2018/03/12 のログ
セレナ > 蹲って、声も無く悶絶する青年の姿を眺めてどう声をかけた物かと困り顔になり。
おろおろと、狼狽えて目線が定まらない。

「いえ、こちらは特に何ともありませんが……大丈夫です?」

ジュースが零れはしたものの、濡れても困らない水着姿。特に被害らしい被害が出たとは言えず。
むしろ、相手の方が悶えっぷりからしてよほど痛い目に遭ったのではと気遣い、心配そうな目を向け。

「迷惑と言うほどのこともありせんから、お気になさらずに。むしろ、そちらが怪我とかしてそうですよ」

申し訳なさそうな態度を取られても、むしろそちらが大丈夫かと問いかけたい。そんな内面が浮き出た憂い顔で、相手の顔を見つめて本当に大丈夫ですかと、首を傾げ。
こちらは大丈夫ですから、お気遣いなくと遠慮するように小さく手を振る。

ルシアン > 「……情けないところを見せたみたいだ。本当にすまない…僕の方は、大丈夫」

痛みもだいぶ引いてきた。そうすると、初対面の相手に見せた失態の方が際立ってくる。
若干、赤面しそうになりつつ大丈夫か、という言葉に首を縦に。
次いで、荷物からは乾いたタオルを取り出して。

「ん…血も出てないし、こんなのは放っておけばいい。それより、そっち。
良かったら、これを。放っておくとべたべたするだろうし」

少女へと差し出す。まだ使った気配もなく清潔な物。自分より、相手を気遣う性分らしく。
あはは、と困ったように苦笑いを返してみる。痛みの方も随分引いてきたし、これならせいぜい青あざが残る程度か。

「それ、あっちで売っている飲み物だよね?良ければ弁償させてほしい。ぶつかったこっちが悪いし…」
すまなさそうに、ぺこんと頭を下げて。

セレナ > 「ええっと、その……ありがとうございます」

差し出されたタオルを手に取り、肌を濡らすジュースを拭き取る。
血が流れた様子は無いが、目の前で演じられた悶えっぷりからすると相当に痛かったのではとそんな思いを胸に抱きつつ、本人が大丈夫と言っているのだからあまりしつこくするのも失礼かと、気づかわしげにちらちらとぶつけた箇所へと目線をやりつつも、拭き取ったタオルを返し。

「はい、そこの売店で買いましたが。
 んー……。それでは、ご馳走になります」

いちいち弁償されるほどのものでもないのですがと、頭を下げられて困ったように眉根が寄り。
それで、相手の気が済むのならと迷った様子で言葉に迷ってから、小さく頷いて受け入れる。

ルシアン > 少女の返事を聞けば、一度頷くと立ち上がって、いったん売店の方へ。
軽くびっこを引いてしまっているけどその辺は仕方がない。
少しの後、少女の持っていた飲み物と同じものを手に、戻ってきて。

「はい、これを。…改めてすまなかった。その…こういう所は初めてで、物珍しかった、というか…」

飲み物を差し出しつつ、気まずそうな顔で。
不注意と、所謂お上りさん的な自分の行動が気恥ずかしく。それでも迷惑をかけた相手だし、と正直に告げる。
―――もう一つは、改めて見た少女の姿。自分より少し年は下だろうか。
綺麗な子だな、などと月並みな感想。身に着けている水着から覗く素肌も、あまり注視しないよう気を付けているようで。

「きみは…こういう所にはよく来ているの?」
足の痛みもまだ少しあり、同じベンチの少し離れた場所へ腰を下ろしつつ、そんな興味本位の質問も。

セレナ > 「ありがとうございます。
 あぁ、それはわかります。わたしも、ここは初めてですけど色々とあり過ぎて一日で全部巡るのは無理そうなくらい広いですよね」

差し出されたカップを受け取り、向けられる視線を意識することなく無防備に淡く微笑み、相手の言葉に同意の頷きを返す。
ここに来たのは興が初めてで一緒ですね、と。
この付近は娯楽施設の趣きも強く、遊んで楽しいプールが揃っているが上に登れば高級指向。下に、それも地下にまで下がればいかがわしくも危険な魅力を放つ場所となる様子。
一日で全てを譚の擦るのは無理な広さですよねと、物珍しさに同意し。よく来るもなにも、今日が初めてですよと。

ルシアン > 「そっか…確かにね。どこから見ていいか、すごく迷う。かといってずっと水に漬かっててもふやけちゃいそうで…」

あはは、とやっと楽しそうに笑って見せた。これだけの広さの施設は、周りの地域を見ても珍しいはず。
勿論、平和な場所だけでない事も知っている。そういう所には、あまり近づきになりたくないけれど。
自分と同じく始めて、という少女には、へぇ、と相槌を入れてみて。

「まだ寒い日もあるってのに、こんな格好で水遊びができるなんてね。あっちには大きな風呂みたいなものもあるっていうし。
いろんな人たちが来るのも分かる気がする。面白い場所だね?」

この子も、そういう楽しさ目当てだろうか。くすくす明るく笑って見せる。
・・・時々、ズキっと先ほど打った場所が痛んだり。少し、表情を曇らせてしまったりもするのだけど。

セレナ > 「ええ。お風呂みたいに、温かいプールもあるみたいですし。ふやけるくらいに、のんびりと浸かってみるのもいいかもですよ。
 本当に迷子になりそうなくらい、広くて色々ありますよね」

