2019/05/04 のログ
ご案内:「ル・リエーの水遊場」にタン・フィールさんが現れました。
■タン・フィール > 水遊びの場の一角に【ある仕掛け】をしてほしいと、ここを管理する某かから依頼を受けた薬師の少年。
―――それは「誰も沈まず、溺れずの遊び場をつくること」
絶妙な塩分濃度や、人体の水分との比重を計算して薬湯を注いだ水遊場の一角は、
見事に何者も沈まず、溺れずに悠然と浮かび、泳ぎ、漂い続けられる、
不可思議なほど人の体を浮き立たせる水面と化した。
「…っふふー… いいきもち……
このまんま、寝ちゃわないように…しないと…。」
水音や波紋を全身に感じながら、ぷかぁ…と水面で仰向けに漂う功労者の少年。
一切、硬さや抵抗を感じない極上のウォーターベッドといえる出来栄えに、心地よさそうに浸りきって、目を伏せる。
仮に、眠ってしまったとしても、溺れる心配すら必要ないわけだが。
ご案内:「ル・リエーの水遊場」にビスコさんが現れました。
■ビスコ > 主人の付き添いとして水遊場に連れて来られたビスコ。
だが、主人は早々に若い女性のナンパを始めてしまい、しばしの暇を与えられることとなってしまった。
所在なげにプールサイドをうろつき、時間を潰す手段を案じているビスコだったが。
ふと、子供1人がプカプカ浮いているだけのプールが目に入る。
人混みは好かない。空いている水槽ならゆっくりできそう……と、さっそくそのプールへと脚を差し込み始める。
「……おや。この水、浮力が強いですね」
抑揚の少ない声でそう独り言を発しながら、ビスコはその細身の身体を胸あたりまで沈め、水底に脚を着けて立った。
……誰も沈まないはずのプールなのに、である。ビスコの身体は常人よりも5割ほど密度が高い材質なのだ。
普通のプールであれば完全に沈んでしまい、泳ぐことはかなわず、こうして水を掻き分けて歩くしかない。
タンによって調整されたこの水槽ではかなりの浮力を感じるものの、やはり泳いだり浮いたりするのは難しそうだ。
「……ふむ、ふむ。塩水でしょうか。海水とは違うようですが」
白髪の女性は不思議な性質の水を楽しむように、ざばざばと波を立てながらプールの際をのし歩く。
■タン・フィール > 案の定、僅かにうとうととしてしまいつつ、
浮かび上がる水面から伝わってくる波紋の感触と、
誰かが、少年がこさえたての浮力のプールに入り込む音。
(―――っふふふ、最初のおきゃくさまかな…? おどろけ、おどろいちゃえっ…!)
と、内心僅かに、摩訶不思議な沈まぬプールへの反応を、一見大人しく漂ったまま心待ちにしている…が、
これといった強い感嘆のリアクションが無いことと、浮力が働いているのであればそうは聞こえるはずのない、
水をかき分けて進む音に、ぎょっと半身を起こして
「あ、あれ…? あれ、あれっ!?」
と、水底にしっかと足を付けてプールを闊歩する女性の姿に目を丸くしている少年。
「あ、あの、えっと…!あれ?
どうして、おねえちゃん…沈まない…ん、ですか?
…ここを、誰でも浮かべられるプールにするってお仕事を、したんだけれど…。」
驚きと、仕事を仕損じたのではという焦りと、生来の運動能力で、
実にみっともない……見るものが見れば滑稽で愛らしいのかもしれない、不器用な犬かきで、
白髪に白い肌の女性の前まで水面を掻いてすすむ。
未だ、相手の常人とは異なる体質を知らない少年は、
失礼にはあたらない範囲で、彼女の肌、体躯、貌…と順に、
実に興味深そうに見上げて…。
彼女の白い素肌に、映える…というよりは溶け込んでしまいそうな純白のマイクロビキニは、
よくよく見れば一瞬全裸かと見紛うコントラストで、
少しだけ顔を赤らめて、す…と、意識的に相手の顔だけを見るようにしつつ、たずねた。
■ビスコ > 先客の子供が、妙なことを口走りながらこちらへと泳いでくる。
ごく普通の男児に見える者が、このプールを『作った』と……?
