2019/10/06 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にエレイさんが現れました。
■エレイ > 「──む……」
人気も無く灯りもない、月の光だけが差す寂れた夜の裏路地を一人のんびりと歩いていた
金髪の男は、脇道から音もなく己の前に躍り出てきた影にふと、足を止めた。
『──ミャーオ』
それは猫だった。暗がりの中でなお黒く、逆に目立つシルエット。
その中で目だけが金色に浮かび上がっていて。
「……なんだ黒ぬこか。しかもお前平民地区でも稀によく会うヤツじゃねぇーか。
もうお馴染みすぎて顔すら覚えてしまう始末」
しかめっ面でそう言いつつしゃがみこむと、黒猫は気安く寄ってきて男の突き出した膝に
スリスリと顔や身体を擦りつけて来る。
「……愛想をしたってやるモン特になにもないから無駄だぞ。ってゆーか相変わらず
目ヤニまみれだなと呆れ顔になる。もうちょっと自分でキレイにすろ」
眉下げてフンス、と鼻を鳴らしつつワシワシと頭をなでてやりながら猫の顔を見やれば、
目頭にこびりつく大きな目ヤニが確認できて。片手で首根っこを抑えながら、
もう片方の手を顔に添え、親指でぺりぺりと目ヤニを剥がしてやってゆき。
■エレイ > 「よしキレイになったな。じゃあなぬこ」
やがて目ヤニを除き終えれば、黒猫の頭をひと撫でしてから立ち上がり、男はまたのんびりと歩き出す。
その足取りを、黒猫も当然のようについて歩き始める。
一人と一匹、その行く先は今はまだ誰も知らず────
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からエレイさんが去りました。