ここまで色々と充実している巨大施設は珍しい。
少なくとも、王国内にはこれ以上は当然として、ここに並ぶような所自体がいくつあることか。
一日で回りきれそうにないので、何度か来るつもりですと物珍しさと面白さに同意し。

「それで、本当に大丈夫なのですか? 後で、きちんと手当てするなりした方がよさそうですね。
 ここの物珍しさには同意しますけそ、もう少し周囲を見たほうがいいですよ」

時折、痛みに耐えている様子が表情に出ているようなと愉し気な声を一転させて、相手の様子を窺い。
急いでどうにか、というほどのダメージを受けている様子は無いが、そのまま放置して大丈夫なのかと心配になる程度にはダメージを受けているように見えて、気遣い。

ルシアン > 「まあね…でも、迷子にはあんまりなりたくないかな。…あまり、良い噂を聞かない所もあるし。まあ、この辺りは…そういう所、ばかりではあるんだけど」

広くて面白い、そんな言葉にうなずきながら。それでも不穏なうわさも聞くし、恐らくこの少女も知ってるだろうそんな事も口に出す。
下手な所に迷い込んだら、自分は兎も角こんな子であれば格好の餌食だろう――そんな、不埒な発想は軽く頭を振ってすぐ振り払って。

「え?……あー…まあ、ね。情けないけど、割と痛いかも。…ぅ…ん、気を付ける事にする」

今まで何とか隠そうとしていたのだけど、どうにも気遣われてしまっていると分かれば気まずげに、肯定するよう頷いて。
情けないやら、恥ずかしいやら。少女の指摘もご尤も。軽く赤面してしまったり。

――ふと、そんな風に様子を伺われ、少しだけ近づいた少女へ不思議そうな視線を向ける。
小さく鼻を動かし、何事か気づいたのか――眼をパチパチと瞬きして。

「……君は…いや、でも…?」

思わずというように漏れた声。もしも察した通りであるなら、そんな存在が、この場所に居るのは少し不思議で。
とは言え、少女からはそれ以上の何かを感じ取ることもない。何より自分を心配してくれている様子に、他意を感じる事も無くて。
すぐに表情をまた穏やかにして、立ち上がって。

「ええと…僕はルシアンと言う。お名前、聞いても良いかな…?
 待たせてる人達が居るから、そろそろ行かないといけないけど…もし良かったら、また会えないかな。勿論、そっちが良ければ、なのだけど…」

セレナ > 「基本的に上に行くほど、お金のある人を想定した構造になってるみたいですね。
 危なさそうなのは、地下にあるっぽいですけど……」

王族や貴族を始めとして、権力を握っている者に目をつけれられたどこにいても危険と思えるのはこの国が末期的な所と言葉を濁す。
よほどの相手でない限り、少なくとも逃げを打つ事くらいはできるだろうとは思って危機感も少なく、他人事のように感じてはいるが。

「……?」

こちらの心配に、気まずげに赤面する反応を見せる相手にくすりと笑い。
何か気づいたような、妙な様子に不思議そうに首を傾げ。なにか、自分の格好は変なのだろうかと軽く自分の様子を確認するが異常は無さそう。
別に水着がどうこうとかそんな様子もなさそうですし、変なものが着いたりしている感じも無い。
何なのだろうかと、きょとんとして相手の顔を見つめ。

「ええ、わたしの名前はセレナと申します。
 機会が合えば、また会うのは別にかまいませんよ」

これがナンパというやつですかと、ほのぼのしつつ訊かれたからとばかりに素直に名前を教える。

ルシアン > 「セレナ、だね。出会いに感謝を。…その、情けないところを見せちゃったことは、忘れてくれると嬉しい」

名前を教えて貰えば嬉しそうに。その後、気恥ずかしそうに頬を指先で掻いたりしつつ。
――気づいたのは彼女の気配の事。記憶違いでなければ、「流れる水に入る」のは難しい種族ではなかったか。
勿論記憶違いかもしれないし、それを苦にしないような者なのかもしれないけれど、とりあえず目の前の少女に対してそれでどうなるという事もない。
そのくらい、穏やかな雰囲気と心配してくれた気遣いを有り難く感じて。

「ありがとう。それじゃあ僕はこれで…どうか良い夜を、セレナ」

そろそろ子どもたちや連れが心配するはず。其方へと戻ろうと、少女に軽く手を振って。
――世間一般ではナンパと呼ばれるんだろう行為だと自覚もないらしい。
ただ、またの出会いを願いつつ、その場を後にして行った。

ご案内:「ル・リエーの水遊場」からルシアンさんが去りました。
セレナ > 「ちょっと印象深いので、忘れるには努力が必要そうですけど」

気恥ずかしそうに頬を掻く仕草に、くすくすと笑い。
楽しそうに笑みを浮かべながら、努力しますと頷きをひとつ。
相手が気づいたという事に、気づいた様子の無いのんびりとした雰囲気のまま。

「はい、そちらこそ。良い夜を」

軽く手を振り、去りゆく後姿を見送る。
そして、せっかくだからと貰ったジュースをゆっくりと味わい。
そうして、ひと時の休憩を終えてまたこの巨大施設を楽しみに戻り。

ご案内:「ル・リエーの水遊場」からセレナさんが去りました。