2021/07/13 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にエレイさんが現れました。
エレイ > 「──む……」

人気も無ければ灯りもない、月光だけが差し込む寂れた夜の裏通りを、一人のんびりと歩いていた金髪の男は、
脇道から己の前に音もなく躍り出てきた影にふと、足を止めた。

『──ミャーオ』

それは猫だった。暗がりの中でなお黒く、逆に目立つシルエット。
その中で目だけが金色に浮かび上がっていて。

「……なんだ黒ぬこか。よう、見事な黒さだと感心するがどこもおかしくはないな」

などと声をかけつつしゃがみこむと、黒猫は気安く寄ってきて男の突き出した膝に
スリスリと顔や身体を擦りつけて来る。

「……愛想をしたってやるモン特になにもないから無駄だぞ。ってゆーか目ヤニまみれの
汚いツラだなと呆れ顔になる。もうちょっと自分でキレイにすろ」

眉下げてフンス、と鼻を鳴らしつつ猫の顔を見やれば、目頭にこびりつく大きな
目ヤニが確認できて。片手で首根っこを抑えながら、もう片方の手を顔に添え、
親指でぺりぺりと目ヤニを剥がしてやってゆき。

エレイ > その後もしばらく、黒猫と戯れて時間を過ごしていたらしく──
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からエレイさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にレイさんが現れました。
レイ > 普段は平民地区の冒険者ギルドに顔を出すのだが今日は少し足を延ばし貧民地区のギルドへと。
そこに並ぶ仕事は平民地区と一見変わりがないように見えるが同じような仕事が多くあり、同じ採取系とはいえ報酬も多いものがあり。
何が違うのかが分らないが出来る仕事が多いのはありがたい事。

「どれにしようかな……これなんて近いし…こっちは少し報酬が良いんだ」

幾つかの採取系の仕事を手にしてはどれにしようかと考え。
近場を取るか、少し遠いがお金になるのにしようかと悩んで。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にジーヴァさんが現れました。
ジーヴァ > 貧民地区の冒険者ギルドは平民地区のそれと大して変わることはない。
冒険者は元々ごろつきとならず者の集まりなのだから。
とはいえ一定の秩序は存在し、依頼も数多くやってくる。

「毒草集め、樹皮狩り、採取の護衛…場所がよくねえな、報酬は美味いんだが…」

と、一人の少年が掲示板を眺めている時だ。
ふと彼が隣を見れば、少年より少し背の高い、それでいて華奢な姿の男性が同じように依頼を探していた。

「…そこの兄ちゃん。舞台に出られそうな美形のあんただよ。
 あんたもこの辺の依頼探してんのか?よかったら一緒に受けてみねえか?」

レイ > 「どれもいい仕事なんだけどな。こう多いと悩んじゃうよね」

これも良いあれも良いと選んでいれば、ふと気が付けば隣にいつの間にか人がいる。
ちらっと見えただけだが自分よりも背の高い少年がいて。
同じ冒険者なのかなと依頼に目を向けながら考えていて、突然に声を掛けられびくりとして。

「それって僕かな?舞台に出るつもりはないんだけど…。
僕はまだ遠くに行く依頼はちょっとだから採取系で経験を積みたくてね。
君と……うん、いいよ。一人よりも二人の方が成功率も上がるしね」

少年からの提案に少し考え、それなりに慣れた採取でも何があるか分からない。
それを考えると一人より二人の方がと考えつき、いいよと頷いて笑顔を見せる。

ジーヴァ > 「一人で素材持ち帰るのはなかなか面倒だからよ、二人になるだけで随分違うもんだぜ。
 籠背負って狼や魔獣から逃げ回らなくて済むからな!」

不敵な笑みを浮かべながらそう言うと、少年は一つの依頼書を掲示板から剥がす。
そこに書かれたのは王都に近い森にある、魔力を含んだ花の採取だ。

「ヘリアンサスとかいう花を30束採取して持ち帰る。
 近くに熊型魔獣がいるため依頼……これならよさそうじゃねえか?」

報酬欄に刻まれた金額は平均よりも高く、達成できれば二等分してもかなりの儲けになるだろう。

レイ > 「あ、それは分かるよ。僕も採取した物次第だと大変だって思うのがあったからね。
二人なら分けて運べるから逃げるのも逃げやすいね」

少年の不敵な笑みにそこまで考えてるのだと感心し、剥がされた依頼に目を向けて。
そしてそこに書かれている内容を見れば近い森が行先で。

「ヘリンアンサスって花は僕はどんなのか知らないんだけど、君は知ってるんだよね?
熊型の魔物なら習性は少しは分かるから追い払うぐらいは出来るよ。
そうだね、それにしようか」

