2020/03/19 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にキリエさんが現れました。
■キリエ > 「くそったれ……」
酷い悪態をつく女がいた。
ひょろりと長い肢体を黒い着衣に包み、歩くのもけだるいといった様子で両足を使う女である。
仕事を済まして帰ってくる最中に小物入れをすられた。取り返そうと追いかけたが追いつけず、取り逃す。
あそこにはお手製のタバコが入っていたのだ。と言っても薬なようなもので、常用していなければ、具合が悪くなってくる代物だ。
「あのガキ、今度会ったら殺す」
女とは思えぬ掠れた低音のハスキーボイスで殺意をあらわにしつつ、両足を開いて石段に腰掛けて眉間の皺を伸ばす。
■キリエ > 「この際なんでもいい………」
けだるさ。熱。関節の痛み。まるで風邪をひいたようだが、この段階を超えると入院する羽目になる。
通常のタバコでは効力が弱いが、無いよりマシというものだ。
そもそも、この辺りでタバコを販売しているとも限らぬ。タバコは本来シャーマンが扱うもので、一般的に普及しているとは言えない状況だ。
けだるさを誤魔化す為に天を仰ぐ。
「はー」
眠ってしまおうか。どうせ無一文だ。盗めるものなどありはしない。
自分に鞭を打って立ち上がるも、おぼつかぬ。まるで夢遊病患者だ。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にアシュトンさんが現れました。
■アシュトン > (何処からともなく、足音が聞こえてくる。
遠いような、近いような。通りの入り組みもあってか、出所がはっきりしないのだろうか。
しかしはっきりと分かる事は、一歩一歩と規則正しく、そして確実に大きくなっている事だろう。
そしてふと、音が消えたその直後――微かに漂う紫煙の臭いを引き連れて)
「おっと、こんな所で何やってるんだい、お嬢さん。具合が悪そうだ、さっさとお家に帰った方がいいんじゃぁないか?」
(ヒョッコリと、薄暗い路地から身を乗り出して、女性の方を見やる男が一人。
口端上げる笑みには、少々とからかっているような雰囲気さえ、感じ取れるが。
その唇に挟まった紙巻が、煙をあげながら、喋るに合わせてヒョコヒョコ上下に揺れていた)
■キリエ > 「あん?」
足音がした。振り返ってみれば、武器を携えた男が立っている。
女の鼻がすんすんと動いた。目ざとく、煙草の気配を感じ取ったのだ。
「お嬢さんってガラじゃねぇよ。お家とやらもないしな。
ところであんた、その煙草、譲ってくれねえか」
どこか飄々とした態度の相手へと、女は無造作に手を差し出した。
見るからに体調が悪い様子。隠すまでも無い。
ただの煙草では効力が弱いがないよりかはマシだ。あるいは譲ってくれないかもしれないが、聞かないよりもマシだ。
■アシュトン > 「声低っ、女性かと思ったが男……って訳でもないよな。
んー?煙草? 別にかまわないが、具合悪い時に吸うようなモンじゃないぞ」
(開口一番の態度悪そうな声に一瞬と驚くも、相手の様子を改めて見やれば。まぁ、女性に間違いはないだろう、恐らく。
煙草、と言われると具合悪げな様子も含めて首を傾げるも。まぁいいや、といった感じ。また緩い足取りで一歩一歩とぢかづいてゆく)
「こんな場所だ、タダより高いモノはない、ってのは分かってるよな。
精々と、感謝してくれたまえよ」
(喉元鳴らして笑う様子は、先ほどと相変わらずだ。
懐にゆっくりと警戒させないように手を差し込み、同じ速度で引き抜けば。握り取っていたのは皮張りの小さな箱。
蓋を開いて差し出すと、その中には妙に几帳面に巻かれた煙草が数本入っていた。其れなりに上等そうな葉の匂いも、纏って)
■キリエ > 「馬鹿野郎体調がわりぃから吸うんだろ」
声の低さといい、体格といい、あるいは男にも見えるかもしれない。仕草態度まで男のそれに近いが、本人は治すつもりなど毛頭なかった。