「なんと。貴方様がこのプールを作られたのですか。お仕事で。
先程のお言葉、ビスコにはそのように認識されました。
幼い身の上でそのようなお仕事をされてるとは、驚嘆に値します」
泳いでくるタンの方に向き直ると、相変わらず抑揚のない声で賛辞を述べる。
驚嘆に値する、などと宣っておきながら、その顔は氷のように憮然とし、目も口も笑ってはいない。
「それで、貴方様の質問に対する回答ですが。
ビスコは人間ではありません、糖分を主原料とする人造物です。
同程度の体型をもつ成人女性と比較して約1.5倍の質量を有しております。
そのため、人間であれば容易に浮かべる水質でも、ビスコは沈んでしまうようです。
貴方様の言う『だれでも』にビスコのような人造物も含まれてるのなら、お仕事の目標は未達成ということになりましょう」
まるで台本でも与えられているかのように、ペラペラと、淡々と、タンの問いかけに答えるビスコ。
「ですが、ビスコが推測するに、『だれでも』にはビスコのような人間でない者は含まれていないでしょう。
ならば、この高比重の水槽はしっかり機能していると考えられます。
ですのであまり心配そうな顔をしないでください」
率直に自分の分析を語りつつも、相手を落胆させすぎないようサポートも欠かさず。
顔を赤らめている様子の少年を、『仕事の不出来を恥じている』ように見て取ってしまったのだ。
犬かきでこちらに寄ってきてビスコを見上げる少年、その顎にそっと指を這わせ、支える。
ビスコの指は暖かいが、生身の人間が持っているような柔らかさに欠けている。
重厚な粘体が人の姿を取っているかのような密度感。
「貴方様の技術に依る賜物でしょうか? もしかするとビスコの主人が興味をもつかもしれません。
ぜひ、このプールの秘密などをお教えいただければ、と」
■タン・フィール > 「うんっ、この水遊場を所有してるっていう人たちから依頼があって…。
ボクは、薬師をしている、タン・フィールっていうんだけど。
ナニに使うか知らないけど、変わり種…っていうの?
新しいお客さん用に、こういうの作ってみてほしかったんだって。」
抑揚が乏しい説明的な相手に対して訝しく思うこともなく、
次いで聞かされる、彼女という存在の簡潔な説明…構造…答案。
語られたその肉体に、それこそ驚嘆と好奇心を刺激された顔を見せる。
そこには、相手を途端に無機物と断じるような態度の変化はなく…
「――…なるほど…びすこ、ビスコ、おねーちゃんっていうんだよね?
…そういう体のヒトのことは、考えになかったなぁ…」
血液や細胞に塩分を有し、肺や血管や胃腸に空気が貯まる生物を想定していたために、糖分で出来た肉体とは、流石に想定の埒外。
顎に添えてもらった指先が、微かに濡らした飴のようなはりつきを感じる。
少しだけ唇が触れる、 あまい。
…本当に、糖分なんだ、と浮かびながらまじまじと相手を見あげて…
「…お気遣い、ありがとっ。
うん、ここのプールをまず、国外にあるっていう、人が浮かぶほどの塩分濃度の海と同じ比率にするでしょ?
それから、筋肉や脂肪と反発する成分の薬草を32度で―――…」
と、彼女の要求に応えて、ぺらぺらと秘伝の秘の字もなく、仕組みを説明していく。
…その途中、むうと眉を寄せて、ビスコの言葉に引っかかった部分がある、と顔をあげて
「……ビスコおねえちゃんは、その…ぷかぷか、浮かんでみたい?
…もし浮かべたり、泳いだり出来たら…たのしくって、うれしい?
…おねえちゃんがそんなの、どうでもいいっていうなら気にしないけど…
…もし、そうしてみたいなら…やっぱりまだ、未達成、かな。」
と、無理に相手を人間扱いして、気を遣っているのではなく、
たとえ人造物と自称する相手でも、「愉しみたい誰か」なら愉しませたい…と、純然たる思いで応えて。
「プールのこと、教えたんだから…ビスコおねーちゃんのカラダのことも、おしえて?」
■ビスコ > 「タン・フィール様ですね。ビスコは商家であるフィナ家の所有物にございます。以後よろしく。
外見の年齢ではビスコのほうがタン様を上回っておりますので、おねーちゃん呼びで構いません」
その紋章が捺されていれば誰でもビスコがフィナ家の奴隷だとわかる!…と言われて焼き入れられた、手の甲の焼印。
だが王都においてフィナ家の知名度が大して高くないことは知っているので、きちんと家の名も名乗るのであった。
そして、このプールの秘密を楽しげに語り聞かせてくれるタンの言葉には、仏頂面のままで聞き入り。
たまに相槌を打つように首を縦に振るが、その動作は規則正しすぎて逆に不自然さを覚えるだろう。
「塩分濃度が鍵なのはわかります。容易に水の比重を上げられる手段ですから。
ですが、何らかの薬効成分が混ざってる感じはありましたが、そのような効果があったとは思いもよりませんでした。
