2020/07/25 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にイズミさんが現れました。
■イズミ > 人影が貧民街を歩む。
その人影に足音はなく、黒の胴衣に身を包んでいるため、まさに陰が歩いているかのような光景だろう。
「………」
立ち止まり、辺りを見回す。
路銀はなく、どこか身を横たえる手頃な場所は無いかと街を歩く間に、どんどんと辛気臭い所に入り込んでいた。
忍びの習性ゆえに、そういった所を自然と選んでしまうのかもしれない。
「まるでネズミね」
自嘲して笑う。そしてどうしたものかと星空を見上げた。
■イズミ > 長い船旅の末にたどり着いた異国の地。
元々他人とのコミュニケーションを求める性格ではないので、心細さや人恋しさはなく、寧ろ追手を振り切った安堵感があった。
勿論、それで安全が保証された訳ではないけれど、暫くの間はあまりピリピリしなくても良いに違いない。
「どこに行くも、行かぬも、私の自由、か」
そう、例えば今ここで道の端にうずくまり、朝を迎えても良い。
いざとなればそうしよう。
特別身体に疲れを感じていない今は、この街がどのような風土であるのかを知ることが大事だと、再び歩み出す。
■イズミ > 遠くに眩しいほどの街明かりが見える。その街灯から遠ざかるよう路地を進むと、空気が変化する。
鼻腔にどとく安い酒や汗や血や汚物や動物の匂い。
文化の乱れを感じさせる。
賢明なものは引き返すに違いない。
「これがこの街の匂い…」
正直いいものではない。
異文化にまみれた異人は体臭などがウンっときついと聞く。なぜかそんな知識を思い出した。
■イズミ > 貧民街が漂わせる空気に立ち止まり、僅かに躊躇したものの、己の運命を決めたとばかりに、今までよりもより明確に意思を込めて一歩を踏み出す。
「蛇の道は蛇。今の私には、相応しい…というコトか」
何か運命的なものに導かれてここにきた。
そんな理由付けをして、引き返す事も選べた一線を越える。
それは、異国で自由を手に入れた高揚感で浮ついていたがための、やや軽率な判断だったかもしれない。
今後、この地に流れ着いた東国の忍びが、どのような人生を歩むことになるのか。
それはまだ誰にもわからない─。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からイズミさんが去りました。