2019/03/05 のログ
ルキオラ > 「まあ、ギュンター様ならご寛大に許していただけると思っていましたから」

面を上げる。とはいえ相手の言っていることももっともなのでとんだチキンレースである。
女人像はおとなしく元のタイルに戻った。

「後者がメインですけど前者もできますよ。お陰様で。
 今試行してるのは意識の連続性を保ったまま
 鼠を錬金術で複製するやつなんですけど…… ……」

と、研究の進捗を述べる。
例の研究は、低級で小さな生き物から徐々に高度で複雑な生命体……
最終的にはヒトにまで実験をシフトしていかなければならない。
現在は、その階梯の最初の精度を高めていく段階にある。

「まあ、詳しくはあとで報告書にまとめますね」

いつのまにかルキオラサイズの浮き輪を装備して、えいっと
ギュンターの足元のプールの水面に飛び降りてふよふよと浮かぶ。
案外ふつうに遊びに来ただけなのかもしれない。

ギュンター・ホーレルヴァッハ > 「良く言う。私でなくとも、その口は良く回りそうなものだが」

相手の言葉にクスクスと笑みを零すが、次いで研究の話になると表情を真面目なものにして仕事モードへ。

「不老不死もさることながら、魔術や個人の能力に頼らずに生命体を生産するという事には大きな意義がある。錬金術そのものに造詣があるわけではないが、化学において国力を増大させ得る研究と私は認識している。焦る必要は無いが、期待している事は覚えておけ」

報告書でまとめる、と告げた相手に鷹揚に頷くと、その有用性をどう活かそうか早速思考を走らせる。最早休日の意味など無くなりかけた時――

「……このプールは、貴様にとっては大海と同意義の巨大さかと思うが、良く堂々と入れるものだな」

目の前を漂う浮き輪装備の相手を見て、クスリと笑みを零す。
水面につけた足をぱしゃりと跳ねさせて、少し波を起こしてみたり。

ルキオラ > 「あたしはこの国の軍備の増強には興味ないですけど……
 まあ、高く買ってくれるならなんでもやりますよ。
 物量を増やす目的だと、対費用効果高いものに仕上がるかどうかはわかりませんが」

結局仕事の話になってしまった。まあ、もともとビジネスの関係なので仕方ないのだが。

「波の立ってない海なんて怖くないですよ別に。
 ってうわっ、なにすんですかぁ」

起こされた波のあおりを受けてひっくり返りかけ
思わずあわてて少年の足の指先にしがみついてしまう。

ギュンター・ホーレルヴァッハ > 「何、元より今宵は仕事をするなと言われた身故な。こうして戯れるのも、偶には良かろう?」

己の足の指先にしがみつく相手の姿にクツリと笑みを零しつつ、乱暴ではない程度に脚をゆらゆらと揺らす。
己からすれば水面に波が立つか立たないか程度のものではあるが。

「私の足にしがみつくなぞ、市井の者どころかそこいらの貴族にも許されぬ事だ。光栄に思えよ?ルキオラ」

しがみついた相手を揶揄う様な口調と共に、ゆらゆらと足の動きを止める事は無く。

ルキオラ > 「遊ぶのはいいんですけどあたしをおもちゃにするのは……
 ちょ、ちょぉ~~ あっあっ浮き輪が~」

為す術もなく揺らされている。揺さぶられた拍子に、浮き輪はルキオラのもとを離れて遠くの方へ流されてしまう。
趾までもが滑やかに気品のある造りは、確かにめったに触れられるものではないのかもしれない。
ただそれを楽しむゆとりはルキオラにはなさそうであった。