ビスコには人間の皮膚がありませんので、その効果が薄かったのもこうして沈んでいる要因なのでしょう。
そしてそのような効果の薬草があることは初耳でした。きっと詳しい品種等は企業秘密なのでしょう……ん?」
相槌は空返事めいて不自然だが、しかし言葉はきちんと聞き入れていた様子。
タンの言葉が途切れるのに合わせて自らの見解も述べ返す。
……しかし、しばし言葉を途切れさせた後に相手から返ってきた問いかけには、数秒体が固まった。文字通りに。
「……ビスコが、浮かんで泳いでみたいか、ですか。どうでしょう、わかりません。
ビスコには、他の人間が……タン様が感じているような『たのしい』『うれしい』という感情がよくわかりませんので。
タン様がもっと『たのしい』『うれしい』様子を見せてくださったなら、ビスコの核にも変化が起きる可能性はありますが。
それはそれとして、ビスコの身体のことを知りたいという情報等価交換の申し出は至極正当です」
ニコリともせず、ムッともせず、しかし目線はぴったりと相手に向けて、張り付いた鉄面皮のままでタンの問いかけに答える。
「ビスコはセクサロイドとして製造された魔導機械です……が、タン様が知りたいのはビスコの役割よりも材質等でしょうか。
ビスコはブドウ糖・麦芽糖を主原料とした糖分、つまり水飴を体組織の大部分としています。
一部そうでない箇所もありますが、概ね糖分です。……まぁ、自分でもすべて詳細に知っているわけでもないのですが。
核を炉心とし、魔力を流して人型を保ち、関節等を動かしています。人間の脂肪には及びませんが、柔軟性を有しております。
タン様が望むなら、好きな場所を触ってみてください」
そこまで淡々と語ると、ビスコは水の中で直立し、両腕をざぱりと水面から持ち上げ、肩の高さでまっすぐ伸ばす。
Tの字を描くように。お腹だろうが二の腕だろうが、お尻や脚に至るまで、どこでも触れてみてよいという仕草だ。
■タン・フィール > 「…わかった。 フィナ家の、ビスコ。 こちらこそ、よろしく!
…っふふ、 ぅん、じゃあ、ビスコおねーちゃんでっ」
彼女の淡々とした語り口と声色の中で「おねーちゃん」の部分を生真面目に発音する様子に、思わず微笑んでしまう。
この街の名家や勢力に関しては聡くない少年に、フィナ家の名声は届いてはいなかったが…
すくなくともその焼印と、それを施せる魔導機械を所有できる程には、
一市民にすぎぬ少年とは、立場が違うことも重々承知して。
「ふふ、企業秘密…ってほどでもないけど…お客様になら、
ちょっとずつ情報でも、面白い薬草でもお薬でも、提供させていただきますともっ」
と、本人的には自然に、薬師としての営業も混ぜ合わせたつもりの少年。
普段の彼女の所作や思考時間など知る由もない少年だが、淡々とした喋りや反応からすれば、
少し不可思議な間の後に紡がれる返答を真剣に聞いて…
「―――なるほど、なるほどね…。 っふふ、わかった。
じゃあ…すぐには無理かもしれないけど、きっと、ビスコおねーちゃんにも、ここでぷかぷかさせてあげる。
…それを見たらきっと…少なくとも僕は、すっごい楽しくって、嬉しくなっちゃうから。」
と、ここまでの短いやり取りでも、自らを魔導の機械と称した彼女が水遊びで満面の笑みを浮かべる様は、ちょっと想像はできない。
…けれども、自分の「愉しい・嬉しい」が、彼女の核なる中枢に、
少しでも何かをもたらせたらという想いは、本心。
「…せくさろいど…―――なるほど…なるほど、
単純な肉体と、生成も構造もちがう…と。どっちかっていうと、ゴーレムとかに近いのか…。」
白の肌と髪に整った容姿、主人がいる旨を仄めかされつつの、恐らくは彼女本人の趣向ではない水着に、
幼いながら…この町で薬屋などしている手前、おおよその想像はついていた。
セクサロイドの用途も、存在意義も知ったうえで、こほん、と咳払いをひとつして。
…とはいえ、いざ、さあ、と誘う牝の色香など皆無のTの字に待ち構えられても、
しなやかな女体であることは何一つ変わらず…
まだ赤らんだ顔をかくせぬまま、水面越しに隅々まで観察してしまう。
「じゃ、じゃあ…ちょっと、だけ…っ…」
ふに と、水平に伸びた二の腕を下から持ち、柔らかく揉んでみる。
ついで、首筋や喉元に手のひらを触れさせ、撫でて…
半透明の飴細工のような髪を撫でて、梳く。
幼い手のひらと指が、背中や、腰をなでおろして…ちゃぷっと水面に浮かんだまま、しがみつくように幼い足を彼女の足に絡める。
その触感のどこからも、うっすらとしたべたつきが心地よい。
「…ほんとに、飴なんだ…っ すごく、気持ちよくて…なんて綺麗。
…ね、ビスコおねえちゃん…試しに…このプールの中で、お姉ちゃんを抱きしめて…抱きあげてみても…いい?
