2022/10/11 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にアーシャさんが現れました。
■アーシャ > 「……喧嘩すんなっての、オマエも悪い、アンタも悪いで、お互い謝って手打ちにしたら?……な?」
腐敗と怠惰の享楽の坩堝である貧民地区に木霊した声はまだ幾分か幼さを感じさせるが路地の響きわたる強い声。
どうも声の主は貧民地区では極日常的な喧嘩を止めようとしているようだが、結局その声が終わった瞬間に殴り殴られ、蹴り蹴られ、直ぐに喧嘩が再開されたようで、声の主が喧嘩を止める事はなく、代わりに大きなため息が聞こえる。
声の主は貧民地区に幾らでもいるストリートチルドレンの少年の一人。
その少年に止められても喧嘩をやめなかったのもまた貧民地区に幾らでもいる酒に酔った怠惰と煩悩の塊である男達。
――二人の間に挟まっていた少年は結局止めるのを諦め、二人の間よりするりと離れると、喧騒の輪から離れていく。
「……バカだねぇ…頭に血が上って冷静な判断できないでやんの……まあ、御蔭で今夜は美味いものが喰えそうなわけだが。」
喧騒から、今両手でお手玉している財布の持ち主達からなるべく足早に離れながら、あの隙だらけの二人が、あとで財布をすられた事に気がついて顔を赤や青に染めるのを想像すると、思わずクフフフっと喉奥では堪えきれなかった笑い声を漏らす。
今宵はまあやる事はやって届けるものは届けて、小遣いは持っていたが、貧民地区の住人にしては少々重たそうな財布をもった鴨ニ匹に遭遇し、ほんの数秒前にお仕事をさせて貰ったわけだ。
そのお仕事の報酬を早く早く確認したく、足早にどちらかと言えば平民地区に近しい、治安が木の実の背比べであるが比較的整った場所を目指していた。
もちろんお手玉は継続中。
なんせ、お手玉が出来る程度には重い財布が二つ。
口元の笑みはニヤニヤが耐えず、面倒な大人に見つかる前に消費するかあるいはある場所に仕舞いにいきたかった。
■アーシャ > 何処に仕舞うかは誰にも内緒である。
当然銀行や貸金庫なんて真っ当な場所ではない。
だが貧民地区の巣に持ち帰って金庫に仕舞うよりは安全。
蛇の道は蛇、誰にも内緒の場所のひとつやふたつないと貧民地区では餌食になるだけだった……。
ちなみにスリとったのは先程大きな声をあげて注目を集めた時、ではなくその後の一瞬……喧嘩を煽る一段と当事者達が向かい合ったその隙で、全ての視線が自分よりはずれた刹那のタイミング。
ぽすんっ
右手と左手二つの財布を両手でキャッチすると、片方をズボンのお尻のポケットに突っ込み、もう片方は普通にサイドのポケットに突っ込むと、さて……どうしたものか。
一応周囲の目はとっくのとうに消えている。
気がつけば今は貧民地区から平民地区に抜ける路地。
誰かが迷い込んでくるか、逆に平民地区へと逃げる人でもいない限り誰も来ない場所で、取り合えず路地の壁に寄りかかり一休みする事に。
「しっかしバカだよなぁ?此処で泥啜ってる割には尻のポケットに財布とか、それもおんぼろの皮袋とか、どうぞご自由におとり下さいって書いてあるのとかわんねぇっての。」
人目が無いので我慢せず、キヒヒヒヒヒっと声に出して大笑いをしながら、片手で自分の腹を抱えるようにしながら、近くの路地の壁をバシバシっと叩いて引き続きの大声で爆笑中。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にアキラさんが現れました。
■アキラ > (いつもの自分を雇ってくれている傭兵の代理に依頼の書類を集める仕事の帰り道、貧民地区にある酒場兼ギルドから平民地区に戻る道すがら。けれど、壁に寄りかかって休みする少年と同じ道を歩いてきたわけではない)
「――――――ぁ……」
(その少女は上空から降ってきた。少年が落下物の気配を感じて上を向けばその少女の顔より先に、翻ったワンピースのスカートの中が見えただろう。とはいえ残念なことに、男物の下着を短パンのように履いた全く色気のない代物だ。ともあれ、なかなかの速度で落下してきたはずの少女は思いの外音もなくふわりと、少年の眼前に着地するだろう)
「………あ~びっくりした、あしすべらせてまどからおちた……」
(耳を隠すための帽子を押さえながらものすごい棒読みでつぶやく。一応この町では魔族であることは隠している。ミレーとごまかすこともできるが、それはそれで何かと面倒くさい場合もあるので。酒場からの帰りにさっさと帰りたくて、建物の隙間や屋根を飛び移りながら移動してきて、この辺は確か人がほとんど居ない所なのでそこに着地してあとは道を歩こうと、雇い主には駄目と言われていることをしたので、ごまかしだ)
