2020/03/17 のログ
ルルーサ > 彼女は強くなりたいと願えば願うほど、その槍は鋭く、魔術で生み出した炎は熱く燃える。
そういう意味では、才能に溢れた戦士ではあった。

とはいえ、彼女は精神的にはまだ幼かった。
未だに、怒りと不満、悔しさが渦巻き、唇を噛み続ける毎日。

傷ついた足はいまだに引きずることしかできない。

「……ああもう、……畜生。」

冒険者ギルド内にも、冷たくあしらった人間が多いからこそ、傷ついたまま戻ることもプライドが許さなかった。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にグライドさんが現れました。
グライド > (依頼の為に、立ち寄る事となった貧民街
街中で済む以上、お使いの様な用事では有ったが
定期的に知人から頼まれる依頼とあっては、断った事は余り無い
帰りが随分と遅くなったのは、出先で色々と引き留められたからだ
この時間のこの地区は、少々治安の悪さが気になる所では有るが

――幾度か襲撃を伸しているからか
此処最近は手を出してくる連中が、めっきり減っていた。)

「―――――……? ……おい、嬢ちゃん。」

(道を行く、最中。
すれ違ったローブ姿の人間に、僅か視線を投げかけた後
片眉を跳ね上げ、振り返ると同時に、其の背後より声を掛けては。)

「―――――……前に、ギルドで逢ってねぇか?」

(ひとつ――声を、掛ける。
足を引きずり、まるで逃げる様に歩き続ける其の姿
けれど、其の装備、其の様相を――見た事が在る、気がする、と
ローブ姿故に顔までは確かめられず、確信は持てなかったが
年若く、槍使いとして目に留めた事のある女は、余り多くは無い)。

ルルーサ > ………

ぴくり、と身体を震わせて。 声をかけられても動じることはない。
犯罪を犯したわけでも依頼に失敗したわけでもない。
ただただ、プライドがひどく傷ついたというだけなのだから。

「………会ったかもしれないけど、それが何か?」

ある意味で当然で、ある意味で冷たいその対応。

声を掛けられれば振り向くもローブのフードは取らぬままに、相手にその暗闇の中から目線を送る。
相手の声をかけた意図をくみ取ろうとしながら、まだ槍には手を掛けない。
そこまで血迷っているほど、血の気が多いわけでもなく。

「……見て分かる通り、ちょっと怪我して、治り切っていないだけよ。
 この状態じゃ、他の依頼も受けられないでしょ。」

グライド > 「――――……いや、治ってねぇ足引き摺って、此処に居る理由をよ。」

(何か、と言われれば、理由は其れしかない。
決して彼女が、何か犯罪に手を染めたり
或いは宜しく無い事に巻き込まれたと言った話は聞かぬ
なら、何故ギルドや平民地区側へと戻らずに、此処に居るのか、だ。)

「怪我なら医者に診て貰えば良いからよ
けど、此処じゃ闇医者連中しかいねぇ、中にゃ腕の良い奴も居るが…
そんな連中は大抵法外な金が要る。 ……こっちに、其の足で留まるのは勧めねぇぜ。」

(何かしらの理由は在るのやも知れない
依頼を受けられぬのは其の通りだ、が

振り返り、そして女の傍へと歩み寄って行けば
傷を負ったという其の足を、僅か様子見る様に視線を落とす。
傍目に傷の具合がどの程度なのか、把握できるかは分からないが
実際、放って置いて、治るとも限らぬ故に)。

ルルーサ > 「心配?
 ちゃんと診てもらったわ。けど、その場で治る怪我じゃないって言われただけ。
 無理して闇医者で見てもらうようなことは無いから大丈夫。

 ………普段カッコつけてるから、どうにも情けない姿を見せたくないだけよ。

 それに、このど真ん中にゴーレムでも出ない限り、遅れは取らないわ。」

相手の声が心配が主眼であれば、ふー、っと溜息をつきながらフードを外して。
チームを組まない一匹狼の槍使い。 そんな女が顔を出す。

「そりゃまあ、怪我した状態のままでここをウロウロしてたらどうにもオカシイでしょうけど。
 治療をした上で、無理に痛む方向に動かすなって言われてるのよ。
 だから、どうしても歩いていると引きずるようになっちゃうだけ。」

