2020/12/26 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区 娼館通り」にネレディスさんが現れました。
ネレディス > 季節は冬、それも夜。
ある種『熱い』場所とも言える娼館通りも、芯から冷えるような風が吹き抜ける。
色香で男を誘う客引きの娼婦にとって、寒気は大敵である。肌を出さずに身体を暖め、なおかつ妖艶な色気を出すのは至難である。
事実、無理をして薄着で客引きをしようとして身体を壊すものもいるという。

「──はい、これでよい筈です。神聖なる義務に精を出すのは素晴らしいことですが、身体を壊すような無理は神々も望みませんよ」

そんな中、娼婦達から見ても異常な、裸同然の格好であやしげな呪文を唱えて回る変な女が一人。
むやみに大きな胸などはほとんど隠していないも同然である。
どうも寒さを和らげる効果のある魔法か何かのようだが、それを有り難がる者が半分、気味悪がる者が半分というところか。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区 娼館通り」にエレイさんが現れました。
エレイ > 「──ふへぇーい……だいぶ冷えるようになってきたなあ」

冷たい冬風に軽く首をすくめるような格好をしながら、両手をポケットに突っ込んで
通りをのんびり歩く金髪の男が一人。
客引きのコたちも大変だろうな、なんて思いながら辺りを見渡してみれば、
ところどころ薄着でも平気そうにしている娼婦の姿が見られてはて、と首を傾げ。

やがて、ほど近くから聞こえてきた聞き慣れぬ呪文かなにかに気づいてそちらを振り向き──
裸同然の女の姿を見つけて、思わず目を丸くして立ち止まった。
呪文を終えた後に口にした文言にも、神聖? と心のなかで首を傾げつつ、
興味を惹かれたので声をかけてみることにした。

「……やあやあコンバンハ。今呪文っぽいのを唱えてたのが聞こえたんだが
何をしていたのかな? 興味があります」

ゆるい笑みを浮かべてそう呼び止めてから、改めて女の姿を上から下まで無遠慮にジロジロと眺めてゆき。

ネレディス > 「……あら、私の、エリレプトに伝わる秘術に興味があるのですか?」

声を掛けられれば、そちらへ向き直ってニッコリと微笑む自称女王。
姿と身に付けたものを見るに、この国で冒険者と呼ばれる傭兵の類であろうということはすぐにわかった。
向こうがこちらの身体をジロジロと見るのも全く気にしない。何故なら美しいものを眺めていたいのは誰にとっても当然のこと、としか考えないのである。

「エリレプトの砂漠の夜は恐ろしく冷えます。今夜の寒さにも負けぬほど、肌を切られるような冷たい風が吹くのです……この秘技は、女王としての祈りによって太陽の神の力の一端を借り受け、そのような寒さから一時的に身を守るものなのです。遥かな昔から伝わるありがたき業……」

そして始まるのは、解説というより演説。話しているうちにどんどん自分に酔っていくように、うっとりした表情になる。

エレイ > 「──エリレプト? えーっと……3万年ぐらい前にあったっていうあの?」

彼女の口にした単語に男はもう一度目を丸める。
旅人である男には、その名にうっすらとではあるが聞き覚えがあった。
マグメールから見てはるか南、砂漠地帯にかつて存在した……らしい、国家。
一部に伝承はあれど資料がろくになく、実在したかどうか怪しい国。男の記憶ではそんな感じだった。

「ははあ……なるほどなという顔になる。途中の客引きのコたちが寒そうにしてなかったのも
キミの仕業であるか。──ってゆーか、話してくれるのはありがたいのだが
道の真ん中を占有してしまっては持つわけもない。俺もせっかくだからエリレプトについて
色々聞いてみたいのでどこか腰を落ち着けるトコに行きたいと思うのだが……
キミはどこを拠点にしているのかな?」

つらつらと解説もとい演説を陶然とした表情で続ける彼女に苦笑しつつ、
いったんその話を片手を上げて制すると、そんな提案と質問を。

ネレディス > 「ええ、そのエリレプトで間違いありません!今は亡き我が故郷、熱砂と風の……」

ますます自己陶酔がヒートアップしかけたものの、金髪の男性の提案に我に返ると、再びにっこりと微笑んで、

「……コホン、ええと、もちろん構いませんよ。臣民の声を聞き、答えてこその女王です。わたくしはいつも視察がてらに娼館を渡り歩いていますから……ええと、今日はあそこなどで」

変なことを口走り勝手なことを主張するネレディスだが、美女には間違いなく、また妙に素直でもあるので、一時的に受け入れる娼館も珍しくなかった。
ニコニコと微笑んだまま、一際大きな館に男を誘っていく。

エレイ > 彼女の言葉を聞いていると、その子孫とかではなく実際のエリレプト人であり
あまつさえ女王であるらしいことがわかる。
にわかに信じがたい話だが、彼女の漂わせる雰囲気やその肢体を晒してなお
堂々とした姿を見ると、信憑性を感じなくもない。
それはともかくとして、こちらの提案を受け入れてくれた彼女に男も笑みを返して。

「──あそこであるか。ンン……まああ二人きりでゆっくり話すにはちょうどいいかな……」

彼女が行き先に指定したのは大きな娼館。
少し思案するも、別段拒否する理由もないと判断して頷くと、彼女の露わな
腰に馴れ馴れしく手を回しながら、ゆっくりと共に歩き出し──。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区 娼館通り」からエレイさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区 娼館通り」からネレディスさんが去りました。