2022/12/02 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にエレイさんが現れました。
■エレイ > ──ある日の夜。
男は人気の少ない夜道を、傍らにいる女性に肩を貸しながらえっちらおっちらと歩いていた。
傍らの女性はだいぶ酒に酔っているようで、殆ど男にぶら下がるようにしながら千鳥足でなんとか歩を進めている。
「……こう激しく酔っ払ってしまってはもつわけもない。とりあえずここに入って休もうず」
ちらりと女性を横目に見遣り、その酔い具合を見て苦笑を漏らす男。
度を越して飲みまくったのか、あるいは極端にアルコールに弱かったのか、それとも何か他の要因か──それはまあさておき。
男は安宿の前で一度足を止めると女性にそう提案し、返事を待たずにその中へと入り込んでいって。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からエレイさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にティアフェルさんが現れました。
■ティアフェル > ――普段余りしない化粧を施し、いつも結っている髪も下ろして、不慣れなドレスを着こんで歩きづらいピンヒールを履き、賑わう夜の街頭に立つ女。
一見すると客待ちの新人娼婦のよう。落ち着かない様子で目線を漂わせ、時折声を掛けてくる者がいれば首を振ってすげなく距離を取る。
初めて街に出て客を取る娼婦が、金額や相手を慎重に選んでいるようにも見えるが――……。
実際はというと、そんな艶っぽい事情ではなく。近くに人がいなくなると、大きく息を吐き出して姿勢を崩して傍の建物の壁に寄りかかり、
「はぁぁ……寒い、ドレスさっむ。この時期つっら。……くぅ……ヒールが……痛い……娼婦大変過ぎっしょ……日頃お疲れ様っす……ッ」
偽娼婦はつくづく街角で客を取る娼婦たちの苦労が身に染みて分かって靴擦れが出来た右足のピンヒールの踵をずらし半分脱いで、寒々と肩を抱いた。
普段とは余りにも違う出で立ち。そして娼婦の真似事。何事かというと、ギルドに入った依頼のせい。
最近この界隈で、娼婦に相手をさせておいて支払いを踏み倒していくという、不届きすぎるヤリ逃げ野郎が出たので至急ふん捕まえて欲しいという依頼が出たのだ。
そして、生贄――もとい、囮として一人の女性冒険者が娼婦の振りをして街頭に立ち、目当てのヤリ逃げが引っ掛かれば、もう一人近くで待機させてある冒険者と一緒に捕らえるという、ありふれた作戦で今夜打って出ている。
今は一時人波が途絶えてこちらに注目する人間もいなさそうなので、近くの物陰でこちらの様子を窺いながら控えている筈の、今夜の相棒の姿を探して視線を向かわせ、アイコンタクトを取ろうと。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にタツミさんが現れました。
■タツミ > 視線を送られて、小さく頷いて返す。
物陰に隠れているのは、ガタイの良い少年、普段持っている真っ白な根は今日は持たずに。
黒い髪に、黒いコートで音を立てない様に立っていると、思ったほど目立たない、筈で。
「しかし、この依頼……ティアフェルさん向け、じゃない気もするんですけど…靴擦れとかしてませんか?」
物陰から、小さく少女へ声を掛ける。
何度か一緒に行動していて、魅力的なのは知っているが、娼婦役は性格的にいけるのか、とそんな疑問が。
武装らしい武装を持ってないのは、犯人と相対した時に油断させるためと…長い根は街中で振り回すのに向かないからと、そんな理由で。
先ほどから少女に声をかけてくる相手を観察しているが、普通に娼婦を買いに来ている人らしく。
断りを入れれば、立ち去っていくので目的の相手ではないのだろう。
「犯人が変装とかでもしてないなら、特徴も判ってますし、もう少し頑張ってください」
物陰から、小声でそう伝えて、気配自体は抑えて…視線は、痛そうにしている足や、化粧をした顔に忙しく動いて。
普段見ない恰好だから、娼婦としての化粧や、雰囲気をだしているからか、油断するとドレスに包まれた体の方に視線が行きそうではあるのだが。
■ティアフェル > 自分にはちらり、と視線を流せば見える範囲。
けれど周囲からは影になっていて、暗い路地と黒い衣服も相俟って存在をほとんど認知されない箇所で待機している少年と目配せしては。
「……足……超いた~い……これで走ったら五歩あたりでわたしはコケる……」
ぽそぽそ。と彼にしか聞こえないように潜めた小さな小さな声で返答しこっそりと眉をしかめて、すでに表皮が薄く捲れて赤くなっている踵に辟易しきった様子。
――まったく、微塵も、欠片も、芥子粒ほども、このヒーラーはこんな依頼には向いていない。
