2019/08/14 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にテリスさんが現れました。
テリス > 「暑い……。」

もう日も暮れてしばし経つが、いまいち気温が低くならない。
ここ数日はもうちょいマシだったと思うんだけどなぁ…。
そんな風に思いながら通りの端に腰掛け、恨めしそうに空を眺める。

も少し風でも吹けっての。

悪態をつくように心の中で唱えれば、やる気の出ない視線を通りに送る。
日も暮れたこの時間。人通りもまばらだ。
貧民区自体そこまで人通りの多い場所ではないが…それでも、という雰囲気。
たまに通る人を眺めながら少年は夜の時間を過ごす。
寝床に戻ればいいんだが、まだまだこの暑さ。通りにいる方がマシというものだ。
やれやれという雰囲気を纏って通りを眺める少年は少し変わっているかもしれない。
わずかに視線を引くか、それとも悪だくみの的にされるか…。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にベルナデットさんが現れました。
ベルナデット > ぺたぺたと聞こえてくるのは素足での足音。
そして、日も暮れた薄闇の中、通りの角から白く輝く何かが現れる。
薄闇の中、なおも煌めく純白は長い髪、煌びやかなドレス、そして、少女の肌。
じっとりと汗に濡れ、荒い呼吸に合わせ揺れる豊かな膨らみ。
そして、裸足。
どこかの結婚式から逃げ出してきたのかと思われるような姿の少女は何かに怯えるよう背後へと視線を向けた後、隠れるよう角を曲がり、建物を背に大きく息を吐く。
そして……。

「っ!」

そこにいた少年に初めて気付き、空色の瞳を大きく見開いた。

テリス > 「ぁん?」

ぼーっとしていれば人の気配。
まぁ別に絡んでくる奴ぁいねーだろ、と思ってスルーするつもりであった。
が、出て来たのはなんと花嫁衣裳。

さすがにこんなトコでどーかしてんじゃねぇかと一瞬思ったのだが…。
瞬間、こちらに気づかず背後を気にする様子。
安堵の表情を見せたかと思えば、やっとこちらに気づいて大げさに驚く。

「……んだよ。教会はこっちにゃねーぜ、おねーさん。」

何の用で貧民区にいるのかは知らないが、犯される前にとっとと出るべきだ。
別に悪人ではない少年は、あっちが平民区だよ、と指で示してやる。
当然帰るものだと思い込んでの対応。それで終いだろう、と高をくくっているのだが…。

ベルナデット > 驚きはしたものの、おそらくは安全な場所を教えてくれているであろう様子に一瞬きょとんとした表情を浮かべた後にほっと一つ息を吐き、微笑みを浮かべ頭を下げる。
さらりと揺れる長い純白の髪、そして、重力に抗いきれない豊かな膨らみ。
どうやら物言いは乱暴だがいい人のようだ。
もっとも……聖女の物差しでは暴力を振るわなければ大概いい人なのだが。
そして、少年が指差してくれたほうへと向かおうとするものの、遠くからガラの悪い男達の怒声が聞こえて来る。

『早く探せ!』『お前はあっちだ!』『クソ、上手く行ったと思ったのによ!』

その怒声を聞き、少女はおろおろと周囲を見回し、隠れられそうな場所を探す。
どう見ても厄介ごとだ。
関われば面倒なことになるだろう。
平穏を望むのであれば見なかったことにするか、少女を男達にさしだすかすべきだろう。

テリス > 暗くなってきていたので気づかなかった。
気づけば頭を下げる女性は凄い美人だった。
それに気づけば少年は少し見惚れてしまうが……。
ふるっと首を振って、わずかに赤くなった顔を隠す。

その時、遠くからガラの悪い声が聞こえてきた。
それが聞こえた瞬間に様子の変わる花嫁さん。つまりはそういう事なのだろう。

「……ワケありかよ。ったく……。」

よっこらせ、と思い腰を上げる。
少年はまだこの花嫁が喋れない事には気づいてはいない。
しかし、ついてきなよ、と先に立って歩き始める。

「…別に差し出しゃしねーからよ。」

その言葉を信じるかどうかは女性次第だ。
ただ、少年に気負っている様子はない。そもそも貧民区にいればこんな事は茶飯事だ。

後についてくるなら、それなりに整った無人の家屋へと案内していくだろう。
それも、ごく近所で。

ベルナデット > ついて来いと言う少年の背中。
その後ろを躊躇いもなく歩いてついていく。
この口の悪い――少女が生きてきた世界での比較だが――少年がいい人であるのは間違いないのだから。
時折聞こえて来る怒声に背後を振り返りながら、無意識のうちに少年の服の裾をきゅと掴む。
そして、連れて来られた先は……少女の感性からすればとても人が住んでいるとは思えない粗末な家屋。
中へと招かれた少女は少し不思議そうに周囲を眺める。

テリス > 少しは疑うとかした方がいいんじゃね?と思わない事もない。
ただこの状況では頼るものもないのだろう。わからないでもない。
それに騒がれるのもそれはそれで面倒だ。
微かな抵抗を感じて、服を掴まれた事には気づいたが…あえてそれはそのままにしておいた。

案内した家屋は埃が積もり、蜘蛛の巣もあり、人が住んでいる状態ではない。
ただ服などは無いが、家具や安っぽい調度品などはそのまま残っていた。

「ここは誰も住んじゃいねー。見りゃわかんだろけどな。
アンタにゃ不慣れかもしんねぇけど、ほとぼりが冷めるまで隠れる分にはいいだろ。」

夜が明けたらちゃんと帰りな。
そう言って少年は埃の積もった寝台をパンパンとはたいていく。
溜まった埃がふわりと浮き上がるが、慣れっこなのか気にした様子もない。
多少綺麗にすれば、あとは寝るなり休むなり好きにしな、と告げる。

