもしれない。
とはいえ。うっかりすると、何処に飛ばされるか、分からない…という、異次元の話題には。ぶるりと身震いしてしまうから。
まだまだ、本質的には。人間の常識を、忘れてはいない…とも、言えるだろうか。)
「…撮影……です、か。…最近、流行と…言いますか、多い、ですものね?わたしも……ぁぁ、いえ。
もし、宜しければ。そうやって、出来上がった、映像…少しだけ。三、四人程度…だけ。見て、いただきたい…かも、です。
…んん…?そうだと、しても…わたしが、惚れるかは別、と言いますか。…わたしが、惚れているのは…」
(今。ここに居る、彼女なのだと。今度は、こちらから。下から掬い上げるように、口付け。
その次に、彼女の側から施された、口付けは。いっそう深い物となり…そして。それによって、薬が、流し込まれた。
其処からは。どんどん、熱さが。沸き上がってくる。喉や胃…は、早々に、通り過ぎて。全身が、熱い、と思えてしまうのは。彼女が、唇を降らせるから…だと思う。
口付けられて、その箇所一つ一つが。身動ぎしそうな程に、熱い、気持ち良い。
臍孔を、舐められた時など。まるで其処が、繋がった子宮まで、擽られているかのようで。上に載ってくる彼女を、持ち上げんばかりに。腰が、腹が、揺れては浮いて。
そのまま…下手をすると。彼女の、喉や、顎。もしかすれば、顔にぶつかるようにして。男性器が、伸び上がってしまう。)
「その…っん、ぁつ…奥の熱さ……が、っ、何だか…… 外…まで、出て来て、しまうようで…っぅぅ、ゃ…ぁ……
申し…訳、御座いません、きっと……わたし…のせいです。…わたし…このくらい、大きな物…で、されるのが、普通なのかと……ひゃあっぁぁ、っ!?」
(臍の奥や下に、堪った熱が。形となったかのように。子宮の奥と、同じ程に。生じた性器が、うずうずとした物を、感じている。
根元の所が、水着に擦れる。それだけでも、もどかしさを覚える…ほどに。敏感であるらしいそれ。
こんな剛直を、今から彼女に…彼女の言葉を、借りたなら、逆にレイプされてしまう…らしい。思わず。そう言われた瞬間、かぁと。顔中一気に、真っ赤になった、気がする。
敏感であるらしい、だけでなく。彼女の言う通り。少女自身も呆れる通り。立派に屹立してしまった、存在の大きさは。確かに…膣の奥、子宮の奥すら、満たされて、当たり前と。考えてしまう、少女の、倒錯故かもしれず。
改めて、それを彼女の側に、施してしまう事に、目を伏せようとして…次の瞬間。喉を浮き上がらせて、悲鳴を上げてしまう。)
「くふっひゃっぁぁあ、っ、ぁ…!? ぞくっ…って、き…来ま……ん゛……ん゛ぅぅぅっ…!?