そもそも娼婦らしさをどうやっても醸し出せてないし、素人以上にど素人の上。色気がクソない。
故に、声をかけてくる連中も買おう、と思ったというか。『なにしてんの? 仮装?』みたいな感じで揶揄いがちなのも多分に含まれている哀しい現状。
「おけおけ……が、がん、ば……ふ、ふ、ふえっくしゅ…っ!」
励ましの小声に同じく小さな声でひそひそ応じていたが、吹き付ける北風に冷やされて堪らずに肩を震わせ、大きくくしゃみ。
ぶるっと身震いしながら、くしゃみを連発して、さぁむぅい~と鳥肌を立ててその場で踏み足しているのだから。
………一層台無しな感じに。より残念な感じに。
ハンカチで鼻を抑えながら。涙目で。
「わたし、もうアカン気がしてきた……」
弱音を吐いていたその時、暗がりの向こうからまた男がひとり。
娼婦を漁っているのか、それともただの通行人か。極自然に「寒そうだなぁ、姉ちゃん」そう声をかけてくる。
■タツミ > 少女の言葉に、慣れない恰好であり、足元もヒールになれてないのが思い切り見てとれる程の立ち姿に、声を出さず苦笑して。
「終わったら自分で治癒するか、薬草かポーション使いましょうね」
痛がる様子に心配そうに何度か頷いて、そんな事を提案する。
普段見る姿が元気で、活発な姿なので、娼婦風の恰好で(足元が)心細そうにしている姿はある意味で新鮮ではあるのだが。
そうして、小声で声を交わしていて、大きなくしゃみをするのをみて。
「…後で温まる物も食べる方が良さそうですね、術使うと…温度差が違和感になりそうですし」
その様子に、自分の使える術の中に周りを温める術もあるのだが。
今の状況で使うと寒い中、少女の周りだけが変に暖かいというおかしな感じになるので、控えつつ。
音を上げる言葉を聞いて、物陰で苦笑していると、声を掛けてくる誰かに気づき。
声を抑え、その相手の人相や体格を確認して。
何度かあった声掛けの時のように、いつでも動けるように体の力を抜くと、完全に物陰に姿を隠す。
少女からの合図があれば、一気に飛び出せるようにと、心がけながら。
息はゆっくりと、音を立てない様に寒い夜風に消える様に、注意しながら。
■※ダイス判定 > 【声をかけて来た男:ダイス奇数で犯人、偶数で通行人】
■NPC > 【判定ダイス] [1d6→1=1]
■ティアフェル > 娼婦のお姉さん、よくこんなカッコで街頭に立てるもんだ。ご立派。
そしてよくこんな足に悪いことしかない履物がこの世に存在しくさっているもんだ!
そう、呪わしくさえ思いながら頼りなく覚束ないピンヒールを睨む。
「んぅー……早く出て来てくれないと足が、足が……」
もう出てこないなら来ないで撤退したいが、まだまだ、張り込みは序の口の段階。
早々と音を上げてしまいながらも堪え。大声で『もー無理!』と喚いて帰ってしまわないのは、今日組んだ少年がいるからで。
彼に迷惑をかける訳にも。それはいくらなんでもと辛うじて踏みとどまっている現状。
「今、ぬくもりが欲しい……スープとココアと春風が恋しい……冬が憎い……」
ぶるぶると震えながら身を縮ませて落ち着かなげに踏み足している女は……娼婦っぽさがまた目減り中。
術で暖気を纏うという手は犯人を遠ざけてしまいそうで使えないのは重々承知しているから耐えているが。
風邪ひく…と鼻を抑えて震えあがっていたさなかに。
気さくな様子で声をかけてきた、中年男性。物陰に潜む少年に劣らず体格は良く、またならず者と云った風体。着崩した衣服に、深く反り込んだ灰銀の短髪、こめかみに傷痕のあるそれは――依頼書で確認した件の料金踏み倒し男と一致した。
思わず物陰の少年を振り向いてしまいそうになるのを抑えながら、ひとまず、近づいてきたその灰銀髪男に、にっこりと愛想笑いを浮かべながらまずは油断を誘おうと。「ほんと、寒いわねぇ、あったまりたいな」などと、甘えた声を出しココイチでどうにか及第点な娼婦演技に努めた。
■タツミ > 少女の苦労はなんとなく、落ち着かない足元から感じ。
苦悩などは、流石に気づけずに、それでも苦笑を零して。
「少ししたら何処かで休憩しますか、動けないと何かあった時困りそうです」
立っているだけでも痛む様子の足を見て、張り込みの予定時間がまだある事も考えれば、余り負担かけ続けるのも不味いかと考えて。
酷くなる前に休憩か、対処をした方がと、小声で告げて。
「寒いのは僕も苦手なんで、その気持ちは判ります…終わったら沢山、奢りますから、頑張ってください」
流石に、温かいスープやココアを持っていくわけにもいかず。
術も使えず、今は声を掛けて、気を強く持ってもらうしかなく。
そうしていながら、次に声をかけてきた男性をみて…っ、と息をのむ。
体格の良さに、髪色、傷痕の場所などその姿は、依頼書で確認した特徴を持った男性。
その男性を少女が気を引いているのをみて、少女と動きを合わせるために腰を落として。