報酬額も多めな為にやってみようと笑みを見せて。

「そうだ、僕はレイだよ。よろしくね」

ジーヴァ > 「ヘリアンサスは暑い季節に咲く花でな、別の名前じゃヒマワリってんだ。
 この呼び名で呼ぶってことはたぶん魔術師関係の仕事なんだろう、そりゃ30束も使うよな」

花についての説明をしながら、目の前の青年を上から下までざっと眺める。
快く同意してくれた青年の立ち居振る舞いは、こんな貧民地区には相応しくないほどの善良さを感じさせる。
フードで顔の上半分を覆い隠す少年は少し違和感を感じながらも、名前を名乗った。

「俺はジーヴァ、魔術師だ。できればこれからもよろしく頼むぜ」

そうして二人はちょうど出ていた乗合馬車にて森の近くまで向かい、道中お互いのできることを話し合った。
「俺は魔術、火と風と水なら大体使える。と言っても森だから使えるのは風と水だな。
 熊の魔物について詳しいのはありがてえな、その恰好は剣士だろ?前衛と後衛でちょうどいい」

やがて話し終わる頃には、目的の森に辿り着くだろう。

レイ > 「あ、ヒマワリってそういう名前なんだね。
魔術師がひまわりなんて何に使うんだよね……」

ヘリアンサスの正体が判明し、分かったゆえに魔術での使い道が分らず。
それを考えてれば少年の視線を感じて。どうかした?と首を傾げる姿は冒険者っぽくなく。
フードで顔を隠す姿は気にはなるが何か理由があるのだと思えば問う事はせずにいて。

「ジーヴァ君だね、魔術師の人と組むのは初めてだけどよろしく」

そうして乗合馬車で森の近くに向かう道中、初めて組むのだから色々と話し合う事になり。
少年の使える魔術の話を聞き、そして自分は剣術と学院や引退冒険者の書いた本で魔物の生態にはそれなりに詳しい事を話し。

「そろそろ到着だね。前は僕に任せてくれていいから、何かあればお願いね」

目的の森にと到着をすれば任せてと笑みと共に告げ、少年より少しだけ前を歩くようにして森に入って行って。

ジーヴァ > 青年の話を道中で聞いてみれば、なるほど納得のいくものだった。
学院に通える人間なら、裕福である可能性は大きい。
それならきちんとした剣術を修め、しっかりとした知識を備えているものだ。
学校出身の冒険者は頭でっかちとはよく言われるが、頭すらないならず者よりはよほどマシなのだから。

「ああ、ヒマワリは森の奥、開けた場所に固まって咲いてるみてえだ。
 熊の魔獣がそこに住み着いたせいで取れなくなっちまったんだろうな」

森に入れば、木漏れ日が木々の隙間からちらちらと差し込んでくる。
青年に前を任せて、少年は辺りの魔力を探って魔獣とヒマワリの位置を確かめた。

「んん…ここから北東に歩いた先だな。魔獣はわからねえ。
 気を付けて歩いてくれ」

レイ > 学院で魔術を使える生徒はいたがそういう場所ゆえか使える数などを威張る物が多かった。
この少年はそういう者たちとは違い実戦で鍛えてきたと森で使える魔術の選び方でもよくわかり。
良い人と組めたと気分が少し楽になっていて。

「ヒマワリは開けた場所に咲く花だしね。
僕は花壇でしか見た事がなかったけど森の奥にそういう場所があるんだね。
そこに住んだって事は…何かいいエサになる物でもあるのかもね」

魔獣とはいえ流石に花は食べないだろうから何かあるのかと考え。
木漏れ日の差し込む森の中を突然にないかが出て来ないかと警戒をしては前を歩き、時折に歩くのに邪魔な枝を払って。