っは、は、っぃぃ…いつも…ちゃぁ、ん、とっ……っんぉ、ぉ゛…!きゅ、に入れ……っ、ぁ゛、っぁ、ぁ……ぁっぁぁぁ、ぁっ…!!?」
(紅い亀頭を剥かれて、頬張られていく。熱く柔らかな、口内の感触、それを感じただけで。声が跳ね上がってしまうのに。
更に其処から…大丈夫、と言ってみせるのと、どちらが早かっただろうか。ひくつく窄まりに、指が二本、入り込んできた。
排泄孔を、掻き混ぜられる、というのにも。普段とは、違う…良く分からない、未知の快感が、混ざっている。気がしてしまう。
その感覚が、びくん、びくんとますます、屹立を強めさせてしまうまま…更に、吸われていくと。ぞくぞくと、あっという間に、快感が、搾り出されるようだった。
上から、下まで。甘噛みや、舌で舐られる愛撫が、一巡しただけで。潤む瞳が、瞬く間に、完全な。涙目になりながら。)
「くっぅ、ぅ、くは…そんな……の…ぉっ………苦しい、んで、す、そんな事…アンネリーゼ様…に、させら…れ……」
(喉奥まで、突き上げて良いだなんて。躊躇うのは、当然だろう。普段、される側。どれだけ息苦しいか、良く知っているから。…けれども。
唾液の中に包まれ、舌や頬、そして喉の粘膜を。ねっとりと擦り付けられていくと。瞬く間に、快楽が、吸い上げられてくる。
同時に。尻孔を混ぜられれば、混ぜられる程。何をどう、擦られているのだろう…こみ上げてくる何かが。耐えられなく、なっていく。
焦らされていると。そんな事を、理解出来る余裕など、まるでなく。正しく、快感に噎び泣く、といった声を迸らせて…動いてしまう。
剛直を屹立させた、少女の腰が。びくん、びくん…!と。痙攣し、髪のしとねから、浮き上がって。とどめをさして欲しい、と。)
「ぅぁぁ゛、っぁ、ぁ゛……こんな、ぁ゛っ……こんな…の、知らな……っ、っ…ぁ、んっ、アンネリーゼ……さま、っ、ぁ…んね、り…ぜさま、ぁぁあっ…!?」
■アンネリーゼ > 彼女の汚れを綺麗に拭い、代わりに少女の最も濃い色――黒を塗りつぶす。
他の色で染まることを許さず、己の色のみに染まれというのが心の奥底に眠る欲望。
しかし、それだけだときっと彼女にとっては窮屈だから、キャンパス全ては欲さない。
それが、少女の理性の部分。対する本能は、全て黒く塗り切ってしまえと何度も囁いてくる。
何処まで我慢できるかしらねぇ、と出たとこ勝負で乗り気なのは秘密だ。
「ん、水平線から昇る朝日も、逆に沈んでいく夕日も見られるわ。
夜は夜で、周りに明かりがなければ満天の星を眺めることも出来る。
ふふ、機会があったら是非ね。お友達と一緒にリシェを食べちゃうのもありかも」
それは、二人で彼女を、でも、私が二人を、でもあるが、敢えて意味を定めたりはしない。
二人が三人になったらそれはそれで楽しいはずだ。とは言え、一番近くを譲る気はない。
最上でも等距離。そこが少女の独占欲を宥められる最大限の譲歩となるだろう。
「まぁ、私は凄く嬉しいけれど、他のお友達を悲しませるのは本意ではないだろうし。
あぁ、あの時の下衆みたいなのは、多少間引いた方がこの国のためでしょう、きっと」
ある程度は人の営みに馴染んでいても、気に入らない相手の生命が酷く軽いのは魔族故か。
ただでさえ百年も生きられない存在だ。吹けば飛ぶならいつ吹いても一緒だなどと宣う。
逆に、気に入った相手でも吹けば飛んでしまうから、そこをどうするかが専らの悩みだ。
「ん、それなら、今度たっぷり撮影させてもらおうかしらね。リシェの艶姿ってやつを。
出来上がった映像は、こっそり隠して楽しみにしなくちゃね。寂しい時のリシェ補給用。
――ふふ、勘違いしてるわね。リシェが惚れる、じゃなくて、リシェに惚れる、のよ、見た奴が」
自分が対象になると案外無頓着よねぇ、と彼女の頬を少しばかりツンツン。
それも、彼女の剛直が生まれるまでの話で、その後は存在感に目を丸くする羽目になるのだが。
「良いの良いの、奥の熱さがっていうのも、リシェの魔力が精液に変換されてるからだろうし。
ちゃんと女の子を孕ますことも出来る、リシェの欲望を煮詰めた白濁が、今お腹の中にあるの。
確か、子宮の裏辺りかしらね。薬の効果で一時的に精液を溜める袋が出来るんだとかなんとか。
リシェに入れてもお腹が潰れちゃいそうなのに、これが普通っていうのも中々ハードな生活よねぇ」
まぁ、オーガやドラゴンの類に比べれば余裕だけれどねぇ、と呟きながら、質感を確認。
