2021/05/16 のログ
ジギィ > 口ごもったのを見ると、内心軽々しすぎたかなあと反省。
それでも名乗ってくれた相手に笑顔を返して頷いて、エスコートしてくれた手には謝辞を謝罪を重ねて、また誤魔化し笑いを返す。

「ネメシスさん―――ちゃん、かな。よろしく!
 ありがと!ずーっと森暮らしだから建物ってだけで参るのに、それが立ち並んでるもんだから中々慣れなくてさー」

あっという間に言葉が砕けている。
アップルジュースを頼んだ相手に対して、レモネードを注文して自分も受け取る。先ほど宣言した通りちゃんと自分で払う。相手のも本当はスマートに払いを持つ隙を伺っていたのだが…無理だった。

そんなちょっとした忸怩たる思いを抱きつつ、近場のデッキチェアへと今度は彼女を誘うだろう。
女は王都の内部事情には意識的に深く関わらないようにしている。
もし彼女の属しているものの名前を聞けば、すこし距離は置くかもしれない。それが『何』であるから、というよりも、王都の事情へ深入りを避けるために。

「こういう遊戯施設っていうの?初めて来たけど、賑やかでいいねー
 人が多くてびっくりしたけど」

ともあれ今はそれを知らない女エルフ。デッキチェアに行儀悪く胡坐をかき、人々を眺めながらそんな感想を。

ネメシス > 「ネメシスちゃんでいいわよ、宜しく。
森ぐらしなんだ。 最近の森って物騒だと思うけど大丈夫?
この間もゴブリンとか見かけたのよね。」

ちゃん付けで呼ばれることなんて久しぶりであった。
見た目よりも実年齢はずっと低いネメシスにとってなんとなく心温かくなってしまう。
こちらも二人分をさらっと払うつもりだったがそんな機会は訪れることなく。
上級者の仲間入りはまだまだ無理だな、と苦笑してしまう。

互いに冷たい飲み物を手に、デッキチェアへと腰かける。
どうやらこちらの素性を気づかれることもなかったようだ。
顔には見せずともまたもや安堵していた。

「ここは王都でも人気の施設だし、急に暑くなってきたってのもあると思うわ。
でもこんなにカップルだらけなんて思わなかったからびっくり。
でも今はジギィさんとお話出来てるわけだし、悪い気はしないけどね。」

アップルジュースで喉を潤わせつつ、周りのカップルに目をやる。
ちなみにデッキチェアの上では両足を伸ばして座っていた。
あまり姿勢を崩すと見えてはいけないものが見えそうな気がしたから。

ジギィ > 「あーそーね。
 ここら辺以外と物騒だから、魔除けの香は欠かせないねー。
 お陰で匂い移っちゃって、リュックなんて宿屋に置いておくとその日は『虫が出ない』って評判」

レモネードを一口飲んでまたあははっと笑う。
素直に年下の女の子と喋るのは久しぶりだし、楽しい。しかもこんなかわいい子だし。
取り敢えず持っていた浮き輪はデッキチェアの足元に置いて、胡坐の膝に頬杖を付く。
両脚をそろえている彼女と対比すると、悪い事を教えようとしている年増に見えなくもない。

「『ジギィ』でいいよ。はは、私もネメシスちゃんと知り合えたしラッキーだったな。
 あーやっぱり人気なんだ。この雰囲気独特だもんね。南国は行ったことないけど行ってみたいなーって思っちゃう。いい仕事しているよー」

あれとあれとあれと、と見た事のない南国植物を指さしていく。
それからそうだ、と瞳をくるりと回して彼女へ顔を向けて

「森でゴブリン見た事あるって、結構ネメシスちゃんも危ない仕事してるんだ?」

名前のことは屈託があったようだけど、それくらいは聞いても良いだろう。
誤魔化されたらさらっと流すつもりでそんな話題を振って
じゅるわー、とまたレモネードを啜る。

ネメシス > 「虫が出ないって…それ相当匂うんじゃないの?
そんなのずっと着けて大丈夫なの?」

相手が上機嫌であることを良いことに、顔を突き出しては匂いを嗅いでみたり。
努めて紳士淑女たらんと心がけてはいるものの、生来の欲の強さがたまに顔を覗かせる。
こちらも手にアップルジュースを持ってはいるものの、話に夢中で減り具合は遅かった。