「は、はひーっ……、ゆ、ゆるしてくださいよぉ~」

指間から少年の尊顔を見上げて涙目で慈悲を乞う。
それを見て哀れに思い慈悲を与えるか、より嗜虐心が刺激されるかはわからない。

ギュンター・ホーレルヴァッハ > 「玩具に等しておらぬさ。私が戯れに暇を潰す為の道具だ。光栄に思い、頭を垂れよ」

涙目でしがみつく相手に向けるのは傲慢で高慢な笑み。
しかし、少しずつ足を動かすのを止め、相手を水に落とさぬ様に器用に片足を上げた。

「許すも何も、私は別に怒って等おらぬ。私の余暇を彩る道具であればそれで良い。理解出来るな?」

ゆるりと浮かべた笑みは穏やかではあったが、向けられた瞳には確かに嗜虐の炎と支配する者としての高慢さが浮かんでいる事だろう。

ご案内:「ル・リエーの水遊場」からギュンター・ホーレルヴァッハさんが去りました。
ご案内:「ル・リエーの水遊場」からルキオラさんが去りました。
ご案内:「ル・リエーの水遊場」に空木さんが現れました。
空木 >  ―――帰りたい。
 これを着て、会場でお酒を飲んでいてくれればいいから。
 護衛?? したいならいいけど。
 武器いる? あ、そう。その方が似合ってるかもね。
 などと誘われて、参加してみれば護衛というよりも参加者になっていた。
 細かい内容を聞かずに承諾してしまったのが悪かったといえば悪かったのだ。
 かくして金持ちが催すパーティー会場に白磁の肌を黒水着で彩った美女が一人つまらなそうに酒を飲んで壁に寄りかかっている光景が完成してしまった。
 水着というのに武器を身にまとい、目を閉じた人物。
 声をかけようか迷う男をよそに、また一杯のワインを飲み干した。

「はあ」

 次からは内容を聞いてから依頼を受けよう。
 酒が切れた。係員がどちらにいたかを、ぼんやりと頭の中に思い浮かべる。

空木 >  いつからいつまでいないといけない、という制約はなかった。
 つまりそのときの気分で帰るかを決めていいことになるが、憂さ晴らしに酒くらい飲んでもよかろう。
 一に剣、二に強者が来る女の第三は酒だった。
 目の使えぬ女だが、音さえ分かれば道は分かる。乱舞する男女の波を大きく迂回していくと、酒を配っている地点へと直行する。

「酒」

 単語を係員に吐き出して、かわりに酒を受け取る。
 芳醇な香り。声をかけてこいなどと誰かが誰かをけしかける声を無視して、元通りの場所へとトンボ帰り。
 壁に寄りかかり酒を飲む。黙々と飲んで空にする。
 金は受け取っているし、酒は飲んだ。会場にいるのは一般人ばかりで、興味をそそる“におい”はしなかった。
 帰ろうか。酒の器を地面壁際に置くと、すらりと長い足を折りたたんで座る。

ご案内:「ル・リエーの水遊場」にエズラさんが現れました。
エズラ > しばらく戦場を離れ、街で暮らしていた男。
そういう時、どうやって糊口をしのぐのかといえば――早い話、「ねんでも」やる。
娼館の用心棒もやるし、港湾労働者に混じることもある――そして、金持ちの開くパーティーの警備も。
水遊場では、きらびやかな水着を纏った男女が、水の中で、あるいは周囲に設けられたテーブルで、それぞれの時間を楽しんでいる。
一方、男の方はといえば、厳めしい警備服に身を包み、会場の隅に直立不動――パーティーに参加することはできない。
しかし、その顔は――

「――ムッフッフ」

――思いの外、楽しげであった。
視線は女から女、そしてまた女へと――水着姿を次から次へと眺めているのである。
と、その時――

「……ん、おおっ?」

ふと、何気なく視界の端に映った女。
麦わら帽子を被っていて、遠目では顔がよく見えなかったが――
その腰に吊られた得物と――何より、その腰つきと肢体に見覚えがあったのである。
すすす、と参加者の邪魔にならぬよう彼女の側まで歩み寄る――何か考えでもあるのか、その足取りは極めて静かなもの。
自分の知る女であるのなら――人混みの中、或いはこちらの存在を察知するであろうか――?