…抱きしめていられるのか、沈んじゃうのか…ちょっと、ためしたい、かも…。」
それは、触感や材質を確かめたいという好奇心と、外気と水面下でどれだけ重さや浮力に差が出るかという実験と…
…それらが口実なのではと、内心少年を突き動かす、
「ただ、綺麗なこのひとを、そうしてみたい」という欲求。
■ビスコ > 「はい、ビスコは飴です。先程少し掌を舐められたようですが、どこを舐めても甘いでしょう。
タン様が望むなら指先くらいなら欠いて召し上がって頂くこともできますが、それ以上の量は健康を害すると思われます。
あまり触りすぎるとベタベタがそちらに移ってしまうでしょうが、プールの中であれば気にならないでしょう」
タンが小さな体を寄せ、二の腕、首筋、髪へと手を這わせてくる。
その愛撫を、ビスコはわずかも顔をしかめることなく、四肢を震わせることすらなく、受け入れる。
微動だにしないその様子はまるでマネキン人形だが、実際の人形と違い、その体組織は確かに暖かく柔らかい。
ビスコが先に言ったとおり、二の腕等の感触は脂肪ほどの柔らかさはなく、むしろ餅などに近いだろうか。
髪もまるで水を多く含んでいるかのように重たく絡みついてくる。
そして、長く触れていると徐々に感触がベタベタと粘ついてくるだろう。プールの中なのですぐ洗い流せるだろうけど。
「綺麗ですか。ありがとうございます。褒められるのは『うれしい』です。
主人の所有物が褒められると主人がうれしがるので、それはビスコにとってもうれしいとわかります。
……ん、タン様がビスコを抱き上げると。ふむ、興味深い試みだと思います」
やがて、児童と呼ぶ他ない幼さの男子が、浮力に逆らってビスコの重たい体にしがみついてくるのを感じると。
やはり抵抗は見せず、冷ややかな面で見下ろしながらもその抱擁を受け入れる。ほんの少し、白い四肢から力が抜ける。
「試してみるとよいと思います。参考までに、ビスコの体重は75kgです。
ビスコの推測では、地上においてタン様はビスコを持ち上げることは叶わないでしょう。
この特殊な水の中では、かなりの浮力を感じておりますため、事実上の体重は……ううん、推測しかねます。
容赦なく全力で持ち上げてくださって構いません。仮に倒されてしまってもビスコは溺れませんので」
絡みついてくる少年の体を受け入れるように、そっと手をおろし、彼の首筋へと添える。
かなりの体格差であり、タンにとって動きづらい高濃度の塩水の中である。どう動くか興味深い。
……そんな体格差の男女2人が、水の中で密着して絡み合う様は、傍目にはどう見えるだろう?
■タン・フィール > 「うん……こう言っちゃって、いいのか分かんないけど… 正直、おいしかった。
…っふふ、ほんとに食べちゃうのは…ちょっと、勿体無いかも。
糖分を摂ったら、もとどおり?」
ならば、それも…と、単純な甘味というよりは、興味と好奇心。
…しかし、こうして対話できる相手の一部といえど、言われるまますぐに口にするのは、未だ気が引けた。
―――あくまで未だ…今日、この場では…である。
べたつきはすぐに水に霧散する一方で、その生暖かな不可思議な肌が、
己の肌と溶け合うように張り付く時があるとすればと、
少し想像してしまうだけで少年の肌の赤みが、体温が僅かずつ増す。
「っふふ、ビスコおねえちゃんのご主人様、うらやましいや。
じゃあ、もっともっと、綺麗なところ…おねえちゃんの不思議なところ、見せてね…っ」
仮に少年が、もっと大人びてウィットに飛んだ語彙を獲得していたならば「良い趣味だ」と呟いていただろう。
天真爛漫さを空け広げてビスコと触れ合い、語る少年の方にも、
玩具に語りかける子供…とは少し異質な、常人とは異なる感性が垣間見える。
「うん…じゃっ…がんばってみる。
…力、抜いて… いいよ…―――っ」
首筋に添えられた手を合図に、浮かび上がった体制から50cm以上もの体格差の相手を抱きしめ、彼女が抱かれるために四肢の力を抜けば。
少年の細い足が水の底に着き、彼女を正面から抱きかかえるような姿勢に。
奇しくも、その直前に合図した言葉すら、傍目から見れば妙齢の女性と幼子が、水の中で抱き合い、絡み合い…まるで、交わるような言葉と光景で、
それを意識しまったこともあってか、あるいは単純に、浮力を得ても尚少年の細腕には荷が重かったか、