「そう言ってもらえると嬉しいわ、ジギィ。
他にもここって人気の温泉とかあるわよ。
え、南国行ったことないの? 見た目からてっきりそっちの出身かと思っちゃった。」

舌を出して誤魔化し笑いをしてみたり。
指さされた植物は普段街では見かけない珍しい植物ばかり。
あまりじっくりと見ることは無かったが、言われてみると葉の大きさなど独特であった。

「危ない仕事って言うか…騎士だからね。
山賊だのモンスターだのを懲らしめたりもしてるわよ。」

静かにアップルジュースを喉に流しながら、言葉を選んでいた。
間違ったことは今の所一つも言っていない。
意図的に伏せている所が多々あるのだけれど。

ジギィ > 「一応人体には無害なんだけど、乙女としてたびたび精神的ダメージはあるかなー」

興味津々らしい彼女が顔を突き出して来るのに、此方も髪の毛を差し出して見せる。顔に埋めるくらいにすれば、すこし独特な緑の香りが解るかもしれない。

「へー温泉ね。山の中に沸いてるのは見た事あるけど…そっか、ココみたいに施設になってるとこもあんのね。
 ん?あーそうね、確かに南国の人もこんな感じの肌よね。
 私のは日焼けとかってわけじゃなくて、何だか精霊の加護の一種だかなんだからしいんだけど…」
 そこまで言って口ごもって、曖昧に笑って肩を竦める。その辺り詳しい人物は、あの里が消えてしまった時に居なくなってしまった。
 そんな感傷も、彼女の次のひとことで簡単に吹き飛ぶ。

「へえーネメシスちゃん、騎士なんだ!?
 …あごめん、でかい声出しちゃった……
 へええええ―――…」

 目を真ん丸く見開いたまま、彼女を上から下まで見る。
 そういえば佇まいは洗練されているし、見目麗しいのもそういうことか、と独り納得して
最早空になったレモネードの器を置くと腕組みをして、うんうんと深く頷く。

「そっか…ただの都会の子ってだけじゃないんだ…
 しかも戦線に駆り出されるなんて……。お母さん心配しない?」

何て言いながら
割と傍にあった彼女の頬に傷の跡でもありはしないかと、そろっと触れるか触れないかくらいで指先を滑らせる。
完璧に他意はないが、奇麗な顔に触れちゃうと何となく怒られそうな気がして、逆に変な仕草になってしまった。

ネメシス > 「無害で魔除けって便利ね。実は結構高いとか?
何かしら…野菜の匂い?」

差し出された髪の塊に鼻先を近づけ、匂いを嗅いでみる。
独特の香りは表現が難しかったものの嫌悪感を抱く程ではなく。
寧ろ混じって薫る相手の体臭を嗅げたので気分が良かった。

「山の中にも当然あるんだけど、そっちはそれこそ山賊がよく出るらしいわよ。
だから街の中の温泉に入る方が無難ね。
へ~、精霊が。 私はそっち方面のとは縁がないからちょっと羨ましいわね。」

突如として口ごもる様に何かを察するも、そこは触れない程度の分別は持っていた。
僅かに瞳が動いた程度で。

「そんなに驚くことじゃないわよ。
騎士って言ってもそんなに強いわけじゃないし。」

視線が体中に突き刺さり、頬が熱くなってしまう。
綺麗な女性に見られるだけで反応してしまいそうになり、眉尻が下がる。
自らを誤魔化すようにジュースを飲んでいると、気づけば空になってしまう。

「そもそも都会の子になったのは最近よ、最近。
山の中で暮らしてた時期もあったくらい。
えっと…お母さんは今は近くには居ないわね。」

まさか孕ませた奴隷から産まれました、なんて言い出せずもごもごと。
視線も泳いでしまい、気づけば肌に指が当たっていた。
体中に電気が走り、沈めていた欲望がいよいよ抑えられなくなっていく。

「…えっと、ジギィはそっちも大丈夫な方?」

双眸に怪しい光が灯り出すネメシス。
戸惑いながら問いかけ、唇は震えていた。

ジギィ > 「ううん?1000%天然でちゃーんと森に還るやつ。
 高いっていうか…鮮度が大事だからあんまり売ってはいないかもね。
 あはは、まあ薬草って食べられるっていう意味では野菜と一緒だからアタリって言っても良いかな!」

