2021/12/22 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にジーゴさんが現れました。
■ジーゴ > 貧民街のゴミゴミとした場所にいるのが正直落ち着く。
夜が深けてもまだ客を見つけられなかった娼婦がきっと立っている通りの一本裏。人通りの少ないあたり。
かろうじて二階建てといったような建物に背を預けてぼーっとしている少年が一人。
背中を預けている建物は連れ込み宿できっと今だって何組もの客と娼婦がお楽しみの最中だ。
「あーあ、ねむ…」
小さくあくびを噛み殺した少年は、シャツのポケットを探って、紙巻きタバコを出すとマッチで火をつけて口に運ぶと、マッチは火のついたまま適当に地面に落とすと、足で踏み消した。
もちろん治安が良いとは言い難い貧民街だけれども、じろじろ見られたりすることが多い貧民街よりは居心地はいい。
貧民街はそもそも厄介ごとに巻き込まれたくないから他人をじろじろ見る人も少ないし、多少は知り合いもいるから揉め事だとか嫌がらせにはあいづらい。
表通りから聞こえる客引きの声をぼーっと聞きながらまた、あくびを一つ噛み殺した。
■ジーゴ > 「ん…?」
表通りから歩いてくる娼婦の姿を見つけるとタバコをくわえたまま小さく首を傾げた。
客を探しているはずの娼婦はコツコツと石畳を靴の高い踵で鳴らして近づいてくる。女が眼前まで近寄ると少年は短くなったタバコを地面に落として、再び踵で踏み消した。
「おねーさんどしたの?」
顔は知っているけれどお互い名前は知らない仲だ。
自ずとそんな話しかけ方になる。
客を探しているはずの娼婦が自分に何の用だろうか。
『あんた、暇なら一晩くらい相手してよ。あんたも随分大きくなったろ?』
首を傾げたままの少年に娼婦はもう身を預けそうなくらい近づいている。
体に触れないように少年は体の角度を変えて避けながら答える。
「オレ、お金ないのしってるっしょ?」
冗談なのか本気なのか、一晩の誘いを持ちかけてくる娼婦に少年は笑って答える。
お金がないのはもちろんだけどなんかの弾みに関係がこじれると色々と面倒だ。相手がお金を取るつもりなのはかわからないけれど、お金がないって言っておけば断れるだろうか。
「や、だからお金ないってば。いたいよ?力入れすぎ」
娼婦は少年の腕を握りしめて強引に歩き始める。
力をこめればきっと振り解けるだろうけれど、それをしないのはそれはそれでめんどくさいことになるかもしれないからだ。
娼婦に引きずられるように少年は夜の裏路地に消えていく。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からジーゴさんが去りました。