ゆらゆらと不安定。
「わ…わわっ…なん、とか… もてる、け…どぉ!?」
ざぶん!と水しぶきを上げて後ろ向きに倒れ込んでしまう。
水中で、ビスコの重みでずぶずぶと沈み込み、プールの底に背中が着く。
ビスコが助け起こそうとすることも、離れて少年を浮き上がらせることも容易であろうが、
不意の沈没にもかかわらず少年は焦っておらず、くす、っと、
没してしまった自分の可笑しさと、それでもキョトンとしてるあろう彼女を見て失敗を笑う。
「がぼ、ぶ、こぽ… ♪ ふぁ、 あーん…」
別段、彼女に空気を送って、という合図でもない、そんなことが出来るのかもわからない。
けれど、水の中で刻一刻と酸素が尽きる中、まだ息苦しくない少年は、
なぜだか口を開いて、それをビスコの口に緩やかに押し付けてしまった。
こぷ、こぷぷ、と重なった唇から泡が漏れる。
少年が空気を送っているのか、彼女からももたらされるのか。
水面からは、まだ何もわからない。
■ビスコ > 「おお、持ち上がっています。タン様は力持ちなのですね……あっ」
ビスコの細い腰がぐっと締め上げられ、水の浮力の助けもあってビスコの高密度の肢体が持ち上がる。
その様にはビスコの顔にも束の間驚きの色が走り、唇を丸くして感嘆の声を漏らす。
……しかし、やがてバックドロップめいて諸共に倒れ込んでしまうと、わずかな悲鳴とともにビスコも水没する。
「タン様。大丈夫ですか。パニックになってはいけませんよ。まずは落ち着いて水面を目指し……」
まぁこの展開はビスコには想定済み。全く焦りを伴わない口調で、パニックに陥っているであろうタンを宥めようとするが。
「………んむぅ」
自分の下敷きになって水底に押し付けられ、大層焦っているだろうと思っていた少年は、さほど焦りを見せず。
それどころか、振り向いたこちらの顔におもむろにキスしてくるとあれば、戸惑いにしばし体が硬直してしまう。
薄灰色の瞳をぱちくりと瞬きつつも、重ねられた唇を離そうとはしない。
「……なるほど。これが目的だったのでしょうか、タン様? 衆目を逃れる為に? かなり思い切った行動です。
子供にしか見えませんのに、ずいぶんと手慣れたやり口です。こういう行為に慣れていらっしゃいますか?」
顔を傾け、互いの唇をしっかりと噛み合わせて密着する。そしてタンの口腔へと空気を送り込む。
ビスコの白髪がぐっと伸び、先端から水面付近まで浮かび上がる。
無数の細管に変化した髪から空気を吸い込み、ビスコの体内を通じてタンの肺に吹き込んでいく。
その空気は甘みを帯びた湿気を孕んでいて、まるで綿飴のようにふんわりと粘膜に甘さを伝えてくる。
そして、そうして口を塞ぎ合っているにも関わらず、ビスコの喉は強く震えて口腔を介さずに声が発せられている。
「とても情熱的なキス、感服いたしました。次は何をしてくださるのでしょう?
タン様が少しビスコを押しのけて下されば、すぐ退きましょう。……タン様のご随意に」
プールの底で、ビスコはタンの体に覆いかぶさったまま、うっすらと妖艶に目を細める。
こうしてキスを続けていれば、少なくともタンは酸欠で死ぬことはあるまい。パニックに陥らないかぎり。
■タン・フィール > 人造物と己を呼ぶに相応しいマネキンめいて整った美貌が、
しかして与えられた自我が微かにでも驚きの反応を見せれば、
いっそ生身のヒトよりもその感慨は深く感じられてしまって。
「んぶ、ん、――む、ぷくっ…♪」
水没したことは、あくまでも想定であって目的ではなかった。
けれども、どうせ倒れ込んでしまったのなら、それを愉しんでしまいたいと…
どこまでも好奇心と「楽」の感情に貪欲な少年。
「んふぁ、ん、っちゅ…あむ、んみゅ、ぅ…♪ はふぁ、ふ、こぽ…」
空気の供給を担う髪の変化や、吐息と供に送られてくる湿った甘い空気。
少年の方からは、塞ぎあった唇のまま、言葉の体を成していない声を漏らすのみ。
テレパシーなどという能力も魔術も持ち合わせてはいない。
(んーん…♪これが目的だったわけじゃないけど… どうせなら、たのしく、気持ちよく…
ビスコおねえちゃんの、こと、知りたくなっちゃったから…。
――イヤだったら、どかしてもいいし、このまま…溺れさせちゃっても、いいから…ね…?)