■アーシャ > 「……………ハァ??????」
(未知との遭遇に対しての第一声は間の抜けた或いは予想外過ぎて普段ださないような珍妙な声をだし、表情は引き締まりの無い呆けた物となった――此処最近天候が突然荒れて雨が降る事があったが、少年?少女?が降ってきたのは始めてであった。貧民地区で生活をして生まれて始めて、だからそんな降ってきた人影に向ける言葉は矢継ぎ早の少し唾液を撒き散らしながらの、突込みだった。)
「…………いやいやいや、足を滑らせて屋根から落ちても窓からはねぇだろ……。なんなの?猫なの?夜盗とか?それとも今流行の魔族とか、危ない奴なの?」
(財布と言う本日の稼ぎを握ってたが故に自分以外の誰かの気配には敏感であった。だから急なこちらに近づく気配が空から近づく事に驚きもせず見上げた、見上げたらスカート?ワンピース?らしきふわっとした布に男物の短パンが見え、でなんだ!?と思うまもなく、自分の前に着地……目の前に人影が気配の主が着地した。だから思わず呆けた表情のまま人影の行動に、棒読みすぎる言葉に突っ込みを入れたくなくても、入れるしか出来なかった……。音もなく着地となるとかなり身体能力が高い、とか、色々思う事があるのだが、まずは登場の仕方と棒読みが最優先……。乾いた唇で人影に吐き並べた言葉も勢いのままで当然意味などないし、相手の事を察せる千里眼的な能力など全く無い、魔族が流行ってるかもわからない。)
■アキラ > 「…………(こいつ鋭い、消すか)」
(まさかの一瞬で正解を言い当てた少年の言葉に、感情のこもらない真紅の瞳でじぃっと見つめた。そこには冷徹な殺気が籠もっていたかもしれない。心の中で物騒なことを思ってしまったし、解体して時間かけて食べてしまえば証拠は残らないだろうとか一瞬で考えるけど。自分の雇い主である男は人間、なんかそれをするととても嫌われそうな気がしたのでその怖い視線は一瞬でナリを潜め)
「いや、ぼくは人間、猫でもないし、野盗でもないましてや魔族では断じて無い……」
(手と首をを左右に振って違うよというジェスチャー、表情が素なのは普段からだけど、内心焦っているし嘘が下手だ)
■アーシャ > (ゾクッ、と背筋に走る唐突な悪寒……覚えはあるのはそんな悪寒とかのレベルではなく俗に言う嫌な予感、嫌な気配、相手の行動がどうこうよりも肌で感じる危険を前にした感覚である。だが唐突にそれを口にしたところで解決する相手ではないことも理解している――屋根から落ちる、という事はすくなくとも屋根から屋根に、そしてそこから落ちたにしては音もなく着地できる存在に対して、逃げ切れる筈がないし、予感が無い。ああ……終わった。)
「………だよな、そうだよな猫には見えなかったし、魔族でもないよなうんうん……うん……。」
(脳内での選択肢は二つ。財布を投げつけてその隙に出来る限り逃走を試みる。もうひとつは勝率が低いが戦う、駄目でも戦う、生きるために……大声をだして誰かを呼ぶにはこの路地は人の気配が全く無い。しかしどうしたモノだろうか?相手が否定しているのだから、それに合わせておいて、誤魔化すか……と脳内では先程のスリを企てた時とは比較にならない速度で思考し、結果……もうどうにでもなれだ。)
「……でも本当かぁ?猫は違うにしても、夜盗はありえるよなぁー……だって見事な着地だもんさー……魔族もあるかもなぁー……だって帽子のした怪しくねぇか?ちょっと脱いでみ?」
(反撃、言葉による反撃。感情のない真紅の視線は脅威と認識するに値するし、わかりやすいほど嘘をついてるとしか思えないジェスチャーも怪しい、どれか、例えば夜盗であれば衛兵に突き出すと脅せばいいし、魔族であれば……魔族だぞーと大声をあげればワンチャンス助かる可能性がある。だから、ここぞとばかりに後ろ髪を掻き毟りながら、片方の手の指先を人差し指を少年?少女……たぶん少女に向けて突き出す。えぇいままよ!という奴。いぶかしげな視線をじぃー……とも。)
■アキラ > 「うん……そう、ちがう……」
(どうやら騙し通せたらしいとホッとした直後、すぐに少女は戦慄する、ひと目見ただけで己の帽子の中の秘密を見抜かれた、だと?咄嗟に帽子を押さえて)
「ちがう、ぼくは傭兵の助手……いま仕事帰り……」
(帽子を両手で押さえて死守しながらあとずさり、背後は壁。こっちはこっちで少年を過大評価して、これはとんでもない凄腕の何者かなのかもしれないと思い、ビビっていた)
「着地は、うん……鍛えてるから……」
(そして嘘は下手だった)