空木 >  酒を楽しむのもいいが、ここは男か、女か、誰か楽しめそうなものがいればいいのだが。
 しかし松明や魔術によって装飾された光の中で思い思いの時間を楽しんでいるものの中には、女にとって御眼鏡に適うものは一人たりともいなかった。
 目は見えぬが、音と、気配と、匂いならわかる。
 はあ、とため息を吐いて顔をぱたぱたと手で煽る。少し呑みすぎてしまった。

「はぁ~………そろそろ、抜け出してしまっても……」

 一同は大いに楽しんでいた。女は確かにこの辺りでは珍しい黒い髪に小さい角という目立つ容姿だが、人が多すぎて紛れてしまっている。
 こっそり抜け出してもばれないだろうし、何よりいればいいなどと適当なことを言われただけだ。
 酔いすぎているせいか、注意が散漫になっていたらしい。
 少なからず夜を重ねた男がじりじりと接近しつつあることを聞き逃した。
 ほろ酔い加減で一歩を踏み出し、すぐ前を通りかかった係員をかわそうとしてふらついた。
 結果としてその男の胸元目掛けて寄りかかることになり、ぽろりと麦藁帽子が落ちて相貌露になった。

「これは申し訳……………………エズラ様?」

 長い沈黙の後、女が問いかけた。

エズラ > 僅かに笑みを浮かべつつ、そろりそろりと彼女の刃圏に向かって歩みを進める。
しかし、意外にこちらの様子に気付く風でもない――
はて、と思った矢先、遂に彼女の方から己が胸の内へと。

「おおっと……――ムフ、やっぱり空木だったか」

相手の身体をしかと受け止め、ついでにはらりと落ちた麦わら帽子もキャッチしている。
漂う酒気に、彼女の反応が遅れた理由を知る――

「水着姿に長物ってのも、妙な艶っぽさがあるもんだな――仕事か?」

女用心棒に水着を着せるとは、ここの主催者もなかなか乙な趣味をしていやがるぜ――などと、愚にもつかぬことを呟いて。

「男はこんな窮屈な格好させられてるってのによう――」

男の姿は、見えねどその感触で、それなりに仕立ての良い生地と分かるであろう。

空木 >  つまらな過ぎて酒を飲みすぎたらしい。
 しらふなら接近を許すことなどなかったというのに。
 ぽふんと埋もれたのは、よく知る男の胸元。声と匂いがあればわかる。該当する人物の名を呼んだ。

「まあ、そんなところでございます。仕事というのか、はて、わたくしにも分からなくなっておりましたが」

 女は男の手から麦藁帽子をさっと受け取ると、紐を首に通して背中側に回した。

「仕事ではなく参加者としてならばよかったのでは? もっとも、払えるだけの額をお持ちではありませんでしょうがね」

 赤ら顔ではあと吐息を男の胸元に吐きかけると、その服装をぺたぺたと触り始める。
 なるほど、参加者でも主催者でもない。警備か運営員といったところだろう。

「このような場末で出会うとは、こういうのを腐れ縁と言うのでしょうかね」

 程よく酒が回り、頬は上気し、呼吸は荒い。
 女は男の胸元に寄りかかると、すうすうと匂いをかいだ。

エズラ > 「いやまったく、返す言葉もありゃしねぇ――まぁ金があろうと、オレのようなごろつきじゃな」

くっくっ、と言葉の割に楽しそうに笑う。
それにしても、思わぬ場所で会ったもの――相手の身体を抱き留めていた腕が、ごく自然に腰に回される。

「――どうやら、少しばかり足元がおぼつかないご様子――「お客様」、お休みできる場所にご案内致しましょうか――?」

こちらをそれとなく窺う者達も居る中、男が芝居がかった口調でそう告げる。
問うているようでいて、既にその足取りは会場外へと彼女を誘導するように歩み始めているのであるが――

空木 > 「―――っ、く、くく………あぁ、全く、芝居というものを学んだ方がいいのでは?」

 腰に回される手。女は喉の奥で詰まらせた声で笑うと、その手に導かれるままについていく。

「………そのように期待された顔をしても、何かするでもありませんが?」

 男とは相反する態度。演技かかったことはやらぬといいつつも、喧騒から抜けてどこかへと消えていく。

ご案内:「ル・リエーの水遊場」からエズラさんが去りました。
ご案内:「ル・リエーの水遊場」から空木さんが去りました。