水底で覆いかぶされた姿勢は、その気になればそのまま少年を永劫、ここに鎮めることも、空気を絶つことも容易な状態。
【悪戯の相手に、生かされている】という不思議な状態のまま、
パニックにもならず、意思を込めた舌先で、もご、とビスコの咥内を舐めた。
少年の小さな手に収まるかどうかの、少し控えめな乳肉を優しく手を添えて片手で揉み、
もう片方の手が、探るように細い腰とお尻の丸みをなぞる。
その手付きは慣れているというよりは、本能的に「何が淫らか」を知っているような、
たどたどしさと、一生懸命さと…妙に、的確な心地よさ。
少年の細い腿が、ビスコの下腹部と足の間を水着越しに擦りあげて、
彼女のお臍の近くに、薄布一枚の少年の突起が…
愛らしい形状とサイズでありながら、確固たる屹立が、つん、つん…と刺激を求めてなすりつけられて。
(っ…おねがい、いじって…♪ そこ、おちん、ちん…っ。
いっかい、気持ちよくなっちゃって…ぴゅって、出たら…
上がろう…っ♪)
■ビスコ > 「んちゅ……ぷっ……れるるっ……」
少年の舌がビスコの口内に入って来ると、ビスコも己の舌でそれを受け入れる。
舌弁同士を絡めたり、タンの口腔をこちらからも舐め返したり。粘っこい唾液が溢れて接合部を濡らす。
ビスコの粘膜や唾液は、先程舐められた掌とは比べ物にならないほど甘味が強い。味蕾に粘付き、痛く感じるほどに。
「………ん♥ あっ、あ……♥ タン、さま………」
そして少年の手が薄い胸と尻を這い回れば、ビスコの頬にすっと朱色が走り、甘く蕩けた喘ぎ声が喉元から響く。
詰まった音調の嬌声に合わせて、タンの肺に吹かれる吐息もさらに熱く、粘っこく、甘く変わる。
グミのように硬く凝った乳首を指が弾くと、ぞく、と快感のわななきが飴の肢体の内を走る。
「ん、ふ。気持ちいい、ですよ。子供のわりに……とは、もう申しません。
こうまで積極的に愛撫を施された以上、ビスコはタン様をひとりの殿方としてお相手します」
唇を重ねたまま、くい、と口角が上に上がる感触を伝える。キスした状態でなければ、妖艶な笑みを見ることができただろう。
今は水中という異常な状況のため、タンの声を聞くことは叶わず、いつまでもこうしているわけにも行かないが。
それでも、口に差し込まれた舌の微妙な震えと少年の体の微動、そしてビスコなりの経験の裏打ちから、次にどうすべきかは分かる。
……そっと、2人の身体の間にビスコの手が差し込まれる。ピンと勃起したタンの男性器に、細い五指が絡む。
「……とはいえ、こちらはまだ成長途中って感じでございますが。ふふ」
ビスコはタンの年相応と思しきペニスを摘むと、コシコシと擦りあげたり、鈴口を指先で弄ったり、振り子のように振ったり。
振れる肉棒を自らの下腹部に触れさせ、断続的にビスコの局部の感触を体験させてみたり。
かすめるように触れるビスコの大陰唇は、やはり柔らかさに乏しいが、それでも二の腕などよりはずっと柔らかく、熱い。
「このまま溺れさせてはいけませんので、手早くやりましょう。
容赦なくシコりますよ、タン様のおちんちん。ふふ……よろしいですね?」
許可を乞うような言葉を喉から放ちつつも、手指の蠢きは徐々に加速していく。
■タン・フィール > 「ん、ぉ…っ♡ っふ、あむ、んんっ、っくっ…♪」
目をきゅっと閉じたり、水の中でぼやけた視界で、
水面の上で見えていた表情よりも妖艶で、蕩けた表情のようにビスコが見えるのは、
咥内を弄り、弄られる舌先や粘膜や唾液から感じる、噎せ返るような甘味の所為だろうかと錯覚する。
過剰に飴をなめ続けて咥内の水分が枯れ、張り付くような感覚すら、
少し倒錯した水底での秘め事の味付けに思えて。
(ぼく、も、きもちぃ…っ♡
っふふ、ちゃんと…わかってくれ、て、…嬉しい…っ♡)
唇を離さないように、ゆっくりした動きで口づけあいながら首を縦に。
同意と、許可と、懇願に似た眼差しで頷く。
少年の指先に感じる、どのような生身とも異なる独特の、ビスコだけの女性の中枢の感触。
自身の熱で蕩けてしまわないのか不思議な、他の箇所よりも熱を持った其処を水着の間に指を差し込み、こしゅこしゅと、
自分にしてもらっている指先のリズムやペースに合わせて上下に擦って
薄布から漏れ、掴まれた男性器は、大人の男の親指といった愛らしさ。
手早く、と促されたように、加速していく指先に、徐々にそれは屹立と硬さを増し始め…。
「んっ…こぽ…んっ♡ ん! んんっぅ んお♪ んんんっ♡」
(容赦なく、シコって♪ すぐ、イっちゃう、イくの♪
こっそりエッチなことして…ドキドキしてるおちんちん…っ♡
ビスコおねえちゃんの、手の中…で…♪育てて…っ♡)
喉から鼓膜と脳に直接聞こえる声に応えるように、
彼女の手のひらの中でムクムク…ビキビキと、変貌していくペニス。
それは、成長期の少年のもの…否、成人男性の標準…?