これを己の中に入れるとすれば、子宮までも使っての性交――ウテルスセックスが基本になる。
久方ぶりに犯しがいが在る。寧ろやる気に満ち溢れた状態で、彼女のものを責め立てた。
快楽に悶える様子は、上目遣いで見上げていても可愛らしくて、もっと責めてしまいたくなる。
ましてや、何度も焦らして許可まで与えているのに、己を思って懸命に堪えてくれる健気さすら見える。
本当に良い子だ。自分には勿体無い程に。そんな実感を胸に、しかし寸止めを止める気はない。
「んふっ――ん、ちゅっ、んむっ。ん、あむっ――ちゅ、じゅっ――んぐっ――」
二回、三回、何度も繰り返す内に、彼女の腰がひくひくと跳ね始める。限界は近そうだ。
少しずつ彼女を追い詰めて、崖っぷちに立たせて、待つ。真の限界、理性が蕩けきる瞬間を。
その呼ぶ声に左手はきつくきゅっと結んで、右手は腹の奥、子宮の裏まで魔力を注ぎ、ぐにと圧迫。
同時に、彼女の肉棒をぐいと自ら喉奥に飲み込む様に顔を押し付けると、ぞるりと食道すら使って飲み込んで。
後は、出してと言わんばかりに吸い付きながら、鼻先を彼女の臍下に押し付け、珍しく被虐に蕩けた顔を隠した。
■リシェ > (白一色と。黒一色。丁度、今日の二人が、選んだ水着のように。対極の色合い。
真逆となる二色を、理性と本能という、これもまた対極の中で。何処まで、際立たせる事に、なるのだろう…彼女の、思惑が進むなら。
一皮剥けば、魔と呼ばれる存在に、相応しく。或いは、制御しきれない程の、欲望を。内に宿す、のかもしれない。
かつて、薄汚れた灰色を、内に秘めていた娼姫は…間違いなく。更に、純化されていく。純粋な…黒へ、だ。)
「お城の、高い所…とは、違う景色…なのでしょうね。それは…きっと、とても…美しいのでしょう。
何も、ない場所や。誰にも、邪魔されない、場所…というのも。……とても。惹かれる物を感じます、わたし。
……っ、ぅう、ぁー……あ、そ…れは、その。………否定…出来、ないのですが…」
(良い話で終わらなかった、と言うべきだろうか。二人掛かりで食べられる、と言われて。
思わず、口を開け、息を吐き…しどろもどろの、返答ぶりと。彼女を受け止める、肢体が、ぴくんと震える、辺り。
そういう事態に、陥る可能性が。充分、有り得ると…確信出来てしまう、証拠。
上から下から、もしくは、前から後から、二人掛かりで責められたら……おかしくなってしまう、などと。口にはしないものの、ありありと、顔に書いてあるだろう。
この段階でも。自分が、二人に、というパターンをしか。想像出来ない辺りが。普段の少女が、とことんまで、される側…受け容れる側である、という。証でもあるものの。)
「………は…い。悲しませて……良い人と、悪い人と、が。居るのだと。良く分かりました…ので。」
(少しだけ、低めの声が。快感で昂ぶっていく、声音の中に。滑り込んだ。
貴族達は、人間としては、大きな力を持っている。けれど、彼等のその力は、王国という、システムの一部…であって。
一人、二人、欠けたとしても。歯車その物に、さほど、大きな影響はない。直ぐに、穴埋めされる筈。
自分の事だけしか、知らなかった少女、だが。少しだけ、周りを知って。国とは、そういう物なのだ、と。気付き始めた。
その上で…身近の、大切な人達には、悲しんで欲しくない…と、考えるので。自己と、周囲との、境界。それを知ったとも、言えるだろうか。)
「…ど、…どう、でしょう……そういう、姿を…ご覧頂きましたら、アンネリーゼ様……は…ぇと………よ…ろこんで、下さるの…でしょう、か。
……む。分かっています、仰りたい…事は。それを踏まえて…わたしが、惚れられても……余所見は、致しません。と、そういう事ですので…?」
(頬をつつかれた事への、お返しのように。極々甘く、ではあるものの。握りっぱなしでいた、左手の甲を。抓ってみせた。
もっとも其処には、惚れる惚れられる、の事だけでなく。撮影されるのが…得てして、痴態なのではないか、と。考えてしまった、自分自身への。
それを、後々彼女に、見られる事を、想像してしまった事も、含めた。照れ隠しが、混じっていた。かもしれない。)
「は……っ、ぅ、そうい…う、仕組み……ひゃ、っぁ゛、ぁっ…! ぁ、っ…それ …でした、ら……まるで本物…のっ…
ぅ゛……ん…そ、ぅで…す、ぉ…おっ…きなもの……でお腹のお…くまで、っ、っ…気持ち良……んっぁ、ぁ゛、っ…!
