2018/01/17 のログ
■クウ > 「そう。それだと助かる」
こんな場所で追いかけっこをしたくなかっただけに安堵の息を吐き。
あまり目立つと言う事が好きではないので本当に助かったという様子で。
「傭兵…?私の国の合戦にも……凄く物好き。
あれは斬る武器だから、こっちの武器は叩き潰すが近いから」
使い方と作り方があちらとこちらでは違うと本当にシンプルに説明し。
状態や品質の良し悪しはあるが母国の武器がこちらでは珍しいと言う事にはやはり驚きがあり。
「刀もだけど……お酒?」
男性がとりだしたものを見れば首を傾げ。
「うん……私の国の周辺のお酒」
渡されようとするグラスを受け取ればどうしようと困った顔。
お酒は得意ではない、だけど断るのもと考えて。
■フォーク > 「あんたを前にして言うのもなんだが奇妙な国だったぜ。戦闘技術に精神性を重視していたりな。シンギタイっていうんだろ?」
男が東洋の戦士相手に一番馴染めなかったのはそこだった。
剣術にも弓術にもにココロというあやふやなものを持ち込んでいる。
どちらにせよ殺すだけなのだから、単純に力と技のみでいいのではないか、と男は思っている。
「東洋の剣を土産に一つ手に入れて帰ったんだが、金に困って手放してしまった。
割といい剣だったから、意外とどっかのお屋敷で飾られてるかもしれねえな」
と、男は強がりの混じった笑い声を出すのである。
「王都の東洋かぶれした酒場の店主が作った奴だ。俺はうまいと思うが、あんたはどう思う?」
一つ味を見て欲しいと言っているのである。
■クウ > 「……そうかもしれない。でも肉体だけじゃなくて精神も鍛えるって教えだから」
ただ剣や弓がうまいだけでなく心も育てないといけないという教え。
力や技だけではただの乱暴者と変わらないと首を振り。
「手に入れた?外国人には……売らないと思う…。
ん、こっちだと凄いみたい。ナマクラでも凄く高く売ってるから」
国では二束三文にもならないようなものでも高価な時は驚いたと答え。
その手放したという刀の行方が少しだけ気になって。
「こっちで作ったの…?お酒…苦手」
本当は苦手だから断りたい。
でもこっちで作られたと聞くとどうなのかと少しだけ気になり。
一口だけと口をつけ…頬に赤みが差していき、この味は似ていないと首を左右に振る。
■フォーク > 「ご立派だねえ。おサブライさんは……ん、おサモライだったかな?」
サムライと言いたいようだ。
「そこはな、蛇の道はスネークよ。戦が終わった後に戦場にいけば剣はゴロゴロしてらあ。
ま、その剣も持ち主には無断で貰ったようなものだがね」
カタナは戦場で拾った。死人には必要のないものだったからだ。
戦場で死人から装備品をかっぱぐのは傭兵の特権みたいなものだった。
「そうかい。本場のあんたが言うんだからちょいと違うんだろうな。
俺は美味いと思うんだが……」
別のグラスに酒を注いで舐めるように飲む。味がこなれていない所が癖になる味だった。
■クウ > 「サムライ、サモライじゃない」
そうじゃないと首を振り、ちゃんとした言葉で訂正して。
「……普通は遺族に渡すものだから…判るならだけど。
勝手に持ち出すのは泥棒…」
それで国外でも見るのかと少し間違った理解をしてしまい。
ちゃんとした手順で持ち出された刀もそうなのだと勘違いして。
「うん、違う……国のはもっと辛め……これは甘い」
もういらないという様に一口だけ口を付けたグラスを置いて。
■フォーク > 「そう、サムライ!」
男がポン、と手を鳴らした。
どうも東洋の言葉は細かくて、大雑把な性格の男には馴染めないのである。
「へへ、泥棒っていうけどね。カラスはちゃんと雇い主のご領主様からのお許しがあるんだぜ」
鴉が死体を啄むように、死体から武器や防具を奪うことから死体漁りを傭兵用語で『カラス』と呼ぶ。
「そういえば俺たちがカラスしてた時に土地の農民が『テングだ』と叫んで逃げたけど、テングってなんだい?」
男は天狗が東洋のモンスターであることを知らない。
しかし赤ら顔で鼻が大きい男たちが鴉のように死体を漁る様を見て、
土地の者が鴉天狗が死体を食っていると勘違いしてもおかしくはないだろう。
ちなみに契約後も東洋に残った一部の傭兵たちは集団を組み『ヤタガラス』と呼ばれる傭兵組織を作っているそうである。
「辛いのか……じゃ、店主にそう言っておくぜ。あ、店の名前は『ミソショーユ』ってんだ。気が向いたら顔だしてやってくれ」
と、女が残した酒をもったいなさそうに飲むのである。
■クウ > 「こっちでいう……キシみたいなの」
そんなに難しいかな、とこちらの言葉の方が難しいと思い考えてしまい。
「片方から許可は出ても……もう片方、相手の方から取るのは泥棒。
雇い主の方からなら…いいと思う」
戦後の武具や死体回収の一つなのだろうと考え。
そういうのも大体は自軍の武具を集めるのが多いので取っちゃ駄目という風に。
「テングは魔物。大きくて鼻が高いの。きっと間違われた」
こちらの人間はそろって大きく鼻が高い。
なのできっと見間違えたのだろうと説明をして。
もしかしてテングって外国人なのでは?とふと考えてしまい。
「変な名前……憶えてたら行ってみる。
私……そろそろ行くね」
残した酒を飲む男性を見て小さく告げて腰を上げ。
お酒のせいで少しふらふらとするが帰るには大丈夫だろう。
今のうちに宿に戻っておこうと考えて。
■フォーク > 「異文化ってのは、なかなか馴染めねえもんさ。それに騎士道精神は俺みたいな傭兵とは水と油だしな……」
異国の文化を理解するには、現地で恋人を作るのがいいとされてはいるが、
戦働きと巡業で忙しい傭兵には一夜の相手には困らないが継続した恋人を求めるのは至難の業だった。
「そうかい。じゃ、このことはシーな。シー」
と、男は人差し指で自分の唇を抑える。
ふとシーのジェスチャーはどこの国でも一緒なことを思い出した。
「こんないい男を捕まえて魔物かい。よっぽどテングってのはイケてるんだろうねえ!」
不貞腐れたように、男が唇を尖らす。
そしてちょっとだけ笑った。自分を天狗と勘違いして逃げた農民の顔を思い出したからだ。
「ああ、少し店主に東洋のことを教えてやってくんな。コメの酒で炊いたコメが東洋の主食とか絶対ウソだろ?」
女がいくというなら、男は手を振って見送る。
そしてコメを醸造した酒を浴びるように飲んで、眠ってしまうのであった。
ご案内:「ル・リエーの水遊場」からクウさんが去りました。
ご案内:「ル・リエーの水遊場」からフォークさんが去りました。