2023/07/07 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にオウルさんが現れました。
オウル > 「お貴族様が求めるようなお店は有りません!
 有りませんってば、ウソじゃなくて、そんなお店は無いんだって……。」

貧民地区にある平民地区との境界線。
具体的に線が引いてあるわけではないだろうが、これ以上先は少年が声を張り上げている通り治安ゼロの危険地帯となっているのは間違いない。

少年はそんな危険な路地に迷い込んできた貴族っぽい身なりの若い男を平民地区の大通りまで案内してから直ぐまた先ほどの立ち位置に小走りで戻ってくる。

「……あーもう、興味本位で来るんじゃねぇよ……面倒くせぇー………。」

今夜引き受けた仕事は貧民地区に間違って入り込んでくる平民地区の住人を追い返す仕事である。

なんでこんな仕事を引き受けたかと言うとある種の点数稼ぎでもあるのだが、全うな方面の知り合いを増やす為であり、此処最近なんだかラジエル学院の生徒が迷い込んでくる事が増えているという噂で、その辺りでも生徒や教員につてが欲しいなという下心がある。

噂によると一部の施設に媚薬が放り込まれたとか?
――…うん、まだうちのギルド『は』やっていない。
ただ水は回収してこいとは言われているんだが、さてはて。

あとはシスターさんとか、炊き出しのボランティアをしてくれる人間を安全に案内する仕事も仰せつかっているのだが、まあこんな所に好き好んでくる奴なんざいないよな?と欠伸をかみ締めながら、近くにある路地の壁に背を預けながら、腕を組み交代の時間になるまでのんびり過ごす事にする。

ちなみに酔っ払いや暴れている人間を鎮圧するとボーナスが、富裕地区のお嬢様なんてレアを無事外へと案内するとこれまたボーナスがあるらしい。

そんなこと滅多にないけどなー!

オウル > ――話し相手もいない、迷子もこない、仕事が無い。
そうしていると口寂しくなって、ズボンのポケットに手を入れると事前にいくつか購入しておいた棒つきの飴を1本だけ取りだすと、味も確かめずに包み紙をあけて飴を口に入れる。

最初は甘いだけだが次第に果実のフレーバーが出てくるのだが、それを味わうよりも先に包み紙をくしゃくしゃにしてポケットにしまいこむと、早く表層の甘いだけの部分が溶けないかなと口の中で飴を転がすのだった。

傍から見れば少年が煙草でも咥えているように見えるかもしれないが、これは立派な飴であり、何ならねだれば1本くらいわけてくれるだろう。

「………に、しても……暇が過ぎる。」

飴を舌で軽く押えて器用に独り言を呟くと、どうしたもんかねぇ……と愚痴りながら両手の指同士を絡めて内から外へと腕を伸ばすようにしてポキポキと手の指を鳴らし、何事も発生しない暇な時間をだらだらと過ごすのだった。

体感的にはもう帰ってもいい時間だろう。
交代要員もくる気配もないし、冒険者ギルドに立ち寄ってから帰る事にする。


まあまあ貧民地区の界隈を知っている人間でこの仕事を選ぶ人間が少なかったようで、次回も頼まれたが……適当に愛想笑いしてごまかした。
こうして少年の1日は終わる少々のゴルドと共に。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からオウルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にラッツィオさんが現れました。
ラッツィオ > 男のくり出した拳は対戦相手の顎へ突き刺さり、対峙していた銅像のような巨漢は膝から崩れ落ちた。
ひとつ大きく息をつくと、拳を高々と突き上げて勝利宣言をする。
篝火に照らされた仄暗いリングの周囲を囲んでいた観客から、吠えるような歓声が上がった。

貧民地区のとある酒場、その地下は拳闘賭博会場となっていた。
腕っぷし自慢の荒れくれ者が集まり、生身の拳で殴り合う。
全ての試合が賭けの対象であり、一晩でいくらの金が飛び交っているのか、一介の参加者では想像もできなかった。
男がこの拳闘賭博に参加するようになったのも、趣味と収入を兼ねてのことであり。

拳闘は夜が明けるまで続くが、男の出番はこの試合で終わりだった。
口元についた血を腕で拭いながら、控室へと戻っていく。
肌には湯気が上がりそうなほど汗をかいており、控室の木製の椅子へ腰掛けて、まずは一息をついた。

「ふゥ――……。4勝2敗、今夜の儲けはまずまずってところか……」

ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からラッツィオさんが去りました。