完璧になるまではどうせ仕事も受けられないしね、と言葉を続けて肩を竦める。

グライド > 「まぁなぁ
この程度平気だって放っといて、死ぬまで引き摺った連中も知ってる
特に脚はな、後まで残り易いってもんだ。」

(単なるおせっかい、と言えなくも無いが
其れでも、声を掛けた理由なぞ隠す必要も在るまい
確かに、以前ギルドで女の姿を見た時は
周囲に対しても、随分と突っ張って居た様に思うが。)

「何が起こるか判らねぇもんだぜ
其れに、狩りってぇのは相手の弱みを突く処から始まる
此処の連中は其れに敏感だ、場合によっちゃ、ゴーレムより厄介だぜ」

(故に――油断はしない方が良い、と。
治療が終わって居るとしても、完治するまでは弱みに等しい
其処につけ込む輩は如何様にも居る
無論単純な戦闘では、中々女には敵わぬだろうが

其処を埋める術に長けて居るのが、人間と言う物だ。)

「悪い事は言わねぇ、早々に戻って置きな。
プライドなんて物は、大抵命を縮める事になるぜ
―――まだまだ、若いんだからよ。」

ルルーサ > 「そりゃ、ちゃんとした治療を受けてないからでしょ。
 そういう手合いと一緒にしないで頂戴。
 私はもっと強くならなきゃいけないんだから。

 ま、治療してないかもしれない、って思ったならそれはありがとね、って言っとくけど。」

相手の言うことも分かるが、一応治療済みである。
だからこそ、少しばかり眉を潜めて困った顔をして見せれば。

「………ま、そりゃそうかもね。
 ただ集団で囲まれる程度なら、とは思っていたけど。

 毒なりなんなり使われたら確かに困るか。」

相手の言葉の中から、自分の納得が出来る言葉は、ふん、と鼻を鳴らしながらも納得と理解を示して。
その上で。

「それでも戻らないわ。
 宿も取っているし、実際問題弱みを見せることが後々危険になることもあるでしょ。
 私は敵が多いんだから、身を隠すくらいでちょうどいいのよ。」

はいはい、心配はどーもありがとね、と言いつつも、まあプライドの高さは変わらない女。

グライド > 「治療を受けた予後も、だ、無茶しやがったからな
ま、その辺りちゃんとやってんなら、そいつは良いさ。」

(こんな場所で、足を引きずっている知己、と言う物を気にするのは
恐らく、老婆心、に近しい物だろう
相手が聞き入れぬのならば、其れは其れで致し方ない事だが
多少なりと耳を傾ける気が有るのなら、伝える分には。

其れでも、戻らないと相手が、其の上で言うのなら
肩を竦め、そうかい、と一言応じて。)

「考えての上で、なら別に構わねぇさ。
だがよ、御前さんみてぇなイイ女、狙う連中は幾らでも居るからよ
こんなトコでくたばるのは勿体ねぇからな」

(基本的にプライド高めな女を、軽く弄る様に戯言めいて呟けば。
くつくつと、喉奥で笑った後で――不意に、女へと静かに近付いて行き。)

「―――――……今日は俺様も、こっちで泊まりでな。
別に、同じベッドに寝ろとは言わねぇ。 …来るか?」

(ひとつ、女の傍で、女にだけ聞こえる声で。
そして、少しばかり己が周囲へと視線を散らす様に向けたなら、女へと知らせよう
――囲まれている、と。 恐らくは――ここを根城にする、質の悪い連中に)。

ルルーサ > 「そうね、無茶しないまま身を隠す方が気楽よ。」

相手の言葉に肩を竦めながら、もう一度ローブを羽織り直してフードを被る。
うっさいわ、と相手の誉め言葉を一蹴する。
元より、男性不信なのだ。

「………宿は取ってるって言ったでしょ。
 途中までなら一緒に行ってあげるけど、それだけよ。」

相手の言葉を耳にして、少しだけ思案してそう告げる。
勝気過ぎる女だ、囲まれていようと気にする素振りは見せないが、それでも振り払って全員と戦う無意味さもよく分かっている。

一緒に歩くだけ歩きましょうか、なんて肩を竦めて。

グライド > 「はっは! 其のツンケンがまた、手ぇ出したくなるんだろうさ」

(男ってぇのはそう言う生き物だと、取り繕いもせず口にしては
女の隣へ立ちながら、女が歩みを進める方へと、共について行こう
果たして、向こうから仕掛けて来るのか否かは判らないし、狩りの理由にも寄るだろう
一応、周囲の様相は探りながらでは有るが、交わす言葉だけは、他愛なく。)