何かあれば、直ぐに飛び出せるように構えて。
■※ダイス判定 > 【奇数:確保、偶数:逃げられる 互いに1dxで判定しどちらか確保で成功とする】
■NPC > 【確保:判定ダイス】 [1d7→3=3]
■NPC > 【確保:判定ダイス】 [1d6→3=3]
■ティアフェル > 寒い上に足が痛い。踵がずる剥けで薄着で冬場。
苦行過ぎる依頼。これぞ割に合わない依頼。でも受ける。
踏み倒し野郎がムカつきすぎるから。
ここまでじゃないだろうが、大変な思いをして路上に立ち客を取り日々の糧を得る娼婦さんに報酬を支払わないなんてマジ死ね。
そんな精神で今夜がんばってます。そして相棒にも付き合ってもらってます。
「うん……そだね、ちょっとだけ休んで、身体あっためてまた…出てくるまで……一晩……うぅ。出てくるかなぁ……」
そいつは神のみぞ知る。折れそうな心を頑張れと励ましてくれる少年の声でどうにか支えつつ。
「分かってくれる? 終わったらおいしいもの食べようね。じゃあタツミ君の分はわたしが奢る」
それじゃ割り勘になってしまうが。深く考えず呑気に発言していたが。
やがて、街灯の薄明かりの中現れた男の特徴を物陰から彼も確認したのか、僅かに息を呑む気配が伝わる。
しかし気取られては台無し……男に物陰の少年に気づかれないよう、「あっためてくれるの? お兄さん素敵だからサービスしちゃうー」などと甘ったれた語尾上がりのキャラ変でもしたのかと云うような声に表情。
男は油断した様子で近づいきて、「それならあっためてやってもいいぜ」などとだらしない表情を浮かべて肩を抱いてくるので、
「――タツミ君!」
肩を抱く男の腕をがっと掴んで手首を捻り上げながら物陰で好機を狙っていた彼の名を鋭く発した。
■タツミ > 少女の現状に、苦笑し。
割に合わない依頼を、来る途中で聞いた感じでは犯人への怒りで受けたらしい事を少女らしいなと思いつつ。
「少し休んで、気分変えればきっと大丈夫ですよ…ティアフェルさんの運は、良い方だと……思いますし」
犬が絡まなければ判断は的確で、気も効いて。
運も、何だかんだで助かってる所から良い…はず、と言って。
「えぇ、僕も寒いのが一番駄目なんで。そうしましょう、互いに奢りで」
突っ込むことも無く、互いにと微笑んで。
街灯のなか、少女へ声を変えた男性が犯人だと気づけば。
体の力を溜め、直ぐに出れるようにして、様子をみて。
少女の甘ったれた声や表情、仕草に、そういう事も出来るだと、何処か失礼な感想を抱きつつ。
「――はいっ!」
肩を抱かれた少女が、犯人の手首を決め、声がかかると。
物陰から飛びだして、少女と逆の手を掴んで、膝裏に蹴りをいれれ、体制を崩させて、地面に押し付ける。
「陰にロープありますので、お願いします」
少女へ声を掛ける、抑えるなら体格の良い自分の方が確実だからと考え。
■ティアフェル > 料金を踏み倒すのだから、強姦魔と変わりはない。
捨ておけぬと一晩はがんばるつもりの心が萎れかけたところで投げかけられる少年からの励ましに助けられ。
小さくにこ、と目元を綻ばせて。
「ありがと。やる気でる。タツミ君の強運にも出動してもらえば敵なしよね」
などと軽口交じりの声。足はやっぱり痛いし風は冷たいが、よし、がんばろ、と気を引き締め。
「意外ー。寒がりに見えないのにね。おし。じゃあ今日は呑むぞー」
冷えた身体を温めるには酒精もまた最適。そう云えば相手が吞めるのかどうか、知らないが。勝手にそう決めてそんなことを紡いだが、――運はこちらに味方したようで。
罠に掛かった獲物。標的が騙されてうかうかと近づいてきた時には思わず内心でよっしゃあぁぁ!とガッツポーズな瞬間。
わたしの猫なで声、イケル!とテンションあげつつ。
その名を呼ぶと弾丸のように飛び出して、無駄のない流れるような素早い動きでまず、男の動きを留めるようもう一方の手を掴み蹴りを入れると、何が起こったのか一瞬呑み込めずにただ呻き声をあげて引き倒される男。「お見事!」と響く拍手と女の歓声。
冷たい路面に押し付ける少年に「放せこのガキ!! 畜生騙しやがって!!」などと何の衒いもない詰まらない罵声を喚き散らしながら激しく暴れ。
体格の良い彼でなければ男は跳ねのけていたかもしれない勢いで。
「うぃ、任しとけ!」
先ほどの猫なで声はどこへやら、威勢良く肯いては先ほどまで彼が潜んでいた物陰へ潜り、暗がりでほとんど手探りでロープを見つけ。
「タツミくーん、あんまり暴れるよーならボコっていいらしーよー? あぁんっ、ほら、縛りにくいしぃ、いてまえいてまえ」
などと、お縄にしてやろうにも少年の下で藻掻きロープが結びづらく、縛れないからどついてやれと唆しつつ。
「あっ、やだ、足が滑ったァー!」
なんどと云いながら靴擦れの恨み、とでも云わんばかりにヒールで男の尻辺りを踏んずけていた、性格の悪い女。