2022/01/09 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にライエさんが現れました。
ライエ > 道端にて廃材に火を灯して暖を取っていた浮浪児たちの前に立つ黒尽くめの影
腰に下げた曲刀を影たちが一斉に引き抜くと焚火に照らされた鈍色がぬらりと輝いた
突如、現れた凶手におびえて竦む浮浪児たち。ジリジリと縮む凶手と浮浪児たちの間に割って入るように、
もう1つ、大きな影が夜風を纏って現れる

「助太刀」

現れた影がぽそりと唱え顔を上げれば不揃いの灰色髪の奥で青い瞳が炎に照らされ輝く
突然の乱入者に浮浪児たちを面白半分にか、それとも奴隷にするためにか、
集まった黒尽くめの影たちに緊張と動揺が走る

その刹那を見逃さず、乱入者の手にした長柄が横薙ぎに一閃し強かに黒尽くめの脇腹を払うと、
乱れた呼気と吐瀉物を顔を隠した薄布を揺らして、身体ごと通りと廃屋を隔てる塀に叩きつけられた
乱入者は確かな手応えにニィ、と白い犬歯を覗かせて笑みを浮かべると、
次々と黒尽くめの影たちを倒していった―――

最期の黒尽くめの影がガクリ、と膝を付き倒れる
ふっ、と短く呼気を漏らし、周囲を確認すると既に浮浪児たちの姿はなく、
倒れ伏した黒尽くめの男たちが残されるのみであった
少々、物足りない気分であったが、倒れている影たちの顔を一人一人確認すれば、
手配が掛かり、賞金の掛かっている者がいないか確認していく
手配書の顔は頭の中で薄らぼんやりと記憶しているだけであったがどうやら該当者はいないようであった

伸びている黒尽くめを通行の邪魔にならぬよう、道の端に蹴飛ばし、あるいは投げ飛ばし、
周囲を片付けると鋲付きの手甲を外して、焚火に悴む手を近づける
得るもの無く、満足するでもない、益体のない戦いであった、と嘆息じみた白い呼気は寒空の暗闇に溶けていった

ライエ > 一休みを済ませれば再び手甲を付け直して
ニギニギと五指の動きを確認するように動かし、きゅっ、と強く長柄を握り直した

「さてともう少し…」

貧民地区では先程のような物取り、奴隷狩りといった相手に不足はない
時折、賞金の掛けられているような者まで混じる
冒険者業を片手間にこうして腕を振るいながら小銭を稼ぐに退屈することはない
王都は自分にとっては程よく刺激的で、食うに困らぬ良い街であった

「次はもう少し楽しめると良い…」

フードを摘み被り直せば煌々と辺りを照らす焚火を離れて再び闇へと消えていく――――

ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からライエさんが去りました。