2020/09/26 のログ
■イリヤ > 「そっかそっかぁ
私も今日はおやすみで、でも誘える友達なんていないからさぁ〜
君みたいな可愛い子と出会えて良かったよ」
顔が広く、交友も広い魔女だが、プライベートでプールに来れるような友人はいない。
休日は一人で過ごすことのほうが多いし、一人の方が何かと遠慮しなくて気軽なのだ。
少女の猫なで声にも特別気にするような素振りはなく、まるで子供扱いするように、少女の頭を撫で下ろす。
その視線が自分の胸へと向いているなんて、思ってもいなかった。
「わはっ、実はこれ手作りなんだよー♪
魔族の国にある深い森に生息する蜘蛛の人を縫い合わせて作ったの。
可愛いでしょう〜?」
魔道具店なんて営んでいるのだから、手先が器用なのは当然。
その気になれば防御魔法を張り巡らせた結界型の衣装だって作ることが出来る。
魔法使いとしては至極微妙な特技だが、手先が器用なことだけは彼女の唯一誇れる一面だ。
■ティルヴィン > 「えー超嬉しい~♡
あーしもこんなきれいなおねえさんと出会ってとっても良かった~。
物腰がいいっていうか、毅然としてるっていうかー、素敵な人って感じ!」
ぽふ、と子ども扱いされるような撫で方も何のその。そういった手合いにも慣れているのか、うりうりと撫でられながら目を細める。まるで猫の類だ。
「すごーい、自分で作ったんだ! 良いなーこんなかわいいな水着作れるんだ~そんけ~い。
白いお肌に似合った色だしっ」
いかにして作られているか己は知る由もないが、上質な素材で作られていることだけは見て取れる。先の蜘蛛の類からして、上等なものであることは間違いないだろう。
「もしかしてぇ、ジツリョクもある人だったり? お姉さん強くてカッコイイんだ~その上美人で素敵~。
あ、あーしティルヴィンっていうの!お姉さんはなんていうの?」
ぐ、っと彼女にしなだれかかるように、興味津々に近づきながら問うた。
■イリヤ > 「そ、そうかな……?
私はただの商店の店長だよ
素敵でもなんでもない」
年下からの思わぬ言葉に頬を赤らめながら、照れ隠しの言葉を吐き出して。
誤魔化すように少女の頭を更にうりうりと撫で回した。
「もし機会があれば、お嬢ちゃんの分も作ってあげる♪
今度、私のお店においでよ」
店で売るにはコスパが掛かりすぎるため、商売としては役にも立たないのだが、ここで出会ったのも何かの縁だと思い、魔女はそんなことを提案してみて。
少女に合った水着ならば、あまり露出が多くない、ワンピースタイプの水着なんかがいいかもしれない。そんなことを考えていた。
「だから、素敵じゃないってば……。
実力も、ないよ……。
私はイリヤだよ。ティルヴィン、かぁ。ティルって呼んでもいいかな?」
素敵どうかはともかくとして、実力があるかどうかと問われれば、答えるまでに暫しの間を作る。
魔女としてはとても優秀で、彼女の魔法一つで小さな村を滅ぼすことなんて簡単に出来てしまうくらい、それほどの実力を持つからこそ、彼女はそれを人に話そうとはしない。
悟られぬように、笑顔を取り繕いながら、魔女は少女の体を両手で支えてみせる。
その豊満な肉付きは、ピッタリと少女の肌にくっついて、肌と肌が口付けを交わしているような感触がすることだろう。
■ティルヴィン > 「そんなことないと思うんだけどな~。ただの商人でも、綺麗な人は綺麗じゃない。
町娘でも村娘でも、イイトコがあるなら誇っても良いんじゃないかなってあーし思うの!