「いっそ、そっちの宿に鞍替えでも良いがなぁ?
金は払ってるからよ、別段泊まらなくても損はしねぇだろうし。」

(女の泊まる宿に押し掛ける、何て選択肢も出しながら
夜道を、軽快に笑いつつ道を進んで行く

――路地の後ろ、物陰、そして、建物の上辺りか
上手く消してはいるが、時折小さく足音が立つ
一定の距離を保ち、暫くの間は此方を監視する様に
平民地区で在れば、多少なりと大通りに出れば明かりも多く
こういった手合いを撒く方法は多いのだろう、が

何処まで行っても暗い路地、其の途中で
ほんの少し、二人並ぶには狭い箇所へと差し掛かった辺りで
――気配が、動く。 女へと、そして、己へと向けて
吹き矢めいたものが、ふ、と放たれる、か)。

ルルーサ > 「手を出した奴は、全部火傷させてやったわ。
 ホント、そんなことばっかり。」

散々苦労してきたのか、吐き捨てるような言い方。
男はいつだってそうでしか見ない、と言わんばかり。
他愛ない会話には付き合ってくれる辺り、根は悪くはないのだろうが。

「ご自分で勝手に部屋を取ってどーぞ。
 空いてるんじゃない、部屋も。」

やたら噛みつくようなものではないが、男に媚びたり甘えるそぶりは一切見せない。
とはいえ、後ろからつけられていることが分かれば、変わらぬ速度で歩きながらも少しばかりピリピリとする。
そういう意味では、そこはまだ未熟。

……っ。

殺気を読む術には長ける。
何かは分からないが何かが飛んでくることを理解すれば、魔法障壁を背後に張ってその一撃を防ぐ。
とはいえ、流石に自分だけではあるが。

グライド > 「なぁに、火傷で済んでる辺りが優しいじゃねぇか
男ってのはよ、延々と女のケツを追っ掛けてく生き物なのさ。」

(悲しいねぇ、なんて、自分もそうである事は否定せぬままに笑えば
背中に背負って居る盾を、背後から放たれた針の射線に傾けて、かきんと弾いた
傍目には、偶々当たって仕舞った、と見えなくも無い様な所作
とは言え、隣で音ながら、障壁を作って防ぐなら、余り意味は無いが。)

「部屋が空いてりゃ良いんだがな。
その前に――さて、如何なる事か。」

(初手を防がれ、周囲の気配が一瞬戸惑う
完全に隙を取ったと思ったのだろう
其れで諦めてくれれば良かったのだ、が

――頭上の影が、何かを放る。 細い針とは違い、黒い礫が見て取れるだろう。
背後の一人へと意識を割いていたが故に、頭上の投擲に気付くのは少し遅れ。)

「―――――……避けな…!」

(一言、小さく女へと叫んだのは、果たして間に合うだろうか
石や暗器の類では無い、其れが、恐らくは薬玉の類だと伝えるには一瞬過ぎる
もし障壁で防いでしまえば、女の周囲へ、吸引する類の薬が広がるだろう
己を狙う類は居ない、なら、今この場で狙われて居るのは間違いなく女
怪我を負わせるような武器が放たれて居ない事を考えれば
十中八九、薬玉の中身は――麻痺粉や、媚薬の類だ)

ルルーサ > 「どうでもいいわ、私は興味ないの。」

吐き捨てる。 男はどうにも苦手だ。 自分から寄っていくことはおそらく無いのだろう。
ピリピリとした空気は変わらない。
彼女はメンタル的に弱いところはあるが、集中している間は真っ当な腕前だ。

だからこそ、相手の言葉も耳に入ってから動くまでは早かった。

地面を無事な方の足で一気に踏み切れば、前方に飛び出してごろりと前転して起き上がり。
言葉通りにそれを回避する。ばふん、っと怪しげな粉が舞い散る中で。

「しつっこいわね!」

吐き捨てながら、その路地の横道へと逸れつつ、短い槍を抜き放って。

「走るわ。 さっさとここを抜けるわよ。
 追いかけてくるなら魔法をいくつかぶっ放すから、当たらないようにしなさい。」

怪我をしているのか分からないくらいに、殺気がギラつく。
バーサーカーであれば楽なのかもしれないが、手負いの獣は冷静だった。

グライド > 「やれやれ、つれねぇなっ…と…!」

(少しは恥じらいやら、恥ずかしがって怒る、なぞと反応が有れば
多少なりと可愛げが在ると弄り易くなるものなのだが
端的に放り捨てられてしまえば、肩を竦めよう

まぁ、何れにしても、こんな状況で戯言を響かせている方が普通では無いのだろうが。

己もまた、粉を回避して距離を取る。
足を負傷しながらも、元より身軽な動作で槍を構える女を見れば
はっ、と口端釣り上げて、女の言葉に頷き。)