気持ち…良く、なります……か?アンネリーゼ…っ、様も、そういう……の、がぁっ…」
(ちゅぶ。ちゅぶ、と。何度もしゃぶられては、唇が離れ。根元の方を扱かれては、その手が、止められる。
絶頂にまで昇り詰める、その寸前で、引き戻される焦らしが。何度も繰り返されるからか。少女の屹立は、今にも、暴発せんとばかりに。猛りきって。
最初の大きさから、更に、歪に膨らんでは。びくびくと脈打つ度に。魔力から生まれたのだろう、精液…の、前触れが。とろとろと溢れてしまう。
そうやって、精液が出来上がる事に。それを、蓄積されているという事に。再現性の高さを、驚かされつつ。
こんなにも、張り詰めきってしまった、怒張を。小柄な彼女が、喉まで頬張る光景に。目眩すら、覚えてしまう。加減されていなかったら、もう、数度くらい、射精に到っていた、かもしれない。
喉まで、いっぱいにする、それを。彼女自身、ハード、と称したそれを…ちゃんと。気持ち良く、感じてくれるのだろうか。痛くはないだろうか、と。どうしても、不安なのに。
跨がられ、咥え込まれる事を、思い浮かべると。それだけで… びく、んっっ!!)
「ぃ゛………っ、っ……!!? ひっぁ、ぁ゛、あああっ、ぅぁ゛、あぁぁぁっ! ぁ゛……っ、ぁ゛、っ、ぁ゛…………!!?」
(聴いた事のないような、絶叫が。自分の、声だと…少女は。理解、出来ただろうか。
蕩けるような情景を、思い描き、ぐずりと。子宮の裏から、こみ上げてくる物を、感じた刹那。
掻き混ぜられる尻孔から、その場所へと、伝わってくる魔力と。自身の魔力とが、混じり合い、一つの大きなうねりとなって。
次の瞬間には、うねりその物が、駆け上がっていく。有り得ない程、深く、喉奥の奥まで、彼女に呑まれた性器へと。
じゅる、じゅる…!一際強く、吸い付かれる気持ち良さと…今まで、見た事の無い…彼女の表情に。間違いなく、頭の何処かが、焼き切れてしまった。
こみ上げた力が、精に変わって。一気に、肉棒から、迸ってしまう。
力を吸われる、生命を吸われる、搾り取られる、かのような。初めて感じる、射精という行為の、気持ち良さに…止められない。悲鳴も。
…更に何度も、何度も。腰を浮かせ、もっと深くと、彼女の喉を突き上げてしまうのも。)
■アンネリーゼ > 白と黒。本来は混ぜれば灰色になる筈なのに、それを良しとはしない。あくまで、上書きする。
彼女の中の人の部分を育てるのが彼女の友人の役目なら、魔の部分を育てるのが魔族たる少女の仕事だ。
より純粋に、魔族の流儀と考え方、力の使い方を少しずつ、入念に教え、魂に刻み込んでいくつもり。
「――ん、そうねぇ。お城とはまた違う、何もない彼方が鮮やかな色彩を帯びるのよ。
私達しかいない空間。きっと素敵よ。期待には答えなきゃ、だものね、用意するわ!
