2019/11/01 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にグラウ・ブレックさんが現れました。
■グラウ・ブレック > 夜の貧民地区。
無法地帯のそこを歩く憲兵の姿。
まともな憲兵であれば、ここで起こる犯罪を取り締まったり。
あるいは金などの力に目が眩んだ憲兵なら積極的に犯罪に加担するのだろうが。
ここにいる憲兵はそもそも、憲兵ではない。
人を嬲るため人を装った化け物だ。
「ああ、心配なさらず。ただの見回りです」
人を装った憲兵は、犯罪者や浮浪者に気前よく挨拶する。
取り込み、真似をした元の憲兵は、犯罪に加担し、見逃す側だった。
それをコピーしたスライムは忠実にトレースし。
気のいいように見える笑みを浮かべながら貧民地区を進む。
精気を搾り取り嬲るための餌を探し、人知れず、化け物は徘徊する。
■グラウ・ブレック > この王都には、魔族の力を抑える力が溢れている。
このスライムもまた、擬態の力がある程度抑えられている。
普段であれば、高位の探知魔法でもなければ見破られないが。
今では、神聖な職に就くものや、特別な眼を持つ者…あるいは同じ魔族か。
そういった者たちであれば、容易く違和感を抱けるほどの擬態レベル。
だがしかし、バレそうだからといって徘徊をやめるスライムではない。
ただ本能のままに、美味そうな餌を探すことに躊躇いはない。
「ああ、これはこれは。では、あの薬の件は報告しませんよ」
『この』憲兵が便宜を図っていた薬の売人にもそつなく対応し、金を受け取る。
怪しまれることもなく、堂々と、人のための道を、化け物が歩いている。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からグラウ・ブレックさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区 広場」にレミィさんが現れました。
■レミィ > 夕日の頃。
平民地区から地区を超えて続く小路を抜ければ、顔を隠すように巻いていたバンダナを取って上着のポッケへと捻じ込む。
『ドッグレースはあっちだよ』
そんな声が飛び交う中、案内もなくずけずけと小路を進めば視界は開ける。
今年はこの日の夕刻から夜を徹しての賭博大会が行われると聞いて懐かしい気持ちでスラムへと足を踏み入れた次第である。
賭博大会とあって、小黒板に掲示されたルールや倍率の仕組みはよくできている。誰か、胴元としてバックについているのだろうか。
流れ者の姿を装いながら襤褸い壁に凭れて広場を見渡す。
大人、子供、物売り、女衒…… 他には何が目に留まろうか。
■レミィ > 壁から体を離すと賭博に使う犬券を売る一角へと足を向ける。
大きく番号を書いたプレートを首輪につけた犬や、体に直に番号を書かれている白犬が並んで繋がれている様子を一瞥する。
そうしてどことなく引き締まった駿馬のような印象のある赤犬へ少額賭ける。
券を受け取りながら問うてみる。
「このレースを仕切ってるのは誰?」
犬券売りは犬の近くで安酒のボトルを抱えている男を視線で示した。
「へぇ、知らない顔……」
呟きながら離れ、犬券を表返し裏返し見る。
■レミィ > ピィー!
土埃舞う濁った空気を割くようにホイッスルの音が響き、犬券売りは卓に出していた全てを手提げの簡易金庫へと仕舞い元締めの元へ向かう。
2人は書付を見ながら何やら話し合い、再びの笛の音の後にそれぞれの出走犬にかけられる当たり犬券の倍率が発表される。
三度目の笛の音とともにリードから外された犬はそれぞれのコースへと放たれる。
レースは日付が変わるまで何度か。
満足するまで見物し、なんとなく勘で賭けた結果申し訳程度の小当たり。それなりに楽しんでスラム街を出ればまたバンダナ被り、裏口から帰宅した。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区 広場」からレミィさんが去りました。