「北東だね。近くで音もしないし鳥の鳴く声がするから近くには居ないと思うよ。
もし動物の死骸や血の匂いがしたら直ぐに言ってね。多分いると思うから」

気を付けてという少年に頷き、自分も知る知識から気を付けてと告げ。
少年の言う通りに北東に進路を変更して一層気を付けて先を歩いて。

ジーヴァ > 「魔獣の中には普通の動物と違って、魔力を含むものならなんでも食おうとするやつがいるんだ。
 この熊もそういうやつかもしれねえな…」

地面から突き出た木の根や蔓を時折避けて、魔獣がヒマワリ畑に潜む理由を少年は考える。
魔獣とはいえ元の獣と大きく生態は変わることは少ない。だが時折魔力にあてられ、貪るように魔力を蓄えるものもいる。
そういった魔獣は得てして普通の獣とは違う、異常な性質を持つのだ。

「もしそうなら、明らかにおかしい点があるはずだ。
 気づいたら遠慮なく言ってくれよ」

と、魔力の探知に大きな生物が引っかかる。
それと同時に、少年たちは進む獣道の脇に蠅がたかる何かが転がっているのを見つけた。

レイ > 「そういうのもいるんだ。それは教わらなかったよ」

初めて知ったと少年に告げられた事に目を丸くして驚き。
もし問題の熊型の魔獣がその類ならば自分の知っている知識は何処まで役に立つのか。
その場合は少年の知識に頼らないといけないと考えて。

「判ったよ。気を付けておくね。
でもジーヴァ君も何か気が付いたら言ってね。
もしそういう魔物なら…僕の知ってる知識で対応できないかもしれないから……っ。
少し離れて……これは……鹿…?」

そう言った時に蠅が飛んでいる事に気が付き、そちらを見れば何かがあり。
少年に下がるように伝えれば剣で慎重にその何かを突いて正体を確認し、鹿のように見える何かに魔獣のエサなのかと考え周囲を見回して。

ジーヴァ > 剣でつつかれたそれは、ピクリともしない。
おそらくは貪られた後なのだろう鹿の死骸は、虚ろな目で少年たちを見つめていた。

「……魔力の探知にひっかかったのはこいつか。熊の魔獣がうろつく中で他の獣がいるはずもねえ。
 熊の生態からそれほど外れちゃいないみたいだが…」

そう言って再び周囲を魔力で探れば、道の先に感じていたヒマワリ畑の中に、ひときわ巨大な魔力を感じる。
その持ち主が何なのかは、直接見なくとも察しがついた。

「…待ち伏せ、ではないみたいだぜ。ヒマワリ畑の中で動いてやがる」

魔獣はこちらに気づくことはなく、縄張りの中を歩いているだけのようだ。
この鹿は不運だったのだろう。

レイ > 「縄張りに近づくっていうのがあまりないはずだしね。
生態から離れていないならやりようはあるかな…」

自分が周辺を警戒をし、少年が魔力で周囲を探る。
万が一に備えて警戒をするも何も襲ってこなく、問題の対象は少年が見つけて。

「ヒマワリ畑の中にいるんだ……そうなると厄介だね」

今は大丈夫だろうが近づけば嫌でも気が付かれてしまう。
どうしようかと考え、ふと手持ちの物を思い出して。

「生態があんまり変わっていないならさ、この動物除けは効くと思う?」

思い出せば早速ポーチから小瓶を、野生の肉食獣などを匂いで遠ざける薬品を取り出し。
これを振りまけば採取する間だけでも追い払えないかと提案をして。

ジーヴァ > 少年は手持ちを探ってみたが、熊に効きそうなものは一つもない。
魔術の触媒、小銭、毒消し。その程度のものだ。
どうしたものかと考えていると、青年がポーチから薬品を取り出してきた。

「…それだ!最悪まとめて焼き払って魔獣の討伐報酬で誤魔化そうと思ってたんだが、
 元とあまり変わらないなら効くはず!」

彼の提案に少年は九死に一生を得たというように頷いて、早速具体的な策を考えることにした。
ヒマワリ畑にほど近い場所で、魔獣に気づかれていないことを確認して座り込む。

「その小瓶の中身を俺の風魔術でばら撒いて、ヒマワリ畑に近づけないようにする。
 そんで効いてる間できるだけ刈り取る。こんなもんか。
 薬、効果はどれくらいだ?長いならありがたいけどよ、短いなら何回か繰り返す必要があるぜ」

ジーヴァ > 【一旦中断となりました】
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からジーヴァさんが去りました。
レイ > 【一旦中断となりました】
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からレイさんが去りました。