2019/08/01 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にコーデリアさんが現れました。
コーデリア > 犯罪が増え始める夕方。
腐った王侯貴族を処罰するために捜査官となったエルフは、いつものように貧民地区の見回りを担当していた。
一緒に見回りする予定だった先輩は顔見知りの娼婦に会った後、何か言い訳じみた言葉と共に安い宿に消えたようだ。
生真面目なルーキーの怒りはかなりのものだったが、それも三十分ほどすると鎮火し、一人でも構わないと見回りを続けている。
最近では孤児が挨拶してくれることも多くなったが、大人はまだ警戒している。
不正を暴く捜査官とは名ばかりで、実態は王侯貴族が命じれば罪のない貧民に罪状を作り、
しょっぴいていく悪党だと知られてきている証か。
まだ闇に染まることのないエルフは、改革を求めて今日も地道に奔走する。

「こぉらっ!またこんな時間に外出て!危ないから寝床に帰りなさい。」

よく知った孤児たちに怒鳴るのも慣れたもの。
若いのに近所の怖いおばちゃんチックに拳振り上げて、きゃーきゃーわーわー笑いながら散っていく子供を見送った。
微笑ましい存在だが、富める民との落差を見せつけられているようで、胸が痛くも。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にノワールさんが現れました。
ノワール > 「やれやれ、こんなところにまで遊びに来ていたのかい……。
暗くなる前には戻って来いと、他のマザーにも言われてただろうに…。」

その、きゃーきゃーわーわー叫びながら散っていく子供たちをおいかけ。
ぬぅっと表れたのは身長がとても女性とは思えない、シスター服の女性だった。
ため息をつき、その深紅ともいえる髪を掻きながら、散っていく子供たちの一人を、むんずとつかむ。
半眼で持ち上げ、ジィっと見つめてやって…。

「さっさと帰んな。
マザーも心配してるし、早く帰らないと飯抜きにされちまうよ。」

そして、にぃっと笑っておろしてやった。
その後ろ姿を見送りながら、さてともう少し歩く。

コーデリア > 長身のシスターが子供たちを急かす様を、少し離れた距離で見ていた。
一見ぞんざいにも見える扱いに、凡俗な言葉遣い。
この地区らしいというところか。
もちろんその印象に悪気があるわけではなく、ひたすらに微笑ましい。

見回り中のエルフは移動しようと思っていたところだが、彼女に挨拶をするべきだろうと判断しその場に立っていた。
シスターがそのまま歩いて来るのならば、その歩みを邪魔しないよう道の脇に退いたエルフと遭遇することになるだろう。

「お疲れ様です。」

まるで先輩に声をかけるようにそう口にし、お辞儀する。
実際に最近捜査官としてこの辺りを見回るようになった彼女にとって、ここで暮らす誰もが先輩なのだし。

ノワール > 子供らを見送り、最後の一人はまだかくれんぼ中か。
誰一人として賭けることがないように、しっかりと見回りをしなければならない。
孤児院で籍を置いている以上、母親代わりなのだから。
いや、そんな都市ではないのは自分自身もよくわかっているつもりだ。
そもそも、親というものがどういうものなのか、女自身解っていない。
わきに退いた、お辞儀をしてくるエルフに、ひらりと右手を上げる。

「ああ、そちらさんもお疲れさん。
……へぇ、珍しいねぇ?」

ここ最近、このあたりの治安を守るべく組織された捜査官があるらしい。
貴族連中の息がかかっているものが多数を占めているという話もある中で、彼女のその行動は目を見張った。
大概、シスター服の物は見下される傾向がある、特にこの地域では。
そんな組織のものが、自分に対し礼をすること自体、珍しいことだ。

「頭をあげておくれよ、あたしゃそんなに畏まられる存在じゃないよ。
ただの、教会のシスターさ。」

コーデリア > 畏まりすぎたとは思っていないのだが、促されて頭を上げる。
近くで見ると女性には珍しい背丈が特に際立っていた。
自分も決して背が低いほうではないのだが、彼女の場合は体格も女性らしさが見える分、背丈より大柄に見えるのだろう。

――― 一瞬、記憶の片隅にどこかで見た誰かに似ている気もしたが、
捜査官として任務にあたって日が浅い未熟者には詰め込んだ記憶が整理しきれておらず、思い返すことはできなかった。
ただ頭の中でそんな記憶の引っ張り出しが行われたせいで、返事がワンテンポ遅れ。

「……あっ。あ、はいっ、失礼しました。
 私、先月からこの地区の見回りを担当している捜査官のコーデリアです。
 この時間に巡回していますから、何かお困りのことがありましたらいつでもお声がけください!」

どこか落ち着くゆったりとしたシスターに比べ、ルーキー捜査官の挙動は落ち着きがない。
背筋をしゃんと伸ばし、手指まで揃え、まるで上司に報告でもするかのようなノリ。
この地区では異色と言う他なく、まだ馴染むには時間がかかりそうだ。
子供と触れ合うのと大人に接するのでは要領が違う。

ノワール > 硬い、それがこの新参者の第一印象だった。
ここにはあまり似つかわしくないその態度に、女は思わず口に指をあてて、肩を震わせてしまう。
もっとも、こういう固い娘は嫌いではない。
礼儀正しさ、そして何よりもまだ、この腐海のような匂いを放つ場所において、それに染まっていない。
環境やそれらにおいて、彼女という存在が物珍しいのは、間違い用もない事実だった。

「ああ、それじゃあ早速頼もうかね?
実はねぇ…、赤毛の男の子がまだ見つかってないんだよ。
かくれんぼが得意で、なかなか見つけられない小柄なわんぱく坊主なんだがね。」

あと一人だけ、見つかっていない孤児院の男の子がいる。
赤毛で、わんぱくで悪戯好き、そして何よりもかくれんぼが大好き。
そんな男の子を、この女はまだ見つけられていない。
だからさっそくとばかりに、その髪を掻きながら、困った顔で告げる。

「あたしゃ、庶民地区の孤児院でシスターをやってる、シュライゼンってもんだ。
コーデリア捜査官さん、悪いけど、ちょいと力を貸してもらえないかね?」