近づいてくる相手を見上げつつ、小さい箱を差し出してくるのを当然の如く受け取っていく。
匂いから察するに、上等そうな巻き煙草だった。
さっそく一本受け取っていくと、何やら懐から小さい箱を取り出し、ごそごそと。暫し後、煙草の煙が上がり始めた。
「くぅぅぅ…………効きやがる。感謝はしてるさ、この通りな。
キリエ。煙草のあんたは?」
一本やって調子が戻ってきたのか、ふらつく体を立ち上がらせて、相手と目線を合わせる。
小首を傾げつつ問いかける。
■アシュトン > 「体調崩した大酒呑みみたいな言いぐさだな、おい。
まぁ、煙草も依存性があるから、抜けるとイライラはするが……それとも、また違うっぽいしなぁ」
(加えて心肺機能も下がるし、臭いもつくし。仕事柄辞めるべき、だってのは分かっているのだけれども。
相手が火を灯す間に、此方は小箱をポケットへと適当に放り込み。
旨そうに口へと咥える様子を眺めながら、煙をくゆらせていた)
「マヂでちょっと元気になりやがった、どういう事なの。
中々悪くないだろ。ちょいと遠方からの取り寄せ品でね、この辺りじゃぁ余り手に入らない品種の葉っぱさ。
俺かい?アシュトンだ、おおよそ見ての通り冒険者をやってる」
(息を大きく吸い込めば、煙を肺へと送り込み。そして、空へゆっくりと吐き出して。
見るからに具合が悪そうな状態から、本当にちょっと元気になった様子をみて少々と驚くが。
ちょいと肩を竦めてから相手を見おろし、簡単に自己紹介して。こういう恰好をしているのは、おおよそ冒険者の類が多いだろう)
■キリエ > 「いろいろアンだよ、いろいろな」
初対面に話す気は起きなかったか、曖昧に濁す女。
一気飲みよろしく一気吸い。先端が真っ赤になるほど吸い込み、鼻と口から盛大に煙を撒き散らす。
あっという間に吸い終わると、マナーなんて知ったことかと言わんばかりに適当に放り投げる。
「いろいろあんだよ、って言ってるだろ。悪くは無かったかな。高い味がしたぞ」
冒険者らしい。相手の格好を上から下まで観察し、ふんふんと頷く。
「見ての通りの冒険者ってのはわからん。まあ、いいか。
それでアシュトン? とかいったな。ここであったが何かの縁だ。酒奢ってくれ」
と、女は真顔で正々堂々酒をせびり始めるのだった。
これでも一応は聖職者なのだが、名乗りを上げない限りはわからないであろう。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からキリエさんが去りました。
■アシュトン > 「色々ねぇ、まぁ色々有るわな
おいおい。そんな一気に吸ったら苦くて煙いばっかりじゃねぇか、勿体ない」
(とりあえず理由は適当にはぐらかそうとしている、というのは分かる。
つまり、隠すような理由がある、という事なのだろうけど。今の所深く追求する気はないらしい。
が、その吸い方には一言申したかった。そこそこ高いモノなので、しっかりと味わってもらいたい所だ。
……なお、ポイ捨てには別に何も言わない模様)
「そうだな、何処かで一杯……っておい!
貰い煙草の上に酒を奢れってどういうたかり方だよ! むしろそこは、お礼に奢るとかじゃねぇのかよ!
っち、感謝だけでは許さんからな。相応のお返し、してもらうぞ」
(同じ煙草呑みと一緒に酒呑みに行く、というのは悪くない、のだが。
今までの展開から奢れ、なんて言われると流石に突っ込みを入れざるを得ない。
だがまぁ、途中何処かで諦めたようだ。根本まで燃え尽きかけた紙巻をピンと指で弾けば、中空で一層大きく燃えて。残り灰が地面に舞う。
どのようなお返しを要求されるかは、また別の話になるが。
ちょいちょいと手招きしてから、どこぞの安酒場へと歩いてゆくのだろう)
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からアシュトンさんが去りました。