そして、ご褒美にリシェを頂くの。たっぷりとろとろに、熟した果実みたいにしてね」
ふふりと笑いながら、彼女を沼に引きずり込むと宣言。逃さないぞと態度で示す。
彼女の友人と一緒にするなら、どんな行為になるだろう。それはそれで楽しみだ。
「ん、私やリシェのお友達や、リシェに優しくしてくれる人だけを守るの。それだけでいいの。
逆に、リシェの敵は適度に間引かないといけないわ。あれは群れてくるから大変でしょうし」
この国の貴族。その暗部すら熟知している少女は、辟易したと言わんばかりの表情を作る。
彼らは少女の商売相手であると同時に、搾取するべき対象だ。いわば、金のなる木である。
それ以上でも以下でもなく、金については多少の無茶で手に入る。つまり、仕事すら娯楽なのだ。
彼女との出会いを楽しむため、日常を消化する。そんな生物に成り果てたのがこの少女だ。
「私はとても喜ぶわよぅ。それこそ、リシェの恥ずかしい姿なんかも欲しいわ!
――ん、ふふぅ。それじゃ、余所見しないで、ずっと私だけ見ててね、リシェ」
抓られたら、苦笑を返して。それからは、彼女への責めを持って照れ隠しへの返事とする。
彼女に――否、他のものに初めて見せる、両刀の片方、被虐を好む己の姿。
喉奥を抉られて、腰をぐりと押し付けられて、涙が滲むほど苦しくて、気持ちが良い。
全身で彼女を感じられる。呼吸で、味で、体温で、映像で、音で。それら全てが快い。
ごり、ごり、と喉を抉る彼女の肉棒。先よりもより膨張した肉槍は、少女の脳味噌をも蕩かして。
「んぐ、ん――んぶっ、ん、むぅ――む、ぐっ、んぶぅ――」
(リシェの、大きくて猛々しくて、奥ゴリゴリってしてくるし、んふふ。
我慢してるのも涙目で可愛いけど、もっと自分勝手に振る舞っていいのよ、なんて)
心の声で呟いた刹那、彼女の余裕が完全になくなり、射精の予感が伝わってくる。
同時に聞こえた絶叫は、かつて彼女の尻穴を徹底的に開発した時にも聞けなかった咆哮。
大丈夫、気持ちいいから。そう伝えるために、左手の恋人つなぎをきゅっと強く握って。
右手は魔力を繰って、腸奥の粘膜を圧迫し、肉壁越しに子宮裏の精液溜まりを押し潰す。
どぷり、切っ先から溢れ出た多量の精液を迷わずに受け入れると、ごぎゅ、ごぎゅ、と喉奥を鳴らして。
「んぉっ――ぐっ、ぉぶっ――ん、むぐぅ……ん、んぶっ――」
(責められるのは久々だけど、頭の中トロトロにされちゃったかも……)
腰の動きをに対して、敢えて頭を固定して、彼女に犯される感触を楽しむ。
喉奥の肉を小突かれ、耕され、食道の一部すら疑似性器として扱われ、欲望の捌け口にされる。
遠慮がちな彼女に、男性的な性欲と貪る喜び、我儘を通す快楽を与えながら、満足気に微笑む。
このままもう一度する?と言わんばかりに上目遣いで首を傾げると、潤んだ瞳を彼女に向けた。
■リシェ > (両極端だから。双極だからこそ、際立つ。…ひたすらに白で形作られた少女。或いは…白濁に汚されて、更に白ばかりに穢れる少女。
その裏側に、着々と、真逆の黒い物が。築き上げられていくのだ、という事を。現時点で、知り得る物は。当事者である、彼女だけ。
過程で知り得てしまった、少女と彼女とに、害を成そうとした者達の、末路は…多分。知らない方が良い、だろう。
敵であると。共に在る必要など、ないと。そう決めてしまった相手になら、少女は…ちゃんと。残酷に、なれる。
もうその事は。初めて、彼女に出会い。力を与えられ。男達に、振るってみせた。その時から、決定付けられたのだろう。
だからこそ。それだけで良いと、彼女が、自分の言葉を、認めてくれたなら。安堵した、かのように。そっと、頷いてみせて。)
「そう、なりますと…愉しみです、とても。…旅行、と、言えば。良いのでしょうか?わたくしには、珍しく…
しかも。一人きりでも、二人だけでも、ないだなんて。…こういう時、えぇと、そう…一晩中。語り明かしたり、するのでしょう?