「んじゃ、とっとととんずらさせて貰うか。
おう、当てねぇ様にしてくれっと助かる、ぜ…!」

(そうして――女が走ると言う物だから
笑いながら、再び女の居る路地へと駆け込みながら――女の身体を、抱え上げようと
肩に担ぎ上げる様にしてだから、きっと背後より追いかけて来る影は良く見えるだろう
無論、女が其れに抵抗すれば不安定にはなるだろうが、魔法を奮うには問題無い筈だ
そうして――女の代わりに、女を抱えて走り出そうと
完治もしていない脚を、使わせまいとして)。

ルルーサ > 「いきなりであっただけの相手にそうそう靡くって、そんな奴いないわよ。」

当然でしょ、と言わんばかりの女。
変わらずピリピリしているから、というのもあるが、普段以上に言葉尻はキツい。

とはいえ、もう明確に敵が来ていることがわかれば、ぐ、っとこぶしを握り締めてその拳に熱が籠る。
炎が生み出されて、ふん、と鼻をまた鳴らす。
これくらいの熱ってことは、まだまだ怒りが足りないらしい。

「ちょっと、勝手なことしないでよ!!
 ったく、逃げ切ったら下ろしてよ! ………死ねっ!!」

抱き上げればかなりイラついた様子で吐き捨て。
物騒な言葉を吐き散らしながら、怒りの火球が粉を落としてきた窓へとクリーンヒット。
吹き矢の男も、ここから更には追いかけては来るまい。
彼女の狂犬っぷりはきっと伝わっているだろう。
搦め手すら使わず、正面切って戦う相手は、さほどいない。

グライド > 「だがよぅ、声もかけねぇ、手も出さねぇ
伝えようともしねぇ奴が、靡いて貰えるとも思えねぇからな。」

(そんな意気も、甲斐性も無ければ、得られる物は無いと
相手の棘強めな言葉にも、まるで気に留めずに言葉を返そう
其の身体を抱き上げれば、予想通りに罵詈雑言が上から降るが
其れも構わずと、のんびり口端釣り上げた儘で、只管に走る

女の身体を抱えて尚、巨大な盾を背に抱えてなお
軽々とした足取りで路地を突き進めば
足止めを食らった連中は追い付けもしないだろう。)

「許可なんぞ取ってたら、間違いなく断るだろうよ嬢ちゃん。
なぁに、この位の役得は許して欲しいもんだぜ?」

(その火炎が自分に向けられたら、其れは其れで只では済まなさそうだが
まぁ、女が其処まで暴走はしないだろうと、そう踏んでの狼藉だ
暫く走った後で、背後を向いて居る女がもう良いと止めれば
其の時になって、漸く止まる筈だ。 ――降ろしはしないが。)

「さて、やっとかい…。 ……んじゃ、とっとと宿まで向かうかね。
嬢ちゃん、方向は判るか?」

ルルーサ > 「気持ちは分からないでも無いし、運んでくれたのは感謝しなくもないけど。」

罵倒は魔法を放つ際に敵に向けた言葉だ。
故に、別に不満こそあれ、怒っているわけではない。
いや怒ってはいるが。

「そりゃ断るわ。
 助かったとは思うけど、それとこれとは話が別。
 役得に関しては、もう十分でしょ。」

相手の言葉に対して、激怒、とまではいかないが。
不満をあらわにはする。

「安全が確保できたなら、もう下ろして頂戴。
 下ろしてくれないなら、今度は頭にぶち込むわよ。

 このまま宿に運ばれるなんて、死んでも嫌。」

ふん、と不満げに言い放ちつつ、宿の方向には口をつぐんで。
ほらさっさと、と肩を叩く。

グライド > 「素直に感謝してくれても構わねぇんだぜ?
ま、御前さんはアレだ、そもそも男が苦手そうだからな
別に好きになれたぁ言わねぇがよ。」

(己もまた、改めて周囲に注意を向けて行く
追いかけて来る気配が無ければ、改めて警戒を解き
そうして――抱えた女を見上げよう

見えたのは不満そうな顔、と、槍
流石に此処で振るわれたら、頭部直撃は免れないだろう、が
死んでも嫌だと降ろすように女が言うなら、少しばかり考えた後で。)

