2019/08/20 のログ
ご案内:「ル・リエーの水遊場 サウナ」にルドミラさんが現れました。
ルドミラ > 貴族や富裕層が利用する水遊場の上層。
その一角には、ある砂漠の国特有の様式にのっとったサウナがある。

総大理石造りの広々とした室内に足を踏み入れた者はまず、壁際に備えられた水盤の周囲の洗い場でざっと体を流し。中央に立ち並ぶ、大人が4、5人は横になれそうな亀甲型の台上に横たわり、40℃程度に温められたその上で水煙草や茶、時には居合わせた者の肌を愉しみつつ、じんわりと汗を流すという寸法。

アーチ型の高い天井の頂点には、明かり取りの孔がいくつか空けられており。
スポットライト状に射し込む陽光が、蒸気の立ち込める室内をほんのりと照らし、中で憩う人影をおぼろげに浮き上がらせていた──そんな中で。王都で娼館を経営する女主人は、解いた黒髪をしどけなく左肩に流し。白い、起伏に富んだ肢体に布を巻きつけた姿で、大理石の台上に横臥している。

ルドミラ > 瞼を閉じているが、眠ってはいない。お付きの者が香油入りのぬるま湯を注意深くかけてはだえに浮かんだ汗を流すと、台からうっすら立ち昇る新たな湯気に包まれながら、長い睫毛を持ち上げて。

「ありがとう、良い香りね。とても気持ちがいいわ──ああ……」

そう囁いて再び瞼を伏せ、心地よさげに長い溜息をついた。剥き出しの肩から手首まで、逆の手指でなぞってかけ湯の雫を払い。左半身を下に。右肘を左手でゆるく囲い込み、曲げた右膝を伸ばした左脚に添わせるような姿勢で、くんなりと背筋から力を抜く。
頭の先から、整えられた足の爪先まで。湯気のぬくみが全身に馴染んで、自分のからだの輪郭があいまいに滲むよう──。

女主人が水遊場を訪れる目的は、主にこのサウナだ。娼館の営業前のひと時、気が向くとやってきてはからだを温め、オイルマッサージを受けて寛いでから出勤する、というのがお決まりのコース。

元からの知人と顔を合わせることも多く、ここで知り合って友人になった相手、あるいは行きずりの情事の相手になった者には男も女もいる。本場の砂漠の国における社交場としての機能が、この国では「らしい」ことに色事方面にも裾野を広げているというわけだった。

ご案内:「ル・リエーの水遊場 サウナ」にエズラさんが現れました。
エズラ > 「そいつぁ何より――」

慣れた様子で女主人の身体を癒やすのは、彼女の付き人であり下僕の男――同じく腰に布を巻くばかりの姿。
露わになった肉体はあますところなく鍛え込まれた筋肉に覆われており、そこかしこに大小様々な戦傷が彩りを添えていた。
漂う芳香は勿論下僕の鼻腔を擽っているのだが、それは香油ばかりではない。

「ご主人様――折角ですから、お身体を揉みほぐして差し上げたいと思います――いかがです?」

主の肩や腰、腿の当たりへと順繰りに手を這わせ、耳元へそっと囁きかける。

ご案内:「ル・リエーの水遊場 サウナ」からエズラさんが去りました。
ルドミラ > 無防備にからだを伸ばしているのは、サウナの心地よさ以上に、この忠実ないかつい男が側近くに仕えているからかもしれない。
大柄な体躯は、図らずも衝立がわりに他人の目をブロックしていたし、余人の不埒な関心も寄せ付けぬというわけだった。

同じ時間、蒸気に温められていたはずの男の手は、常より暖かく。曖昧になりかけていた世界との境目を、女主人に教えるよう。それ以外の、何かしらの意図も。
片目を開き、ゆっくりと持ち上げた顎から、雫が伝った。

「──構わないけれど。あたくしの秘密主義は知っているわね、エズラ……? あの部屋でなら、いいわ」

彼にだけ聞こえる音量で囁き返し、目顔で指し示すのは、マッサージの施術用の個室。
主従の姿は、湯気の中でいっそうおぼろな影となる──。

ご案内:「ル・リエーの水遊場 サウナ」からルドミラさんが去りました。
ご案内:「ル・リエーの水遊場」にチューベローズさんが現れました。
チューベローズ > プールであるのにその場所には波がある。
そこは手前から奥に行くに従い深くなり、また、数あるプールの中では一番大きいかもしれないその場所で少女は中間程の位置に波のうねりに身を任せ漂っている。

仰向けに漂っていれば空にあるのは月の明かりと、月の明かりによって幾分か見え辛くもなっているが散りばめられた星明り。

少女の長い銀色の髪の毛は水面に広がり、肌につく水の雫が太陽とは異なる淡い月や星の明かりにより、キラキラとした光を返している。

ご案内:「ル・リエーの水遊場」からチューベローズさんが去りました。