美貌は力っていうんだもの」
見た目の割に自信満々に振る舞う己も、その定義通りに過ごしているからか。
貧相な体とて、肉体の美しさを持つことは矛盾しないのだから。豊満な乳肉を持つ彼女ならば、自己を肯定すればいい品が出来上がりそうなのに。
そんなことを想いながら、ぷぇは、と間の抜けた声を上げながら楽しそうに声を転がして撫でまわされていた。
「本当? 嬉しいな嬉しいなっ。じゃあ今度お邪魔するね! あーし楽しみにしてるから!」
このなりで、この風体で本当は騎士の称号を戴いた貴族ではあるのだけど。買おうと思えば仕立て屋を雇って同等のものを作る事とて造作もなかろうに。
さりとて提案された言葉には純情無垢な子供のように目を輝かせて、垢ぬけた子のように笑顔を向けていた。
「謙遜も過ぎれば毒なんだよ~自信を持とうよ自信を。
えへへ~じゃあ、あーしもイリヤお姉ちゃんって呼ぶねぇ」
短い愛称で呼称することを肯定する。
片や魔女、片や聖騎士。各々のシンボルたる身の衣や勲章もなければ、互いにただの女なれば。
相手に云えないことがあるようにこちらとて隠し事を山のようにしている。今話す事柄でも無ければ、会話に花咲かせる女同士のみで良い。
「イリヤお姉ちゃんお肌もきめ細かくていいね。吸い付く感じで、吸い込まれそう
あーし落ち着く」
己の体は世辞でも良いとは言えないが、柔らかくそれなりに引き締まった肉体である。
両手で支えられる体を預けるように、イリヤの体と抱き合う形になる。口づけを交わすような感触を堪能するかのように、彼女の肩に手を触れて、指先で柔肌を押してみたりする。豊満な胸肉に顎を載せるようにして持たれかかる。
「きれい、きれい。とっても……あまそう」
■イリヤ > 「ん、まあ…そこまで言われると、何も言えなくなっちゃうんだけど……」
自分の体に自信がないわけではないのだが、ティル程自信満々に自分の体をさらけ出すことは出来ない。内面だって、素敵かどうかはイマイチわからない。
それでもそこまで胸を張って言われてしまうと、それ以上否定もできず。
「水着はサービスしておくよ〜♪
完全に私の趣味だしね」
少女の嬉しそうな顔を見ていると、こちらまで嬉しい気持ちが込み上げてくる。
相手の身分や立場は分からぬけれど、無邪気な姿を見ていたら、自然と笑みが零れてしまう。
「お姉ちゃん、かぁ。
ふふっ、その響き、悪くないかも♪
」
謙遜も過ぎれば毒と、解かれれば確かにと妙に納得してしまう。
妹なんていた事なんかないけれど、目の前ではしゃぎ回るいたいけな少女が本当の妹みたいに思えてきて、胸の奥が暖かくなるのを感じる。
この場じゃ身分も立場も関係ない。無礼講と言えば都合がよく聞こえるかもしれないが、話さなくてもいいことだってあるわけで。
そんなほんの少しの秘密を抱えながら、二人の体はキツく密着する。
「なんか、少しくすぐったい……」
擦れる肌と肌。たわわに実った乳房が、少女の体を包むように押し付けられていく。
日照りに照らされているせいか、それともこの状況を身体が喜んでいるのか。体の奥が熱く火照っていくのを感じる。
■ティルヴィン > 価値を定めるのは商人、価値を見出すのは上級国民――言い換えれば貴族。
そこに価値があると触れ込みをかけるだけでそれは価値あるものへと成り上がるのだ。
己は出自から己に自信がなければスタートラインに立てない奇特な在り方が起因しているのだけど。
「うん、ありがとう! 楽しみにしておくね、お姉ちゃん!」
実の姉が出来たかのように感動する瞳は揺れ動く。太陽を見続けたせいなのか、別の理由があるのか。
じ、っとイリヤの白い肌を見つめ、不用意に手を伸ばしてみせる。
肩から首筋、顎を伝う。指先は子供の用に無邪気でいて、目付きは大人ぶったそれのように開かれている。
互いの胸の内にあるものの多くを語らず――それでもこれは最善であろうという確かな確信を以って。
「お姉ちゃん、お肌が敏感だからかもしれないねぇ。真っ白いお肌だから。
太陽を浴び続けたらすぐにぷっくりと赤くなりそうで、繊細で柔らかくてきれいな宝石みたいね」
熱く火照る体。高鳴る鼓動。品定めをするようで、しかして彼から押し付けられる体に溺れるように。
イリヤの顎先に指をやって、唇へと肉薄した――ところで、ふっと笑い手を離す。
「あんまり日に当たってると大変だから、パラソルの下で休みながら過ごすと良いよ」
悪戯っ子のような笑顔と共に歯を見せてはにかんでから、彼女の体から離れて足を浸していた水から離れる。
「今度、ちゃんとお店に行くからね。絶対だよ」
■イリヤ > 「ふふっ、うんっ♪
私も、楽しみにしてるよ。ティル」
再開の約束も取り付けて、互いに目を合わせてみれば自然と笑みが口から溢れ出す。
それから肌に触れるだけのスキンシップを繰り返し、二人だけの屋外プールにはとても良き雰囲気が。
「アルビノ、だからね。
紫外線にはあまり強くないのかも……」
それにしては、体の奥がムズムズするような。所謂疼きを感じ、それでも年上だからと強がって見せれば、不意に近づけられた唇にも動揺せずに。
しかし、その唇が離れていけば少々残念そうな顔を浮かべて。
イタズラに微笑む少女を見つめながら、唇を尖らせてみる。
「ありがとう、ティル。
ちゃんと、私のお店に来てね?
約束だからね♪」
離れていく彼女の姿を名残惜しそうに見つめながら、イリヤはフッと微笑み漏らし、彼女に言われた通りパラソルの下へと。
後に二人がイリヤの店で再会するのはもう少し先の話だ。
ご案内:「ル・リエーの水遊場」からイリヤさんが去りました。
ご案内:「ル・リエーの水遊場」からティルヴィンさんが去りました。