そんな、世間で、当たり前の事……わたしにも、出来るのでしたら…」
(喜色を浮かべて、少女は、幾度も。頷いてみせた。彼女と二人、新たな地で迎える時間は。どれだけ、素晴らしいのだろう。
その中に、友人のお呼ばれも、許して貰えるのなら。尚更、楽しい事に、なりそうである。
…但し、直後には。思い浮かべてしまった、想像が。二人掛かりで、蕩かされる事が。どうやら、確定事項であると聞かされて。
いや、それどころか、彼女と二人きりの段階で。どうしようもない程、とろとろと、鳴かされてしまうのだろうと。
時に楽しく。時に淫らに。想像は尽きないから。もうこの辺で…嫌な方の、想像は。止めておこう。
敵と言っても良い、人達の事については。そろそろ、会話からも。頭の中からも、放り出して。)
「勿論、です、わたしは…ちゃんと。アンネリーゼ様の、事を…ですので、その…アンネリーゼ様にも、わたしの、事を…
どんな姿…を、お望みに……なられ、ます…?」
(勿論、彼女は。こちらを見てくれる。そう、思っているものの。これはこれで、照れ隠ししないと、耐えられない…恥ずかしさだった。
かといって。話題を逸らそうとして、見事に失敗してしまう。見てくれるなら、どのような、自分の姿なのか。その質問は。つまるところ、恥ずかしいシチュエーションを、問い掛ける物。
少女自身、問い掛けの途中で、失敗を自覚したのだろう。こほん、と咳き込み、誤魔化しつつも…興奮は、消しきれない。
特に今日は。白い肌が、どれだけ、赤く彩られるか…だけでなく。
硬くそびえる男性器、という、あまりにも目に見えて、分かり易い代物が。少女の、欲情やら、快感やら。形にして、見せ付けてしまう筈。)
「んはあぁっ、ぁぁぁ゛、ぁっ、ぁ゛、ぁ゛、ぁ゛………!! ひぃっ、ひ、っぁ、んぁあぁぁぁぁ…………」
(一度、堰を切ってしまうと…なかなか。射精は、止まってくれなかった。感じるままに、垂れ流しで、迸る白濁を。どうすれば、止められるのかなど…知る由も、なかったから。
喉まで、突き込んでしまう、肉棒が。びくびくと跳ねる度に。指を迎え入れている、尻孔が。きゅぅ、と収縮を見せる。
指に吸い付く腸奥に、快感と魔力が走る度に。どくどく、新たな白濁が、噴き出してしまう。
どちらが、どちらも、気持ち良さが循環してしまう中。涙すら溢れて、潤む視界の向こう。
血よりも紅い瞳を、潤ませて。苦しげなのに、心地良さ気な、矛盾した面持ちで…しっかりと、肉棒を、頬張り続け。喉を鳴らし、白濁を飲み干そうとする、彼女の姿が。映し出される。
それを見てしまうと。また、一から、とでも言うように。どぶり…!と、勢い良く、精を吐き出してしまい。
狭い喉孔で、肉棒を暴れさせ、精を啜り取られる、気持ち良さを。長く、長く、繰り返し感じ続けて…)
「………ぅぁ゛…っ、ぁ、ぁ………あ…ん、っ…あんね…り…ぜさ、ま……… わ…たし………わたし、っ、ぃ゛っ…」
(上擦った声は、ちゃんと、言葉になってくれない。熱に侵された、譫言めいて。あまりの快感に、舌を突き出し、悶えながら。辛うじて、吐き出した。
…まだ。まだ、びゅくびゅく、噴き上がる白濁を。…喉。だけじゃない。もっと、もっと……彼女の、中に。受け容れて、欲しい。)
■アンネリーゼ > 例えば、宝飾品にはリメイク、或いはリフォームという物がある。
意味合いは単純で、元の宝飾品を材料として、別の宝飾品に作り変えることだ。
指輪の宝石をブレスレットに、金銀の指輪をネックレスに、別の代物に加工するのだ。
少女が彼女に時間をかけて施すのも、そのようなたぐいなのかもしれない。
彼女という素材を元に、貴族達の欲望の受け皿から自立した一人の姫君に。
なんと遣り甲斐のある仕事だろうか。完成した彼女は、きっと素晴らしいお姫様だろうから。
「えぇ、旅行とか外遊とか言うかしらね。王城から出るのにも許可が居るんだから、初めてよね。
三人寄れば女は姦しいとも言うから、きっと賑やかで楽しい思い出が沢山出来るわよぅ。
そう、当たり前だからこそ、それを体験して、自分の糧にしていくの。楽しみだわぁ」
彼女とともに、或いは彼女の友人も含めた三人で、それはそれは、楽しい時間を過ごせるだろう。
或いは夜の淫蕩な――否、そこに耽るのは、目の前の彼女を貪るよりも優先度は低い。やめておこう。
「――んぅ、全部、全部見たいのよねぇ。だから、その、変態的なこともしちゃうわよ?