「―――――……やー、安全かどうかは判んねぇな。
判んねぇから、まだ降ろさねぇで置くぜ?」

(けら、と、分かり易く意地悪く笑った
今しがた安全を確保したばかりだ、が、口にはしなかった
故に、適当な事を言って、再びのんびり歩き出せば
女が知る宿とは別の方向、己が取った宿の方へ歩き出そうと)。

ルルーサ > 「だから感謝はしてるってば。
 でも、それとこれとは話が別って言ってるでしょ。

 いろいろあったの。 だから嫌いになってるの。
 別にいいじゃない。 嫌いなんだから。」

話聞いてないの? くらいに睨みつけながらため息をつく。

「ちょっと、用事があるんだから困るってば。
 勝手もおせっかいもいい加減にしなさいよ。」

こら、と肘で頭を小突いて、下ろしなさいってば、と。

「これ以上聞いてくれないなら、ちょっと本気で怒るけど。
 どう考えても初対面で自分の宿に連れ込もうとしてる時点で警戒されても当然でしょ。
 何度も言うけど、感謝とそれは別じゃないの?

 アンタの宿までいっても、私は自分で歩いて帰るからね。」

話を聞かない相手にイライラしながら言葉を連ねて、こら、ともう一度小突く。

グライド > 「いろいろ、なぁ。
―――はいはい、わかったわかった、流石に本気で殴られちまいそうだ。
悪いたぁ言ってねぇよ、嫌いなもんは仕方ねぇ
だが、街ン中で生きてく以上、嫌いばかりじゃやってくのは大変だぜ。」

(用事が在れば、と聞いたら、素直に足を止めた。
頭の上で、女の拳が頭に当たれば、残念だと盛大に溜息零し
女の身体を再び地面へと降ろすだろう。

降ろす際に、為るべく相手の片足に負担掛けぬ様にしつつ。)

「別に宿に連れ込むたぁ一言も言ってねぇさ
ま、其れで暴れられちまったら、態々逃げた意味もねぇからな
その代わり、せめてそっちの宿までは送らせな
別に、部屋まで押し掛ける気はねぇからよ。」

(何なら、元の宿まで俺が戻りゃいいと
一言付けたしてから、後は女の自由にさせよう
もし、女が却下するなら、きっとお別れは此処で、だ
そうでないのなら、道中はもう少しだけ、続くやも)。

ルルーサ > 「そりゃそうでしょ。

 うるさいわね、それなりの過程があったとか考えなさいよ。
 嫌いになるにゃ理由があるのよ。
 多少のことで信用なんてしないし、簡単に一つのことで信頼されるような人間、逆に私は信用ならないと思うんだけどどうかしら。」

当たり前のこと言わないで、とピシャリと反論。
ずかずかと踏み込んでくる相手を受け流……真正面から叩くかのような反論。

下ろしてもらえれば、はー、っと溜息を一つついて。


「……そうね、まあ、それくらいならいいか。
 ほっとくと後ろからついてくるくらいはしそーだし。

 ただこう、私はこんな物言いしかできないからね。
 優しくされたいなら別の女のとこに行きなよ。」

フン、と鼻を鳴らして歩き始める。
見られていると分かれば歩き方は違和感の無いように戻す。
他人がいれば強がる。 彼女の生き方そのものだ。

グライド > 「考えたぜ、だがそんな物は所詮想像だからな
御前さんの口から聞いて、やっと納得出来るもんだ
そうやって、他人から離れて生きようとしてる人間にゃ
多少嫌がられる位でなきゃ、何もわかりゃしねぇのさ。」

(――だが、まぁ、其れは相手に其のまま
蛇笏の如く嫌われる可能性と表裏一体なのだが
ただ、幸いながら己は、女の物言い程度で傷心になるほど繊細でもない
地面に降ろした後で、女が再び歩き出すなら
先刻までとは違う、足を引きずらぬ其の歩調に、少しばかり溜息をついて。)

「―――……なぁに、御前さんに、そう言うのは初めから期待しちゃいねぇよ。
だが、俺は俺で物好きなだけだ。 御前さんについていくのも、其の一環だから気にすんな。」

(其の、少しばかり後をついて、歩き始めれば
女が宿にたどり着くまでは、きっと共に行くだろう
其の愛だ、例えば、何故男が嫌いになったのか、だとか
何でそんな怪我を負ったのか、だとか
きっと、今となってようやく、そんな事を聞き始める筈で
無論、女が其れに、律義に応えてくれるかは分からないが
きっと、男にとっては、軽口だけでも十分なのだろう――)。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からグライドさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からルルーサさんが去りました。