 嗅がせた髪の毛を自分でもクンクンしてみる。もう慣れてしまったので解らないが、野菜、と言われると野菜の気もしてきて、我ながらちょっとそれはどうかなーと思ったりもして目をくるりと回す。

「まー精霊っていっても言う事聞いてくれるわけじゃないから、なんか親戚のエライ人ってかんじ。
 いやー、伊達じゃなくて騎士をやるって相当だと思うよ。強い、強くないはおいて置いて…」

 誤魔化すようにジュースを飲む姿に「かーわいい」なんて素直な感をうを延べて彼女の頭を無許可でナデナデしてしまう。これはもう完璧に反射に近い。

「へー、じゃぁこの辺りの山にも詳しかったりするんだ?
 ……ん?そっち?」

彼女の瞳の怪しげな光。
きょとんと見返すと、『ソッチ』を方向のことだとでも思ったのか、自分の背後を振り返ってみて

「――――エ
 何、お化けでもいた?」

彼女の震える唇を、女エルフはそんなふうに読み解いて
やだあ、何て言って笑って自分の両腕を抱く。

(―――笑う門には福来る!っていうし?)

お化けに通用するかは兎も角

ネメシス > 「1000%って…桁が一つ多くないかしら。
それって元の10倍よね? 凝縮でもしてるわけ?
鮮度が大切ってことはやっぱり森の中に入らないと作れないとかかしら。
どちらにせよあまり一般には出回りそうにないか。」

髪から離れても、僅かに鼻孔に香りが漂う。
珍しい匂いを堪能しつつも、笑いながら突っ込むところは突っ込んで見せたり。

「そうなの? でもジギィがピンチになったら守ってくれたりはするんじゃないのかしら。
ジギィも冒険者してる訳でしょ? それなら危険度はお互い様じゃない?」

頭の上に手が乗ると、目尻を下げて甘えてしまう。
もっと触ってくれと言わんばかりに頭を差し出してしまう程に気持ちよかった。

「あ、えっと…そういうわけじゃなくて…。」

後ろを振り返る際に肌から相手の指が離れてしまう。
名残惜しさを感じる一方、妙な感情が溢れそうだったのが収まり胸をなでおろす。

「お化けって言うか…ジギィに触られちゃうと感じちゃうから。」

アハハと笑いながら思った事をサラリと口にする。

ジギィ > 「あたりー
 ちょっと裏ワザ使って濃縮してるの。
 早く遣わなきゃいけないし材料は多いしで、まあ一般販売は難しいかなー」

うふふ、と口元に手を当てて笑って見せる。
本当はそこまで難しいものでもないし工夫すれば長持ちするのだけれど、魔除けも使いすぎれば森に悪影響が出る。一般化させていないのはそんな理由だ。

「守る、ね…まー強いて言えばそうなのかな。今まであやかった気がしないけど」

 何故か女エルフは苦笑気味に笑う。そのまま彼女の頭を撫でていると、女エルフの方もだんだんと上機嫌になって来る。
 そりゃーかわいい子に甘えられたらご機嫌にならざるを得ない!

「―――え、ん?
 …あ――、あーあー そっちね!?
 えっと、ごめんね?」

サラリと可愛い子に言われたことが、理解できるまでたっぷり一呼吸時間がかかる。
相手も笑ってくれていることもあってこちらもあははっと笑い返して、ごめんごめんと後頭部をぽりぽり。

「結構敏感なんだねーネメシスちゃん。
 ―――…騎士なんて男臭いのがいそうなところ、益々心配だけど…」

お母さんと今は離れているということだから、何か深い事情があるに違いない。
と、勝手に解釈して、もう気分は彼女の親戚の叔母さんくらいになっている。

「―――わかった。
 私こう見えても薬草にそこそこ詳しいから、何か必要そうなものがあったら言いつけておいて。後で届けるようにするから。
 あ―――ねえ、騎士団内部とかでコイバナとかない?
 わたし趣味で曲つくったりとかするんだけど、コイバナ系ってウケがよくてさあ……」

胡坐の姿勢のまま、女エルフはぐいっと彼女の方へ身を乗り出す。
そうして多分、結局はプールに浸からないまま
陽が傾くまで彼女に話をせがんだり、余興めいて歌を披露したりした事だろう……

ご案内:「ル・リエーの水遊場」からジギィさんが去りました。
ご案内:「ル・リエーの水遊場」からネメシスさんが去りました。