私の腕の中で、ぎゅっと抱っこされたまま、リシェの意思でお漏らししてもらうとか。
今日と同じでリシェをふたなりにして、限界まで射精管理してしまうとか、他にも、色々」
語ろうとすれば、どこまでも深く深く、ズブズブと沼の底などなく堕ちていける。
だから、自分の中でもかなりハードな部類を二つほど例示して、覚悟完了してもらう。
とは言えそれも、今後いつかの話。今夜は、もっともっと、根源的で原初的な交わりをする。
口内で果てた彼女は、射精を止める術など無いのに、迸る滾りをどうにか止めようとする。
だが、それは少女としても許すつもりはない。ぐりと粘膜越しに精液溜まりを二度三度潰す。
その度に、彼女の中で量産された精液がたっぷりと溢れ出て、食道を通して胃の腑に溜まって。
彼女に与えてもらえるなら、この苦しさすら好きなのだ。辛いのも、苦しいのも、気持ちいいのだ。
常人であれば凡そなし得ない量の射精を全て飲み干すと、彼女の誘う言葉に口をゆっくりと離して。
「ん、げふ……たっぷり出すものだから、お腹がタプタプよぅ。これで、精通は終わりで、次は童貞卒業ね。
さっき飲ませたトロピカルドリンクは、リシェの体力や魔力を補ってくれるからまだ行けるわよね。
本当はプールでの運動前に疲れた体を癒やすものだったのだけど、これはこれで、寧ろ嬉しい限りだし」
己の腰元に手を伸ばすと、水着の横紐を解き、するりと外す。うっすらと金の産毛が彩る割れ目があらわになる。
後は、彼女の上に軽く乗ると、まずは挿入前に、何処まで入るのかを見せつけるべく、彼女の肉棒の後ろに座って。
「ほら、見て。ここまで入っちゃうんだから。ほら、私に遠慮なんてしなくていいのよ。
リシェになら、私の全部をあげても良いんだから……次は、私の中で、ね?」
優しくあやしながら、再び立ち上がって彼女の肉槍を跨ぐ。それから腰を下ろして、切っ先を膣口に付けて。
後は、ゆっくりと膝を曲げて、腰を落とし、ぎっちり締まる小さな秘所にその剛直を飲み込んでいく。
流石に右手は届かないから、彼女の尻穴を責める手は止まって。左手はなおも恋人つなぎのまま。
彼女が臨むなら、その手を引けば一気に奥まで制圧することも容易だ。魔族の肉体は壊れやしない。
何より、耐えてくれても、求めてくれても、大事に貪ってくれるのだ。どちらに転んでも、少女はとても幸せだった。
■リシェ > 継続させて頂きます。
ご案内:「ル・リエーの水遊場」からリシェさんが去りました。
ご案内:「ル・リエーの水遊場」からアンネリーゼさんが去りました。