2022/04/14 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にジーゴさんが現れました。
ジーゴ > 最近は冒険者の仕事もこなしているけれど、まだまだメインの収入源は夜の貧民街だ。
立ち並んでいる娼館、連れ込み宿、酒場なんかの間に、一定の間隔を空けて娼婦や男娼、その他いろいろな者たちが立っている通り。
端っこの方のあまり目立たないところに立っている少年は、建物の壁に背中を預けて、小さくあくびを噛み殺した。

「ひま…」
今日はあまりいい場所を取れなかったからか、最近ちょっと大人になってきたからある層のストライクゾーンから外れてしまったのか。
この時間までお声はかからず、ぼんやりと通りを行き交う人を眺めている。

ジーゴ > 「チッ…まじあいつムカつく」
誰にも聞こえない小さな声が漏れる。
近くに立っていた顔見知りの娼婦が、先に今夜の客を見つけてその辺の安宿に入っていく寸前。
わざわざこちらに小さく手を振っていった。
今晩の相手を見つけられそうにない少年への明らかな嫌がらせだ。
腹が立ったからって、一人で文句を言うくらいしかできないのはミレーの立場の弱さだ。
大概のことは自分の中に飲み込んで耐えるしかない。

背を壁に預けたまま、足元の石を蹴って転がして。
左足で蹴って、それをまた右足で蹴って。
その場でできる小さな遊びに気を取られている。
人通りの乏しくなった花街ほど暇な場所もない。

ジーゴ > 今晩、自分が売れなくても帰る場所はあるし、なんなら自分用の寝床もある。
雨風を心配しなくていい家。寝食は多分保証されているし、無理に働けとは言われていない。
なんなら文字の読み書きや計算まで教えてくれるご主人様なんて、望んでいたものさえきっと超えている。
客も取れないこんな夜は帰ってしまってもいいとは思うんだけれども。

「こわい」
無意識に呟いたのは自分でも思いがけない言葉だ。
稼げないで帰ってきた奴隷なんて、いつ『いらない』と言われてもおかしくないだろう。そう思ってしまうのが奴隷の性だ。

「ああー、もういいや…」
蹴って遊んでいた小石を一際遠くに蹴ると、小さく頭を振ってから歩き始める。
一本裏の通り。連れ込み宿の裏側の道は細く、
宿からの嬌声だって聞こえそうなその場所に徐に座り込むとそのまま丸く横たわって。
深夜に帰れば今日は客が取れなかったんだな、とご主人様にバレてしまうからその場で夜を明かしてしまおうという奴隷の小さな企み。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からジーゴさんが去りました。