…否、女泣かせの巨根…? ひと扱きするたびに、
徐々に、徐々に、小柄で幼い少年に不釣り合いなサイズへと変貌していく。
そのサイズにあわせた的確な手淫と、濃密なキス、抱擁が合わされば、
ものの数分ほどの水没時間の中で、彼女の白い手から、白い蜜が溶け出したような射精を…
ビュグ!ビュグク!どく、どぐ!どくんっ…♪
激しい脈動と熱とともに放って、ビスコの眼前を少年の遺伝子が泳ぎ、のたうちまわるのが見える。
しごけばしごくほど、其れは水中を漂うオーロラとなって…
常人よりもずっと長く、多く続く射精…。
■ビスコ > 「タン様は御婦人と身体を重ねてのこういった行為の覚えがあるご様子ですが、さて。
射精までどのくらい保つのでしょうか、興味深いです………んっ、ぅ、あんっ♥」
最低限の布地しか持たない水着が容赦なく捲り上げられ、敏感に設定された部位を少年の指が爪弾く。
互いの熱が循環し、徐々に飴の体組織が軟化していくのを感じられるだろう。実際、少しずつ水飴が溶け出ている。
やがて愛撫が難しくなるほどにビスコの表皮は粘性を強めていくだろう。
「……気持ちいいです、気持ちいいですよっ。タン様もおちんちん気持ちいいですか?
女の子みたいに可愛らしい喘ぎ声を上げなさって、空気中でもしっかり聞いてみたい声をなさっております…♥
ふふ、おちんちんもまるで女の子のようにちんまりと……むっ。むむむっ……?」
手の中で弄ぶように触っていたタンの男性器。それが、徐々に質量と体積を増していく。
はじめは気のせいかと思ったが、すぐにビスコの手にあまる程に膨れる。
2人の身体の間に収まりきらず、その怒張の猛りがお腹に押し当てられてビスコの腰が持ち上げられるほどに。
「なんと。なんと。なんと。実に興味深いです。タン様、これほどに太い男性器をお持ちだったんですね。
どういう仕組みなのでしょう、タン様のおちんちんは……いえ、これはもう『チンポ』と呼ぶべき逸物ですね」
そのダイナミックな変化に数瞬躊躇を覚えたビスコだったが、すぐに愛撫を再開する。
両手を腹の下に送り、片方で亀頭を素早く撫で、片方で竿を中腹から根本までリズミカルに扱き上げる。
ここまで人形のようにぎこちなかったビスコの身体の動きも徐々にスムーズになり、熱がこもり始める。
白い肌は総身が淡い朱色を帯び、粘性の汗が滲んで周囲の水を陽炎めいて歪ませる。
「んっ♥ ふふ、ふふふっ。チンポ……タン様のチンポ……すごく立派ですっ♥
極太チンポ、びゅーってしそうですか? してください、そうしたら上がりましょう……ん、ああっ♥」
そして、脈動が早くなり、海綿体の中に熱い迸りが走るのを感じれば、ぐっと両手で竿を扱き下ろし、尿道口を広げる。
肌を重ねた少年の身体が絶頂の熱波を放ち、それに充てられてビスコの飴の身体もぐにゃりとひときわ軟化する。
2人の間に放たれる白濁は恐るべき量だが、それがすべて放たれ終えるまではキスを続け、荒く甘い吐息を交わし続ける。
やがて射精が終われば、ぐっとタンの身体を抱きかかえ、水面へと持ち上げた。
「ぷは。……大丈夫ですか、タン様。肺に水など入っておりませぬか?」
未だ抱き合って密着した姿勢のまま、ビスコは惚けの残る顔で少年を見下ろし、案ずる言葉を放つ。
大量の精液は2人の胸とお腹の間に挟まれ、ぷるぷると揺蕩っていることだろう。
■タン・フィール > 「んんーーーっ!ンっ!あ、は…っぷ、♡ こぽぉ…♡」
甘い声色の中に水音のような呻きが交じるのは、
ふさがった唇から水が入ってきたのではなく…溢れ出る唾液と、
咥内に満ちた水飴で満たされているから。
呼吸とともにそれを飲み下しながら、手淫にも行為にも、口調にも、
人形めいた印象から、男根や性の発露に嬉々とした様子を示すビスコに、益々興奮が高まっていく。
腕で支えきれなかったビスコの半身を、猛り狂った肉棒が持ち上げる皮肉。
(うん…っ♪ じゃあ、ここを出て…もし、ごしゅじんさまがゆるしてくれるのなら、お外でも…
