2020/02/04 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にエレイさんが現れました。
エレイ > 「──む……」

人気も無ければ灯りもない、月光だけが差し込む寂れた夜の裏通りを、一人のんびりと歩いていた金髪の男は、
脇道から己の前に躍り出てきた影にふと、足を止めた。

『──ミャーオ』

それは猫だった。暗がりの中でなお黒く、逆に目立つシルエット。
その中で目だけが金色に浮かび上がっていて。

「……なんだ黒ぬこか。しかもお前平民地区でも稀によく会うヤツじゃねぇーか。
もうお馴染みすぎて顔すら覚えてしまう始末」

しかめっ面作ってそう言いつつしゃがみこむと、ボサボサの毛並みの黒猫は気安く寄ってきて
男の膝にスリスリと顔や身体を擦りつけて来る。

「……愛想をしてきたところでやるモンは特になにもないから無駄だという意見。
ってゆーか相変わらず目ヤニまみれだなと呆れ顔になる。もうちょっと自分でキレイにすろ」

眉下げてフンス、と鼻を鳴らしつつ猫の顔を見やれば、目頭にこびりつく大きな
目ヤニが確認できて。片手で首根っこを抑えながら、もう片方の手を顔に添え、
親指でぺりぺりと目ヤニを剥がしてやってゆき。