ベルナデット > このような場所があることは知識としては知っていたがこうして目の当たりにするのは初めてのことだった。
貧しい人々を救うのも教会、そして、聖女である自身の役目。
そう心に志を抱いていても、実際にその生活は何も知らなかった。

「っ!っ!」

舞い上がる埃に口元を抑えて声もなく咳き込む。
そうしている間も片手は少年の服の裾を握ったまま。
埃が落ち着きようやく咳が止まると慎重に浅い呼吸を繰り返す。
そして、少年へと少し恥ずかしそうなはにかみを向け、頭を下げる。

『ありがとうございます。助かりました。』

そして、口元を塞いでいた手を上げ、何もない空間に指を躍らせる。
何もなかった空間……そこには魔力の残滓が光る文字が形成していた。
それは一般的な王国の文字。
幻想的なそれを前に、少女は優しげな微笑みを浮かべた。
……片手は少年の服の裾を握ったまま。

テリス > こんこんと小さくせき込む女性。
普段は清潔にベッドメイクされた寝台で寝ているんだろう。
それだけ考えていれば、また頭を下げられた。
もう気にすんなよ、とぶっきらぼうに答えれば…。

「…んぁ? これは…。」

空中に流麗な文字が描かれた。
少しの間、夜闇に輝くその美しい光景に見惚れるが、
感謝の意を伝えるそれにふと少年は気づく。あぁ、喋れないのか、と。

「アンタも色々大変だな。まぁ、達者でやんなよ。」

さて、じゃあ自分もそろそろ帰るか…と思ったのだが。
なんだかまだ放してくれていなかった。

「…そろそろ帰ってもいいか?」

と、一応表情を伺ってみるが。

ベルナデット > 立ち去ろうとする恩人を引き留めてはいけない。
そう思うものの、不安げな表情は隠し切れない。
常に守られて生きてきた少女には、いつまでここに隠れていればいいのかも、どうやって城まで戻ればいいのかも、そもそも生き方も分からないのだから。
さようなら、と頭を下げるものの、服の裾は握ったまま。
少女にはそれを握っているという自覚はまるでないのだろう。

テリス > さようなら、そう言葉を出しつつも服は離さない。
その表情はとても不安げで、心配の様子しかない…。

「……。」

少年は、はぁー、と少し長いため息を吐いた。
世間知らずの箱入りか何かなのだろう。
そこまで理解すれば、寝台の横に腰を下ろした。

「わぁったよ。夜が明けたら平民区かどっか行きたいとこ案内してやるから。
ベッドはアンタが使えよ。ちょっと埃臭いけど、寝るまでは俺が起きといてやるから。」

ベルナデット > 「?」

去ろうとしていた少年がため息と共に腰を下ろした様子にきょとんとした表情を浮かべる。
帰るつもりではなかったのか……?
しかし、どうやら少年はここで一晩明かすつもりのようだ。
一体何故……?
そう困惑していると、伸びた少年の服に気付く。
視線を落とせば……。
はっと我に返り、慌てて少年の裾から手を離す。
一体何時から握っていたのか……恥ずかしさにみるみる顔が真っ赤に染まる。

『申し訳ありません。その』

慌てて魔力で文字を紡ぐもそれ以上何も言えない。
一体何と言えばいいのか……。
暫しの思案の後、『ありがとうございます』と再度頭を下げた。
そして、促されるままにベッドに腰を下ろす。
本当に世間知らずで恥ずかしい……。
神様は正しいことは教えてくれるけど、もうちょっと必要なことも教えてくれていいと思う。
じっと少年を見下ろしながら、心の中で神様に目いっぱい頬を膨らませて見せていた。

『どこで寝られるのですか?』

ふと気付いた素朴な疑問。
ベッドは自分が使っていいと言うが……果たして少年はどこで寝るつもりなのだろう。
少なくともこの部屋にはベッドが一つしかないのだから、一緒に寝ればいいのではないか、そんな疑問に魔力文字を紡いだ。

テリス > やっとこさ服を離してくれた。ちょっと伸びちゃったかもしれない。
まぁ、然して気にする事もない。
顔を真っ赤にして恥ずかしがる女性に、気にするなよ、と声をかけておく。
とりあえずベッドに座ってくれたし、休むなり寝るなしてくれるだろう。
寝台を背もたれ代わりにしながら、ふぁ、と小さくあくびをかみ殺していれば…。

「ん?」

どこで寝るのか、と文字が描かれた。
どこでって言っても同じベッドに入るわけにもいかないだろう。
と、少年は当たり前のように考えて。

「ここでいいよ。どうせアンタが寝るまでは起きてるんだしよ。」

寝たらその辺から敷布でも探してくるさ、とちょっと笑う。

ベルナデット > 「?」

心底不思議そうな表情で少年を見つめる。
床でなんて寝られるわけがない。
何故一緒のベッドで寝ようとしないのだろうと本気で悩む程度に異性との同衾は少女にとって慣れ親しんだ行為だった。
この国に来てから一人で寝た夜などそれこそ数えるほどしかないのだから。
……この国に来るまで、祖国ではどうだったのか……少女にはすでに思い出せない。

「💛」

少女は母親のような慈愛に満ちた笑顔を浮かべ、少年を迎えるよう両腕を広げる。

テリス > 【中断します】
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からテリスさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からベルナデットさんが去りました。