いっぱい、しよ、いっぱい、エッチなこと、して、言い合って…聞いて…♪)
チンポ、と明確に卑猥な名称でペニスを呼ばれて、嬉しそうに、恥ずかしそうに振動する亀頭。
体積以上に精子を生成する玉袋も震えて…そして、放っていく白濁。
それらが水面に漂い…まるで、肉体から離れて交わり合うかのように、
陽炎のごとく緩く水に溶け出すビスコの肌を見つめたまま、
水面に引き上げられて
「―――っぷは…! は、っはあぁ♪ はっ… すご、かっ…た…♡」
大きく息継ぎしたのは、口づけの甘さと深さゆえ。
ビスコを介さない新鮮な空気を肺に取り入れている…はずなのだが、
心の何処かで、少しだけ、文字通り【味気ない】と感じてしまっていることに、まだ少年は気づいていない。
「ぅ…んっ、ぜんぜん、だいじょうぶ…っ
…水は入ってないけれど…… ビスコおねえちゃんが、…少し、
僕の中に入ってきちゃったかも…♪」
それは、彼女を形作る溶け出した糖が、という意味のはずだが、
少女のように長いまつ毛を少し伏せて、紅い顔で、
水面に浮かぶ糖蜜でコーティングされた頬と、薄い胸板に自分の精子の残滓をひっかけて微笑む様は、
どこか妖精めいた妖しさを兼ね備えていた…。
「―――ねぇ、ビスコ、おねえちゃん…? ごしゅじんさまに、
薬師として…少しだけお話があるんだけど…あとで、いい?」
その内容がただの商談でないことが伺い知れるのは、
抱き合って密着したまま、彼女の下腹部にこしゅ、こしゅ、と、
斜視したてでも勃起する巨根を擦り付けていることから判るか。
今後の、彼女との関わりも含めて、フィナ家と話がしたい…と。
■ビスコ > 「大丈夫ですか。それは良かったです。
男の子をプールに沈めて射精させながら死なせたとあっては、ご主人様にも世間にも顔向けできません」
相手の無事と、脈拍・体温・呼吸が正常であることを確かめられれば、ビスコはそっと身を離す。
そして、2人の間に漂っていた大量の精液塊をこちらへと手繰り寄せる。
まるで乳液でも塗るかのように、その白濁をビスコの腹へ腕へ胸へと擦り込み始めたのだ。
どういう理屈か、タンの精液が飴の肌に塗り込められるごとに、着実に量は減ってきている。
それでもすべてをビスコの体組織に吸収し終えるまでには1分以上を要したが。
「……ん、ビスコのご主人様にお話ですか。ビスコも丁度、ご主人様にタン様を紹介しようと思っていたところです。
フィナ家は他国との貿易、とくにシェンヤンとの交易を取り扱っております。
一応は薬品・薬草の類も扱っておりますので、きっとタン様とは協力関係になれることでしょう」
タンからの面通しの申し出には、はじめて笑みを……それも痴情ではない笑みを作り、小さな会釈まじりで快諾する。
いわゆる営業スマイルというやつだ。ビスコにとって、主人の家の為になることこそが存在意義なのだ。
「……ですが。お話になる前にできればその極太チンポを鎮めていただきたく。
ビスコのご主人様はタン様ほど立派なチンポをお持ちではありませんゆえ。あの方はコンプレックスを抱きがちな殿方なので」
ずれた水着を正しながら、ビスコは仏頂面のままで淡々と、勃起し続けるタンの男性器を揶揄する。
クールで抑揚のない言葉でチンポと連呼する姿は、タンに、あるいは周囲の客にはどう感じられているだろう?
そんな周囲の目を気にする様子も恥じる様子もビスコにはない。
「一度ヌいてあれほど大量にドピュドピュしたのですから、ひとりでに鎮まってくださることを望みますが……。
どうしても鎮まらないのでしたら、もう少しビスコがお相手してあげてもよろしいですよ……ふふ♥」
………タンとビスコが再び肢体を絡めあったのは、フィナ家の主人に会う前か、会った後か。それとも絡めずに済んだか。
どちらにせよ、タンは優秀な技術と物脈を持った薬師である。落ち目のフィナ家とは、良い関係を結べたことだろう。
ご案内:「ル・リエーの水遊場」からビスコさんが去りました。
ご案内:「ル・リエーの水遊場」からタン・フィールさんが去りました。